KPI管理とは、業績の重要中間管理指標であるKPIを適宜測定・評価し、達成に向けて必要なアクションをとるプロセスを指します。
ビジネスでKPIを設定するケースは多いですが、着実にKPIを達成するには数値を管理することが大切です。
本記事ではKPIの意味やKPI管理の方法・手順、成功のポイントや便利ツールを紹介します。
KPI管理について知っておくべき3つのポイント
KPI管理について理解するためには、KPIの意味や背景を知る必要があります。ここではKPIの意味を振り返った上で、KPI管理の概要や重要性を紹介します。
KPIの意味
KPIとは、「Key Performance Indicator」の頭文字で、企業の最終的な目標を達成するための重要な中間指標です。多くの場合、「重要業績評価指標」や「重要目標評価指標」などとも呼ばれます。
KPI管理とは
KPI管理とは、KPIを着実に達成することを目的に、KPIの設定から途中経過の測定、KPI結果の最終評価といったKPIに関する一連のプロセスを記録・測定して必要に応じてアクションをとることを指します。
KPIは、プロジェクト終了時や期末などに振り返る最終的な業績指標ではなく、あくまでも業績の中間的な指標のため、プロジェクトが進捗するのに応じて問題なく進行しているのか リアルタイムで把握・分析することが必要 です。 このような指標管理をKPI管理と呼びます。
KPI管理が重要な理由
ビジネスにおいてKPIを定めることは多いですが、ただKPIを設定するだけでは意味がありません。
業績計画やプロジェクト、あるいは個人の取り組みであっても、「プロジェクトが問題なく進捗しているのか」、「当初予定と比べて、成果はどの程度出ているのか」といった 途中経過を、常に測定・把握しておく必要があります。
もちろん、「当初よりも状況が芳しくない」といった問題があれば計画を軌道修正しなければなりません。そのためにはKPIを管理しておくことが欠かせないのです。
KPI管理を実施する5つの手順
KPI管理を行う際は、スムーズに実施するためのポイントを知っておくことが大切です。ここではKPI管理を実施する5つの手順を紹介します。
1.KGIを設定する
まず、KGIを設定しましょう。KGIとは「Key Goal Indicator」の略語で、「重要目標達成指標」などと呼ばれます。
KPIが業績の中間的な管理指標 なのに対して、 KGIはビジネスにおける最終的な目標を示す指標 です。
例えば、KGIには売上高や受注件数、総コスト、利益率などが当てはまります。
2.KGIに沿ってKPIを設定する
次に、設定した最終目標であるKGIに沿って、その達成に必要なKPIを設定します。
例えば、KGIを「売上高」と設定した場合、売上高は「受注件数×受注単価」で求められるため、KPIは売上高の構成要素である「受注件数」と「受注単価」の2項目を選び、目標となる数字を定めます。
3.定期的に指標を測定する
KGIとKPIが確定し、プロジェクトなどの進捗が開始になったら、定期的に指標を測定しましょう。
例えば、1年間の取り組みを管理する場合は、「四半期ごと」あるいは「1ヶ月ごと」といったスパンを決めてその都度KPIを測定します。
その際、 事前に定めていた計画と比較して、「早すぎる」、「想定通り」、「遅すぎる」といった進捗状況も確認しましょう。
早すぎる場合は、プロジェクトの前倒しに備えて本来は先に行うはずだった作業の準備をしておく必要があり、遅すぎる場合は目標を確実に達成するためにリソースの追加といったテコ入れを行う必要があります。
4.事後検証を行う
プロジェクトが一区切りを迎えたら、検証を行います。
まず、これまで測定してきたKPIを一覧化あるいはグラフ化して、KPIが時系列ごとにどのような推移を辿って来たのかを把握しましょう。
そして可能であれば、 その時々の取り組み状況や課題、実施した施策なども書き出します。
これらの情報をまとめることで、「KGIというゴールに対して途中のプロセスは順調だったのか」、「途中で必要な施策を打っていたのか」などを客観的に検証することが可能です。
5.改善施策を検討する
事後検証とともに、改善すべき点がないかのチェックも行います。
例えば、KPIを時系列順に管理すると、その時々でKPIの伸び率が明らかに低かったり、あるいはKPIが想定を上回って順調なケースがあったりするのが普通です。
そこで、当時の課題や施策と照らし合わせてみると、 KPIに悪影響を与える問題や、KPIに好影響を与える要因などが特定されていきます。
