近年、企業における様々なポジションのなかで、CHOに注目が集まっています。
CHOとは、最高人事責任者を指しています。
政府によって働き方改革が推進されたことにより、人事労務の重要性が高まり、このCHOという存在がクローズアップされているのです。
そこで、ここではCHO(最高人事責任者)の役割や社内での位置づけ、求められる能力を解説していきます。
CHO(最高人事責任者)とは?
CHOは、英語「Chief Human Officer(チーフ・ヒューマン・オフィサー)」を略した言葉で、企業における人事戦略の最高責任者にあたります。
企業の3大資源は、「モノ」「カネ」「ヒト」とよく言われますが、そのうちの「ヒト」に関する全責任を担う立場です
CHOは経営幹部に位置づけられており、経営会議や取締役会に経営者の立場として参加します。
そのため、人事に関する高い知識や経験、統括能力が必要であることはもちろん、経営者の視点から戦略を立案する能力も求められます。
さらに、経営者と従業員が利害関係において対立しているような場合には、双方の間に入ってパイプ役になることが求められます。
日本では、まだまだ馴染みの薄いCHOですが、アメリカの企業では人的資源の管理における最高責任者として古くから存在しています。
また、CHOに似たような言葉で、CHROがあります。
CHROとは、「Chief Human Resource Officer」の略語で、CHOと同義語として使われています。
また、近年アメリカのシリコンバレーのIT企業において広まりつつあるCHO「ChiefHappiness Officer(チーフ・ハッピネス・オフィサー)」と区別するため、CHROを使うケースも増えています。
CHO(最高人事責任者)の役割
それでは、現代の企業経営においてCHOには、どのような役割があるのでしょうか。
人材派遣サービス業として有名な株式会社パソナグループが運営する「日本CHO協会」では、CHOを次のように定義しています。
人事には、①戦略のパートナー、②変革のエージェント、③管理のエキスパート、④従業員のチャンピオンの4つの機能がありますが、CHOはその中でも特に①戦略のパートナーと②変革のエージェントの機能を中心に担い、企業価値の増大に関与する役割です。
日本CHO協会
日本の企業に従来から設置されている人事部門にはない、企業の戦略に貢献するポジションであり、変革に導く存在であることが期待されているのです。
CHOが求められる理由
それでは、なぜCHOに注目が集まっているのでしょうか。
それは、時代の変化とともにビジネスを取り巻く環境も大きく変わったからです。
インターネットの発展や企業のシステム導入、IT・デジタル化が進んだことで、迅速な意思決定が企業経営に求められるようになりました。
また、コーポレートガバナンス対策への強化により、経営の透明性を高める必要も出てきました。
さらに、働き方や従業員の価値観が急激に変わっていくなかで、従来の組織システムでは対応できなくなったのです。
このような時代背景のなか、人的資源を戦略的に管理・運用できるCHOの注目が高まってきたのです。
CHO関連用語の解説、意味の違い
最高人事責任者と呼ばれるCHOですが、そもそも従来の人事部門における「人事部長」とは、一体どのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、さらにCHOを理解するために、人事部長との違いや、関連用語について説明していきます。
人事部長とCHOの違いは?
人事部長との一番大きな違いが、CHOは経営幹部に位置づけられていることです。
つまり、CEOなどと同じ立場で、経営に参画する権限を持っているのです。
そのため、CHOには社長と同じ視点に立ち、経営者の視点から人材戦略を考えられなければいけません。
一方で、人事部長には経営層レベルの権限や能力は求められておりません。
人事部長は、会社が「人事部」という組織に与えた実務をこなしていく立場です。
実務というのは、具体例には、人材の管理や育成・教育、人事評価・配置・移動などの業務です。
担当する業務やミッションにおいて、CHOは「経営層レベル」で人事部長は「実務レベル」の違いがあると覚えておきましょう。
「CEO(最高経営責任者)」とは?
似たような人事用語に「CEO」があります。
CEOとは、「Chief Executive Officer(チーフ・エグゼクティブ・オフィサー)」の略称で、最高人事責任者を意味します。
「CFO(最高経理責任者)」とは?
「CFO」とは、「Chief Financial Officer(チーフ・ファイナンシャル・オフィサー)」の略称で、最高財務責任者のことを指します。
文字通り、財務に関する最高責任者です。
「CIO(最高情報責任者)」とは?
「CIO」は、「Chief Information Officer(チーフ・インフォメーション・オフィサー)」の頭文字を取ったもので、企業の情報戦略における最高責任者を意味します。
「CRO(最高リスク対応責任者)」とは?
最後に、「CRO」です。
「CRO」 とは、「Chief Risk Officer(チーフ・リスク・オフィサー)」のことで、企業を取り巻くリスクへの対策・管理する責任者として位置づけられています。
CHO(最高人事責任者)に求められる要素
CHOの役割やポジション、人事部長との違いについては理解できたと思います。
それでは、CHOには具体的にどのようなスキルや能力が求められるのでしょうか。
ここからは、CHOに求められる要素について解説していきます。
1.企業経営の理解
経営幹部の立場であることから、社長の立場でビジネス全体を語れる能力が必須になります。
経営者側と従業員側の両方の側面を考慮したうえで、企業戦略に沿って組織作りや人材育成の仕組みが構築できなければいけません。
2.人事戦略の策定
企業にとって貴重な資源である「ヒト」に関する戦略が立案できる必要もあります。
経営戦略に基づき、採用、教育・育成、福利厚生、労使関係など、人材に関する全ての分野において、運用、管理できる知見が求められます。
3.変革・革新性
また、経営層の立場として、企業に変革をもたらす存在であることも期待されています。
従来の組織の常識にとらわれず、新しい発想で企業を変革に導く役割です。
このような役割を期待されていることから、アメリカにおいてはCHOを外部に委託するケースも珍しくありません。
外部の人間に委託するほうが、客観的に判断することができ、従来の考え方や企業文化に縛られることがないからです。
4.人事業務の指導と管理
さらにCHOは、人材教育や育成、評価制度などの仕組みを作るだけではなく、その管理や指導も行える高い能力がなければ務まりません。
人事部門における実務経験が求められ、その経験から得たナレッジを組織に落とし込む役割を担っているのです。
5.高いヒューマンスキル
CHOに求められる能力として最後にあげるのが、ヒューマンスキルです。
ヒューマンスキルとは、対人コミュニケーション能力や問題解決スキルといったビジネスを進めるうえで必須とされる能力です。
特に、社長を含めた経営層と従業員の間に立つポジションのため、高いレベルのコミュニケーション能力が必要になります。
また、組織の上に立って管理、指導をしていく立場でもあるため、リーダーシップやマネジメント能力も求められています。
いずれも、最高人事責任者としての任務を遂行していくうえでは必須となる能力です。
一般社員よりも高いレベルが求められるため、習得するための勉強や努力が必要不可欠です。
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