ビジネスシーンで耳にする「バーター」や「バーター取引」という言葉。その意味をきちんと理解しておけば、顧客と新しい形での取引を行なうきっかけになる可能性もあります。
そこで今回の記事では、バーターという単語の意味、類語、使用方法や具体的な事例を紹介していきます。
バーターとは
バーターは「交換する」「物々交換」「交換条件」を意味する言葉で、英語の「barter」が語源とされています。ビジネスシーンでは、金銭のやりとりではなく、互いの商品やサービスを交換することで行なう取引を「バーター取引」といいます。
なお、芸能界におけるバーターとは「知名度の高い人物と、そうでない人物をセットで売り出すこと」をいい、ビジネスシーンにおける意味合いとはニュアンスが異なります。
バーターの類語
バーターに似た言葉には、次のようなものがあります。
・抱き合わせ
売れている物やサービスと、そうではない物やサービスをセットにして売り出すこと。
・トレード
物と物、人と人を交換することや、売買の取引をすること。また、プロ野球などにおいては、選手の交換や移籍を行なうことをいいます。
・チェンジ
交換したり交代したりすること。その他にも、両替するという意味などもあります。
・代物替
江戸時代の長崎で行なわれていた、海外貿易の取引方法です。代物替ではお互いに提供する商品の金額が同じようになるよう、数量を調整して物々交換を行ないます。
バーターの例文
ここでは、日常生活で見られるバーターの例文をいくつか紹介します。
「あなたの庭の手入れを手伝う代わりに、私の車の故障をみてもらえませんか?」
「旅行中に私の犬のお世話を代わりにしてくれたら、代わりにあなたの子供の面倒を数日間見ます」
「今度私のレシピの料理を作ってくる代わりに、この料理のレシピを教えてくれませんか?」
バーターはお金を介さずに価値を交換する方法であり、双方のニーズやリソースを活用することができます。相手との交渉や協力が必要ですが、お互いにメリットがある関係を築くことができるため、経済的な効率性や人間関係の構築に役立つ手段です。
ビジネスにおけるバーターとは
バーターは顧客に対しても、社内の人物に対しても使用できる単語です。例えば下記の通り使用します。
<顧客や取引先などに対して使用する場合>
・弊社の商品と、御社の商品をバーターしてください。
・バーター取引の条件を再度検討していただけないでしょうか?
<同僚や部下をはじめ、社内で使用する場合>
・あなたと私の仕事をバーターしませんか?
・A社とのバーターによる取引が成立しました。
なお、バーターという単語を用いなくても、「うちのサービスを提供するので、御社の商品をいただけませんか?」「あなたの代わりに書類作成を行なうので、午後の会議の進行役を代わって欲しい」といった、物々交換や交換条件の交渉を行なう取引は、バーターによる取引と言えます。
バーター取引のメリット・デメリット
メリット | ・資金不足に対応できる ・双方にメリットがある ・関係性を強められる |
デメリット | ・価値に不均等が起こる可能性がある ・代替手段が制約される ・時間と手間がかかる |
大きなメリットとしては、お金を使わずに取引が行われるため、資金が不足している場合でも必要な商品やサービスを手に入れることが挙げられます。お互いのニーズに合わせて交換が行われるため、双方が必要なものを得ることができ相手との関係を築ける点もメリットでしょう。
ただし、デメリットとしては、交換する商品やサービスの価値が均衡しない場合、公平な取引が行われない可能性があります。価値の評価や交渉が難しい場合、トラブルが生じることもあるでしょう。
また、バーター取引は限定的な範囲で行われるため、必要な商品やサービスが常に利用可能とは限りません。バーター取引は交渉や協議が必要なため、時間と手間を要する点もデメリットです。
業種別のバーター取引とは
ここでは業種別のバーター取引をいくつか紹介します。
石油業界
様々な業界や企業で行なわれているバーター取引ですが、特に石油業界では活発にバーター取引が行われています。
具体的な取引内容としては、石油会社間で互いに同量・同価格の石油製品(ガソリン、灯油、軽油など)を融通しあうというものです。
もともと石油製品は、下記のような流れで利用者の手元に届きます。
製油所(石油製品を製造する施設)
↓
油槽所(一時的に石油製品を貯蔵する施設)
↓
各地のサービスステーション
↓
利用者
ただこの流れでは、各地のサービスステーションに石油製品を届けるために、多くの地域に油槽所を保有する必要があります。
そこでバーター取引をすることで、互いの製油所から直接各地のサービスステーションへと石油製品を輸送できるようにしたのです。
それにより物流コストを削減できたり、エネルギーを安定的に供給しやすくなったりと、互いにとって良い効果が得られるようになりました。
不動産業界
不動産のバーターには、デベロッパーやゼネコンが再開発をするための用地を取得するために、不動産の所有者との間でバーターが行われる取引形態があります。修繕などが必要でポテンシャルを活かしきれていない不動産所有者の物件とデベロッパーが保有する収益物件とをバーターする取引です。
これにより、デベロッパー側は取得困難な開発用地を入手することができ、不動産所有者は不動産の売却や購入に伴う現金の出入りを必要とせず収益見込みの物件を得られるメリットがあります。
また、不動産所有者が一定期間賃料を無料とする代わりに、契約を取り付ける方法についても不動産業界のバーターと言えるでしょう。
広告業界
広告業界では、CMなどの広告やメディアの利用料などの費用が発生します。バーターは、費用を現金で支払わずに商品やサービスの提供と引き換えに広告スペースやメディアを利用する取引方法です。現金を使わずに商品やサービスを提供するため、広告費用を抑えつつ
広告により潜在的な顧客層へアプローチできます。
また、複数のパートナーとバーターを行うことで、リスクを分散し、互いのビジネスを支援することができます。バーター取引は広告業界で一般的な取引形態ですが、価値の評価や取引条件の合意などには注意が必要です。相互のニーズやリソースのバランスを考慮し、相互利益を追求することが重要です。
バーター取引の成功事例
ここでは資生堂の返品削減の取組みにおいて、バーター取引が活用された成功事例を紹介します。資生堂は返品商品を削減するため、社員への啓発活動や店頭在庫縮減など積極的に取り組んできました。
その一環として、終売予定の商品について取引先企業との協業を図ることにより返品削減につなげました。具体的には、改廃予定商品の案内を早めるなどの他に、得意先企業内における在庫のバーター取引を実施。
バーター取引により必要とされる店舗で終売前に在庫を適切に配分することが可能となり、結果として、終売商品の店頭在庫の最適化を実現しました。
資生堂ジャパン株式会社「メーカー(製)における返品削減の取組み事例」
https://www.gs1jp.org/forum/pdf/2017_shiseido.pdf
バーター取引を上手に活用しよう
バーター取引を上手に活用することは、効果的なビジネス戦略の一環となります。バーター取引は、現金を使わずに商品やサービスの提供と引き換えに取引を行う方法です。バーター取引を上手に活用するためには、相手とのニーズを理解し、相互の利益を追求し取引条件を明確にする点に注意しましょう。
バーター取引の上手な活用は、コスト削減や新たなビジネスチャンスの創出などをもたらし、企業の成長に貢献することが期待できます。
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