アクションラーニングとは、チームやグループで現実の課題解決を行う学習システムです。現在、世界トップ45社の半数以上が取り入れているほど、注目を集めています。
そこで今回は、アクションラーニングの効果や方法、進め方などについて見ていきます。組織の強化や、個々の成長のためにもぜひ取り入れてみましょう。
アクションラーニングとは?
アクションラーニングとは、実際に起こっている課題解決に向けてグループで取り組むグループワークの一種です。
『NPO法人日本アクションラーニング協会WIAL Japan』によると、アクションラーニングは『グループで現実の問題に対処し、その解決策を立案・実施していく過程で生じる、実際の行動とそのリフレクション(振り返り)を通じて、個人、そしてグループ・組織の学習する力を養成するチーム学習法』と定義されています。
アクションラーニングは1930年代イギリスの物理学者であるレグ・レバンスによって開発されました。その後、さまざま研究者たちによりアップデートされ、2000年代に入ると日本でも注目されるようになりました。それでは、なぜアクションラーニングが今注目を浴びているのかを見ていきましょう。
アクションラーニングが注目される理由
現実の課題に対して解決していくアクションラーニングは、変化の激しい現代において問題解決力を養う効果的な方法であるとされています。
また、企業として成長していくためには個人の能力だけではなく、組織力を強化することも必要不可欠です。グループで問題解決を行うアクションラーニングは、パフォーマンスの高いチームの育成や、変化と学習を受け入れる組織体制の構築にも効果を発揮します。
そのためアクションラーニングは、経営陣の経営課題の解決力や、リーダー候補の育成を兼ねたグループワークとして活用されています。
アクションラーニングの効果、メリット
前述のとおり、日本では2000年代に入ってアクションラーニングが注目されるようになりました。アクションラーニングによるメリットは、以下のようなものが挙げられます。
- 組織が直面する課題の解決
- 組織能力の向上
- 個人の能力開発
- リーダーの育成
- チーム、組織の団結力向上
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.組織が直面する課題の解決
アクションラーニングは、通常の座学とは違い、組織として現在直面している問題に対してアクションを起こす方法です。そのため、研修を行うだけではなく直面している課題の解決にもつながります。
学習を通して組織や個人の能力を高めるだけではなく、今抱える問題も解決できるため一石二鳥といえるでしょう。
2.組織能力の向上
アクションラーニングは、グループやチームなど組織で行う学習法です。問題解決のための定期的な話し合いや意見交換は、組織でのコミュニケーションを円滑にしたり、メンバー間によい刺激を与えたりといった効果が期待できます。そのため、組織力の向上にもつながります。
3.個人の能力開発
アクションラーニングは、組織力はもちろん、個々の能力開発にも役立ちます。現実に起こっている問題を解決するためには、物事を深く理解しなければいけません。また、解決までの過程を知ることで、学習能力や課題解決能力、モチベーション向上にもつながります。
4.リーダーの育成
アクションラーニングは、チームで課題解決に取り組みます。チームで解決するためには、それぞれの意見をまとめるリーダーの存在が欠かせません。アクションラーニングは、未来のリーダーや経営陣の育成にも役立つのです。
5.チーム、組織の団結力向上
アクションラーニングはチームや組織で取り組むグループワークです。全員でひとつの目標に向かって行動を起こすことで、チームや組織の団結力向上につながります。特に、アクションラーニングは学習的要素よりも現場レベルに近いため、より高い意識を持って取り組めるでしょう。
アクションラーニングの進め方
アクションラーニングの効果を理解したところで、具体的にどのように進めていくべきか知る必要があります。具体的には、以下のステップを踏んで進めていきます。
- 問題に対する認識の共有
- 目標の設定
- 実施
- 振り返り(リフレクション)
1.問題に対する認識の共有
まずは、今回のアクションラーニングのテーマを決めましょう。
そのためにはメンバーそれぞれがもつ課題を共有し、共通認識として理解します。それぞれの持つ悩みや問題をしっかりと投げかけ、理解し合うことが必要です。
