ワーケーションのメリット・デメリットとは?企業の導入事例と実際の効果を解説

新しい働き方として注目されているワーケーション。

政府により推進を発表されたことによって、日本国内においてその知名度が高くなっています。そのため、導入を促す情報も多くなってきており、検討している企業も増加傾向にあります。

ただ、促されるままに導入しては、失敗に終わってしまう可能性があります。ワーケーションのメリットとデメリットをしっかり把握した上で、導入していく必要があります。

この記事では、ワーケーションのメリットとデメリット、導入事例や課題解決のポイントまで詳しく解説します。

ワーケーションとは

ワーケーションとは、「ワーク」と「バケーション」を合わせた造語です。
オフィスや特定の場所に縛られないテレワークを活用し、主にリゾート地や観光地で働きながら休暇を取る働き方を言います。

自然豊かな場所で働くワーケーションを導入することで、社員のモチベーション向上や斬新なアイデアの創出が期待できます。

また、観光地の経済復興や地方活性化にも有効とされ、政府からも普及に向け誘致企業や自治体に対して補助金が設けられており、今後ますます注目される働き方と言えるでしょう。

ワーケーションの種類とは

ワーケーションとは新しい概念であり、さまざまな定義・解釈が存在しますが、観光戦略実行推進会議にて、下記4つの類型が示されました。

・休暇活用型
有給休暇などの休暇を取得し、一部仕事を織り込む、休暇と仕事を混合したスタイルです。休暇を楽しむことがあくまでもメインで、休暇の合間に業務時間を一部入れます。

・日常埋め込み型
テレワークを活用し、場所に縛られず、日常的に仕事と休暇を織り交ぜながら働くスタイルです。自由度が高い働き方で、長期間観光地を巡りながら仕事をするスタイルは、まさに日常埋込型を言います。

・ブリジャー型
出張の前後に観光やレジャー要素を盛り込み、仕事と休暇を組み合わせるスタイルです。地方などへの出張時に前乗り・延泊などをし、訪れた場所で余暇の時間も確保します。最近、ブリンジャー型を促進する動きも多くなっています。

・オフサイト会議・研修型
ミーティングや研修などをオフィスで執り行うのではなく、温泉地やリゾート地で行い合間に休暇を入れていくスタイル。会社の単位の団体ではなく、チームや部署単位で参加・実施していきます。

ワーケーションの4つのメリット

ワーケーションを導入することは社員側だけでなく、企業側にも大きなメリットがあります。その主なメリットについて4つご紹介いたします。

1.有休取得率の向上

ワーケーションを導入することで、社員の有給取得率の向上に寄与するメリットがあります。日本の有休消化率は世界でもワーストランクを更新しており、長期休暇や有休をまだまだ取りづらい環境です。

しかし、ワーケーションを導入することで、仕事との関わりを保ちつつ長期休暇を取得できるため、罪悪感を持たず有休を取りやすい環境に変えられることが期待できます。

2.メンタルケアに有効

ワーケーションは、非日常な空間でのリフレッシュ効果が期待できるため、メンタルケアに有効とされています。社員の中には仕事にかかるストレスを溜め込んだまま、日々の仕事をしている人も少なくありません。

ワーケーションによりリゾート地や温泉地などでリラックスして仕事をすることで、心身ともに疲れを癒すことができ、社員のストレス軽減が図れます。

3.生産性とパフォーマンスの向上

ワーケーションでは、プライベートと仕事の切り替えがしにくく感じますが、限られた時間内で仕事をすることで、集中力が上がり生産性を向上させる効果があります。

ワーケーションにより、いつもと違う環境で開放的に仕事をすることで、新しいアイデアや発想が生まれやすく、仕事のパフォーマンス向上にも期待が持てるのです。

4.エンゲージメントの向上

ワーケーションにより、社員はワークライフバランスが取りやすくなります。また、リラックスした環境で生み出される仕事は、社員の自己成長にもつながるでしょう。

その結果として、会社と仕事に対しポジティブな気持ちを持つ社員が増え、組織のロイヤリティが上がり、エンゲージメントの向上につながるのです。

ワーケーションの4つのデメリット

多様な働き方ができるワーケーションはメリットがある一方で、課題も多くあります。ワーケーションを導入することで発生するデメリットについて解説します。

1.運用コストがかかる

社員1人1人が遠隔から滞りなく仕事をできるような環境整備が必要です。

社員同士の円滑なコミュニケーションを取る上での、オンライン会議ツールやチャットツール、社内システムにアクセスするためのインターケット環境やVPN(Virtual Private Network)などが想定されるでしょう。

整備のためのコストがかかってしまう、デメリットがあります。

2.セキュリティの弱化

ワーケーションは、場所に縛られず仕事ができることが魅力ですが、オフィスの外で仕事ができる環境になると、その分、情報漏洩のリスクが高くなります。

個人情報の取り扱いや社内の重要情報の取り扱いについて、対策が必要になります。また、PCなどは個人で管理しなくてはならないので、盗難と紛失を防止する対策も考えなくてはなりません。

3.労働時間の管理が困難

ワーケーションは休暇を前提として働くため、社員が業務を行った時間を正確に把握することが困難になるデメリットがあります。ワーケーションの効果を出すためにも、フレックスタイム制などの柔軟な労働時間の調整が必要になるでしょう。

また、社員の実際の労働時間が把握できるよう、新たなシステムを導入・構築することも重要です。

4.人事評価が困難

ワーケーションでは、労働時間の管理が困難であるのと同時に、適正な人事評価も難しくなります。社員が遠隔から仕事をするため、仕事への姿勢や頑張りなどが見えづらく、これまで通りの評価がしづらくなります。

