パーソナルスペースとは?定義や広い人・狭い人の特徴、ビジネスにおける注意点を紹介

他人に侵入されると不快に感じる個人的な空間を意味する、パーソナルスペース。人間同士の付き合いや、ビジネスにおいて人との適切な距離感を保つことは欠かせません。

今回は、パーソナルスペースについて、意味、4つの分類、違い、広い人・狭い人の特徴、ビジネスにおける注意点を紹介します。

パーソナルスペースとは

パーソナルスペースは個人の身体からある一定の空間で、他人に侵入されると不快に思う領域の事を言います。

パーソナルスペースへ侵入された場合、不安や緊張感が高まり心拍数が上がる傾向があるようです。一旦パーソナルスペースを侵害されると、その相手に対して嫌悪感や警戒心をなかなか解けないという状態になってしまいます。

パーソナルスペースは相手との関係性に合わせて距離に違いがあると言われており、よく知られている距離は、密接距離(45cm以下)、個体距離(45~120cm)、社会距離(120~360cm)、公衆距離(360cm以上)の4つの分類です。

ただ、パーソナルスペースはその人の背景や生い立ちによって、複雑に変化するようで、その範囲は人種、国籍、文化、民族、年齢、性別、外見、社会的地位などにより異なると言われています。

パーソナルスペースの4つの分類

アメリカの学者エドワード・ホール(1966)によると,対人距離は下記4つに分類されます。

密接距離(45cm以下)

親子や恋人など非常に親しい間柄のみ許される距離で、45㎝以下と言われています。身体接触でのコミュニケーションが可能な距離で、気心の知れた間柄であれば不快感ではなく安心感を抱きます。逆に密接な関係でない人間がこの距離内に侵入してしまうと、嫌悪感や不快感を抱きやすいため注意が必要です。

個体距離(45~120cm)

親しい友人や知人とのコミュニケーションで用いられる距離で、45~120cmと言われています。主に言語でのやりとりを前提とした距離感ですが、軽いボディタッチ程度の身体的接触もできるでしょう。相手の動作や表情をしっかりと把握できる距離です。

社会距離(120~360cm)

職場の同僚や取引相手などに適応される距離で、120~360cmと言われています。会話をするのにはある程度しっかりと発声する必要があり、身体的接触はできない距離です。仕事をする上では相手が不信感や警戒心を抱かないように、距離感を意識することが大切です。

公衆距離(360cm以上)

面識のない相手同士にとって適切な距離感が、360cm以上と言われています。講習会やセミナーなどにおける、講習会やセミナーなどにおける、講師から参加者までの距離としては適切な距離感といえるでしょう。個人的な関係性のない人間がこの距離を超えると落ち着かない気持ちにさせる場合があるので注意しましょう。

パーソナルスペースを侵害された場合のストレスとは

パーソナルスペースを侵害された場合、以下のようなストレス的な負荷の発生が考えられます。文化やバックグラウンド、個人差によっても感じ方は異なるため、パーソナルスペースへの感受性は個人によって異なることを理解しておくことも重要です。

プライバシーの侵害

パーソナルスペースは、個人の身体的および心理的な領域です。他人がこの領域に侵入すると、プライバシーの喪失や個人の自由な行動の制約を感じることがあります。このような侵害は社会的不安や不快感を引き起こし、個人のストレスを増大させる可能性があります。

身体的な不快感

パーソナルスペースの侵害は、身体的な不快感を引き起こすことがあります。他人が身体的な接触をしたり、個人の身体的な距離を縮めたりすることは、不快感や不安感を引き起こし、心身のストレスをもたらすことがあります。

自主性の喪失

パーソナルスペースは、個人が自己の状況や環境をコントロールするための領域です。他人による侵害は、個人の自主性を奪い、心理的なストレスを引き起こす可能性があります。個人が自己の領域を制御できないと感じることは、無力感や不安感を生じさせるかもしれません。

パーソナルスペースには違いがある

一般的には4つの分類で把握されやすいパーソナルスペースですが、実はパーソナルスペースはその人の背景によって異なるとされています。特に影響の出やすい、下記2つについて説明します。

男女

パーソナルスペースは男女で差があると言われており、一般的には男性の方が、パーソナルスペースが狭いと言われています。

形にも差異があるようで、女性がほぼ正円なのに対して、男性は楕円形で前後に広く横に狭いです。

そのため、男性はが正面から急に距離をつめられるのが苦手な傾向があります。また、男性はパーソナルスペースの横幅が狭い分、横から距離をつめやすい傾向があり、女性にとってはパーソナルスペースを侵害されている状態のため苦手と感じられやすいと考えられます。

