ダニングクルーガー効果とは?内容や対処法をおさえてビジネスに活用しよう

ダニングクルーガー効果という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?
ダニングクルーガー効果とは、能力が未熟な人ほど、実際の実力よりも自己の評価を高く感じてしまう状態のことを言います。

ダニングクルーガー効果について正しく把握することは、会社での仕事の能力を伸ばすことにもつながるでしょう。

本記事では、ダニングクルーガー効果の意味、実験結果、引き起こされること、事例、メリット、対処法などを紹介します。

ダニングクルーガー効果とは

1999年アメリカのコーネル大学のデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーによって提唱された仮説です。

ダニングクルーガー効果とは、能力の成長の過程において未熟な人ほど自身を過大評価し、実際の実力よりも高く認識してしまう認知バイアスのことを言います。

未熟な人にこのような認知バイアスが起こるのは、自身の能力に対して正確な評価をするためのメタ認知能力の不足が原因です。また、能力が高い人が「自分ができることは他人にもできるはず」と他人を過大評価してしまいやすいことから、客観的に見た際にも自分を正しく評価できにくいことも関与します。

ダニングクルーガー効果の状態下にある人について、下記のような特徴があると言われています。

  • 自身の能力が不足していることを認識できない
  • 自身の能力の不十分さのどの程度か認識できない
  • 他者の能力について正確に推定できない
  • 能力について習練を積んだ後であれば、自身の能力について正しく認識できる

ダニングクルーガー効果の逆とは?

ダニングクルーガー効果の逆と言われる仮説について、インポスター症候群が挙げられます。

1978年心理学者であるポーリン・R・クランスとスザンヌ・A・アイムスによって提唱され、能力があることを示す社会的な成功があるにもかかわらず、自分が達成したことを心の底から肯定することができない状態のことを言います。

自分の成功は運や状況に起因するものであり、それにふさわしい能力を持ち合わせていないと考えを持ちやすいです。特に、社会的な地位を手にした女性が陥りやすいとする研究もあります。

インポスター症候群は、ダニングクルーガー効果とは逆の現象として取り上げられやすいです。ただ、ダニングクルーガー効果が生まれる背景に優秀な人間ほど自身を過小評価しやすいという論点があることから、インポスター症候群もダニングクルーガー効果を成す一因とも言えるのではないでしょうか。

ダニングクルーガー効果の実験結果

ダニングクルーガー効果について、デイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーの二人が学生に対して実験を行いました。その結果、実際の点数が低いほど自己評価が高く、実際の点数が高いほど自己評価が低いとの実験結果が報告されました。

その他、日本で行われた大学での実験でも、社会人基礎力が一定程度ある大学2年生とこれから鍛えられるべき1年生とで差異があると報告されています。

規律性についての自己評価において、1年生の方が自己の能力を過大評価しているとの得点結果が示されたのです。

ダニングクルーガー効果によって引き起こされること

ここでは、ダニングクルーガー効果が出ている人に起こりやすいことを3つほど紹介します。

やりきれない仕事を引き受ける

自身の能力を過大評価している状況下のため、自分の実力以上の仕事を引き受けやすいです。

自分の現状の能力ではやりきれない仕事にもかかわらず、「できる」と誤った認知をしてしまい、結局できないということが起こりやすいでしょう。失敗から挫折を味わうことも少なくないです。

学習意欲が低下する

自分は能力が高いと思っているため、知識を新たに吸収しようとする意欲が低下しやすいです。

自分はわかっていると過剰に評価している状態であるため、新たな知識を習得しなければならないという気持ちになりません。その結果、現状よりも成長する機会を逃すことにもつながるでしょう。

人に対して高圧的な態度をとる

ダニングクルーガー効果の状態下では、他人に対しても正しく評価することができません。

実際には自分よりも能力がある他者に対しても正確に把握することができないため、他者とのコミュニケーションについても影響が出やすいでしょう。

他者に対して、高圧的であったり、上から目線であったりといった態度を取りやすい傾向があります。

ダニングクルーガー効果の事例

ダニングクルーガー効果の事例としてひとつ挙げられるのが、ダニングクルーガー効果に陥っている人ほどリーダーとして選出されやすい点です。

能力が低い人ほど自分のことを過大評価し、自己愛が強く、自分の信念に強い自信を持つ傾向があります。

逆に思慮深く控えめであり自身への愛が不足している人たちは、そういった人達を頼もしく魅力的に感じるようです。

その結果、皆から支持を集め選出されるリーダーは、自身の能力を勘違いしている能力のない人間が選ばれやすいとの指摘があります。

ダニングクルーガー効果のメリットとは

ダニングクルーガー効果は悪い面ばかりに目がいきやすいですが、メリットもあります。

それは、まだ起こっていないことを恐れずに、何事にも挑戦しやすい点です。自分の能力を正確に把握している下では、それ以上の能力が必要とされることへは挑戦しにくいでしょう。

ただ、挑戦してみて成功するか失敗するかどうかは、案外わからないものです。ダニングクルーガー効果は、物おじせず未知なることに挑戦できやすい能力とも言い換えることができるでしょう。

ダニングクルーガー効果への対処法

ダニングクルーガー効果に陥らないための対処法を3つ紹介します。

他者との会話の機会を設ける

まず、他者との会話の機会を多く設けることが大切です。人は他者を知り比較することで、はじめて自身について知ることができます。自身の認識の誤りは、他者を知ることでしか気が付くのは難しいものでしょう。

他者と積極的にコミュニケーションをとり、会話を繰り返すことで自然と自身の能力について正しく把握することができます。

メンターを持つ

メンターと呼ばれる、自身の見本にしたい手本となるような人物を見つけることも大切です。

自分の理想とする人物像と自分との能力との差を把握することで、独りよがりな自身への評価を抑える効果があるでしょう。

また、自身が信頼しているメンターから自分への評価や助言をいただくことで、客観的な視点をとりいれつつ自分の現状を把握することができやすくなります。

ダニングクルーガー効果を認知しておく

ダニングクルーガー効果というものがあることを理解しておくことも大切でしょう。成長の過程で能力がそれほどない状態下で過剰評価してしまいやすいという現象を知っておくだけで、自身を内省しやすくなります。

どのような立場であっても陥る可能性のあるダニングクルーガー効果。新たな能力を取得する過程では、誰しも起こる可能性があることに留意して、自身の評価を考えるとよいでしょう。

ダニングクルーガー効果を上手く活用しよう

ダニングクルーガー効果は、自身の成長を妨げたり他者の能力を正確に把握できなかったりとしたデメリットがあります。

ただ、恐れず何事にも挑戦していけるメリットもあるため、ダニングクルーガー効果について正確に把握しつつ、よいところは活かしていきましょう。

ビジネスにおいても、客観的に自身の能力を把握するよう努めつつ、思い切った挑戦も忘れずダニングクルーガー効果を活用していくとよいのではないでしょうか。

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