クールビズとは?推奨される服装と社内導入のポイントを解説

(画像=paylessimages/iStock)

毎年、夏が近づくにつれて、良く耳にするようになるのがクールビズです。

ニュースなどでも取り上げられるため、ビジネスマンには馴染みのあるクールビズですが、本来の目的や正しい服装などを理解しているでしょうか。

本記事では、クールビズで推奨されている服装や企業に導入する際のポイントについて解説していきます。

クールビズとは?

クールビズとは、2005年に環境省が提唱したスローガンで、省エネ対策を目的としています。

国民運動でもある地球温暖化対策の施策である「COOLCHOICE」の一環としてスタートしました。

英語「CoolBiz」が語源となっており、涼しい服装でビジネスに取り組むことを推奨しる活動です。

2005年に始まったクールビズは、省エネ対策や環境問題などの時代的背景も後押しとなり、広く日本に浸透していきました。

多くの企業で夏場になると、「ノーネクタイ」や「ノージャケット」という言葉が聞かれるのではないでしょうか。

スーパークールビズとの違い

2012年、「スーパークールビズ」という活動も、環境省により提案されました。

それまでのクールビズとの違いは、推奨している服装が変わりました。

これは、前年の東北大震災における電力不足を考慮したものです。

クールビズ

エアコン設定温度28Cでも快適に過ごせる服装

スーパークールビズ

エアコンがなくても快適に過ごせる服装

また、企業がクールビズを実施する推奨の期間も変わりました。

開始当初は、6月1日~9月30日までだった期間が、5月1日~10月31日までに変わったのです。

環境省が定義するクールビズ

ここからは、環境省が定義しているクールビズの内容と、推奨している服装や日常の過ごし方について詳しく解説していきます。

環境省の公式サイトでは、クールビズは以下のように定義されています。

地球温暖化対策の一環として、平成17(2005)年から政府が提唱する、冷房時の室温28°Cを目安に夏を快適に過ごすライフスタイル。

室温の適正化とその温度に適した軽装や取組を呼び掛けており、省エネ型エアコンへの買換え、西日よけのブラインド、日射の熱エネルギーを遮蔽する効果がある緑のカーテンなど、気軽にできるアクションなどを呼び掛けています。

環境省

このように、省エネを実現するために、エアコン温度の推奨設定や服装、ブラインドやカーテンの使用など、非常に具体的で細かい提案になっています。

ポインを絞り、詳細を解説していきます。

社内の冷房温度は28度が推奨

エアコンの使用で膨大に膨れ上がる電力消費を抑える目的で、推奨設定温度を定めています。

28度という温度設定だけだと暑いので、あわせて軽装で過ごすことを推奨しています。

軽装というのは、職場であればネクタイや上着を着ない「ノーネクタイ・ノージャケット」のスタイルです。

環境に考慮した対策を実施する

環境庁の定義の冒頭にもあるとおり、クールビズは地球温暖化対策の一環としての取り組みです。

そのため、個人レベルでの環境配慮の取り組みを推奨しているのもポイントです。

二酸化炭素の削減といった世界レベルの問題について、クールビズの取り組みを通して意識を高めてもらうことも期待されています。

実施期間は5月1日から9月30日まで(2019年)

