AIの台頭やDXの推進など、今やIT技術はビジネスの成長に欠かせないものとなっています。ITに関係する職種の中でも、データサイエンティストは、蓄積されたデータから企業の課題や見通しを正確にとらえ、ビジネス戦略に役立てる重要なポジションです。
本記事では、データサイエンティストの意味、仕事内容、必要されるスキル、給与相場、求人、採用のコツなど紹介します。
データサイエンティストとは
データサイエンティストとは、ビッグデータなどの膨大な情報から必要なデータを収集し、分析することでビジネス戦略に活かす職業です。データサイエンティストは、既存のビジネスの反省点を探り課題の解決に活かしたり、新たなビジネスを展開したりするために情報収集・分析を行います。
情報通信技術の飛躍的な発展を背景に、企業で蓄積されるデータは膨大な量となっているもののデータを活用しきれていない企業も少なくはありません。2013年に一般社団法人データサイエンティスト協会が設立されるなど、日本でもデータサイエンティストの育成に力を入れられるようになりました。
データサイエンティストの仕事内容
それでは、データサイエンティストとは具体的にどのような仕事をするのでしょうか。ここでは、データサイエンティストの主な仕事を3つ紹介します。
ビッグデータの分析
データサイエンティストは社内に蓄積されたデータ、例えばSNS、WEBサイト、通販サイト、顧客情報、広告へのアクセスなどや、ITシステムから収集した外部のデータから分析を行います。
取集された膨大なデータから必要なデータを抽出し、設定されているKPIへの報告や、蓄積されたデータから新たな情報の発見、問題の原因調査などさまざまな目的で分析が行われるのです。
分析データの活用
分析データの活用もデータサイエンティストの主要な仕事です。分析は膨大なデータより抽出したデータから、目標を定め社内で活用される場合と外部で活用される場合とがあります。仕事の流れは同じで、分析対象を管轄している業務責任者に話を聞き、分析の目標を設定し、データ処理を行っている実際の実務担当者から情報収集し、分析データの内容を確認。
データを加工しながら、データ処理の枠組みを検討します。枠組みの決定後は、それが適切かどうか効果の検証を行い、さまざまなデータを加味し有効なモデルか確認し、本格的な分析機能としてサービスを実装します。その他、ビジネス目線で分析データを活用した提案など行うデータサイエンティストもいるでしょう。
分析環境の構築
データサイエンティストの仕事には自身が使用する分析基盤環境の構築・運用も仕事内容に含まれます。分析環境の構築には、収集、蓄積、操作が発生し、データを収集・保管する環境を整備。
業務システムやSNSなど複数のソースからデータを収集する環境を構築・運用し、Hadoop・MySQLなどのデータベース環境を構築・運用。BIツールやHive、pigのような操作環境を構築・運用します。
データサイエンティストの資格
データサイエンティストになるために必要な資格はあるのでしょうか。データサイエンティストになるために必須の資格はありません。ただ、データサイエンティストとして必要な知識を得るための検定や資格はあります。
特に、一般社団法人データサイエンティスト協会主催のデータサイエンティスト検定™リテラシーレベルはデータサイエンティストのモデルカリキュラムを基に、実務能力と知識を証明する試験のため役立つでしょう。
参考:一般社団法人 データサイエンティスト協会 データサイエンティスト検定 リテラシーレベル
データサイエンティストに必要とされるスキル
ここではデータサイエンティストの仕事に必要とされる基本的なスキルを3つ紹介します。
ITスキル
データサイエンティストの業務には幅広いITスキルが欠かせません。
システム運用の方法論、ウォーターフォール、アジャイルなどの開発手法や知識など分析基盤環境の構築・運用には欠かせません。またビッグデータを扱えるようHadoop、HBase、Hive、pigなどオープンソースの知識をベースにビッグデータの高速処理の技術領域もフォローしていくことが必要でしょう。
データベースを使用する際の知識も必須で、SQLでデータを抽出は基本として、INDEXの貼付、レプリケーションの利用などパフォーマンスを低下させないスキルが中心です。他、プログラミングを書く機会も多いので、Ruby、Pythonなどスクリプト系言語をひとつは習得しておきましょう。
分析スキル
統計解析スキルも必須です。そもそもデータ分析の共通後である数学は最低でも必要で、高校卒業程度の数学、特に確率・統計、微分積分、行列と、できれば大学で習得する解析学、線形代数学も押さえておくとよいでしょう。
次に、データ分析手法の理解が必要で、統計処理手法やデータマイニング手法を習得し、重回帰分析、クラスタリング分析などを扱えるようにします。結論を導きだすためにどの分析方法でも選べるよう知識を蓄積してきましょう。その他、データ分析ソフトウェアのノウハウも必須です。Excel、Rを基本として、企業の規模によってはSPSSが必要とされるでしょう。
