人事領域でもたびたび耳にする「リソース」という言葉には、人的資源のほかに「モノ」や「カネ」といった経営活動に関わる要素の意味があります。
ここでは、リソースの一般的な意味とビジネスにおける使い方を紹介します。
リソースとは
ここではリソースの意味や、混同されやすいアセットとの違いを解説します。
リソースの意味
リソースは「資源」を示す用語です。「資産」や「供給源」という意味もあります。「リソースが足りない」という文脈では、なにかしらの活動の元となる物質や金銭、余裕がないことを示します。
他にも、IT分野でパソコンの稼働する容量を示す意味で使われます。プログラムやアプリケーションが稼働するために必要なメモリー等を総称しています。
アセットとの違い
アセットは、日本語にすると「資産」です。 「資源」であるリソースは燃料のようなもので、産業や事業に活かすことで価値を生み出します。対してアセットは、特許や証券などそれだけですでに価値のあるものを指す言葉です。
ビジネスにおけるリソースとは
人事領域や経営領域では、「リソース」は企業が経営活動を行う際に必要な経営資源のことを意味します。代表的な経営資源には以下の3つがあります。
・ヒト
・モノ
・カネ
経営資源としてのヒト(人)
企業が活動するにあたり、ヒト=人材は最も重要な経営資源といわれています。優れたサービスも商品も、ヒトの手なしには生まれません。
さらに、適材適所のような形でヒトのリソースをどのように活用するかで企業の生産性が左右されます。少子高齢化で労働人口の不足が指摘されている昨今、ヒトの活用を考えた働き方や人事評価制度が重要になっています。
経営資源としてのモノ(物)
ここでいうモノとは、企業活動に必要な工場や設備、備品等を意味します。ヒトとあわせてモノのリソースの豊富さや効率性が企業利益に関係します。
経営資源としてのカネ(金)
経営資金を意味しています。企業が生産性を高めるには、カネのリソースの戦略的投資が重要です。人材育成のために採用・研修にカネを投下する、生産性を高めるために設備にカネを投資するといった形で使われます。
未来へ投資しつつ、計画性を持ってキャッシュフローを安定させる手腕が経営者には求められます。
そのほか3つの経営資源
経営に関連するリソースとして、近年では「情報」「時間」「知的財産」も重要な経営資源といわれています。
「情報」とは企業が独自に所有するノウハウや顧客データのことを指します。ヒトやモノとは異なり、目には見えませんが企業活動に重要な影響を及ぼすリソースです。
「時間」は経営活動に関連するあらゆる時間を指します。意思決定の時間から、サービス提供にかかる時間など、有限である時間をいかに効率的に活用し生産性を高めていくかが企業には求められています。
最後に「知的財産」とは特許のほかに、人材が有するネットワークなど企業の競争力を支える資源を指します。これらの経営資源を組み合わせ有効的に活用することで、企業は利益を向上させることができます。
リソース管理が重要な理由
リソースを有効活用するための施策を行うことをリソース管理といいます。リソース管理が重要な理由を3つ確認していきましょう。
リソースが売上・利益に直結する
たとえばカネの管理ができていなかった場合、売上の見込めない赤字事業に投資し続けたり、資金ショートを起こしたりするおそれがあります。
ヒトの管理が出来ていない場合は量的・能力的に不可能な仕事を受けてしまい、納期に間に合わず取引先からの報酬を減らされたり、契約を打ち切られたりするかもしれません。
このように、リソース管理は、売上・利益に直結します。
事業やプロジェクトの進行に影響する
リソース管理は、事業やプロジェクトの進行にも影響します。 たとえばプロジェクトのリーダーが各メンバーの仕事量を把握していなかった場合、無理のあるスケジュール・量のタスクをメンバーに振ってしまう可能性があります。
すると時間的・体力的・精神的にタスクをこなせないメンバーが続出し、プロジェクトの進行が予定よりも遅れてしまうでしょう。
また、事業に欠かせない備品や設備の管理ができていなかった場合、モノの不足・故障などで事業がストップしかねません。 このように、リソース管理は事業やプロジェクトの進行にも影響するのです。
人材の定着・活躍に影響する
リソース管理は、ヒトの定着・活躍にも影響を及ぼします。
たとえば従業員の仕事量の管理やサポート・ケアが不十分だった場合、従業員は激務に疲弊したり、反対に仕事が少ないことに不満を感じたりして転職してしまうおそれがあります。 転職にまで至らなかったとしても、社内の活気が失われ、良い雰囲気を保てないかもしれません。
先にも解説した通り、リソースとは事業を行うための燃料のようなものです。リソース管理不足で人材の定着・活躍に悪影響が出れば、事業そのものの継続も難しくなる可能性があるでしょう。
企業がリソース管理をするメリット
企業がリソース管理をすることで生じるメリットは3つあります。それぞれについて見ていきましょう。
自社全体の状況を把握できる
企業がリソース管理をすると、自社全体の状況を把握できます。
たとえば、どこの部署でヒトが余っていてどこの部署で不足しているのか、どの事業で売上が安定していてどの事業がうまく進んでいないのかといった状況がわかるのです。
その結果、現在自社が抱えている問題を俯瞰的に分析できたり、中長期的な売上目標や新たな事業を検討できたりなど、より長い目で現実的に先のことを考えられるのです。
人的リソースの最適化を図れる
リソース管理をすると、人員配置や採用といった人的リソースの最適化も図れます。
たとえばどこの部署でヒトが不足していて、どこの部署でヒトが余っているのかといった人手の管理、各従業員のスキルや実績といった情報の管理などができていれば、適切な人員配置ができます。