クールビズの推奨の実施期間については、毎年、環境省のホームページで発表されます。

始まった当初は、6月から9月30日まででしたが、年によって増減がありました。

2019年は5月1日から9月30日が推奨の期間とされていました。

クールビズが広まった背景

省エネ対策や環境問題を背景に、日本に浸透していったクールビズですが、具体的にどのような事情があったのでしょうか。

職場の事情も含め、解説していきます。

環境庁がクールビズを打ちだす以前、夏場でも事務所の中でジャケットを着用し、ネクタイを占めるサラリーマンがほとんどでした。

そのため、真夏の暑い時期になどには、エアコンの設置温度を26度程度まで下げる企業が多かったのです。

このような背景と、環境対策問題がクローズアップされてきた時代的背景のなか、環境庁がクールビズを提唱しはじめました。

実はクールビズは、2005年に始まった当初、大きなの効果は期待されていませんでした。

しかし、2011年に起こった東北大震災により省エネの重要性が高まったことで、クールビズが注目を集めるようになりました。

さらに、各企業がCSRやイメージアップのために環境問題に取り組み始めたことも大きな後押しとなり、クールビズは深く日本の生活に根付くようになったのです。

現在では、多くの企業でクールビズを取り入れており、就業規則に実施期間や規定の服装などが明記されている企業も多いです。服装に関しては、各企業によって規定を設けています。

ワイシャツではなくポロシャツを認めている企業もあれば、ビジネスシューズの代わりにスニーカーを容認している企業もあります。

環境庁がクールビズで推奨している内容を受けて、各企業が細かな規則を定めているのです。

クールビズ社内導入のポイント

日本の企業に浸透したクールビズですが、社内に導入するときにはどのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。

ここからは、導入時のポイントについて解説していきます。

不快感を与えない服装

クールビズを実施するにあたっては、どのように服装の規則を規定するかが大きなポイントになります。

「軽装」「楽な格好」「動きやすい服装」などという言葉だけがクローズアップされてしまうと、服装が乱れる恐れがあるからです。

服装に関しては、周囲の人に不快感を与えないことを意識して規定を作らなければいけません。

「自分の判断ではなく、他人が見て不快に思わない服装」であることが望ましいです。

また、女性の過度な露出などへも配慮が必要です。

男性の場合は襟付きが原則であったりしますが、女性の場合は指定がないケースが多いです。

そのため、女性の服装に関しては自由度が高いのですが、露出が多すぎる服装はビジネスにおいて相応しくありません。

職場の秩序が乱れないように、上手に規定を作らなければいけないのです。

各従業員の汗・におい対策

服装だけではなく汗やにおい対策についても、従業員に意識を持たせることが大切です。

営業職であれば、外回りから戻ってきたときに汗をかいているのが普通でしょう。

そのため、快適な職場作りを従業員に意識させて、その自覚を持たせなければいけません。

従業員が各自で取り組める汗・におい対策には色々あります。

例えば、吸収性が高い下着や汗ふきシート、制汗スプレーなどを活用することで、汗・においへの対策を取ることができます。

このような対策を各従業員が自発的に取るように、うまく規定を作りましょう。

クールシェアの実施

また、クールシェアの実施、規定作りも大きなポイントになります。

クールシェアとは、一人一台のエアコンを使用するのではなく、大人数で集まれる涼しい場所で過ごすという節電のプロジェクトです。

クールビズと同じく環境庁によるプロジェクトで、2012年に開始されました。

企業においては、事務所内のパーテションやカーテンなどで温度コントロールを図ったり、こまめにエアコンのフィルターなどを清掃したりする取り組みです。

また、エアコンと比較して消費電力が少ない扇風機を活用するなどといった対策もあります。

顧客を意識する

クールビズを実施するときは、自社の顧客も意識しなければいけません。

例えば、営業職であれば、当然ながらお客様企業に訪問します。

相手の企業でノーネクタイ・ノージャケットが認められていないのに、営業が軽装で伺うわけにはいきません。

顧客と直接、顔をあわせる営業や受付部門などへは、個別にルールを設けることも視野にいれましょう。

急な面会への準備

また、急な面会への対策も必要です。トラブルや緊急対応が発生したことにより、予定をしていなかった面会が必要になるときがあります。

このようなとき、クールビズで定められた軽装で対応する訳にはいきません。

このような状況が発生することも従業員に意識させるようにしましょう。

具体的な対策としては、クールビズ期間中であっても、ロッカーの中に上着やネクタイを準備しておくなどの対応です。

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