くるみんマークの9つの認定基準とは?認定メリットや申請方法も解説

くるみんマークとは、従業員が仕事と子育ての両立を支援する取り組みを実施していると厚生労働省が認定した企業に対して与えられるマークです。

9つの認定基準があり、取得を検討中の経営者や企業の人事・総務担当者は要件や手続きを知っておくことが欠かせません。

本記事では、くるみんマークの概要や取得メリット、9つの認定基準や申請手順を紹介します。

くるみんマークの認定とは?

くるみんマークとは、仕事と子育ての両立支援に取り組んでいる企業を認定する制度によって、基準を満たした企業に与えられるマークです。

ここでは具体的な概要や目的、企業が認定を受けるメリットを紹介します。

くるみんマーク認定の概要や目的

くるみんマークとは、従業員の仕事と子育ての両立を支える取り組みをしているとして、「子育てサポート企業」の基準を満たした企業に、厚生労働大臣が与える認証マークです。

くるみんマークの認証制度は、子育てを両立できる企業を増やして、子育て世代が抱える不安を緩和させることを目的として開始されました。

2015年には、新たにプラチナくるみん認定が開始。プラチナくるみんとは、くるみん認定をすでに受け、従業員の仕事と子育ての両立を支援する制度の導入や利用が進んでおり、なおかつ高いレベルの取り組みを実施している企業を評価すると同時に、さらに継続的な取り組みを促すための認定です。

くるみんマークの認定を受けるメリット

企業がくるみんマークの認定を受けると、商品、広告、求人広告、取引に用いる書類、事業所などにくるみんマークを表示することが可能です。

そのため、消費者や仕事を探している人に対して、子育てサポート企業であることをアピールできるようになります。

また、税制優遇措置もあり、取得、新築、増改築をした建物やその附属設備の普通償却限度額に対して、32%の割増償却が可能です。

くるみんマークの9つの認定基準

くるみんマークの認定を受けるためには、9つの基準を満たす必要があります。

これから認定を受けようか検討している経営者や企業の担当者は、これらの基準を知っておくことが大切です。

ここでは9つの認定基準を順番に解説します。

1.行動計画の策定

まず、仕事と子育ての両立をしやすい雇用環境を整備するにあたって、「行動計画策定指針」にもとづいて行動計画を策定する必要があります。

行動計画策定指針とは、次世代育成支援対策を推進するにあたって、厚生労働省が発表している100ページ以上にわたるガイドラインです。

2021年2月に改正版が公表されています(適用は同年4月)。

自社の行動計画を策定する際は、この行動計画策定指針の項目を一定程度盛り込まなければなりません。

2.計画期間が2年以上5年以下

策定する行動計画は、2年以上5年以下に設定する必要があります。

もともとくるみんマークの根拠となる次世代育成支援対策推進法(通称「次世代法」)は、2005年から2015年3月末までの時限法で、くるみんマークの認定を受けるためには期限内に計画を策定・提出する必要がありましたが、次世代法がさらに10年延長されたため、2021年時点でも提出することが可能です。

行動計画の実行にあたっては、社内の制度設計や従業員への周知、社内制度のメンテナンスなどに時間がかかることもあるため、余裕を持った計画を立てる必要があります。

3.行動計画の実施・達成

また、認定を受けるためには、都道府県労働局に、目標を達成したことを証明する書類を提出しなければなりません。

策定した行動計画に沿ってあらかじめ決めた施策を実行し、目標を達成する必要があります。

行動計画の内容によって、提出しなければならない書類は異なりますが、主に以下のような書類が必要となります。

  • 制度導入が目標の場合:制度導入前後の就業規則など
  • 数値目標がある場合:制度を利用した従業員の氏名・時期がわかる書類
  • 制度の周知・情報提供が目標の場合:年月日が分かる周知資料
  • 意識啓発が目標の場合:年月日が分かる研修開催通知・実施結果の資料

