「コンプライアンス」の意味、あなたは説明できますか?

(写真=docstockmedia/Shutterstock.com)

近年よく耳にするようになった「コンプライアンス」。実は労働関係のコンプライアンスは働く人全てに関わるものなのです。ここではコンプライアンスの全体像について簡単に解説していきます。

「コンプライアンス 」が何を意味しているか

はじめに、コンプライアンスという言葉の意味と、なぜコンプライアンスを守る必要があるのかについておさらいしましょう。

言葉としての意味

コンプライアンスという言葉は、広辞苑では「社会規範・企業倫理を守ること。法令遵守。」と定義されています。逆に言えば、業務遂行上、関連する法令違反やグレーとされる行為、信頼を損なう行為をしないことを意味します。

コンプライアンスを守る意味

コンプライアンスの本質は「社会的要請」を正確に把握して、対応していくことを意味します。したがってコンプライアンスとは、法令遵守さえすればいいという訳ではありません。

コンプライアンス違反により、これまで培ってきた信用や信頼が崩れ去ってしまう可能性もあります。コンプライアンスを守ることは企業の重要な課題なのです。

従業員の募集・採用関係のコンプライアンス

ここからはコンプライアンスをより具体的にみていきます。はじめに、企業が従業員を募集し、採用するにあたってのコンプライアンスと、その目的について簡単に述べていきます。

適正な採用、トラブル防止、健康への配慮

労働関係のコンプライアンスの例を挙げると、募集・採用における年齢制限や男女差別の禁止、採用時に賃金・労働時間その他の労働条件を書面などで明示すること、雇入時の健康診断や安全衛生教育などがあります。いずれも公正な労使関係を守るために必要なものといえます。

保険によるセーフティネット構築

労働者(パート、アルバイトを含む)を一人でも雇っている事業主に対しては、労働保険(労災保険と雇用保険の総称)への加入が義務付けられています(農林水産の事業の一部を除く)。

労災保険の特別加入制度、雇用保険に関する手続きなどとあわせて、労働者の雇用や生活を守るためのセーフティネットとして定められています。

就労時のコンプライアンス

従業員が企業で働くにあたってのコンプライアンスについて述べていきます。いずれも労働者の権利や企業の社会的信用に関わってくるものです。

適切な労働条件のために

労働時間、休憩、休暇、賃金などの労働条件は、労働者にとってもっとも身近で切実な問題です。
労働基準法などで定められた基準を守ることが、労働者を守り、社会の要請に応えることに繋がります。

誰もがともに健康的に働くために

万一の労災への対応、男女の平等、妊娠・出産、育児・介護、安全衛生、高齢者雇用、障害者雇用など、社会の公器である企業に求められているコンプライアンスは多岐にわたっています。

一つ一つの項目をチェックし、必要に応じて改善していくことが、企業の社会的信用の維持向上に繋がっていきます。

解雇・退職等、離職に関するコンプライアンス

最後に、従業員の離職に関わるコンプライアンスとその意味合い、およびこれまでのまとめについて述べていきます。

各種規制を守り、正しく届出を

従業員を解雇するにあたっては、解雇理由の妥当性や予告の義務などについて法的に定められています。

妊娠・出産や育児・介護休業・子の看護休暇等を理由とした不利益取扱い(退職強要、降格、減給等)も法的に禁止されています 。

これらの規制には、個別労働関係紛争を未然に防ぐ役割があります。

労働者の一身上の都合による退職、あるいは事業縮小等に伴う解雇、再就職支援など、離職に関わる手続き・届出についても定められています。

国民の三大義務の一つ「勤労の義務」の規定に基づき、離職および次なる就労がスムーズに行えるようにするためという意味合いがあります。

単に法令を守るのではなく、働く人を守る

ここまで様々なコンプライアンスと、その意味合いについて見みてきました。「コンプライアンスってこんなにたくさんあるの?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。

ただ、先述の通り、コンプライアンスの本質は「社会的要請」への対応であり、法令遵守さえすればいいという訳ではありません。

人や企業が法令を守るよう強要されているのではなく、法令が人や企業を守ってくれるのです。

働く人を守ることで、企業の社会的信用・信頼を高めることに繋がるようにするのが、コンプライアンスの意味合いと言えるのではないでしょうか。

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