AIやロボットなどのIT技術が進む現代で、ナレッジワーカーと呼ばれる労働者が注目を集めています。ナレッジワーカーとは、幅広い知識や情報を生かしサービスに付加価値を提供する労働者を指します。
今回は、ナレッジワーカーが必要とされる背景や、彼らが世の中にどんな価値を提供しているのか、見ていきましょう。
ナレッジワーカーとは
ナレッジワーカーとは、知識を表す「ナレッジ」と、労働者を表す「ワーカー」を掛け合わせた造語です。
オーストリアの経営学者・社会学者であるピーター・ドラッカーによって提唱されました。同氏の著書「断絶の時代」によると、ナレッジワーカー(知識労働者)は「経済的利益を生み出すために知識を使用する知識経済を支える高度な専門知識をもつ労働者」と定義付けられています。
ナレッジワーカーは、知識を持って付加価値を提供する労働者のことを指します。
高度経済成長期に産業や工業が発展したことにより、現代はモノにあふれた社会になりました。
そんな状況の中、市場で勝ち残っていくためには「付加価値」が必要です。多様化するニーズの中で自社サービスの付加価値や競合優位性を見出すために、知識や経験といった知的生産物を創造できるナレッジワーカーが求められるようになりました。
ナレッジワーカーとホワイトカラーは違う
ナレッジワーカーとホワイトカラーは、同じ意味ではありません。厳密には、ホワイトワーカーの中の一つにナレッジワーカーがあるといえます。
まず、ホワイトカラーとは、ワイシャツやスーツを着て企業で働く頭脳労働者のことを指します。
対義語はブルーカラーで、作業服を着た肉体労働者のことです。ナレッジワーカーとホワイトカラーは、企業やオフィスで働くこと自体は同じですが、仕事の内容や求められるスキルに違いがあります。
ホワイトカラーの場合、事務や営業など単純作業からコミュニケーション能力が必要な業務まで様々な仕事があります。
一方、ナレッジワーカーは与えられた仕事だけではなく、幅広い知識や情報をもとに新しい何かを生み出すことが期待されるのです。
そのため、ナレッジワーカーはホワイトカラーの中に位置付けられていると言って良いでしょう。
ナレッジワーカーとマニュアルワーカーの違いとは
ナレッジワーカーの対義語はマニュアルワーカーです。ナレッジワーカーとマニュアルワーカーの違いは、求められるスキルにあります。
マニュアルワーカーとは、製造業の現場作業や単純作業といった決まった手順で業務をこなす労働者のことを指し、定められたマニュアル通りに業務を行うことが求められます。
高度経済成長期の日本では、マニュアルワーカーによって生産性が大幅に向上しました。最近ではAIやロボットの台頭により、ナレッジワーカーが行う仕事はとって代わられつつあるとも言われています。
対するナレッジワーカーは、機械化が進んだ今だからこそ、自らの知恵を絞って付加価値を提供することを期待されます。
ナレッジワーカーの4つの職種
ナレッジワーカーの仕事は、数多くあります。今回は、代表的な4つの職種を見ていきましょう。
金融ディーラー
金融ディーラーは、顧客から預かった資金を株や債権などで運用し利益を還元する職業です。
金融工学や金融商品の知識はもちろん、市場の動向を正確に分析する力や今後の動向を予測する力などが求められます。
金融ディーラーは、証券会社・銀行・投資信託会社・保険会社などで活躍します。年収が高く人気職種ではあるものの、高度な頭脳と知識、洞察力が必要です。
ITエンジニア
ITエンジニアは、プログラミングという知識を生かし、生産性向上や業務効率化のためのシステム開発を行う仕事です。プログラミングの知識や、論理的思考力などが求められます。
ナレッジワーカーの特徴として、時間や場所に関わらず知識における成果を出すという点です。
ITエンジニアであれば、テレワークやフレックス制度を利用して活躍している人も数多く存在し、その人の知識・技量ひとつで比較的自由に仕事ができます。
コンサルタント
コンサルタントは、企業や組織の抱える課題を解決する仕事です。課題といっても非常に幅広く、ITコンサルタントや経営コンサルタントなど様々な種類があります。
コンサルタントは幅広いもしくは専門的な業界知識や、情報収集能力・考察力・問題解決能力などが求められます。
また、企業や組織を成長させるための、斬新な発想力も必要です。
