コンコルド効果とは、これまでに費やした投資を惜しんで損失を切る決断をできない心理状態のことをいいます。
ここでは、ビジネスシーンや日常でよく見かけるコンコルド効果の例を紹介。あわせて、コンコルド効果を防ぐ方法や効果を逆手にとったビジネスの事例を紹介します。
コンコルド効果とは
コンコルド効果とは、誰もが覚えのある「もったいない」という感情に縛られ決断力が鈍ったり、決断までに迷いが生じている心理状態のことを言います。イギリス・フランスの共同事業である音速旅客機「コンコルド」の開発投資にちなんで名づけられました。
1969年にはじまったコンコルドの開発事業では、多額の予算を費やして成功の見通しが立たなかったにも関わらず事業を継続。ようやく運航停止にいたったのは2003年になってからでした。
このように、費やした時間や金額を惜しむあまり、引くに引けずに損失を大きくしてしまう状態を引き起こす心理を「コンコルド効果」と呼びます。このようなコンコルド効果が生まれるのには、サンクスコストを認められない心理が関係しています。
サンクスコストとは、経済活動を中止や撤廃したとしても、けして回収できない費用のことをいいます。埋没費用ともよばれ、企業計画やプロジェクトの方向転換・中止を決定する際の重要な判断材料です。
損失を最小限にとどめるためには、このサンクスコストをあきらめる合理的判断が求められます。
コンコルド効果の例
ビジネスに限らず、身近な日常生活にもコンコルド効果で説明される事例があります。
ギャンブル
パチンコや競馬など、お金をかけてそれ以上のリターンを狙うギャンブルでは、コンコルド効果が働いています。
ギャンブルの勝率は投資金額や回数を増やしたからといって上がるわけではありません。つまり、これまで費やした金額は、ハズレてしまえばけして戻ってくることはないのです。
しかし、「〇万円かけたから次は大丈夫」「今更あとには引けない」と過熱してしまうのは、投資した時間や金額を無駄にしたくないコンコルド効果が働いています。
恋愛
恋の引き際でも、コンコルド効果が働きます。別れたほうがいいと周りからは言われるけれど、なかなか別れを決断できない。
こうした状況で当事者が考えているのは、「昔は仲よくやっていた」「こんなに長く付き合ったのだから相手が変わるかも」「今更他の人なんて……」と、過去に共にした時間についてです。
別れてしまうと、いままで費やした時間や労力が無駄になってしまうかもしれない。そんな心理状態が、恋愛を終わりを後伸ばしさせてしまいます。
課金できるゲーム
ギャンブルとは異なりますが、課金ができるゲームでもコンコルド効果が働きます。代表的なものは、「ガチャ」に象徴されるようなお金を払い「アタリ」を引く機能です。
狙っているキャラクターが出るまで、なんどでもガチャを回してしまう。「次こそ当たるはず」と思い、気が付いたら多額の金額を費やしてしまった。こうした状態では、サンクスコストをさらに増加させてしまいます。
近年では当たり前となったインターネットのゲームだけではなく、昔ながらにゲームセンターにある「UFOキャッチャー」も、サンクスコストを無視できずに課金を続けてしまうケースが見受けられます。
コンコルド効果を防ぐ3つの方法
では、コンコルド効果に陥りサンクスコストを無駄に増やさないためには、どのようにすればいいのでしょうか?
合理的な判断を下すための3つのヒントをご紹介します。
投資の上限を設定する
ここまで費やしたらもうやめる、といった投資の上限を自分の中で明確にしておきます。それにより、強い意志をもって計画やプロジェクトの中止を決断できるようになります。
もちろんこれはビジネスだけには限りません。「恋人とクリスマスまでに進展がなかったらやめる」「ゲームのガチャは1回〇円までにする」など、あらゆるシーンで上限を意識すると、サンクスコストをコントロールできるようになります。
試算と損切を行う
これ以上続けたらどれくらいの損失ができるのか。続けたとき、成功する確率はどれくらいあるのか。そして成功したあと、どれほどの成果を得ることができるのか。
あらる要素を試算し、見通しを持つことはコンコルド効果に陥るのを防ぎます。その上で、継続した場合の損失が膨らむと判断すれば、サンクスコストを損切することで、被害を最小限に抑えることが可能になります。
ゼロベース思考で切り替える
ゼロベース思考とは、過去と未来を分けて考える思考法です。過去が失敗したからといって、未来までが失敗するとは限りません。過去の失敗は過去のものとし、現在の行動をゼロから考えます。
コンコルド効果は、過去に投資した時間や金額を無駄にしてしまっては、未来に大きな損失を抱えるかもしれないという不安にとらわれています。
ゼロベース思考でこれまでの行為とこれからの未来を切り分けて考えることができれば、損失を認め新たな一歩を踏み出せるようになるでしょう。
コンコルド効果を利用したビジネスとは
コンコルド効果とは人々の行動心理です。優れたマーケターは、こうした行動心理をプロモーションやサービスに反映させます。
以下に、コンコルド効果を活用したビジネス事例をご紹介します。
ポイントカード
一定の金額を購入するとポイントがもらえ、ポイントの上限に達すると商品が無料になったり割引になったりする。こうしたポイントカードの制度は、コンコルド効果を利用し来店を促すものです。
消費者は、「消費によって受けられるメリットがある」と分かっているため、消費先にポイントカードを持っている店舗を利用します。来店の心理的ハードルを下げるマーケティング施策といえます。
月額使用料や年会費
もし月々の利用料や年会費を支払っているサービスをやめようと考えたとき、いつ退会の手続きを行うでしょうか? 月のはじめで月額使用料を支払ったばかりだったら、ひと月は待とうと思うかもしれません。
年会費分がまだ半年以上残っているのであれば、少なくともキャンセルにより返金される割合を確認するでしょう。このように、サービスに対して先払いしている制度でも、「いまやめたらもったいない」とコンコルド効果が働きます。
無料のお試し期間
1週間無料といったお試し期間も、コンコルド効果が働きます。せっかく登録したサービスを解約するのがもったいない。しばらくサービスを利用して慣れてきたので、新しいのに切り替えたくない。
一度、行動を開始するとそれを中止したり新たなものに切り替えたりするには、また別の抵抗が生まれます。このように、サービスに満足をしていれば無料のお試し期間から有料へと切り替えるユーザーが発生します。
コンコルド効果をビジネスに活用しよう
コンコルド効果での心理状態を理解することで、ビジネスに上手に活用することができます。ただし、無理に人々の行動へのハードルを上げるのは、企業や商品へのイメージを悪化させてしまうので要注意です。
人がどのようなときに決断を後押しされるのか。逆に、決断が鈍ってしまうのはどんなときなのか。そうした心理を理解し、サービス利用を気持ちよく後押ししてくれるような施策がユーザーから支持されるでしょう。
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