フレームワークは、発想や情報伝達などの多様な目的で使用されています。なかでも、5W2Hはビジネスシーンで役立てられるフレームワークの一つです。5W2Hという言葉は知っているものの、活用方法がいまいちわからないという方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、5W2Hの概要や必要性、活用方法などを紹介します。5W2Hを使用する際のコツも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
5W2Hとは
5W2Hとは、情報を整理して分類し、論理的な構成になるように集約するためのフレームワークです。「W」から始まる5つの英単語と、「H」から始まる2つの英単語の頭文字と、その数をとって「5W2H」と略した言葉で呼ばれています。5W2Hは、以下の7つの要素から構成されているフレームワークです。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
- How much(どのくらい)
5W2Hのすべての要素を盛り込むと、情報を網羅できます。また、思考を整理したり収集した情報の要点をまとめたりする際に便利です。7つの要素の正しい順番や、それぞれの詳しい意味については後ほど解説します。
5W1Hや7W2Hとの違い
5W2Hのほかにも、5W1Hや7W2Hと呼ばれるフレームワークがあります。5W1Hとは、5W2Hのうち、「How much(どのくらい)」を除いたものを指します。一般的に、思考したり、自分の意見を相手に伝えてコミュニケーションを取ったりする場合に用いられています。
7W2Hは、5W2Hに、複数の選択肢を提示する際に役立つ「Which(どちら)」と、特定のターゲットや対象者を表す場合に用いられる「Whom(誰に)」の2つの要素を加えたフレームワークです。ビジネスシーンでは、マーケティングなどの戦略を立てる際に利用すると便利です。活用するタイミングや目的に合わせて、適切なフレームワークを選ぶと良いでしょう。
5W2Hの正しい順番
5W2Hのそれぞれの意味と使用時の正しい順番を解説します。
1.When(いつ)
5W2Hで最初に入れる「When(いつ)」は、時間を表すための要素です。日時や期限などを相手に伝えたい場合に用いられます。Whenの要素が抜け落ちると、納期の再確認が必要になったり、顧客から打ち合わせの日時の問い合わせが来たりして二度手間になるので注意しましょう。
2.Where(どこで)
「Where(どこで)」は、特定の場所を表します。場所が明確になることで、目的地までの所要時間や交通手段を調べられたり、どこで待っていればいいのかがわかったりするため、情報伝達の際に欠かせない要素の一つです。
3.Who(誰が)
「Who(誰が)」は、対象の人物や企業を指す要素で、「誰に」を表す場合にも用いられています。「Who」が明確になると、窓口の担当者は誰なのか、誰から承認をもらえばいいのか、などが明確になります。
4.What(何を)
「What(何を)」は、内容やコンテンツを表す要素です。「あれをお願いします」「今日中に終わらせといて」など、「What」が漏れた内容を伝えると、聞いた相手は何をすればいいのか理解できなくなります。
5.Why(なぜ)
「Why(なぜ)」は、根拠や理由を示す場合に用いられる要素です。「Why」が明確だと、説得力をもち、相手が納得感を得たり実際の行動に落とし込めたりできるようになります。ビジネスでは、憶測だけで発言や提案はできないため、「Why」が漏れることがないように気をつけましょう。
6.How(どのように)
「How(どのように)」は、具体的な方法や手段を指している要素です。「How」が適切に選択されなければ、目標の未達成やムリ・ムダ・ムラの発生、業務効率の低下など、企業に損失を与えるリスクが高まります。マーケティングでは、ターゲットと接触機会を増やすための媒体を表す場合もあります。
7.How much(どのくらい)
「How much(どのくらい)」は、金額を表しています。一般的に、提供する商品・サービスの価格を設定する場合やコストを見積もる場合に不可欠な要素です。「How much」が抜け落ちると、資金計画を立てられなくなったり、プロジェクトにかかる予算を計算できなくなったりします。「How many(いくら)」の意味で活用されるケースもあります。
ただし、上記の順番はあくまでも基本的なものであり、重要な要素を最初にもってくる、相手が理解しやすい順番に入れ替えるなど、状況や場面に応じて変えることもできます。
5W2Hの必要性
5W2Hがビジネスで必要とされているのはなぜでしょうか。ここでは、5W2Hの必要性を解説します。
具体的な情報を伝達できる
5W2Hは、情報を相手に伝えるときに重要な役割を果たします。5W2Hのすべての要素が盛り込まれていれば、「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように・どのくらい」が明確になるため、具体的な情報を迅速に伝えられます。
たとえば、取引先から電話を受けた際に、5W2Hを活用して情報を聞き出すことができれば、後になって不明点が出てくる心配がありません。また、上司に話をするときに、抜けや漏れのない報連相(報告・連絡・相談)を行えます。
過不足のない説明ができる
5W2Hを活用することで、説明不足になる状況を避けられます。5W2Hに当てはめた内容を考えれば、要点を押さえられるため、相手の納得感を得やすくなります。