相手のパーソナルスペースについて意識しつつ、距離感を保ってコミュニケーションを取る必要があります。

文化など

パーソナルスペースの決定要因には、文化の違いも大きな影響を及ぼすとされています。例えば、アラブ人のパーソナルスペースはアメリカ人よりも狭いと言われており、イギリス人のパーソナルスペースはフランス人よりも狭いと言われています。

そこには文化差があるからとして研究が進められていましたが、それだけでは説明のつかない事例も出てくるようになりました。

例えば、白人は黒人よりもパーソナルスペースが狭いといった事例です。これは育ってきた経済的要因や学歴の違いなど、「文化」以外の要因も複雑に絡み合って個々のパーソナルスペースは形成されていると言われるようになりました。

パーソナルスペースの測り方

パーソナルスペースの測り方は、大きくわけて2種類の方法が用いられてきました。
一つ目は投影的測定方法で、人形やシルエットなどを使用して、実際の人間を使用しない方法です。人形やシルエットなどと対象者との距離を測定し、印象をイメージしてパーソナルスペースを測定します。
二つ目は実際に人間に動いてもらい対象者への距離をつめていき不快になる前に止めてもらうなど、直接的な測定方法です。その他にも、現実場面での他人との距離の取り方を観察したり、どの椅子を選択するかから推測したりするなどが直接的な観測方法にあてはまります。

参考:早稲田大学人間科学研究第1巻第1号 鎗木晶夫著「パーソナル・スペースの基礎的研究(Ⅰ)」

パーソナルスペースが広い人・狭い人の特徴

パーソナルスペースが広い人・狭い人にはどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、広い人・狭い人の特徴を説明します。

パーソナルスペースが広い人の特徴

  • 個人行動が好き
  • 人見知り
  • 繊細
  • ネガティブ
  • 警戒心が強い

パーソナルスペースが狭い人の特徴

  • 集団行動が得意
  • 外向的
  • 客観的
  • ポジティブ
  • 友人が多い

パーソナルスペースが広い人は、自分のスペースに人が侵入しやすいため、自分のペースを乱されやすく、集団行動を苦手に思う特徴があります。繊細で傷つきやすく、ものごとをネガティブにとらえやすい傾向もあるでしょう。

人の動作に敏感に反応できる分、他人に対して細やかなところまで気遣いのできたり、思いやりをもって接することができたりする点も特徴として挙げられます。

また、自分のスペースを守るために人と接触を避け、ひとりの時間を大切にする人が多いようです。

一方、パーソナルスペースが狭い人は、他人と一緒に行動していても、自分の快適なスペースを確保することが得意なため、集団行動を苦手としません。性格も外向的で、ものごとのポジティブな面に着目しつつ、客観的な視点で判断できるでしょう。

外へ外へと意識が向きやすいため、多様な友人が多いという特徴もあります。他人の行動に対して鈍感な面があるため、細やかな気遣いは苦手とされているでしょう。

パーソナルスペースが広い人・狭い人との接し方

ここでは、パーソナルスペースが広い人・狭い人と接する際のそれぞれの注意点を紹介します。

パーソナルスペースが広い人との接する際の注意点

パーソナルスペースが広い人は、他人との距離を保つことを好む傾向があります。そのため、彼らと接する際には適切な距離を保つようにしましょう。

密接な接触や身体的な侵入は避け、相手の快適さを尊重しましょう。また、 パーソナルスペースが広い人は、自己の領域を重視する傾向があります。彼らが身体的な接触を避けたり、距離を取ったりする場合があります。相手のサインを読み取り、必要な距離や接触の度合いを調整しましょう。

パーソナルスペースが広い人は、直接的な表現や感情の表出を避ける傾向があることがあります。彼らとのコミュニケーションでは、穏やかで非侵襲的なスタイルを心掛け、相手のプライバシーと個人的な空間を尊重しましょう。

パーソナルスペースが狭い人と接する際の注意点

パーソナルスペースが狭い人は、他人との距離を近く感じることを好む傾向があります。彼らと接する際には、距離を縮めて身近に接することで、より親密な関係を築くことができます。

また、パーソナルスペースが狭い人は、身体的な接触や身振り手振りを多く使用する傾向があります。彼らとのコミュニケーションでは、オープンなボディランゲージを用いて相手に対してアクティブな関与を示しましょう。

