AppleやGoogleなど大手企業でも取り入れられており、近年、多くの企業から注目を集めている「マインドフルネス」をご存知でしょうか。
「言葉を耳にしたことはあるけれど、詳しくは知らない」「取り入れたいと考えているものの、具体的なやり方がわからない」といった人も少なくないはずです。
この記事では、マインドフルネスとは何か、多くの企業がマインドフルネスを積極的に取り入れている理由、具体的なやり方などを解説していきます。
この記事を読めば、今日からマインドフルネスを取り入れることも難しくありません。マインドフルネスを活用して、企業や社員、自分自身の成長につなげましょう。
マインドフルネスとは
マインドフルネスとは、いま現在の自分の心や体、その瞬間の自分の経験に集中して意識を向ける状態や過程を指します。
マンドフルネスの語源は、「常に落ちついた心の行動や状態」を意味する仏教用語の「サンマ・サティ」です。その語源の通り、マインドフルネスでは今現在の自分自身に集中することで、無駄な思考を取り払った落ち着きのある心を手に入れられます。
現代に生きる人々にとって、何かに捉われたり影響を受けたりすることなく「ただ今現在の自分を見つめる機会」はかなり少ないです。
現代人は、日々多くの物や人、情報に囲まれて慌ただしく過ごしています。そのため、つい自分自身よりも自分を取り囲む物事に目を向けてしまうシーンのほうが多く、思考も心も休むことなく働き続けているのです。
ひたすら自分にだけ目を向けられるマインドフルネスは、思考と心を常に働かせている現代人にとっては貴重な「思考も心も休ませて、自分を見つめる機会」となり、研ぎ澄まされた精神と心の安らぎを得る効果があります。
マインドフルネスの効果
マインドフルネスは、研ぎ澄まされた精神と心の安らぎを得られるものです。
ここでは、もっと具体的にマインドフルネスを通じてどのような効果を得られるのかを確認していきます。
1.集中力の向上
マインドフルネスでは無駄な思考や情報を捨てて、ひたすら「今の自分自身」に目を向けるため、集中力が高まります。
一見簡単そうに思えますが、さまざまな物事に囲まれているなかで純粋に今の自分自身に目を向けるには、かなりの集中力が必要です。そのため、マインドフルネスは集中力を高める訓練になります。
2.ストレス解消
考え事に飲み込まれることなく自分自身に目を向けるマインドフルネスには、精神的にも肉体的にもかなりのリラックス効果があり、ストレス解消につながります。
ついつい考えてしまう嫌なことや不安なことなどからも解放されるので、心と体がゆっくりと解きほぐされていくでしょう。
3.自己認識力の向上
マインドフルネスを通じて今の自分自身を知ると、自己認識力が大きく向上します。
他人の意見や偏った評価に左右されることなく自分を見つめ直すことで、自分はどんな人間であるのかを正しく認識する力が高まるのです。
自己認識力の向上は想像力や自信の向上、適切な判断を下す思考にもつながり、副次的な効果も期待できます。
4.他者への配慮が高まる
自分自身に集中するマインドフルネスですが、マインドフルネスには他者への配慮が高まる効果もあります。
不満や不安に囲まれた状況のなかだと、人は「生存本能」が強まるものです。生存本能が強まった状態では、自分が生き抜くことに精一杯で、他者への思いやりを失いやすくなります。
マインドフルネスで不満や不安を和らげ生存本能から解き放たれることにより、他者への配慮を持てる心の余裕を身につけられます。
5.睡眠の改善
マインドフルネスには交感神経と副交感神経のバランスを整える働きがあるため、睡眠の質が向上します。
特に、就寝前にマインドフルネス瞑想を行うと心身の緊張がほぐれ、雑多な思考から解放された状態ですんなりと眠りにつけるでしょう。
6.アンガーマネジメント力の向上
怒りの感情を上手にコントロールするための「アンガーマネジメント力」が向上することも、マインドフルネスの効果のひとつです。
アンガーマネジメント力が高まると、怒らないようになるのではなく、怒る必要があるか否かを適切に見極め、怒る必要があるときには正しく怒れるようになります。
マインドフルネスでは、客観的に怒りと向き合うことで認知の歪みに捉われず、冷静に怒りを対処できるようになるのです。
7.自己管理能力の向上
マインドフルネスでは自分自身を正しく認識できるようになるために、自己管理能力も向上します。
自分を正しく管理することは、自分自身を知っているからこそできるものです。マインドフルネスで自分を知れば、健康や体調管理、スケジュール管理はもちろんのこと、感情やモチベーション、金銭まで幅広い管理能力が高まります。
マインドフルネス瞑想とは
マインドフルネスのやり方として主流なのは「マインドフルネス瞑想」です。
マインドフルネス瞑想の実践方法にはさまざまな方法が存在しますが、ここでは、なかでも有名な「呼吸法」と「瞑想法」の2種類の方法を解説します。
マインドフルネス瞑想の方法
1.呼吸法
呼吸法は瞑想法よりも手順が簡単なため、日常的に取り入れやすい方法です。
呼吸の仕方
- 椅子に浅く腰掛け、腰を立てた状態で背筋を伸ばします。この時、腰や顎が出過ぎたり引きすぎたりしないよう気をつけ、尾骨から頭の先までが直線になっているイメージを持ってください
