普段から管理職という言葉は耳にしていても、あらためて管理職の正確な意味が気になるのではないでしょうか。
特に人事部の社員にとって、管理職の範囲や必要なスキルなどは押さえておきたいポイントといえます。
そこで、この記事では、管理職の定義・役割・スキルだけでなく、部下が能力を発揮しやすい管理職についても詳しく解説します。
最後に「優秀な管理職を育成する3つのコツ」もわかりやすく説明しますので、ぜひ内容を参考にしてください。
管理職とは
管理職とは役所・会社・学校のような組織集団の中で、管理や監督の役目を担っている人々を指します。
企業における管理職は結果に対する責任と裁量権を持ち、部下の指導や管理に当たるポジションです。
管理職の範囲は取締役や役員だけでなく、通常は決裁権を持つ部長や課長を含めて考えます。特に日本では、課長以上を管理職として扱う傾向があります。
ただし法律による明確な線引きはなく、企業ごとに管理職の扱いが異なることもあるでしょう。基本的には「決裁権を持つ課長以上が管理職」とされるのが一般的ですが、決裁権があれば係長や主任も管理職に含める場合もあります。
企業によっては管理職と呼ばず、ゼネラルマネージャーという肩書きで表すこともあるでしょう。
管理職の役割とは
管理職に求められる役割は大きく4つに分かれます。
情報関係
管理職は企業にとって重要な情報収集や伝達を担います。具体的には次のような役割があります。
- 社内だけでなく社外の情報を広くリサーチして分析する
- 自社の代表取締役・CEOへ必要な情報を伝達する
- 自社の代表取締役・CEOの経営方針やビジョンを社内全体に浸透させる
- 関連会社や関係部署との情報共有を行う
- 問い合わせ対応に幅広く対応する
現代ではますます重要視されてきている情報についての管理も、管理職の重要な役割です。
業務遂行関係
次のような業務遂行関係は管理職にとって大切な役割の1つです。
- 通常業務に必要な処理や問題解決を行う
→ 現場で働きながらPDCAを回して課題解決に当たる - 新プロジェクトや事業を推進してイノベーションを生み出す
→ 限られた経営資源の配分を考えて新商品やサービスを企画する - 自社のグローバル化を見すえて対応する
→国内だけでなく海外を視野に入れたマーケティングと現地での展開
業務遂行関係は「管理者自らがプレーヤーとして関わりながら新たな展開を考える」という側面が強いでしょう。
対人関係
対人関係は最もイメージしやすい管理職の役割かもしれません。
- 部下の性格や利点を把握したうえでの指導や育成
- 部下の動機づけ(モチベーション)の促進
- 社内の人間関係の円滑化と共働し合える職場環境の整備
- 部下同士や部下と上司における対人トラブルの早期解決
- 社外関係者との人脈形成と連携体制の構築
職場雰囲気の悪化はマイナス誘因につながりやすいので、管理職の対人関係における役割は重要といえます。
コンプライアンス関係
コンプライアンス関係の役割も管理職にとって重要です。
- 企業に関わる個人情報を適切に管理する
- 社内スタッフの内部統制と機密情報の漏えいを防ぐ
- 労働時間の正確かつ適切なマネジメント
- 労働基準法など労働法関連法規の遵守
- 業界に適用される法改正への早期対応
昨今、コンプライアンス重視の経営が注目されているので、管理職として適切に対応する必要があります。
管理職に必要とされる3つのスキル
管理職に求められるのは「対人関係能力」「状況認識能力」「業務遂行上の専門知識と技術」の3つです。
「対人関係能力」は全従業員にとって大切です。企業内でスムーズに仕事をするには周囲との協力関係が欠かせないからです。ただし管理職の場合は部下との関係性がポイントとなるので、より卓越したスキルが求められるでしょう。
「状況認識能力」と「業務遂行上の専門知識と技術」は一般社員と管理職で割合が異なります。一般社員は「状況認識能力」よりも「業務遂行上の専門知識と技術」の割合が高く、逆に管理職は「業務遂行上の専門知識と技術」よりも「状況認識能力」の割合が高くなります。
会社に就職した直後は、まず仕事を覚えなければなりません。仕事を覚えた後も、正確さを保ちながらスピードアップを求められるのが一般的です。
営業職のように結果が目に見える仕事も同様で、数字を残すために必要な知識と技術を磨く必要があります。
しかし管理職の場合、日常業務に必要な能力よりも「全体を俯瞰で捉え、冷静に状況を把握し、意思決定するスキル」が求められます。つまり問題発見能力と解決能力です。
そうはいっても「業務遂行上の専門知識と技術」が全く不要なわけではなく、専門知識と技術をベースとしながら状況認識能力を伸ばす、という認識が大切でしょう。
部下が能力を発揮しやすい管理職とは
管理職として部下に能力を発揮してもらうには、どのようなリーダーシップが必要とされるのでしょうか。代表的なリーダーシップに変革型リーダーと交換型リーダーがあります。
- 交換型リーダー
→ 報酬のような見返りを条件に影響力を与えるリーダーシップ - 変革型リーダー
→ ビジョンやミッションによって尊敬と信頼を与えるリーダーシップ
従来は交換型リーダーの報酬を見返りとしたリーダーシップによって、仕事が進められるケースが多かったのですが、現代ではこのような管理職は機能しないと言われるようになりました。
仕事に対して求める価値観が変化し、働き方も多様化していく中で、交換型リーダーよりも変革型リーダーの方が、部下は自主的かつ能動的に仕事を進める傾向があるとされています。
管理職の方たちは、部下が能力を発揮できるよう変革型リーダーを参考にするとよいでしょう。
優秀な管理職を育成する3つのコツ
優秀な管理職を育成する3つのコツについて説明します。
ビジョンとポストの明確化
まずは管理職候補に対して、会社が求めるビジョンとポストについて明確に提示することが大切です。
管理職としてどのように成長してほしいかというビジョンと、どのような立場を提供するつもりなのかというポストを明確化することで、管理職候補の中で習練を積むべきポイントをはっきりさせることができます。そうすることで、管理職として成長する意欲を醸成する効果が期待できるでしょう。
育成制度の構築
育成制度を整備して構築すれば、管理職が育つ下地が完成します。具体的には、選抜した人材の配置転換や研修制度の実施などがあります。
- 配置転換 → 管理職に必要なスキルが業務経験の中で身に付く
- 研修 → 講師による研修で管理職に必要な知識が身に付く
また、管理者に必要なスキル・能力を指標化できれば、候補者は自ら足りない部分を認識できるので、「どのスキルを優先的に伸ばせばよいか」を判断しやすくなります。
人事評価制度の再構築
従来の人事評価制度が不十分な場合は、管理職の実績について正しく評価できるシステムの再構築が必要です。組織的な評価で管理職候補者の適性を理解するだけでなく、育成制度自体の再評価もポイントになるでしょう。
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優秀な管理職を育成できる制度を構築しよう
企業における管理職とは、部下の指導・管理を行うポジションで、一般的に決裁権を持つ課長以上を指します。
管理職に求められる役割には「情報関係」「業務遂行関係」「対人関係」「コンプライアンス関係」の4つがあり、必要なスキルには「対人関係能力」「状況認識能力」「業務遂行上の専門知識と技術」があります。
実際に管理職を育成するには、自社のビジョンと重要ポストを明確化、育成制度を構築、人事評価制度の再構築がポイントとなるでしょう。
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