ビジネスの知識・経験
データサイエンティストにはデータを活用して事業を発展させるというミッションがあるため、ビジネス構造への幅広く深い知識が必要とされます。経営企画や事業部門、営業企画などでの実際の実務経験も役立つでしょう。
特にマーケティングの知識を中心に、どのようなビジネスモデルが存在し、分析する箇所はどこか、ユニークで新たな事業は見込めるかを分析・企画立案できるように好奇心をもって習得していきましょう。
データサイエンティストの給与相場
データサイエンティストの給与の給与はどれくらいなのでしょうか。ここでは、厚生労働省が発表している就業者統計データを基に給与相場を紹介します。
調査結果によると、令和3年度全国でのデータサイエンティスト平均年齢は42.6歳で年収は531.9万円でした。こちらを東京都に限定すると、平均年齢43.7歳で554.1万円で微増。
同じ指標で、IT関連の営業の場合、全国平均年齢41歳で601万円なので、データサイエンティストは深いかつ広い知識を必要とされる割に給与が低めの印象を受けます。ただ、就業形態が比較的派遣社員、契約社員、フリーランスがIT営業よりも多く、副業も手がけるようなより自由な働き方をしている層が担っているからという見方もできるでしょう。
参考: 厚生労働省 職業情報提供サイトjobtag「データサイエンティスト」
データサイエンティストの求人とは
データサイエンティストはIT企業や大手企業を中心に製造業・サービス業が多い傾向です。データ分析を専業とする場合は、中小企業が多いです。ビッグデータの分析や活用のニーズが高まってきている中で、人材不足は明らかであり今後報酬など処遇がよくなる可能性があるでしょう。
データサイエンティストになるには
データサイエンティストになるためには、どのようなキャリアを積むべきなのでしょうか。ここでは、データサイエンティストになるための方法を紹介します。
データサイエンティストは、統計学、数学、情報工学を大学院で専攻し修めている場合が多いです。データ収集・分析の基礎があると仕事を始めるのにスムーズです。
新卒では、大手IT企業、製造業、サービス業が多く、その後転職する場合は、情報処理技術者、通信技術者、マーケティングリサーチャー、製造業の研究職から転身することが多いでしょう。データサイエンティストはITスキル、分析スキルの他ビジネスの知識、コミュニケーション能力も必要など幅広いかつ深い知見をカバーする必要があるので、どこかに強みをつくり活かして仕事に就くことが必要です。
データサイエンティストの採用のコツ
データサイエンティストを採用するコツを3つ紹介します。
採用担当者に経験者を置く
第一に、採用担当者にデータサイエンティストの経験者もしくはデータサイエンティストの力を借りることが必要です。データサイエンティストはビジネス、IT、分析手法・ツールへの幅広い知識が求められます。
特に、IT、分析手法・ツールについては知見がないと、候補者の能力を推測することは難しいです。また、自社で創出したいビジネスがどこをコアにしており、どのようなスキルをメインに期待したいのか明らかにしておく必要があります。そのため、経験者もしくは在籍するデータサイエンティストを採用担当者として設置しましょう。
スキルを確認する
紹介してきたビジネス、IT、分析に関するスキルの確認は欠かせません。
それぞれベースで必要とされるスキルは必須で確認し、自社ビジネスのコアで必要とされる分野は「もしこういった事態が発生した場合どう対処するか」というシュミレーション形式での質問が効果的です。
例えば、ITスキルがコアで必要とされる知見なのであれば、パフォーマンスの障害が起こった場合の解決法、対処手順、評価の方法など確認しましょう。
経験を確認する
データサイエンティストの採用には経験を確認することも重要です。
前職での経験、新卒採用であれば大学・大学院での学んだ内容を明確に確認しておきます。前職がデータサイエンティストでなかったとしても、プロジェクトの管理スキルやマーケティングにおける分析スキル、チーム環境でのコミュニケーション能力など強みとなるスキルを持っているケースもあります。
しっかりと話を聞いて、自社の求めるデータサイエンティストの人物像とマッチするか検討しましょう。
データサイエンティストをうまく活用して企業の戦力にしよう。
今後、企業でのビッグデータおよびDXの活用が進んでいく中で、データサイエンティストの役割はますます重要となってきます。
データサイエンティストといっても得意とするスキルや、成果物には違いがあります。まずは自社で必要とするデータサイエンティストの人物像を明確化してから、適切なスキルを保有したデータサイエンティストの人材確保に努めましょう。
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