それに加えて、合間に休暇が入るとなると、業務の実施内容と成果の把握がポイントとなりますが、そのような人事評価をきちんと導入できている企業はごく一部でしょう。

ワーケーションの2つの企業導入事例から見るメリット・デメリット

実際にワーケーションを導入することで、どのようなメリットとデメリットがみえてきたのでしょうか。2つの企業導入事例をご紹介いたします。

NTTデータ研究所など3社共同の実施事例

NTTデータ研究所をはじめJTB、JAL の3社は、コロナ禍におけるリモートワークの課題を解決する方法として、ワーケーションにいち早く注目。共同でワーケーションの効果検証を実施しました。

ワーケーションを実施した対象者に対し3日間の期間を設定し、その前後及び実施中の活動量や睡眠時間などの行動データの取得し、アンケートを実施しました。

その結果、ワーケーションには仕事のパフォーマンスが20%程度向上し、ストレス反応を37%程度低減させ、それが継続する効果があると報告されました。

さらに、ワーケーション参加前に比べ運動量が2倍程度増加、組織への所属意識の向上、仕事とプライベートの切り分けの促進について、見受けられる結果となりました。

参考文献:https://www.nttdata-strategy.com/newsrelease/200727.html

栃木県日光市と民間企業との共同の実施事例

栃木県日光市は、観光業の経済復興を目的に、民間企業と共同でワーケーションの実証実験を行いました。社員は中禅寺金谷ホテルに滞在し、リモートワークで業務を実施。その後、意見交換会で感想を報告し合う場を設けました。

その結果、「自然の多い環境でリフレッシュができ、新しいアイデアが出てきた。」「インターネット会議システムですぐに同僚とコミュニケーションが取れるため、不便な点はあまりなかった。」などのポジティブな意見もある一方で、課題も浮き彫りとなりました。

意見交換会では、労働基準法などを守りながら社員の労働状況を把握しなくてはならない労務管理の難しさ、滞在先での事故や災害に対する労災の取り扱い、企業と社員の交通費や宿泊費の分担割合などの課題が出ました。

その他、仕事と休暇の線引きの難しさや、セキュリティの担保されたWi-Fi環境など環境設備の不足についても指摘されました。

参考文献:https://www.sankeibiz.jp/business/news/201003/bsd2010030800001-n1.htm

ワーケーションのデメリットを克服する導入時の5つのポイント

それでは、ワーケーションの課題はどのように克服していけば良いのでしょうか。課題を解決に導くポイントを5つ紹介します。

1.労働時間管理体制の確立

労働法制の遵守のためにも、労働時間の正確な管理はワーケーション中であっても必須です。旅行先であっても、フルタイムで業務に従事した場合、勤務としてカウントしなければなりません。

また、短時間勤務であれば、時間単位で有休処理する必要があります。そのため、細かい労働時間把握のためにも、勤怠システムの導入や出退勤の報告をルール化するなどの必要があるでしょう。

2.就業規則の改定

ワーケーションを実現するためには、実態に沿うよう就業規則を改定する必要があります。

ワーケーションの基本ルールや、禁止事項について設定します。さらに、発生した費用負担に関する定めや、1日、半日、時間単位など有給休暇で取得できる単位の取り決めについても定めましょう。

3.情報セキュリティの強化

ワーケーションを導入するにあたり、情報セキュリティの強化は必須要件です。社外に持ち出せる端末や資料のルール化、ワーケーション中に利用可能なネットワークの構築、セキュリティソフトのインストールの徹底などを実施しましょう。

端末の盗難・紛失の防止、情報漏洩の防止などの対策を行うことが必要です。

4.人事評価システムの再構築

遠隔かつ余暇を交えながらの勤務であっても、適切かつ公正に評価できる人事評価システムの再構築がワーケーションには必要不可欠です。

社員の業務内容・成果の把握、評価、給与改定までのプロセスがはっきりする仕組みを構築しましょう。遠隔でも一元管理できる人事評価クラウドシステムは、仕組みづくりだけで終わらず、実践に役立ちます。

5.安全衛生への注意喚起強化

ワーケーション中は、開放的な気分になり、気が緩みやすいものです。そのため、社員の安全面の配慮も忘れてはいけません。

就業規則上の取り決めにもよりますが、業務外の事故や災害であれば労災の対象外となります。そのため、ワーケーション中の事故や怪我、病気予防の徹底などを呼びかけるようにしましょう。

ワーケーションのデメリットを解決して効果的に導入しよう

ワーケーションには、今までの働き方にとらわれないことで生まれるメリットが多くあります。
しかし、遠隔そして余暇を含むことによって、新たに整備が必要な点もある事に留意しましょう。

特に人事評価システムについては、公平性や評価方法について従来から課題を抱えっていらっしゃる企業は少なくありません。

新たな働き方を導入する中で必要な課題克服を逆手にとって、社員がイキイキと仕事ができる人事評価システムの再構築をおすすめします。
エンゲージメント向上を助け、社内共有が円滑にできる人事評価クラウドシステムなどを活用して、ワーケーションのデメリットを克服しましょう。

あしたのチームのサービス

導入企業4,000社の実績と12年間の運用ノウハウを活かし、他社には真似のできないあらゆる業種の人事評価制度運用における課題にお応えします。


人事評価制度の構築・運用支援、クラウド化。 これらをワンストップで提供することにより、企業の成長と従業員の育成を可能に。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

サービスガイド


あなたの会社の人事評価制度は運用しにくい制度かもしれません。人事評価制度を適切に運用するノウハウと、その理由をお教えます。

ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。

あした式人事評価シート