採用や人事評価を行う際、無意識のうちに偏った見方で人材を評価してしまう、いわゆる「バイアス」が生じてしまうことがあります。バイアスが生じると従業員のモチベーション低下や職場のコミュニケーション不全など、さまざまな弊害がもたらされる可能性があるので注意が必要です。
本記事では、バイアスの意味や種類、バイアスによって引き起こされる人事エラーなどについて詳しく解説します。
バイアスとは?
「バイアス(Bias)」とは「先入観」「偏見」「傾向」「偏り」などと訳される言葉です。シチュエーションによっては、「思い込み」などの意味で使われることもあります。
特にビジネスの場面では、仕事上関わる人やモノに対して先入観や偏見を持つようなときに使うことが多いでしょう。バイアスはビジネスシーンだけでなく、心理学や統計学などさまざまな分野でも使われます。
なぜ採用や人事評価でバイアスが起こる?
そもそも人間は経験則に基づいて直感的に意思決定をしやすいとされており、これは「ヒューリスティック」という言葉でも表されます。
採用や人事評価のシーンでバイアスがかかる例として、学歴や性別、経験などが挙げられます。「学歴が高い人は優秀な人材」といった思い込みから、書類審査の際に卒業した学校名を重要視したり、「男性は営業職」「女性は事務職」といった性別で適正を決めつけたりするバイアスもあるでしょう。
バイアスがかかることで従業員のモチベーションの低下、人事評価の公平性の阻害、採用における多様化の阻害などが起きる可能性があります。
認知バイアス4つの種類
「認知バイアス」とは、思い込みや環境などの要因により無意識のうちに非合理的な判断を下してしまう心理現象を指します。様々な認知バイアスがありますが、ここでは中でも代表的な5つを紹介します。
属性バイアス
属性バイアスとは、学歴や出身地、性別などの属性に対して持つ先入観です。例えば、自分と同じ大学や出身地の人材に対し、無意識のうちに好印象を抱いてしまうケースがあります。
確証バイアス
確証バイアスとは、自分に都合の良い情報ばかりを無意識で集め、判断してしまうこと。採用の際に好印象を抱いた人材の強みのみに注目し、弱点となる情報から目を逸らしてしまうことなども一例です。
ハロー効果
ハロー効果とは、目立ちやすい一部の特徴に引きずられ、ほかの評価が正しく行えなくなる心理的効果です。ハロー効果には、ある部分が優れていると感じたら他への評価も高めてしまう「ポジティブ・ハロー効果」と、ある部分への評価の低さを感じたら他への評価も低めてしまう「ネガティブ・ハロー効果」の2つがあります。
アンカリング効果
アンカリング効果とは、最初の印象的な情報が基準となり、その後の意思決定に影響が出る傾向のことです。「アンカー=(船の)いかり」という意味で、船がいかりを下ろしたように身動きが取れにくい状態を指しています。
バイアスによって引き起こされる人事エラー
バイアスによって引き起こされる人事エラーには一定のパターンがあるため、それらを知っておくと意識的に回避できるようになるでしょう。ここでは、起こりやすい4つの人事が陥りやすいエラーについて解説します。
中心化傾向
中心化傾向とは、評価の際に真ん中の評価をつけやすい傾向です。例えば5段階評価の「3」が多くなるなどが該当します。このように無難な評価をすることで、適切な評価が行われない状況に陥ることがあります。
寛大化傾向
寛大化傾向とは、実態よりも良い評価をするなど評価が甘くなるエラーを指します。部下がかわいいあまりに有利な評価をする、嫌われたくないので厳しい評価ができないなどが一例です。
逆算化傾向
逆算化傾向とは、先に結論となる評価を決定し、その評価へのつじつまが合うように各項目の評価を調整するエラーです。例えば、昇格させることを先に決め、その要件に合うよう評価を高く設定するなども該当します。
本来は各項目の評価を積み上げたうえで最終評価を出すべきなので、実態が伴わず、評価自体の意味がなくなってしまう可能性があります。
対比誤差
対比誤差とは、評価者自身と被評価者を比べて評価してしまうエラーです。原則として、評価は会社の基準に則り行われるべきですが、評価の物差しが「自分と比べてどうか」となっているため正しい評価ができません。
例えば、評価者にとって簡単にできることができない部下に対して低く評価するといった事象が該当します。
バイアスによる人事におけるデメリット
ここでは、人事におけるバイアスによるデメリットについて見ていきましょう。
不公平な人事評価につながる
思い込みや先入観を持って評価すると、不公平な人事評価につながります。例えば、体育会系出身の人材に対して「打たれ強い」といったイメージを持つこともあるでしょう。
しかし、実態はそうではなくギャップを感じてしまうと、必要以上に評価を下げてしまう危険性があります。
人材の配置に悪影響を及ぼす
評価にバイアスが生じると人材判断の視野を狭め、従業員に対して成長する機会を与えられない可能性が出てきます。
先入観により、本当は別の能力があるのにそれに気づかず、新たな可能性をつぶしてしまうことも。職場を活性化させるためにも、時にはチャレンジさせる人事異動も必要です。
採用に失敗しやすくなる
偏った見方で人材を評価してしまうと採用に失敗しやすくなります。求職者本人の能力や適性を正しく評価せず「〇〇大学出身だから我が社に合うだろう」などを理由に人材を採用すると、入社後のミスマッチにつながりやすくなります。
このような採用方法では優れた人材を見逃してしまい、組織の多様性を阻害してしまう危険性もあります。
バイアスをかけない人事評価を心掛けよう
バイアスは無意識のうちに生じてしまいやすいため、コントロールするのは難しいもの。しかし、採用における多様性や企業の発展のためにも、バイアスをかけない人事評価を意識することが重要です。
業務プロセスの明確化や業務マニュアルの整備などを実施する、採用面接に第三者を介入させるなど、意思決定にバイアスが生じにくい環境をつくるなどもおすすめです。
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