営業戦略とは、企業が利益目標を達成するために立てるプランです。
この記事では、営業戦略を立てる手順や戦略立案に役立つフレームワークについて解説します。営業戦略に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。
営業戦略とは?営業戦術との違い
営業戦略とは、企業が持続的に成長するために取るべき方針やシナリオです。ビジネスの現場では、ストラテジー(Strategy)と表現される場合もあります。
営業の最終的な目標は売上アップですが、達成する手段は社員によって異なります。効率的に成果を上げるためには、各人が共有・連携できるプランが必要です。
一方、営業戦術とは、営業戦略を実現するための具体的な手法です。英語ではタクティクス(Tactics)と表現します。
たとえば、営業活動を効率化するという方針は、営業戦略に該当します。方針を実現するために営業支援ツールを導入することは、営業戦術です。
ただし、企業によっても営業戦略の捉え方は異なります。営業戦術を含めた計画全体を営業戦略と呼ぶケースも少なくありません。
営業戦略立案のステップ
営業戦略を立案する一般的な手順を4つのステップに分けて解説します。立案の手順は、企業の成長段階や業種などの条件によっても変わってきます。
現状分析
第1ステップは、現状分析です。具体的には、外部環境分析、顧客分析、競合分析、自社分析を進めます。
外部環境分析では、市場の動向や国の方針、金融情勢、国際情勢など、ビジネスを取り巻く外部要因について洗い出します。
今回のコロナ禍では外部環境が一気に変わり、方針転換を迫られる企業が続出しました。外部環境の分析をせずに中長期的な営業戦略は立てられません。
自社分析では自社が保有する経営資源の洗い出しや強み・弱みの見極めが重要です。
顧客分析や競合企業の動向分析も欠かせません。顧客ニーズの変化が速くなっている影響で、タイムリーに方針を打ち出せなければビジネスチャンスを逃しかねないためです。
現状分析のステップでは、後段で紹介するフレームワークが役立ちます。
営業戦略の立案
第2ステップは、営業戦略の立案です。第1ステップで現状が把握できれば、対応すべき課題や進むべき方向性が見えてきます。どんなターゲットにどの商品をどのような方法で売るべきなのかを考慮して、営業戦略を立てましょう。
営業戦略は関係者全体で共有する必要があるため、シンプルでわかりやすいものにします。人によって受け取り方が違うと、ちぐはぐな対応になりかねません。
つぎに、戦略目標を立てます。目標の達成度を表す指標を、KPI(重要業績評価指標)と呼びます。「3カ月以内に売上を10%アップする」など、具体的な数値を使って目標を設定しましょう。
営業では、市場占有率や訪問件数、成約数といった項目が指標として使われるケースが一般的です。
営業戦術の策定
第3ステップでは、戦略目標を達成するための具体的な戦術を策定します。
これまで営業戦術といえば、飛び込み営業やテレアポ、チラシ配布、展示会などが主流でした。コロナ禍で対面式の交渉が難しくなったことで、ICT技術を活用した営業戦術の必要性が高まっています。
オンライン商談やインサイドセールス(内勤型営業)、インバウンドマーケティングといった戦術にシフトする企業も増えています。
インサイドセールスとは、成約の見込みが低いターゲットにメールや電話などでアプローチを続け、見込みが高いリードのみを営業部隊につなげる方式です。
一方、インバウンドマーケティングとは、SNSや動画、ホワイトペーパーなどのコンテンツを利用して顧客を獲得し、時間をかけてファン化する手法です。
評価と改善
第4ステップでは、KPIを使って営業戦術の成果を可視化し、分析・評価を実施して新たな課題を洗い出します。営業戦略や営業戦術は1度で成功するとは限らないため、改善点を次のプランに反映する取り組みが非常に重要です。
短いサイクルでスピーディーにPDCAサイクルを回して営業戦術をブラッシュアップしましょう。獲得した顧客をファン化するための継続的なフォローも欠かせません。
一方、業績アップや生産性向上、働き方改革に対応するためには、営業活動そのものの効率化も必要です。営業の属人化を解消するためにも、営業プロセスの可視化や情報共有を進めましょう。
営業支援ツールを導入して外出先から業務報告ができる環境を整える方法も有効です。
営業戦略の立案に役立つフレームワーク
フレームワークとは、考えを整理するための枠組みのことです。決まった枠組みに情報を記入していくだけで、やるべき課題が見えてきます。ここでは、営業戦略の立案に役立つ4つのフレームワークを紹介します。
3C分析
3C分析は、現状分析のステップで活用できるフレームワークです。自社が置かれている状況の洗い出しや問題点の明確化が図れるだけでなく、関係者間の意識共有も容易になります。
