パフォーマンスマネジメントとは?グローバル企業が導入する理由を解説

(写真=mojo cp/Shutterstock.com)

パフォーマンスマネジメントは、GE(ゼネラル・エレクトリック)やアドビシステムズなど多くのグローバル企業がを採用しているマネジメント手法です。なぜ今パフォーマンスマネジメントを採用する企業が増えてきているのか。そこには従来型のマネジメント手法では対応出来なくなってきた背景がありました。

パフォーマンスマネジメントとは

パフォーマンスマネジメントは、従業員一人ひとりに対して、モチベーションや問題意識、成長度、キャリア意識や成果などについてマネジメントを行うというものです。そのため、従業員の能力とエンゲージメントを向上しながら、目標達成を行うことが可能と言われています。

まずビジョンや目標を設定し、その達成に繋がる行動を被評価者とともに考え、評価者が行動の結果に対して継続的にフィードバックをすることで改善を促し、パフォーマンス向上、成果に繋がる行動を身につけさせます。

GE(ゼネラル・エレクトリック)やアドビシステムズなど多くのグローバル企業が採用しており、従来型のMBO(Management by Objectives)に代わる、リアルタイムにより近い、柔軟性とスピードを兼ね備えたマネジメント手法として注目されています。

パフォーマンスマネジメントが採用される理由

パフォーマンスマネジメントが採用される背景として、従来型のマネジメントだけでは対応出来なくなってきた背景がありました。

MBOなど従来型のマネジメント手法は、人事評価制度として運用する分には一定の効果があります。

しかし不景気で昨対比未達成という状況が続いたり、変化の激しいビジネス環境下ではMBOだけでは効果が限定的になり、人材マネジメント全般をカバーするのが難しくなってきているのです。

まず、従来型の主なマネジメント手法から見ていきましょう。

従来型のマネジメント手法

従来型のマネジメント手法は管理される側は管理する側の指示命令に従うことで成立していました。マネジメントの大まかな流れは以下の通りです。

  1. 上司と部下が期初に面談し、個人の数値目標を設定
  2. 期中に上司が部下に進捗度を踏まえたフィードバックとアドバイスを行
  3. 期末には上司が部下の達成度に応じて評価
  4. 期末の面談で評価の結果を伝え指導とアドバイスを行う

従来型のマネジメントが対応できない理由

管理する側(評価者)は目標の設定、フィードバック、アドバイス、評価に専念し、管理される側(被評価者)は与えられた目標を達成するために自分で計画を立てて行動します。しかし、こうしたマネジメントだけでは不十分な時代になりつつあるのです。その理由は大きく2つあります。

1.評価が一人歩きし、組織のパフォーマンスが低下

まず「評価が一人歩きしたため、組織のパフォーマンス低下が起きた」ことがあります。評価部分だけが運用され、結果として評価と給与を連動させる仕組みができあがります(レイティング)。これは給与という外発的な要素によって動機づけを行う手法ですが、近年この手法が社員のモチベーションやパフォーマンスを下げることがわかったのです。

2.グローバル時代に求められる柔軟性とスピードが不足

もうひとつは、「レビューの頻度が低いため、グローバル時代に求められる柔軟性とスピードが不足しがち」な点があります。従来型の手法では適宜フィードバックやアドバイスは与えるものの、年に1回のレビューしか行われない場合もあります。そのため柔軟性やスピードが不足するケースが増えたのです。

パフォーマンスマネジメント導入のポイント

前述のような背景がある中で、パフォーマンスマネジメントが注目されていきました。パフォーマンスマネジメントを導入する際には、「目標設定」「コーチング」「フィードバック」という3つのキーワードを意識するのがよいでしょう。

目標設定

MBOなどと同様、パフォーマンスマネジメントでも目標設定を最初に行います。社訓や経営理念などに示された組織の目標に対して、個人やチームが達成するべき目標や取るべき行動は何かを考え、そこから上司と部下がマンツーマンで目標と成果の基準を決めます。これは従来型の手法と大きな違いはありません。

コーチング

パフォーマンスマネジメントではコーチングの技法を積極的に活用し、上司が部下に伴走します。レビューの頻度が高く、四半期ごとのフィードバックだけではなく、毎月、毎週行う場合もあります。

そのため、その時々の状況に合わせたフィードバックや指導の調整を可能にし、めまぐるしく変わるグローバル市場に対応できる柔軟性へとつながります。

フィードバック

フィードバックは従来型の手法とは内容が大きく異なります。評価ばかりが一人歩きしてしまったMBOなどに対し、パフォーマンスマネジメントでは、あくまで数値やデータのエビデンス(客観的証拠)に基づいたフィードバックを行います。そのため問題点と解決策が明確化しやすくなったのです。

パフォーマンスマネジメント導入における課題

パフォーマンスマネジメントの導入は一朝一夕には成し遂げられません。

MBOなどの従来型の手法では評価者の役割を担っていた上司が、部下のパフォーマンスをマンツーマンでマネジメントするコーチになる必要があるからです。

それまでずっと評価者だった上司にいきなりコーチの役割を与えても難しいでしょう。そのため管理する側の人間には、コーチングの知識や経験を身につけてもらうことが重要です。

パフォーマンスマネジメントを実現する人事評価制度

今後はパフォーマンスマネジメントのような市場の変化に即対応できるマネジメント手法が求められます。

管理する側の人間の教育などを考えると、新しいマネジメント手法を組織に浸透させるためにはできるだけ早く行動を起こす必要があるでしょう。

しかし、時間は待ってくれません。企業と人材の成長のためにどうすればよいのか。

まず自社の人事評価制度が柔軟性とスピードを兼ね備えた制度になっているかどうか、見直してみてはいかがでしょうか。

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