たとえば、過不足のない説明ができれば、結論は何か、結論に至った根拠は何かを明確にしながら説明できるため、相手から「つまり何を言いたいのか」「どうしてその結論になるのか」といった不満の声が上がりにくくなるでしょう。5W2Hを活用すれば、要点を押さえつつムダのない説明ができます。
思考・物事を整理するのに役立つ
5W2Hは頭の中で考えていることや、実際に起きている状況を把握するときに活かせます。5W2Hの要素に当てはめていくことで、不要な考えや情報を精査できるようになるため、ごちゃごちゃになっている思考が整理されたり、過剰な情報の中から重要なものだけをインプットできるようになったりします。
5W2Hのビジネスでの活用方法
5W2Hの具体的な活用方法がわからなければ、ビジネスに活かせられません。逆に、フレームワークを何に活用できるのかがわかれば、効率的に業務をこなせるようになるでしょう。ここでは、ビジネスにおける5W2Hの活用方法を解説します。
報告書・議事録などの書類作成
5W2Hは、日報や会議の議事録などの書類を作成する際に役立ちます。5W2Hに沿って内容を記載すれば、抜けや漏れのない報告書を作成できます。また、会議や打ち合わせなどで書記を任された場合でも、発言者の一言一句を記録しなくても要点がまとまった議事録を作成できるでしょう。
書類のフォーマットを作成する際は、5W2Hを満たす記載項目を設定することで、人によって情報の漏れがあるという事態になるのを避けられます。
新規事業のコンセプト作り
5W2Hは、新規事業のコンセプトを検討する際に便利です。コンセプト作りで重要になる検討項目は、5W2Hの「いつ・どこで・誰に・何を・なぜ・どのように・どのくらい」に当てはめることができます。たとえば、店舗を開業する場合は、次の検討項目を設定できるでしょう。
- いつ:開業時期・営業時間
- どこで:物件・立地
- 誰に:ターゲット層
- 何を:商品・サービス
- なぜ:出店の目的・目標
- どのように:提供方法(オフライン・オンラインなど)
- どのくらい:開業資金・ランニングコスト
事業のコンセプトに抜けや漏れがあると、その事業が失敗するリスクが高まるため、5W2Hを活用してコンセプトを具体化するようにしましょう。
マーケティング戦略の検討
5W2Hは、マーケティング戦略を立案する際にも活用できます。5W2Hの活用により、いつ、どこで誰に何を提供するのか、いくら必要なのかなど、ターゲットの設定や実施方法、予算などを明確に提示できるようになるでしょう。
また、「How much(どのくらい・いくら)」の要素があることで、商品・サービスの価格設定や販売数量などの分析を効果・検証できるため、マーケティング施策の改善をスムーズに進められます。
新商材の開発
5W2Hは、新商材の開発をする際に活かせます。5W2Hを活用すれば、発売時期はいつで、どこで販売するのか、誰をターゲットするのか、どのような目的でこの商品を届けたいのか、商品の内容量や価格、販売方法はどうするのか、などを明確に設定できます。
5W2Hを使用する3つのコツ
正しく使用しないと、5W2Hの本来の役割をはたせず、論理性が欠けた説明・内容になる恐れがあります。5W2Hは、以下に挙げる3つのコツを意識して活用しましょう。
1.紙に書き出す
5W2Hが自然と身につくまでは、面倒でも紙に書き出すことをおすすめします。5W2Hの7つの要素を頭で考えようとすると、かえって混乱してしまい思考を整理できなくなります。
また、1つでも抜けや漏れがあると前述したように、新規事業・商品開発の失敗など、企業に大きな損失を与えかねません。5W2Hの項目を書き出したメモ用紙を作成しておけば、項目の記載漏れを防げる上に、メモ用紙に項目を書き出す手間が省けます。
2.目的に合わせて順番を入れ替える
5W2Hを使用する際は、相手がすんなり理解できるかどうかを考えた上で、要素の順番を入れ替えることが大切です。5W2Hには正しい順番がありますが、重要な項目が最後にある場合、順番のとおりに使用しても前ふりの長い説明になるでしょう。目的や用途に合わせて、要素の順番を変えて使用しましょう。
3.異なる視点を取り入れる
5W2Hを使用する際は、異なる切り口を取り入れるようにしましょう。上司への報連相や説明をする場合は、5W2Hの順番のとおりに話せば支障が出ることはないでしょう。しかし、企画の提案やプレゼンテーションなどの資料を毎回同じ切り口で作成すると、聞き手を飽きさせてしまう恐れがあります。
異なる視点を取り入れる場合は、まず正しい順番で5W2Hに当てはめていき、どのような切り口で話を進めれば聞き手の興味を引くことができるのか、考えるようにしましょう。
5W2Hをビジネスシーンで活用しよう
5W2Hは、思考を論理的に整理したり、抜けや漏れのない情報を伝達したりする際に用いられるフレームワークの一つです。情報伝達に活用すれば、より具体性のある情報を相手に伝えられます。また、上司への報連相の際に、過不足のない説明ができるでしょう。
5W2Hは、書類作成やコンセプト作りなどのさまざまなビジネスシーンで活用できます。相手にわかりやすく具体性のある情報を伝えたいという場合は、5W2Hを活用してみてはいかがでしょうか。
人事評価で活用するフレームワーク”Will-Can-Must”については、以下の記事を参考にしてください。
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