人材管理を効果的に行う際、目的に沿った人材管理ツール(システム)が効果を発揮します。
本記事では、そもそも人材管理とは何を指すのかという基本から、人事担当者として人事管理ツールの導入を検討するなら知っておきたい、人事管理ツールの概要と導入のメリット・デメリットをまとめてみました。
人材管理とは?
人材管理とは、企業が限られた人的資源を効率的に活用するためのものです。少子高齢化による労働人口の不足や、新型コロナウイルス感染症の影響により、持続可能な経営活動には、効果的な人材管理が欠かせません。
「管理」という言葉から、人事部による統制的なイメージを持たれる方もいるかもしれません。しかし、「人材管理」にはルールを用いた全体統制とは異なり、人と事業の両方に取り組むというニュアンスが含まれています。
具体的には、取り組みにより従業員のモチベーションやコミットメントを向上させること。そして、経営戦略に沿って人的資源を活用すること。この2点によって、組織の成果の最大化を目指すのが、人材管理の狙いです。
企業にとって効率的な管理ではなく、人材目線で、いかに職場を整えれば組織の成長につながるかを考えるのが、人材管理といえます。
人材管理を実施するメリットとは?
企業が人材管理に取り組むことは、社員のモチベーション向上や企業の組織力向上といったメリットがあります。以下に、それぞれについて解説します。
社員のモチベーション維持に役立つ
人材管理では、従業員の成果を公平に評価したり、従業員のスキルアップにつながる教育機会を提供したりします。こうした取り組みを通じて、従業員は「会社に大切にされている」という実感を得ることができます。また、適切な人材管理は組織の期待を明確に伝え、従業員の行動に落とし込むことをサポートします。それにより、仕事へのモチベーションが高まります。
企業の組織力が上がる
人材管理は、採用・育成・評価・配属と、人材に関わる広範囲の取り組みが含まれます。そうした一連の施策を通じて、企業イメージの向上や人材育成のノウハウ化を図ると共に、従業員が持っているスキルを適切な業務で発揮し、さらに仕事を通じてキャリアを育成する土台を育むことができます。
人材管理に熱心に取り組む企業では、人を育て定着を促すだけの組織力が向上します。
人材の発掘や育成がしやすくなる
これまで人材の配属は人事部が主導で行うことが一般的でした。現場の管理職の評価を基に、人事部が配属を決定する場合でも、従業員と直に接する現場と、教育研修や配属制度をデザインする人事部との間にギャップがある場合には、双方の主張が衝突し、結果として人材活用が上手くいかないケースも見受けられました。
人材管理の特徴の一つに、企業全体として従業員ごとの適性・能力の把握することがあります。それぞれの従業員が持つスキルやキャリアへの要望をまとめ、可視化させることで、より柔軟で適切な配属が可能になります。
【3】人材管理を構成する要素
では、人材管理とは具体的にどのような取り組みを指すのでしょうか。ここでは、人材管理の主要な要素となる5つのポイントについて説明します。
【3-1】採用
採用とは、従業員が企業と一番初めに接するフェーズです。企業によって「優秀」とされる人物像は異なります。一般的に優秀な成果をあげた人材であっても、自社の経営理念への共感が乏しかったり、社風とミスマッチが発生していたり、企業が求める能力と本人のスキルにギャップがあったりするようであれば、採用は上手くいきません。採用できたとしても人材の定着が難しく、組織力強化につながらないのです。
人材管理では、このような採用の課題を解決するため、自社の求める人物像の明確化を図ります。それにより、採用の各フェーズで採用戦略を浸透させることができ、求める人材の獲得につながります。
【3-2】育成
人材の育成は、経営戦略に密接に関連しています。これからの時代、ただ単純に「キャリアアップ」「昇給」という観点だけで人材を育成するのは不十分です。多様な働き方が浸透してきた昨今では、働く人の価値観もより多様なものになっています。
ダイバーシティ&インクルージョンや、女性の雇用促進、柔軟な働き方といったワードに代表されるように、これまでにはなかった新しい制度や勤務体系、雇用形態が誕生しています。従業員の要望を把握し、明確な方針を打ち立てたうえでの人材育成が求められます。
【3-3】配置
配置は、多様な働き方を実現し、誰もが活き活きと働ける職場を作るために重要な要素です。適材適所の配属と異動に加え、組織として人材を効果的に配置し、成果を最大限させられるよう取り組む必要があります。
【3-4】評価
適切で公正な評価制度は、人材の定着と育成の肝となります。せっかくの努力や成果が評価されなければ、従業員のモチベーションは低下してしまいます。また、評価は会社からの期待を伝える場にもなります。自社に適した評価制度に作り変えることで、より人材の活躍が見込めます。
【3-5】報酬
評価と連動して整備する必要があるのが報酬です。金銭的報酬から、福利厚生などの非金銭的報酬が含まれます。日頃から人材管理の取り組みを通じ、従業員が仕事に求める価値観や、職場への期待を把握することで、より適切な報酬体系をデザインすることができます。
人材管理を効率的に行うためのポイント
自社の人材管理をより機能させるためのポイントを以下に紹介します。
課題を明確にする
自社が抱えている課題を明確にしましょう。「良い人材が集まらない」「離職率が高い」など、はじめに浮かび上がる課題は抽象的で大枠なものになる傾向にあります。その課題の本質はどこにあるのかを客観的に分析することも重要です。
