脱ハンコのメリットとは?テレワーク化で注目される背景やハンコ文化の問題点、電子化のポイントを解説

テレワークや在宅勤務など新しい働き方が浸透するにつれて、脱ハンコの動きも社会に広がりつつあります。

そこで、この記事では脱ハンコのメリットやテレワーク化で注目される背景、ハンコ文化の問題点、印鑑電子化のポイントなどについて解説します。

脱ハンコが注目される背景

2019年に働き方改革推進法が施行され、労働生産性の向上や長時間労働の是正に焦点が当てられるようになりました。これにより注目を浴びたテレワークや在宅勤務は、その後の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、一層社会に広がります。

感染症対策の一環として政府より外出自粛要請やテレワークの利用が呼びかけられたため、それを実現させるために事務作業をデジタル化する必要性がこれまでになく高まりました。

2020年9月には、行政のデジタル化を目指す菅内閣が発足し、脱ハンコの動きはさらに加速します。

2020年11月には、行政改革担当大臣が行政手続きにおける認印の押印を撤廃すると発表しました。これにより、住民票の写しの交付を申請する時や、婚姻届や離婚届を提出する時などに必要だった認印の押印は不要になる見通しです。

こうしたデジタル化の波は、民間企業にも影響を与えています。次世代の申請・契約手続き方法として、多くの企業が脱ハンコを検討し、電子印鑑への転換を目指しています。

ハンコ文化の問題点

電子印鑑の導入について考察する前に、まずハンコ文化の問題点について考えてみましょう。

押印は日本のビジネスにおいてなじみが深く、独自文化として定着しています。しかし、ハンコ文化には生産性の向上や経費削減、新しい働き方の実現を阻む以下のような課題があります。

紙ベースの書類の管理が必要

ハンコ文化は、多くの企業が目指すペーパーレス化の動きに逆行する文化です。押印をするということは、そのための書類があるということが前提です。

これは、承認や契約を受けるに際し、書類の作成や印刷、管理、輸送といった作業が発生することを意味します。膨大な書類を分類して管理しようと思うと、そのための人件費や文書保管スペースなども必要です。

テレワークや在宅勤務と相性が悪い

ハンコ文化には、近年急速に社会に広まっているテレワークや在宅勤務と相性が悪いという問題点もあります。

せっかく環境を整えてリモートワークを可能にしても、ハンコ文化が根強く残っているなら、押印のためだけに出社しなければならないこともあるでしょう。

実際に、新型コロナウイルスの感染拡大により多くの企業がリモートワークを実施した際には、押印の必要があったために完全なリモートワークはできなかったという声も聞かれました。

押印を得るまでにタイムロスが生じる

別の問題点は、押印を一つ得るだけのために、さまざまな作業や時間待ちが発生することです。これには、押印の根回しや押印を得るための出社、きちんと押印ができているかどうかの確認作業、押印した書類の提出・管理などが含まれます。

ハンコ文化が根強い日本では、押印がないと作業が進められないことも多く、どうしても無駄な作業が生じてしまいます。押印やそれに関係する無駄な作業に追われ、本来必要な業務に割ける時間が少なくなると、生産性も低下してしまいかねません。

セキュリティリスクが高い

紙文書をベースとするハンコ文化には、セキュリティリスクが高いという問題点もあります。

紙書類には、管理不足による紛失や盗難、経年劣化などのリスクがあります。不正行為により、文書が改ざんされてしまう可能性もゼロではありません。

紙書類は適切に管理・保管しなければ、企業のコンプライアンス違反を招くおそれもあります。

脱ハンコによるメリット

電子契約サービスなどを利用した脱ハンコには、さまざまなメリットがあります。

無駄な業務を削減して生産性を向上できる

1つ目のメリットは、押印を前提としたさまざまな業務を削減することにより、生産性を向上できるという点です。

社内の人に押印をもらう場合ならまだ負担は少ないものの、取引先に押印をもらわなければならない場合は、無駄に思える作業が多いものです。契約書を印刷・発送して返送を依頼するか、取引先に赴いて契約内容を説明し、同意を得てから押印を得なければなりません。

このほか、脱ハンコが成功すれば、書類の分類・管理や押印のための出社、押印の確認作業なども不要になり、本来やるべき業務に集中できます。それにより業務効率が上がり、社内全体で生産性を向上させることもできるでしょう。

新しい働き方が可能になる

2つ目のメリットは、リモートワークや在宅勤務などの新しい働き方を推進できることです。契約締結にまつわる作業をオンラインでできれば、そのためにわざわざ出社する必要はありません。