こういった要因を洗い出すことで、より精度の高いKPI管理が可能になり、次回以降の改善に繋げやすくなるでしょう。
KPI管理で成功するためのポイント
KPI管理を実施する手順が正しくても、目的意識や運用方法に問題があれば成功は難しいでしょう。ここではKPI管理で成功するためのポイントを紹介します。
目的を明確化する
まず、目的を明確化する必要があります。
適切な目的が設定されていない場合、KPIの管理・運用を行う意味が薄れてしまい、望むような効果を得ることは困難です。本来、KPI管理を行う目的は、KGIという重要なゴールがあり、その途中経過を測定・把握することで着実にゴールを目指すことにあります。
KPI管理に取り組む際は、まずKGIを定め、同時にKPI管理の目的も明らかにしなければなりません。
管理者・社員の意識を変える
管理者や社員の意識を変えることも重要です。
KPI管理は、何らかの課題に取り組む社員本人やチーム、あるいはその上司である管理者が実施します。
経営者が立派なKGIを設定し、KPI管理の手法を導入しても、当事者の意識が変わらなければ効果を得ることはできません。社内において、「KGIを達成することが重要」、「KGIを達成するためにはKPI管理することが大切」といった意識づけが必要です。
運用方法を最適化する
そして、運用方法を最適化することも欠かせません。
KPI管理では、業績に関連するあらゆる数値を測定・入力・計算したり、その時々の取り組み状況を複数の社員が記録したりといった手間が発生することがあります。
自作の管理シートではスムーズな管理に限界があり、紙媒体のシートでは複数人が共有する際に不便なケースもあるでしょう。
そこで、効率的かつ効果的に運用するためには、ツールを導入するなどの対策が必要なこともあります。
KPI管理に役立つツール3種類を紹介
KPI管理は正しい手順に沿って行えば一定の効果が期待できますが、スムーズにKPI管理を実施するためにはツールを活用するのが効果的です。ここではKPI管理に役立つ3種類のツールを紹介します。
表計算ソフト
1つ目は表計算ソフトです。
主な種類は「Microsoft Excel」や「Googleスプレッドシート」で、Macユーザー向けには「Numbers」があります。
表計算ソフトはビジネスで最も普及しているソフトの1つで、 特別な操作方法の教育が不要でスムーズに利用開始できる点が魅力です。
表計算ソフトでKPI管理を行う際は、KPIの項目に数値を入力していく方法の他、複数の数値を項目に入力すれば自動でKPIや進捗率が計算される数式を組むといった便利な使い方もできます。
SFA/CRM
2つ目はSFA/CRMです。
それぞれ、営業や顧客情報管理・マーケティングを支援するためのツールで、特に営業部門やマーケティング部門においてKPIを管理する際に役立ちます。
SFAを用いれば、営業担当者個人の商談件数や受注件数などを統合して営業チーム全体の状況をリアルタイムで把握することが可能です。CRMでは、会員登録数や注文履歴などのデータを一元管理することで、マーケティングに関連するKPIを高精度で管理できます。
目標管理ツール
3つ目は、KPI管理や目標管理に特化した専用ツールです。
ツールによって機能はさまざまですが、基本的にはKPI項目を設定して、データ入力・取得することでKPIの進捗状況がリアルタムで可視化される機能が盛り込まれています。
こういった専用ツールのメリットは、テンプレートがあるためスムーズに利用開始できることや、KGIやCSF(重要成功要因)といった他指標の管理も同時に行いやすいこと、さらにはコミュニケーションツールなどとの連携ができるといった点などさまざまです。
まとめ
KPI管理とは、最終目標であるKGIを着実に達成することを目的に、KPIを測定・分析して適切なアクションを行う一連のプロセスです。
KPIは設定するだけでなく継続的に把握して必要に応じて軌道修正のための施策を行う必要がありますが、KPIを管理することで計画の実行がスムーズになり、KPIやKGIを達成しやすくなります。
特に人材開発においては適切なKPI管理と、人事分野に合った運用方法の確立が重要です。
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KPI管理はじめ人材開発や人事評価制度の見直しを検討している企業の担当者様は導入を検討してはいかがでしょうか。
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