中小企業が「人事評価制度」を構築するには、どのような方法がベストでしょうか。まずは、人事評価の目的をしっかり押さえる必要があります。
最新の考え方では、会社の方針や目標を社員と共有し、従業員のエンゲージメントを高め、一定期間の行動や成果から公平に評価。得られたデータをもとに適切にフィードバックし、次の人材育成や目標設定につなげます。これらが、企業の生産性向上や業績をアップさせると考えられています。
結果について社員が納得でき、結果を昇給や昇進に反映させるには、客観的な評価が好ましいとされています。具体的に考えてみましょう。
なぜ人事評価制度を導入するのが重要?
「人事評価制度」には、中小企業の経営理念やビジョン、事業計画などを的確に踏まえ、どんな人材をどのように活用をするのかを明確にすることが大切です。重要なことは、なぜ人事評価制度を導入するのかです。
・適切な目標設定
それには、適切な目標設定が欠かせません。評価制度の方針や目的が明確なら、構築すべき方向性はぶれません。中小企業ではまず、初めは経営陣や社員にも分かりやすく、シンプルな制度を構築し、次第に改良や改善を重ねて、企業に合った評価制度にブラッシュアップすると良いでしょう。
・中間面談
その上で、早い段階で上司と部下が目標達成に向けた軌道修正を行う中間面談が有効で、前向きなコミュニケーションは生産性を向上させます。
人事評価制度を形骸化させない構築へ
いくら素晴らしい「人事評価制度」を導入しても、適切な内容を設定し、運用できないと効果は減少します。下記の内容だけでなく、導入した後の運用や追加、修正など実態に即した見直しも欠かせません。
・業績の向上
人材育成面では、半期評価では目標を意識して行動を改善するには長すぎるので、四半期が適切です。
・社員の査定(給与改定)期間は半期
給与の改定は年2回のほうが、若手で優秀な人材の採用力が向上し、離職率の低下に繋がります。
・コンピテンシーと成果目標項目で評価
行動目標は多すぎると意識できずに終わってしまうため、 項目数は絞り込み、優先度の高いものから取り組むべきです。中心化傾向を防ぐため、行動目標は4段階評価が適切です。
コンピテンシーは、仕事ができる人の行動特性のことで、評価項目は、職種や役職ごとに別々のものを設定するのが望ましいと言えます。
運用がスムーズなら人材育成や企業業績のアップも期待できるので、人事評価制度は継続的に運用することが大切です。会社の実態と評価制度が一致していないまま適切に活用せず、見直しを長期間放置し続けるのは宝の持ち腐れなのです。
完璧主義は最初からあり得ず、完全に公平な制度を構築することは難しいことです。会社の方向性や評価結果、課題などをきちんとフィードバックできるシステムを構築し、継続的に制度の見直しを行うべきです。これが社員の信頼性を高めることに繋がり、より良い運用のために形骸化を防ぐことになります。
人事評価は社員のエンゲージメントを高めるため
「人事評価制度」の導入に際して、経営者なら効果的な制度にしたいと考えるが通常です。労働政策研究・研修機構によると、「従業員の意識と人材マネジメントの課題に関する調査」で、働く意欲を高める施策(企業調査)のトップには「社員の納得性を確保した評価制度」(60.4%)が挙げられました。適切な人事評価の導入、運用は社員のエンゲージメントを高めるものと言えます。
従業員調査による「仕事に対する意欲が低くなっている理由」では、トップは「賃金が低いから」(46.8%)でした。企業の業績次第ですが、社員のエンゲージメントを高めるには、適切な人事評価に基づき、評価結果から昇給や昇進の意味、内容を的確にフィードバックすることが欠かせません。
頑張っている社員と、そうでない社員も一律に賃金を上げる「平等という名の不平等」では、社員は納得できません。人事評価を報酬に連動させ、各等級で評価ランクが最上位になった場合には基本給を大幅アップさせることが不可欠。逆に、マイナス査定も取り入れることがポイントです。
企業のビジョンや目標を透明性を持って共有し、どういう行動や成果が評価されるのかなどを、次へのステップとして設定。良い評価に向けて社員が頑張れるシステムを構築し、人材を育成することが必要です。
社員が成長し、会社が発展する人事評価制度の構築へ
今や世界的な技術を誇り、優秀な社員がいる中小企業も日本には少なくありません。組織を強化すれば、大手企業に負けない業績も可能なはず。経営側と社員が会社のビジョンや目標を共有し、同じベクトルで努力すれば、生産性は向上するものです。
適切な人事評価制度を構築し運用することで、多くの人材を成長させ、強い会社組織に発展すれば、業績のアップは実現します。公平で社員が納得できる評価基準や項目をオープンにすることで、社員一人ひとりの行動や成果を促すことを忘れてはいけません。
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