ビジネスの現場で「シナジー」という言葉を耳にする機会は多いのではないでしょうか。
しかしシナジーの正しい意味や使い方、企業がシナジーを生み出す方法を知るチャンスは限られているかもしれません。
そこで今回は、シナジーの基本的な情報から、実際の企業事例まで詳しく解説していきます。
ぜひ内容を理解し、シナジーを生み出す事業展開の多角化について興味を持っていただければと思います。
シナジーとは
シナジー(synergy)の英語の意味は相乗効果です。類語には協力作用・相乗作用・乗数効果などがあります。
もともとは複数の筋肉の共働作用や、薬品の相乗作用を指す生理・生物学用語として使われていたようです。
経営学用語におけるシナジー効果とは、M&A・業務提携・技術提携などによる相乗効果を指します。
単に独立した組織や部門が結び付くだけではなく、経営資源の集約や事業の組み合わせによって付加価値が発生している状態です。
つまり、1+1が2ではなく、3にも4にもなることを経営上のシナジー効果と言います。
たとえば他社とのM&Aによって重複費用を大幅に削減できれば、シナジー効果があると判断できるでしょう。
他にも業務提携によって同じ流通経路を流用したり、技術提携によって互いの技術を有機的に活用できればシナジー効果が生まれやすくなります。
このようにシナジー効果とは、シンプルな結び付きではなく、協働作用による相乗効果が必須条件と言えます。
シナジーの使い方
シナジーという言葉には下記のような使い方があります。
- A社の企業買収には技術的なシナジー効果がからんでいる
- 業務提携を持ちかけられたがシナジーを感じられず断った
- 社内の部門が効果的に連携したことでシナジー創出に繋がった
- 異業種のM&Aでも財務的に考えるとシナジー効果があるだろう
- 自社の弱みを補い、強みを伸ばせるシナジーの効いた提携先を探している
- 業務提携後のシナジー効果を予測して今から動いている
- 販売チャネルのシナジー効果を得るために友好的な企業買収を考えている
- 技術提携によるノウハウ交換は両社のシナジー効果に繋がるだろう
- 今後10年間の事業計画として、あらゆるシナジーを積み上げていきたい
- グローバルシナジーによって投資領域を広げたい
- 一見するとシナジー効果を得られないが、財務面や技術人事でシナジーが期待できる
企業がシナジーを生み出す手法
企業が事業展開、多角化の中でシナジーを生み出す手法には下記の3つがあります。
M&A
M&Aは企業の合併(merger)と買収(acquisition)の頭文字を&で繋げた言葉です。他にも企業間の一部株式譲渡、事業譲渡、資本提携など幅広い提携の総称として使用されます。
買収した企業が残り、買収された企業が消滅すれば合併。他社の過半数株式を取得して支配権が移行されることを買収と言います。
M&Aの目的は、経営のスピード化、コア事業の強化、事業展開の効率化などで自社の競争力を強化することです。
つまり企業価値を高めるという理由がM&Aのシナジーにはあります。
業務提携
業務提携とは、2社以上の企業が業務協力関係を結ぶことを言います。物流、技術開発、販売促進、人材交流だけでなく、資本業務提携によって関係性が強化されることもあります。
販売店契約、代理店契約、フランチャイズ契約、OEM、ODMなどが代表的な業務提携です。
M&A同様、シナジー効果による競争力の向上や事業成長といった目的があります。
技術提携
技術提携とは、2社以上の企業がお互いに、もしくは一方が他方に技術提供を行う形の提携です。法律的な技術提携契約には特許・ノウハウの実施契約や実施許諾契約がありますが、新しい技術の共同開発も技術提携と考えられています。
技術の対価はケースバイケースなので、有償の技術提供もあれば無償の場合もあるでしょう。
同じ業界のトップ企業同士が、デファクトスタンダードを築くために技術提携を結ぶケースもあります。
M&A・業務提携と同様、技術提携の背景には、シナジー効果による技術力向上があります。