パーソナルスペースが狭い人は、頻繁なコミュニケーションを好む傾向があります。彼らとの関係では、より頻繁なコミュニケーションや接触を行い、相手のニーズに合わせることが重要です。

ただし、 パーソナルスペースが狭い人でも、プライバシーを尊重する必要があります。彼らが一人の時間や個人的な空間を必要とする場合は、それを尊重しましょう。適度な距離を保ちつつ、相手のプライバシーを尊重することが大切です。

ビジネスにおいてパーソナルスペースについて注意したい点

ビジネスにおいてもパーソナルスペースの考え方を活用することは重要です。ここでは、特に注意したい点について解説します。

デスクの配置

毎日長時間仕事をするデスクの配置は、パーソナルスペースを意識することが大切です。各デスク間の距離を120~360cm確保した状態の方が、個々が仕事へ注力するのに適切でしょう。

ただ、オフィスの空間的制限で、どうしてもパーソナルスペースに侵入しかねない配置になってしまう場合は、仕切りなどを活用し目線が合いにくい構造にするなど、意識的に空間をデザインするとよいでしょう。

対話時の距離

ビジネスでは、同僚・取引先など人とのコミュニケーションが欠かせません。日々対面で会話が必要となる中で、相手のパーソナルスペースを侵害しないよう意識することはとても重要です。

一旦相手のパーソナルスペースを侵害してしまい、安心感を欠いてしまうとビジネス上でのコミュニケーションに弊害が出ることは避けられません。信頼関係の回復をはかるのにも時間を要するでしょう。

飲み会の席などは、相手との距離感を間違ってしまうケースが多いので、特に注意が必要です。飲み過ぎて相手が不快に思うような距離感で会話をしたり、ボディタッチをしたりしないようにしましょう。

職場でパーソナルスペース保つオフィスレイアウトの方法

職場でパーソナルスペースを保ちつつ生産性を向上させるために、工夫したいオフィスレイアウトの3つのコツを説明します。

プライバシーゾーンの確保

オフィス内には、個々のプライバシーゾーンを設定することが効果的です。これは、デスクや作業スペースを他の人と適切な距離を置くことや、パーティションや仕切りを使用することで実現できます。

各従業員に個別のスペースを提供することで、プライバシーを保ちながら集中力と生産性を向上させることができます。

コミュニケーションエリアの設置

パーソナルスペースを保ちつつも、チームメンバー間のコミュニケーションを促進するために、専用のエリアを設置することも重要です。

共有デスクやミーティングスペース、プロジェクトボードなどを活用し、チームメンバー同士が集まってアイデアの共有や意見交換を行える環境を整えましょう。

静かな作業スペースの確保

一方で、集中作業や静かな環境を求める従業員のために、静かな作業スペースを確保することも重要です。静音ブースやサイレントエリアを設けることで、個人が集中して仕事に取り組める環境を提供します。これにより、雑音や他の人の干渉を最小限に抑え、生産性を高めることができるでしょう。

これらのオフィスレイアウトを組み合わせて活用することで、職場内でパーソナルスペースを保ちつつ、チームワークや効果的なコミュニケーションを促進するバランスの取れた環境を実現できます。従業員のニーズや業務の特性に合わせてオフィスレイアウトを検討し、働きやすい環境を整えましょう。

パーソナルスペースを保って円滑なコミュニケーションを図ろう

パーソナルスペースを保つことは、相手に不快感や嫌悪感を抱かせないために必要不可欠です。相手との関係性を意識しながら、適切な距離感を保ち、お互いに友好な関係性を築きましょう。

ビジネスにおいても、パーソナルスペースについての知見を活用しながら、上手くコミュニケーションを図ることが大切です。

ビジネス全般に関連したおすすめセミナーのご案内

あなたにおすすめのお役立ち資料を無料ダウンロード

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

【無料ebookプレゼント】これであなたも3割アップ!給料を上げる思考のクセ

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

【無料eBookプレゼント】失敗しない会社選び7つのポイント

ビジネス全般の課題を解決するサービス紹介

あしたのチームのサービス

導入企業4,000社の実績と12年間の運用ノウハウを活かし、他社には真似のできないあらゆる業種の人事評価制度運用における課題にお応えします。


人事評価制度の構築・運用支援、クラウド化。 これらをワンストップで提供することにより、企業の成長と従業員の育成を可能に。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

サービスガイド


あなたの会社の人事評価制度は運用しにくい制度かもしれません。人事評価制度を適切に運用するノウハウと、その理由をお教えます。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

あした式人事評価シート