『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』を現役人事コンサルタントが勝手に解説！

4月14日から日本テレビ系で放送が始まった新ドラマ『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』で女優の菜々緒さんが演じる主人公の椿眞子の職業は「人事コンサルタント」。あまり馴染みのないお仕事でよくわからないので…、現役の人事コンサルタントである、あしたのチーム　田尾豊さんにドラマの感想を聞いてみました！

－こんにちは！ドラマ『Missデビル』の第1回放送を見て、菜々緒さんの演じる人事コンサルタントは結構パンチの効いているお仕事でしたが、実際のところはどうなのかと思って聞きに来ました！

田尾：私たちは指し棒を振り回したりしませんよ（笑）確かに、これまでドラマや映画で「人事コンサルタント」が題材になったことはなかったので、今回のドラマで初めて「そんな仕事があるんだ」と思う人もいるかもしれませんね。

―いろんな仕事がある中で今回なぜ「人事コンサルタント」だったんでしょうか？

田尾：2016年から「働き方改革」が国家の重要課題になり、企業にとっては経営の合言葉のようになって、人事が今までになく注目を帯びているこの時代だからこそ、ドラマのテーマにも挙げられるようになったのかもしれないですね。

―初回放送は新人研修がメインのお話でしたが、あれってブラック研修じゃないんですか？

田尾：働き方改革関連の番組で「ブラック研修」が取り上げられることもあるので、それを連想した方も多かったかもしれないですね。ただ僕はその前に、舞台となった企業の設定に注目して欲しいですね。

―保険会社ですよね？

田尾：そう、「日本で最も伝統のある保険会社」。そこに「アメリカでの一流コンサルタント会社」での経験を持つ人事コンサルタントの椿眞子が「劇薬」として投下される。これはまさに、日本の雇用環境に起こっている変化を表現しているようにも取ることができませんか？

―すみません、少しわかりやすく…

田尾：かつての日本は終身雇用、そして年功序列が常識。でも、今は転職も当たり前だし、年齢も関係なく優秀な人は若くしてポジションを得ることのできる時代。このドラマの舞台が今どきのイケイケなベンチャー企業じゃなくて「日本で最も伝統のある保険会社」だったのは、旧態依然とした終身雇用、年功序列で、同期入社の社員を同じように育成しあまり差をつけることもしなかった…そんな会社にも劇薬を投下しないと、日本は世界でも生き残っていけなくなるよ、と。そんなメッセージなんじゃないかなと考えながら見ていました。

―なるほど。

田尾：あと気になったのは、人事部長の「会長が作った温かい家族のような～」というセリフ。「会社は家族だ」という経営者もいますが、そういう企業こそブラック企業だったりします。家族だというのなら万一のことがあったとき遺産相続までするんですか、と聞きたいですね。

―なかなか厳しいこと言いますね。

田尾：「家族だから」という言葉で社員を縛るのはフェアじゃない。そういう考え方がベースにあると、例えば無制限な働き方をさせてしまうもとにもなります。無制限な働き方というのは、長時間労働もそうですし、辞令一つで全国どこにでも行かなければならないなど。会社と社員は、仕事という共通の目標をともに成し遂げるための対等なパートナーであるべき。…と、熱くなりすぎてしまったので、今回はこのくらいで。

―現役の人事コンサルタントの方はこんなことを考えながら見ていたんですね。

田尾：まだ初回なのでこれからの展開はわかりませんが、この時代を反映したメッセージが込められたドラマになっているんじゃないかと期待してます。次回も楽しみですね。

株式会社あしたのチーム
執行役員 CHO（最高人事責任者）田尾　豊

慶應義塾大学経済学部卒業後、経営コンサルティングファームにて経営戦略立案、組織・人事戦略立案、業務プロセス改革などのプロジェクトを経験。 2014年、株式会社あしたのチームに参画。本社経営企画部を経て、海外事業部を設立。 2015年台湾法人「明日之團股份有限公司」の董事兼総経理として立上げ業務に従事し、2017年1月からは、シンガポール法人「Tomorrow‘s Team Singapore Pte. Ltd」のManaging Director＆CEOに就任。同時に、海外事業部長として台湾・シンガポール・上海の海外全拠点を統括。2018年4月から執行役員 CHO（最高人事責任者）としてグループ全体の人的資源を統括する立場から経営戦略の立案に携わる。

■放送情報
『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』
日本テレビ系列にて、毎週土曜22:00〜放送
出演：菜々緒、佐藤勝利（Sexy Zone）、木村佳乃、
和田正人、鶴見辰吾、船越英一郎、西田敏行ほか
脚本：山浦雅大、藤平久子
チーフプロデューサー：福士睦
プロデューサー：森雅弘、本多繁勝（AXON）
演出：佐久間紀佳、小室直子ほか
制作著作：日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト：http://www.ntv.co.jp/missdevil/