- 手は両膝の上に置き、軽く目を閉じます
- 鼻からゆっくり、7秒くらいかけてめいいっぱい息を吸い込みます。冷たい空気が鼻から入って喉を通り、肺やお腹を膨らませていくことに意識を集中させてください
- 10秒くらいかけて鼻からゆっくりと息を吐き出します。肺やお腹がしぼみ、暖かい空気が喉を通って鼻から出ていく流れを注意深く観察しましょう
- 手順3〜4を数回繰り返します。5〜10分程度行うのがベストですが、1分程度でもOKです
初心者のうちは椅子に腰掛けてリラックスした状態で行うのが一番ですが、慣れてきたら立ったままの状態や寝転がった状態でもできるようになります。
2.瞑想法
呼吸法よりも手順は増えますが、より自分自身に目を向けられるのが瞑想法となっています。呼吸法を行なったあとにそのまま瞑想法に入っても大丈夫です。
瞑想の方法
- 椅子に浅く腰掛け、腰を立てた状態で背筋を伸ばします。この時、腰や顎が出過ぎたり引きすぎたりしないよう気をつけ、頭の先から尾骨までが直線になっているイメージを持ってください
- 手は両膝の上に置き、軽く目を閉じます
- 心と体を落ち着かせ、呼吸に意識を集中させます。呼吸は自然なものでよく、深く吸いすぎたり無理に吐き切ったりしないようにしましょう
- 雑念によって呼吸から意識が逸れたとしても、無理に思考を無にしようとしないでください。雑念をあるがままに受け入れ、ただ流していきます
- 雑念が流れ切ったらまた呼吸に意識を戻します
- 再び雑念が浮かんだら、その雑念を客観的に分析して認めます。具体的には、不安ごとが思い浮かんだら「いま、自分は不安である」と心でつぶやく、腹立たしいことが思い浮かんだら「いま、自分はイライラしている」と心のなかでつぶやくなどすることで、いまの自分の状態に気づきます
- その気づきをあるがままに受け入れ、流していきます。すべての雑念が流れ切ったら、再び呼吸に意識を戻しましょう
- 初心者は3〜5分、上級者は10〜20分程度、手順5〜7を繰り返します
マインドフルネスの企業事例
社員や企業全体の成長を図ることを目的に、マインドフルネスを取り入れる企業が多く存在します。
ここからは、マインドフルネスを取り入れている企業の事例を見ていきましょう。
1.トヨタ
日本の大手自動車メーカーであるトヨタでは、心理士や精神科医が中心となって作成したマインドフルネス活用プログラムを全社教育として取り入れています。
「特に何かがあったわけではないけれど、なんとなく体がだるくて気分がモヤモヤしている」そんな社員が、心理士のアドバイスをもとにマインドフルネスを日常的に取り入れたところ、自然と明るい心持ちに変わっていった事例も存在するようです。
社員の心身の健康を保つことは、企業の生産力向上につながります。トヨタが日本有数の高い生産力を誇っている背景には、マインドフルネスの効果もあると考えられるでしょう。
2.ヤフージャパン
ヤフーでは「適切なリーダーシップを発揮するためには客観的に自己を認知することが重要である」と考え、リーダー育成を目的としたマインドフルネス研修を実施しています。
主な取り組みは、研修の目的や意義を示す体験説明会や、希望者に向けた全7回にわたる研修プログラムの提供、社内の芝生スペースを活用したマインドフルネス瞑想の実施などです。
マインドフルネスを週3回以上行っている社員の94%は「マインドフルネスは自分の仕事、チームやプロジェクトにも影響を与えている」と回答しているデータもあるなど、ヤフーではマインドフルネスが会社全体に大きく影響を与えていることがわかります。
3.Google
マインドフルネスの効果を示す事例として挙げられるケースも多いGoogleでは、2007年より希望者に向けたプログラムの一環としてマインドフルネス研修を始めました。
Googleのマインドフルネス研修は「Search Inside Yourself(SIY)」と呼ばれ、Google社員のパフォーマンス向上に一役買っています。
Googleのオフィス内には瞑想ルームも存在しているほか、世間では「Google社員は歩きながら瞑想をする」などとも言われており、マインドフルネスのイメージが社内外を問わずに深く浸透している企業です。
4.Apple
Appleでは社内に瞑想ルームを完備し、瞑想やヨガの講習会実施や勤務時間の30分は瞑想に当てることを許可しているなど、マインドフルネスを大々的に推奨している企業です。
Appleの創立者であるスティーブ・ジョブズは、マインドフルネス瞑想とよく似た「禅」を愛していたと言われています。スティーブ・ジョブズの人並み外れた創造力やGoogleが生み出す画期的なサービスたちは、マインドフルネスから生まれたと言っても過言ではありません。
5.Facebook
Facebookも研修の一環としてマインドフルネスを用いている企業のひとつです。
その目的や具体的な方法について多くは語られていませんが、エンジニアの生産力や創造力向上、ストレスの緩和のために取り入れられていると考えられます。
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