契約書やそれに関係する書類、承認状況などをオンラインで閲覧できるようになるため、場所を問わずどこにいてもスムーズに作業を進められます。

業種によっては出社回数を減らすだけでなく、完全にリモートで仕事を行うフルリモートワークを実現させることも可能です。

紙ベースの書類管理に関わる費用を削減できる

3つ目のメリットは、紙書類を扱う場合と比べてコストを削減できるという点です。

紙書類をベースにしていると、コピー機のリース代や用紙代、契約書の郵送代などがかかります。書類保管のための人件費やスペース代のほか、課税対象の文書なら印紙代も必要です。

一方、電子契約サービスを利用すれば、こうした費用を大幅に削減できます。課税対象の文書でもオンラインでの締結なら非課税となるので印紙税を納める必要はなく、印紙代も節約できます。

コンプライアンスを強化できる

4つ目のメリットは、セキュリティリスクを軽減させてコンプライアンスを強化できるという点です。文書を電子化させれば、紙文書の紛失や盗難、劣化などのリスクを回避できます。

十分なセキュリティ対策を施すことで文書改ざんなどの不正行為も防止でき、企業のコンプライアンス強化につながるでしょう。

ハンコの電子化を進める際のポイント

メリットの多いハンコの電子化をさっそく取り入れようと思った時には、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。最後に、脱ハンコを実現させるためのポイントを4つに分けて解説します。

契約や承認の一連の流れを把握する

1つ目のポイントは、契約書の作成・承認・締結・文書管理といった、社内の契約オペレーションをきちんと把握しておくことです。

どの契約をどの社員が担当しているのか、どのタイミングでどこからどこへ書類が渡るのかなどを明確にしておけば、自社に合った電子契約の方法を見つけやすくなります。

現状の契約締結方法の問題点を洗い出し、改善を図ることにもつながります。

押印の必要性や法令要件を確認する

2つ目のポイントは、各契約に関して、押印の必要性はどの程度あるか、法令要件がどのようになっているかをしっかりチェックしておくことです。法令要件を満たしていないと、電子契約では法的効力が認められないケースもあるので注意が必要です。

また、法的な問題はなくても、取引先によっては電子的なやり取りではなく押印を希望されることもあります。さまざまなケースを考慮し、どの契約で脱ハンコが可能かをはっきりさせておきましょう。

社内ルールを整備・改定する

3つ目のポイントは、脱ハンコに向けて社内の押印規定や文書管理規定を見直し、必要に応じて改定しておくことです。社内の契約業務フローも整備し、電子契約に対応できるように新しいものにアップデートする必要があります。

電子契約の作成・入力・保存・管理に関して、その方法や責任者、閲覧権限者などをはっきりさせておきましょう。

電子契約サービスを導入する

4つ目のポイントは、契約の電子化を可能にする電子契約サービスを導入することです。社内文書だけであればサービスを利用しなくても脱ハンコは実現できるものの、取引先との契約締結においては電子契約サービスが必要です。

電子契約サービスを利用すれば、契約書をオンラインで送信し、電子署名によりスムーズに契約の締結ができます。契約書はクラウドで一元管理ができるため紙文書を保管する必要はなく、ペーパーレス化を推進するとともにコストカットも期待できます。

電子契約サービスにはさまざまなものがあるので、機能やコストなどをよく比較して自社に合ったものを選びましょう。

まとめ

脱ハンコの取り組みには、コストカットや生産性アップ、リモートワークの推進など多くのメリットがあります。自社における業務負担を軽減できるだけでなく、スムーズに契約締結ができることで取引先から歓迎されるケースも多いでしょう。

紙文書のクラウド化に合わせて、人事データのクラウド化も考えているなら、「あしたのチーム」が提供する「あしたのクラウド」がおすすめです。

これは、人事評価業務のすべてをクラウドで一元管理できる、今の時代に即した便利なサービスです。社内システムのクラウド化を進めて、さまざまな業務をテレワークに対応させ、業務効率の向上につなげましょう。

あしたのチームのサービス

導入企業4,000社の実績と12年間の運用ノウハウを活かし、他社には真似のできないあらゆる業種の人事評価制度運用における課題にお応えします。


人事評価制度の構築・運用支援、クラウド化。 これらをワンストップで提供することにより、企業の成長と従業員の育成を可能に。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

サービスガイド


あなたの会社の人事評価制度は運用しにくい制度かもしれません。人事評価制度を適切に運用するノウハウと、その理由をお教えます。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

あした式人事評価シート