どのようなビジネスであっても必ず必要とされる報告書。
報告書をどのように書くかによって、ビジネスが上手く進むかどうかにも影響をおよぼします。
本記事では、報告書の書き方や上手く書くポイント、報告書が必要とされるシーン、ケースごとの例文などを紹介します。
報告書とは
報告書とは、ある事柄について報告する内容を記した文書のことです。
報告書は出張、プロジェクトの進捗状況、研修などの報告のために使用されます。一般的には、報告書は自分よりも上の役職の人に向けて報告をすることを目的に書かれるでしょう。
他にも、トラブルなどでお客様に迷惑をかけてしまった場合やお客様と共同で進めるプロジェクトなどの場合に、調査の報告や謝罪の意味で報告書を提出することもあるでしょう。
報告書の目的によって、要点のみを報告する場合と、要点と併せて詳細に内容を報告するなど記載する内容の量に違いがでます。
報告書の目的
報告書の主な目的は、情報の共有です。仕事はひとりで完結することはなく、部署内または部署をまたいで連携しながら進んでいきます。出張や営業、プロジェクトの進捗など報告内容から、報告を受けた側は自身の仕事にその情報を生かすことになるでしょう。
例えば、各担当先から営業先への出張報告を受け取った上司は、それを集約して進捗のよくない営業先の把握、営業戦略の立案、上層部への営業報告などの材料とします。
また、報告書により社員の仕事ぶりを把握することで、社員の人事評価に役立てることも目的と言えるでしょう。研修の報告書は、どのような内容を習得できているのか社員のスキルを把握することにもつながります。
報告書のテンプレート
ここでは、一般的な報告書のテンプレートを紹介します。
令和〇〇年〇月〇日
○○部長
○○ 〇〇殿
営業〇〇課
○○ ○○
○○出張の件
表題の件について、下記の通り報告します。
- 出張者
- 日時
- 訪問先
- 面談者
- 訪問目的
- 内容
- 今後の予定
- 所感
まず、報告書の作成日を記載した後、報告書の左側に宛名、右側に自分の名前を記載します。他社への報告書の場合は、企業名・部署・役職・名前を記載するようにしましょう。表題の後、改めて出張者の名称(同行者がいる場合、メンバーの全員の名前)、出張日時、訪問先、面談相手の名前を記述。
その後に、出張の目的を明確にした上で、面談内容の事実を記載。今後の予定と自分の所感についてと続きます。
報告書の書き方
ここではもう少し具体的に、報告書の基本的な書き方を紹介します。
報告書の形式を選択
まずは報告書の形式を決定します。選定の際に、特に意識したいのが「誰に向けての報告書か」という点です。取締役や取締役社長レベルの上層部であれば、詳細の内容ではなく経営で必要な目線で、一目で理解できる報告書が求められます。基本的に要旨200字程度で内容が伝わるようにしましょう。
一方上司に提出する場合、1枚~2枚程度の場合が多いでしょう。顧客への報告書の場合は、謝罪+写真などを貼付した詳細な状況説明を必要とする場合が多いので、要旨で一旦概要を説明してから複数枚記載します。ただ、報告書の目的や提出先の必要とする情報量によって量は変わるので、上司などにあらかじめ確認をとってから形式を決定するとよいでしょう。
表題
次に、表題を決定します。報告書を一目でわかりやすくするために、表題をどのように書くかは重要です。例えば、NGの例では「顧客クレームの件」など抽象的過ぎる場合が挙げられます。
表題ですので、冗長すぎるとよくないのですが、必要な要素を入れつつシンプルにわかりやすく記載しましょう。OKの例では「○○商品の不良品クレームの件について」などです。意識的に取り組んでみてください。
面談内容
次に面談内容を記載します。面談内容は時系列で報告する場合や、結論から先に述べてから詳細を記載する場合、または要点を箇条形式にして報告する場合など考え方によってさまざまな書き方があるでしょう。面談内容を記載する際にありがちなのが、面談内容は「事実」のみを記載するのではなく、所感や自分の意見を書いてしまう場合です。
わかりにくくなり、さらに読み手の共通した理解を導きにくくなるため、面談な内容は事実のみを書くように気を付けましょう。
今後の予定・所感
今後の予定や所感についても記載しておくと、目的から今後の展望までがよくわかりよいでしょう。客観的な内容を記載する「面談内容」の項目では記載しなかった、主観的な部分を記載します。出張者本人がどのように目的意識をもって、どのような仕事に今後つなげていくのか意欲や仕事の達成度を示す意味でも有用な項目でしょう。
報告書を上手に書くポイント
それでは、報告書は上手に書くにはどうすればいいのでしょうか。ここでは報告書を上手に書くポイントをいくつか紹介します。
5W2Hの要素を意識する
5W2Hとは、情報を整理して分類し、論理的な構成になるように集約するためのフレームワークです。「W」から始まる5つの英単語と、「H」から始まる2つの英単語の頭文字と、その数をとって「5W2H」と略した言葉で呼ばれています。