シナジーによる効果とは
分野ごとにシナジーで得られる効果について解説します。
販売チャネル
シナジー効果によって販売チャネル(流通)が強化されます。
M&Aや業務提携を結ぶことにより、互いの企業の流通経路を活用できるからです。
特に複数の商品を扱う企業で効果的と考えられています。
販売チャネルの拡大は売上アップに繋がるでしょう。
生産
シナジー効果によって生産性向上が見込めます。
生産性向上とは、1+1=2以上の生産力が発揮されることを言います。
M&A・業務提携によって業務フローが改善されれば、短時間で効率よく生産できるでしょう。
また技術提携による共同開発などを通して、従業員間の連携・協力によってモチベーションが高まれば、やはり生産性の向上が期待できます。
技術人材
シナジーは技術人材にも及びます。
M&Aによって技術力に秀でた優秀な人材を獲得し、技術提携を通して製品を共同開発できれば業績アップが期待できます。
このようにシナジー効果は人事の活性化に繋がります。
経営管理
シナジーは経営管理にも表れます。
M&Aによって買収・合併した会社の部門を統合することで効率化が見込めるからです。
従来のノウハウを活用しながら一本化することにより、シナジー効果を得やすくなるでしょう。
また業務提携や技術提携の場合も、企業間の知識のシェアによって経済的な相乗効果が期待できます。
財務など
財務面のシナジー効果は余剰資金活用と節税効果です。
M&A後に余剰資金を活用してベンチャー企業に資本参加したり、人材確保に費やせば将来的なリターンが期待できます。
節税効果としては、買収した企業の繰越欠損金を自社に計上することで利益を圧縮できます。
つまり課税金額を減らせるので節税効果に繋がります。
シナジーを活用した企業事例
シナジーを活用した2社の企業事例を紹介します。
大正製薬によるドクタープログラム買収
化粧品会社のドクタープログラムを製薬会社の大正製薬が買収した事例です。
大正製薬はOTC医薬品で国内トップクラスですが、セルフメディケーション領域の事業拡大が課題でした。そこで化粧品の通信販売事業を行っていたドクタープログラムを買収し、顧客の取り込みと販路の拡大を行ったと考えられています。
M&Aの手法としては、武田薬品工業がキョーリン製薬ホールディングスからドクラープログラムの株式を買い取っています。
この事例は販売チャネル(流通)のシナジー効果に該当するでしょう。
YahooによるZOZO買収
ファッション通販会社のZOZOをヤフーが買収して子会社化した事例です。
ZOZOは物流機能に強い会社として知られていますが、一朝一夕で構築できたわけではありません。現場の経験やオペレーションの改善を重ねることで物流ノウハウを蓄積したと考えられています。
ヤフーも物流機能を有していましたが、ZOZOを買収することで機能強化を図ったようです。eコマースの分野で成功するには、物流機能の強化が欠かせないからです。
またヤフーの子会社となったZOZOにとっても、ソフトバンク・ヤフー経済圏の顧客を獲得できる可能性があったようです。
この事例も販売チャネル(流通)のシナジー効果に該当するでしょう。
事業の多角化を目指すならシナジーを活用しよう
ビジネスシーンにおけるシナジー効果とは、複数の組織や部門が結び付いて付加価値が発生し、相乗効果に繋がることを指します。
企業がシナジーを生み出す手法にはM&A・業務提携・技術提携などがあります。どの手法も根底には競争力アップや事業成長、企業価値向上という目的があるでしょう。
またシナジー効果は販売チャネル・生産・技術人材・経営管理・財務などに及びます。販売チャネルだけでなく、生産性向上や優秀な人材の確保、経営管理、余剰金活用や節税にもシナジーは波及すると考えられています。
事業の多角化を目指すならシナジーを活用する必要があると言えるでしょう。
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