3C分析では、顧客(Customer)、競合企業(Competitor)、自社(Company)という3つの項目について情報を収集します。インターネットで調べられる部分もありますが、社員や顧客からの生きたフィードバックも重要です。
- 顧客(Customer):市場規模、成長の見込み、顧客のニーズ、購買行動の特徴など
- 競合企業(Competitor):各社の占有率、対象となる競合、新製品の情報など
- 自社(Company):企業理念やビジョン、経営資源、ターゲットとする顧客や市場、強みと弱み、営業成績(売上、占有率、商品の特徴)など
3C分析は主にBtoCのマーケティングで利用されるフレームワークです。BtoBでは、相手企業の3C分析をする必要があります。自社と相手企業の3C分析をそれぞれ行うため、6C分析とも呼ばれます。
SWOT分析
SWOT分析は、営業戦略を策定する際に役立つフレームワークです。3C分析で収集した情報を強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Oppotunity)、脅威(Threat)の4項目に分類して表にまとめます。
- 強み(内部環境、プラス要因):活かすべき強みは何か
- 弱み(内部環境、マイナス要因):克服すべき弱みは何か
- 機会(外部環境、プラス要因):どんな市場機会があるか
- 脅威(外部環境、マイナス要因):回避すべきリスクは何か
たとえば、コロナ禍で業績が悪化した小売店があったとします。
- 強み:高齢者のなじみ客が多い
- 弱み:店舗の場所がわかりにくい
- 機会:買い物に困っている高齢者が多い
- 脅威:コンビニエンスストアが近隣にできる
営業戦略の例としては、「外出を控える現金派の高齢者世帯を対象に、宅配サービスを展開する」などが考えられるでしょう。
消費者行動モデルAISAS・DECAX
AISASやDECAXは消費者の購買行動プロセスを表すフレームワークです。購買行動の流れや特徴を知ればアプローチの接点が明確になり、営業戦術の策定に活かせます。
AISAS(アイサス)は、フレームワークとして広く知られているAIDMA(アイドマ)をベースに日本で開発されました。SNSによる情報拡散を考慮に入れたフレームワークで、「注意→興味→検索→行動→共有」という購買行動を想定しています。
一方、AIDMAは「注意→興味→欲求→記憶→行動」という順に購買行動が進むと考えます。企業の広告がきっかけになって購買に至る流れを示すBtoC向けのフレームワークです。ただし、SNSの重要性が増している現代のBtoC市場にはマッチしません。
DECAX(デキャックス)も、SNSの活用を視野に入れたコンテンツマーケティング時代のフレームワークです。SNSでの情報発見からファン同士のコミュニティ化、購買と体験の発信・共有までが網羅されています。
具体的には、「発見→関係構築→確認→購買・体験と共有」という流れで購買行動が進むと考えます。
「選択」と「集中」戦略
「選択と集中」は、マイケル・E・ポーター氏の「Competitive Strategy」という著書のなかで提唱されている概念です。自社の強みが活かせる事業に経営資源を集中的に投入して、業績アップや経営効率化を図ります。
多角化経営の対局に位置するフレームワークで、業績が上がらない事業の切り捨てやリストラも視野に入れています。
「選択と集中」は短期的な業績回復には有効です。コロナ禍の影響で大規模なリストラに踏み切る大企業も続出しています。ただし、人材の流出を招き、外部環境の変化にフレキシブルに対応しにくくなる点はリスクです。
営業戦略の立案に役立つその他のフレームワークを以下で紹介します。
- 4P分析:製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販促(Promotion)の4項目について競合企業との違いを洗い出し、比較・検討するフレームワーク
- PEST分析:政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4項目に着目してマクロ環境を分析するフレームワーク
- パレードの法則:上位2割の要素が全体の8割を生み出すとするばらつきの法則
まとめ
営業戦略とは、企業が進むべき方向性やシナリオを明文化した計画です。戦略立案をする際には、フレームワークを上手に活用しましょう。
一方、少子高齢化や働き方改革が進むなか、少ない労働力と短い労働時間で生産性や業績を上げるためには、社員の貢献意欲(エンゲージメント)が重要だと考えられるようになっています。
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