4.行動計画の周知

従業員に対して行動計画を適切に周知することも必要です。

行動計画を策定したら、策定日から3ヶ月以内を目処に従業員に周知しましょう。

周知の方法はさまざまですが、例えば事業所の掲示板など見やすい場所への掲示、従業員への資料の配布、電子メールでの共有、社内ネットワークへの掲載などが考えられます。

認定の申請にあたっては、従業員に周知した年月日が分かる書類が必要なので、申請に備えて書類を保存しておく必要があります。

紙媒体ではなく社内ポータルサイトなどで周知した場合は、画面を印刷するという方法でも問題ありません。

5.男性従業員の育児休業等の取得

計画期間に育児休業等を取得した男性従業員が1人以上おり、なおかつ認定申請時に在籍していることも認定の要件です。

この男性従業員は、正社員だけでなく、契約社員、派遣社員、パートなどの期間雇用者も含まれます。

ここで指す育児休業等とは、育児・介護休業法にもとづく、1歳未満、3歳未満、小学校就学前の子を育てる従業員の育児休業が対象です。

なお、従業員数が300人以下の一般事業主は、特例としてやや要件が緩和されています。

6.女性従業員の育児休業等の取得率70%以上

計画期間に育児休業等を取得した女性従業員の比率が70%以上であることも認定の要件です。

育児休業等を取得した女性従業員の比率は、「計画期間内に育児休業等を取得した人数」を「計画期間内に出産した人数」で割って求めます。

認定基準と同じく、この女性従業員は正社員の他、契約社員、派遣社員、パートなども対象です。

従業員数が300人以下の一般事業主については、一定期間さかのぼれば70%以上を満たし、なおかつその期間が3年までの場合は、基準を満たすという特例があります。

7.子育て従業員に対する制度を実施

3歳から小学校就学前の子どもを育てる従業員すべてに対して、子育てと両立するための制度を講じている必要があります。

認定の対象となるのは、以下の制度です。

  • 育児休業に関する制度
  • 所定外労働の制限に関する制度
  • 所定労働時間の短縮措置
  • 始業時刻変更等の措置に準ずる制度

例えば、該当の子どもを育てる従業員に対してフレックスタイム制度を適用するなどの場合が当てはまります。

8.労働環境整備の措置

以下3つの措置のうち、いずれかを実施していることも要件です。

  • 所定外労働削減の措置
  • 年次有給休暇の取得促進の措置
  • 働き方の見直しにつながる多様な労働条件整備の措置

例えば、「ノー残業デー」や「ノー残業ウィーク」を導入したり拡充したりする措置を指します。

なお、これらの措置は計画期間の前から実施されているものでも申請することができ、また、新たに導入する場合は計画期間終了時までに実施されていれば問題ありません。

9. 法・ルールの遵守

最後に、法律そのものや、法律にもとづく命令・関係法令に違反する重大事実がないことも要件です。

特に、次世代法はもちろん、労働基準法や男女雇用機会均等法、その他、育児・介護休業法などの関係法令に違反している場合は認定を受けられない可能性があります。

くるみんマークの申請方法

くるみんマークの認定を受けるには、必要書類を準備して都道府県の労働局に申請する必要があります。

ここでは申請するための4つの手順を解説します。

自社の現状や従業員のニーズを把握

まず、行動計画が自社の状況や従業員の希望に即した内容とするために、現状の把握を行います。

特に、仕事と子育ての両立を阻んでいる問題はないか、自社の従業員はどのようなニーズを抱えているのかを調べましょう。

例えば、子育て中の従業員の数や、妊娠・出産をきっかけに退職する従業員の割合、ワーク・ライフ・バランス支援制度の普及度合いなどを把握すると、自社の課題が明確になってくる可能性があります。

行動計画を策定

自社の現状や従業員の悩みが把握できたら、それにもとづいて行動計画を策定します。

行動計画では、課題の優先順位や実施する期間、数値目標を適切に定めることが大切です。

仕事と子育ての両立にはさまざまな課題がありますが、優先事項やそれに必要な期間を検討することで、現実的な行動計画を作ることができます。

行動計画の公表・周知

計画が完成したら、策定してからおおむね3ヶ月以内に一般公表し、従業員にも周知を図りましょう。

公表する方法としては、厚生労働省の「両立支援のひろば」というWebサイトや自社ホームページ、都道府県の広報誌や日刊紙に掲載する方法があります。

従業員に対しては、社内の掲示板や社内サイトに掲載する方法が一般的です。

労働局への届け出

行動計画を策定したら、おおむね3ヶ月以内に都道府県労働局の雇用環境均等部(室)に申請を行いましょう。

申請方法は、「一般事業主行動計画策定・変更届」(様式第一号)に記入し、窓口に郵送、持参、電子申請します。

まとめ

くるみんマークとは、従業員が仕事と子育ての両立を支援するための取り組みを実施していると厚生労働省から認定を受けた企業に与えられるマークで、認定を受けるには9つの基準を満たす必要があります。

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