マーケター
マーケターとは、マーケティングを行う人のことです。
マーケティングとは、商品の売れる仕組みを考えることを指します。企業のサービスの販売拡大のために、ユーザーのニーズにあった商品を作る、売るための戦略を練るなどの業務を行います。
マーケターは、市場調査・データ分析力・戦略立案力などが求められます。
モノが溢れる現代では、他社のサービスとの差別化が必要不可欠です。そのためには、しっかりと業界や市場をリサーチし、ターゲットに訴求できるサービス提供を行うための仕組み作りをしなければなりません。
ナレッジワーカーの仕事事例
ナレッジワーカーはどのような仕事を行うのか、ITコンサルタントを例として見ていきましょう。
ITコンサルタントは一般的に、コンサルティングファームに所属します。ITコンサルタントは、企業の抱える課題を、ITを駆使して解決することを仕事としています。
まずは、クライアントの抱える課題を洗い出し、情報収集を行います。クライアントの業種は多岐に渡り、幅広い知識や情報が必要です。そして、洗い出された課題をITで解決するための方法を編み出します。
高度なIT知識はもちろん、斬新な発想力でクライアントの課題解決や企業成長の後押しをすることができます。
このように、ナレッジワーカーは豊富な知識や情報収集力、発想力などが必要です。では、実際に兼ね備えておくべきスキルを次の章で見ていきましょう。
ナレッジワーカーに必要なスキルとは
ナレッジワーカーと呼ばれる職種につくためには、下記のようなスキルが求められます。
情報収集能力
ナレッジワーカーは、大前提として豊富な知識が必要です。また、日々仕事をしている中で次々と新しい情報が生まれるため、情報収集力も求められます。
ITコンサルタントや金融ディーラーの場合は、莫大な情報を正しく理解し分析しなければいけません。
日常生活の中でも常に情報収集を怠らないことはもちろん、プロジェクト毎に必要な情報を、スピード感を持って集められる能力を持ち合わせておきましょう。
発想力
ナレッジワーカーは知識を元に新しいサービスや仕組みを世に送り出すための発想力が求められます。斬新なアイデアや、他社の差別化できるサービスを生み出すことが期待されます。
既存のサービスや体制を覆すためには、問題の本質を見抜き、自分自身の独自の観点で物事を考え抜く必要があります。
コミュニケーション能力
ナレッジワーカーは高いコミュニケーションスキルが必要です。社内やクライアントの課題を解決するためには、相手の話を聞く傾聴力や正しく理解する力などが求められます。
特に、相手の話を聞く力は非常に大切です。相手が何に悩んでいるのか、表面的な課題だけではなく言葉の裏に隠された潜在的な課題にも気づける能力があれば、目の前の課題だけではなく抜本的な改革が行えるでしょう。
今ナレッジワーカーが注目される背景
現在、注目を集めているナレッジワーカー。その背景には、テクノロジーの進化があります。IT化が進む昨今では、これまでマニュアルワーカーが行っていた仕事も、ロボットやAIにとって代わられて来ているのです。
また、高度経済成長期に発見したものづくりによって、日本では様々なモノやサービスが溢れるようになりました。
そのため、ただサービスを生み出してもヒットするとは限りません。消費者のニーズに合うサービスをしっかりと分析した上で開発することが求められます。
そんな現代において、AIやロボットにとって代わることのできない存在がナレッジワーカーです。
企業をより良くするためには、ただマニュアル通りに作業するのではなく、豊富な知識や経験を持ちながら知的生産物を創造できるナレッジワーカーは必要不可欠と言えるでしょう。
ナレッジワーカーを活用してIT時代を乗り切ろう
モノに溢れ、テクノロジーが進化した市場で勝ち残るためには、知識を持って付加価値を提供するナレッジワーカーの力が必要不可欠です。
彼らは豊富な知識や高い情報収集能力を持ち、これまでにはない新しいサービスや、幅広いニーズに対応できるサービスを生み出してくれます。
今後さらに混沌としていくIT時代では、ITコンサルタントやITエンジニアといったナレッジワーカーの力を借りながら、業務を進めていく必要があるでしょう。
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