人材管理のどの要素がボトルネックとなっているのか。その課題を解決した結果、経営戦略に沿った効果が得られるのか、現場の意見を取り入れつつ検討します。自社の課題を的確に把握できれば、効果的な対策を講じることができます。
フィードバックを行う
人材管理の取り組みを機能させるため、重要になるのが「フィードバック」です。このフィードバックには、会社として取り組んだ施策への振り返りと、従業員の日頃の業務に対するフィードバックの両方を含みます。
施策がどれくらいの効果があったのか、振り返り分析することで改善点を見つけ、次のアクションにつなげることができます。また、施策の意味を客観的に評価できるため、人材管理を主導する管理職や人事部なども、自身の取り組みに意義を感じることができるでしょう。
一方、従業員へのフィードバックはモチベーション向上につながります。
目的に合ったツールを活用する
採用、配属、報酬など、人材管理の各要素で効果的な取り組みを行うため、目的に合ったツールが効果を発揮します。
たとえば、ATS(Applicant Tracking System)と呼ばれる採用管理システムは、複数の職種の採用を同時並行で進めるなかで、自社にマッチする人材を見落とさずに効率的な採用を手助けします。他にも、タレントマネジメントシステムや評価に特化したシステムなど、人材管理で役立つさまざまなシステムがあります。
もちろん、事業規模や課題の内容によっては、システムを使わずに取り組める施策もあります。そのため、人材管理=システムが必須というわけではありません。しかしシステムを導入することで画期的な効果をもたらすケースもあるため、各課題に対するシステムの活用方法などの情報収集をした上で、施策を検討することをおすすめします。
人事管理ツールとは ?
人事管理ツールとは、人事担当部門が受け持つ採用・人材開発・配置・モチベーション管理・評価や各種情報などを効率良く管理できるツールのことです。従来の給与や勤怠、評価などのための「通常業務システム」に加えて、教育面や配置に使える「戦略人事システム」を持つツールが増えています。まずは人事管理ツールの導入で得られるメリットとデメリットを把握しておきましょう。
人事管理ツールのメリット
人事管理ツールは、人事担当部署が担う給与・勤怠・評価を効率的に管理できるほか、企業内の人材の情報をわかりやすく反映・蓄積して管理職らと共有することで、社内人材のスキルや能力を把握し、企業の戦略に合わせた最適な人材の発掘、配置、管理職への人選などにも活用できます。
また、評価においてもデータを人事部門だけで管理せずに、必要に応じて各部署の責任者にも共有することで、さまざまな立場からの幅広い評価ができるようになります。多角的な評価が得られる環境によって各人のポテンシャルを最大限に活かすことができるようになり、社員のモチベーションアップにもつながります。
さらに、人材育成の機能が充実してきており、メッセージ機能でeラーニングの課題を送受信するなど、社内人材の育成が容易に行えるようになってきました。受講者が自分に合ったプログラムを選んで学ぶこともできます。
人事管理ツールには、クラウド型とオンプレミス型があり、それぞれメリットが異なります。
クラウド型人材管理システムのメリット
クラウド型システムは、オンライン環境があれば時間や場所を選ばず利用できます。サーバーの運用はベンダーに一任するので手間がかかりません。導入・運用のコストが抑えられるのが最大の魅力です。
オンプレミス型人材管理システムのメリット
オンプレミス型は自社にサーバー環境を構築するため、自由にカスタマイズできます。セキュリティーに関しても、自社のポリシーに合わせられます。
人事管理ツールのデメリット
人事管理ツール導入の最大のデメリットは、導入自体の難しさです。要件定義や人材情報の一元化、システム間の連携など、クリアすべきポイントが多いためです。人事で扱う情報は秘密保持や情報漏洩に細心の注意が必要な情報なので、データ利用者の意識を高める必要もあります。
クラウド型、オンプレミス型それぞれのデメリットも確認しておきましょう。
クラウド型のデメリット
クラウド型人事管理ツールはオンライン環境があれば利用できますが、裏を返せばオフラインでは使用できないことがデメリットです。
また、データを社外に保管することになるので、セキュリティー上の不安もあります。ただ、最近のデータ管理センターはさまざまなリスクに対して堅牢であり、自社サーバーよりも安全であることも多いです。
オンプレミス型人材管理システムのデメリット
オンプレミス型は、導入にあたってサーバーの購入や構築に相当な費用がかかります。また、導入後も担当者が運用することになるため、人件費や電気代、トラブル対応などの運用コストもかかります。
人事管理ツールの選び方と注意点
人事管理ツールには多くのメリットがありますが、自社に最適なツールを選択しないと、デメリットに悩まされることになりかねません。一度導入してしまうと変更が難しいので、人事管理ツール導入の成否は、最適なツールの選択ができるかどうかで決まる、と言えるでしょう。
導入にあたっては、まず導入する目的をはっきりさせておくことです。給与・勤怠業務を効率化できればいいのか、人材教育や配置にも活用したいのか明確にしましょう。無料体験などを利用して使い勝手を試すのもいいでしょう。長く使うことになるものなので、サポート体制が整っているかも確認しておきましょう。
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