5W2Hは、以下の7つの要素から構成されているフレームワークで、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)、How much(どのくらい)の意味です。
これらの要素がもれなく報告書に含まれているか意識します。プロジェクトの報告など場合によってHow muchも要素として入れましょう。
「ですます調」「である調」を混同しない
報告書を作成する場合に、「ですます調」「である調」を混同しないように注意しましょう。語尾をどちらかに統一していないことで、読み手の注意がそらされてしまいます。
せっかく内容がよい報告書にも関わらず、読み手が書式にうるさい場合、そちらの点で注意を受けるでしょう。社内ならまだよいのですが、顧客に提出する報告書の場合は心証がよくないため、上司にもしっかりと確認してもらい、できる限り間違いのない報告書を作成するようにしましょう。
数字をなるべく記載する
報告書にはなるべく具体的な数字を記載するのもポイントです。数値がわかっている箇所の記載が抜けているとぼんやりとした印象で、説得力のかけた報告書になりやすいです。
例えば、価格、数量、時期などがよく必要になる数値でしょう。
どういった数値の記載を記載した方が効果的か、読み手目線で考え客観的な目線で考えます。
報告書の提出期限を意識する
報告書を書く際には、報告書の提出期限を意識して書くようにしましょう。報告書は基本的には早ければ早いに越したことはありません。出張や研修など直近の新鮮な情報を記載した方が、書きやすかったり伝わりやすかったりすることの他、早い報告の方が、そのビジネスに関わる人達が報告書の内容を基に自分の仕事を行えるからです。数日以内に提出することが望ましいでしょう。
しかし、複数枚に及ぶ場合は、他の仕事もあるため時間がかかってしまう場合もあります。そういった事態が想定される場合は、事前に〆切を確認してから、スケジューリングして書くようにしましょう。
参考:上司が”唸る”報告書の書き方|5つの具体的なテクニックや文例集など-株式会社インソース
報告書が必要とされるシーン
ここでは、報告書が必要とされるシーンをいくつか紹介します。
出張の報告
報告書が必要とされる代表例としては、出張の報告があります。出張の報告書は特に営業部では頻繁に作成されるでしょう。営業担当者はエリア、商材、新規・既存ごとなどに分けて顧客を担当しているケースが主流です。中規模から大規模の会社では営業ツールなどを保有しているのが一般的になってきており、基本的には営業日報などによって報告することになるでしょう。
ただ、営業日報であっても、報告すべき内容に違いはないので今回の書き方を意識するとよいでしょう。また、長期出張や重要な顧客への出張の場合は、別途報告書を必要とされるケースが多いです。
海外出張の報告
海外出張の報告の場合、長文での報告書になりがちです。海外出張は国内の出張よりも費用的負担が大きいのに加えて、一度出張に出たからには、周辺国も回ってから帰ってくるのが一般的でしょう。そのため、滞在期間も長くなりやすく報告内容も長文になりがちです。
そのため、海外出張での報告書は数日で提出することは難しく、一旦要点を上司などに報告した上で場合によっては期限を設けて報告書を作成します。長文になるため、要旨を設けてから詳細を記載しましょう。
研修の報告
研修を受けた場合にも報告書は欠かせません。研修には社内研修、社外研修などありますがどちらのケースもだいたい必要とされるでしょう。研修の場合は、所感の点が重要となるので、そこを厚めに記載します。
もちろん前提の情報として研修の内容を知ってもらって、そこから何を学んだかを記載する必要があるため、内容には研修内容の要点を記載してください。その上で何を学び何が業務に活かせそうかを所感の項目で記載します。
不良品出荷時の報告
お客様に不良品を出荷してしまった際にも、報告書は必要とされます。不良出荷によるクレームに対しての報告書になるので、スピーディかつより詳細で正確な記載が求められるでしょう。
そして、不良品の場合重要になるのが、不良品を出荷してしまった原因をサプライチェーン上で明らかにすることと、今後の防止対策です。不良品出荷の報告書には、謝罪や状況説明のみならず、再発防止の内容が重要視されます。サプライチェーン上で起きた原因箇所の写真なども使用しながら具体的な説明責任が求められるでしょう。
機械トラブルの報告
機械トラブルの際にも報告書は使用されます。工場などの製造工程で機械トラブルが発生した場合、製造ラインを止めて復旧作業が必要になることもあるでしょう。製造ラインを停止することで、不良品の発生や、製造がストップするためその分の生産予定が狂うことでの機会損失などが発生します。