各部署に過不足なく、適材適所の人員配置をすれば、今あるヒトというリソースをより効率良く活用できるでしょう。
また、どうしてもヒトが足りない状況なら新たな人材の採用が必要ですが、この際にもリソース管理ができていれば、どこにどのような人材が必要か明確に判断できます。よって、採用コスト削減や採用ミスを防ぐことにつながるのです。
無理なく投資ができる
リソース管理ができていれば、どこにコストや労力をかけるべきか、投資すべき部分を適切に判断でき、無理なく投資ができるようになります。
同じ売上高でも無駄な投資が減ればその分利益が増えますし、削った分の投資額を別の部分に投入することもできるため、事業にとってプラスになるでしょう。
リソース管理の方法
ここからは、ヒト・モノ・カネに情報・時間・知的財産を加えた6つのリソースの管理方法を解説していきます。
ヒト(人材)のマネジメント方法
ヒトのマネジメント方法には、以下のものがあります。
- 人員配置
- 評価制度
- 人材育成
まず、今いる人材のスキルや経験を活かせる人員配置は、パフォーマンスの向上の観点で重要です。合わせて、人材のモチベーションを維持するためには、働きぶりや成果を適切に評価して地位や報酬に反映させる評価制度の充実も必要でしょう。
さらに、将来的により良いパフォーマンスをしてもらうために、研修などを通して人材育成をしていくこともポイントです。
モノのマネジメント方法
モノのマネジメントでは、自社商品や備品、オフィス、営業車などを管理する必要があります。 新たな備品や設備を投入する場合は、初期投資額のみならずランニングコストや処分時の費用も検討することが重要です。
たとえば初期投資額が大きすぎるなら中古を、処分時のコストが大きいならレンタルを利用するのも良いでしょう。
また、長年レンタルしている備品の必要性を再検討する、必要なときに必要なものがすぐ手に取れるよう整理整頓しておくなどもモノのマネジメントに含まれます。
カネのマネジメント方法
カネのマネジメントでは、企業の運営に必要な資金を管理します。
たとえば、決算書の作成や財務分析、キャッシュフローの確認などがカネのマネジメントにあたります。ほかにも各種税金対策もカネのマネジメントに含まれるでしょう。
資金を投入している物事について費用対効果を再確認し、削れるコストはないか検討することが重要です。
情報のマネジメント方法
情報のマネジメントとは、社内での情報の流れを整えたり、必要な情報を蓄積したりすることです。
同じ企業でも部署や地位によって普段アクセスしたり、活用したりする情報は異なります。よって、情報の流れを整理し各自が必要な情報にすぐにたどり着けるようにしておけば、効率良く仕事を進めていけるでしょう。
また、各自が持つ知識やノウハウといったナレッジの情報を社内で共有できるようにしておくと、退職や人事異動に伴う引き継ぎがスムーズに進みます。
時間のマネジメント方法
時間のマネジメントとは、限りある時間の中でいかに効率良く仕事を進めるか管理することです。
個人単位では、仕事の優先順位をつける、一部の仕事を他人に任せる、時間を区切って仕事の到達目標を設定するといった方法が効果的でしょう。
会社単位では、部署やチームの得意分野に合わせて仕事を割り振る、社外とのミーティングをオンラインにして移動時間を減らすなどの方法があります。
知的財産のマネジメント方法
知的財産のマネジメントとは、技術や商標、デザインなどの知的財産を法的に保護し、事業に活かすことです。
社内における知的財産を適切に保護しなかった場合、競合他社などに利用されてトラブルになったり利益を逃したりするおそれがあります。
そのような不利益やトラブルに陥らないように、知的財産の種類に応じて特許権、商標権、著作権、意匠権、実用新案権などを取得するのが知的財産のマネジメント方法です。
適切なリソース管理を実現する具体的な手法
続いて、適切なリソース管理についてより実践的かつ具体的な手法を3つ紹介します。
人事部のテコ入れ、担当者の育成
リソース管理として、人事部のテコ入れ・人事担当者の育成は有効な方法です。
現在人事部で働いている従業員は人事に関する知識や経験はあるかもしれませんが、営業やマーケティングといった社外向けに働く部門の実情には詳しくないことがあります。
人員配置や評価制度について、うまく現場の声を拾えていない可能性があるのです。よって、人事部以外で働いていた従業員を人事部に入れたり、人事担当者の育成を行ったりすると、より良いリソース管理ができるようになると考えられます。
外部の専門家に業務委託する
外部の専門家に業務委託することも、1つの手段です。
たとえばカネの管理を外部の税理士に委託したり、従業員の研修を外部の研修会社に任せたりすれば、時間や労力をカットできるだけでなく、費用を上回るメリット・効果を得られることがあります。
人手不足を人材派遣会社の利用によって補ったり、専門的な業務を外部の専門家に依頼したりするのも良いでしょう。
リソース管理の社内規定を定める
モノや情報、知的財産といったリソースは、社内の従業員が活用する機会も多いです。規定を定めて管理方法を徹底することで、情報漏洩やモノの損壊・紛失、知的財産権の侵害などを防ぎましょう。
単に社内規定を定めるだけでなく、それを全従業員に周知することも重要です。
リソースを適切に管理しよう
リソースには、ヒト・カネ・モノ・情報・時間・知的財産などがあります。管理方法は対象によって異なりますが、適切に管理しなければさまざまな面で事業に影響が出るため、リソース管理は非常に重要です。
たとえばヒトの管理であれば、人員配置や育成とともに評価制度の充実もポイントとなります。あしたのチームでは人事評価クラウドや人事評価シートをご用意しております。ぜひご活用ください。
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