アクションラーニングでは、仮説としての問題提起ではなく、実務内で抱えている問題を取り扱います。緊急性や重要度の高い課題を共有することで、ワーク自体の質も高まります。
2.目標の設定
続いて、目標設定を行いましょう。
それぞれの共有した課題の中からテーマを決め、ゴールを設定していきます。簡単に解決できるものではなく、達成難易度の高い目標を設定することが重要です。
また、アクションラーニングはゴールだけではなく、プロセスも大切です。どのような流れで解決していくのか、それぞれの役割分担など具体的に決めていきましょう。
3.実施
では、実際にアクションラーニングを進めていきましょう。
基本的には質問を投げかけるセッション形式で行います。質問を繰り返し投げかけ、メンバー間で共有される問題を明確にしていきます。
課題に関してチームの抱える問題の共有、理解を行うことでさらにブラッシュアップできます。問題について改善が必要な場合には、問題をチーム全員で再構築していきましょう。
4.振り返り(リフレクション)
アクションラーニングは振り返りを行うことで、よりその効果を高められます。
それぞれメンバーがとった行動について、どのような手応えがあったのか話し合いを行いましょう。目標達成に向けて新たな課題が発生した場合には、チームで課題解決に向けてさらなる目標を設定します。
このように、「課題の発見」→「目標設定」→「行動」→「振り返り」を行うことがアクションラーニングには求められます。
アクションラーニングの構成要素
アクションラーニングは、さまざまな要素によって構成されています。具体的には以下の6つです。
- 問題
- チーム
- 質問とリフレクション
- 行動
- コミットメント
- アクションラーニングコーチ
構成がうまく成り立っていなければ、効果は半減しています。それぞれの要素について、詳しくみていきましょう。
1.問題
アクションラーニングにおいて、社内で緊急性、重要性の高い問題をテーマとして扱うことが一般的です。また、アクションラーニングはチームや組織を行うため、チームで責任を持たせられる問題を選びましょう。
問題を決めるためには、まずはチームメンバーでそれぞれの抱える問題を話し合い共有することが大切です。各個人の問題をあぶりだし、根本的な問題がどこにあるのか明確にしましょう。
2.チーム
アクションラーニングはチームで行うグループワークです。
そのため、チームは必要不可欠。チームを構成する際に大切なことは、その人数です。理想としては4〜8人程度のチームに分けましょう。
多すぎると個々の能力が発揮できないですし、少なすぎると大きな課題解決が難しくなります。チームメンバーそれぞれに責任や発言権を持たせられるよう、メンバー構成を行いましょう。
3.質問とリフレクション
アクションラーニングを成功させるためには、質問とリフレクションが大切です。
メンバーが個々に感じている悩みや考えを質問で言語化させることは、それぞれの持つ考えをブラッシュアップできます。
また、プロジェクトがうまくいっているかどうかを定期的に振り返ることも重要です。アクションラーニングをしていくうちに新たな問題が発生することは多々あるので、課題をアップデートしていきましょう。
4.行動
アクションラーニングは、参加者自らが積極的に行動することが大切です。
起こした行動がたとえ失敗であったとしても、その学びを得ることができます。学びを持ってさらに行動していくことで、学びはどんどん洗練されていきます。
アクションラーニングでは主に対話式で質問を繰り返します。自ら主体的に参加し、積極的にメンバーとコミュニケーションをとっていきましょう。
5.コミットメント
アクションラーニングは、現場の抱える問題解決に向けて行動するグループワークです。現場での実践とメンバー間の意見交換によって成り立つため、確実にコミットメントしなければ達成できません。
アクションラーニングは人材育成や業務改善などに用いられますが、明確にした目標達成に向けてコミットして取り組みましょう。
6.アクションラーニングコーチ
アクションラーニングコーチとは、アクションラーニングを進めていく上でのサポート役となる人物です。チーム内でのコミュニケーションを、円滑に進めていくために必要です。
現場メンバーだけでは、時に意見がまとまらないこともあるでしょう。そのようなときに、アクションラーニングコーチが間に入ってサポートしてくれます。
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