そのため、如何に早く復旧するかが大切ですが、復旧後は細かな報告が必要とされます。状況説明、不良品の数量・金額、ストップ時間にどれだけの機会損失が発生したか、また、それによる製造スケジュールへの影響などの記載が必須です。
製造スケジュールの遅れが納期遅れにつながってしまう可能性がる場合、顧客への謝罪・リスケジュールの相談などを早急にすすめる必要があるため、取り急ぎでもスピーディな報告が求められます。
プロジェクトの進捗報告
プロジェクトの進行状況の報告にも報告書は使用されます。
例えば、新規にジョイントベンチャーで工場を設立することが決定しているとしましょう。そういった場合、相手企業も巻き込んでの事業展開、かつ大きなお金が動く、大人数が参画すると言った面があるため、より細やかに報告書をあげることが必要です。
また、会社の規模にもよりますが、中規模までの会社だと、事業部門長のみならず取締役や取締役社長まで報告書を提出する場合もありえます。同じ内容だとしても、文字量など粒度の違う報告書を容易する場合もあるかもしれません。
上司の指示に従うだけでなく、自分でも必要と感じる部分があれば積極的に提案し、報告書を作成するとプロジェクトが円滑に進みやすいでしょう。
経営分析の報告
戦略事業部や経営企画室などでは、経営分析の報告書を作成する場合があります。一般的な経営分析の手法としては、経営にインパクトを与えている事象について課題提起をいくつか行い、戦略分析と評価にて評価基準を明確にした上で分析を行います。
戦略分析は外部環境分析(PEST)、内部環境分析(Value Chain & SW)、競合他社分析、内外環境分析(SWOT)を使用するのがスタンダードでしょう。内外の状況を明らかにし、競合他社の状況を整理した上でのその情報を基にSWOT分析を行います。その分析結果を基に、はじめ設定した評価基準に照らし合わせ評価を実施。
その結果から、基本戦略の選択肢を検討し、組織管理、人材、商品開発・販売戦略を立案。五か年計画、製品別売上高内訳、撤退基準の設定など記載し報告します。
報告と提案書を兼ねたようなものなので、通常の報告書に経営分析の手法を加えた内容になるでしょう。
分析結果の報告
分析結果の報告にも報告書を使用します。
R&Dを保有している企業であれば、既存商品のサンプルや新規開発製品の分析結果を報告書で報告してもらう機会があるでしょう。
研究所へは分析する目的を明らかにした上で、分析方法を打ちあわせ、その結果を報告してもらいます。その他、マーケティング部門やデータサイエンティストを保有して分析ツールをつくる、分析を戦略に役立てるなどの会社では、そういった分析結果の報告書が数多く事業に役立てられているでしょう。
報告書の例文
ここでは、実際の報告書の例文をいくつか紹介します。
表題
アンガーマネジメント研修の報告書の件
報告内容
感情の中でも特に怒りの感情に正しく対処することで、組織内のコミュニケーションの改善、生産性の向上を意図するアンガーマネジメントの研修に参加しました。
研修では下記内容を学びました。
- 怒りの本質、怒りとは何なのか
- 怒りのコントロール方法
- アサーティブコミュニケーションで相手に感情を伝える
- 相手のタイプに合わせて伝える
- ケースワーク
所感
初めてアンガーマネジメント研修に参加させて頂き、部下へのしかり方を学びました。管理職への昇進にて、4月から課長職に就くことになり、育成について不安がありましたが、指導へ役立てられそうです。
セミナーの中で特に印象的だったのは、怒りを抑えて相手に伝えるのではなく、自分の怒りを認めて怒り感じることを悪いことだと思わないこと。また、「すべきなのに」という自分の決めつけを把握し、今日範囲を広げるという点です。怒りは抑えて相手に伝えるということが必要と思っていた自分にとっては目からうろこの内容でした。
また、怒りがあることを認めてからのセルフコントロールの方法は実践的で、明日からでも
活用できる内容でした。叱ることと怒ることの違いを認識し、アサーティブという傾聴しながら自己表現を行いコミュニケーションとることを心掛けます。
全体をとおして感じたことは、「まずは気付き把握する」ということ。把握した時点で、自分の中に認めることで反発する方向性ではない変わっていくための意識が生まれ、そして適切に相手に伝えられることで、よりストレスなく効率的に改善を促せると感じました。自分にとって実りの多い研修となりました。
報告書作成の方法やポイントを伝えて人材育成に活かそう
報告書は要点を明確に伝えることをベースに、ケースバイケースで詳細な記載や、必要記載事項に違いがあるでしょう。正確に書くことはもちろんですが、基本的にスピード感が報告書には求められます。
報告書を読んだ人がその内容を把握し、自身の仕事に活かせるよう早めに取り組むようにしましょう。
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