ネゴシエーションの意味とは?相手が円満にYESと言う交渉方法を解説

ネゴシエーションしている男性のイメージ
(画像=Pattanaphong Khuankaew/iStock)

ネゴシエーション(交渉)は、お客様との商談のみならず、社内での他部署への依頼や、上司への説得など、仕事のさまざまな場面で行われています。

「なかなか商談に成功しない」「上司にわかってもらえない」と悩みを抱えている方は、ネゴシエーションスキルを磨くことで解決できるかもしれません。

今回は、ネゴシエーションの意味や、ネゴシエーションスキル、具体的なネゴシエーションの手順を解説します。

ネゴシエーションの意味

ネゴシエーション(negotiation)とは交渉や折衝を意味し、当事者同士が何らかの合意・調整を達成する目的で、お互い情報を提供しながら議論を行うことを指します。

ビジネスの現場においては、顧客と営業担当者との商談がネゴシエーションの代表的な例です。

その他にも、部門間での業務プロセスの調整や、取引先との仕入れ条件の調整、労使間での待遇条件の取り決めなど、さまざまな場面でネゴシエーションは行われます。

まずはネゴシエーションの成功地点を理解する

さまざまなビジネスシーンで活用できるネゴシエーションですが、何を以てネゴシエーションは成功と言えるのでしょうか?

ネゴシエーションへの誤った理解

「無理やりにでも交渉相手に要求を承認させる」ことが、ネゴシエーションの成功だと思っている方も多いのではないでしょうか。これは大きな勘違いであると言えます。

相手の話もろくに聞かずに、正論をつきつけて自分の要求を承認させる行為は成功とは言えません。

例えば、相手を理詰めで説き伏せるプレゼンテーションはその典型的な例です。

ネゴシエーションの際、自分の都合だけを相手に強要したり、あるいは、相手を騙したりして自分に有利な結果を引き出すことは、後のトラブルにもつながる恐れがあります。

繰り返しになりますが、相手に無理やり要求を押し付ければ、それで成功と言うわけではないのです。

ネゴシエーションの成功を判断する3つの基準

ネゴシエーションを成功に導くためには、成功かどうかを判断する3つの基準を理解することが必要です。

米国ハーバード大学交渉学研究所のロジャー・フィッシャー氏とウィリアム・ユーリー氏による著書「ハーバード流交渉術―イエスを言わせる方法」によると、ネゴシエーションの成否は、下記、賢明な合意・効果的かどうか・関係改善で決まります。

1.賢明な合意

ネゴシエーションは相互で信頼した上でコミュニケーションを行い、建設的な結論を導く「賢明な合意」を目指します。

議論が平行線のままだと合意にすら至りませんし、どちらかに負担や利益が偏ったまま結論を出すと、後々良好な関係を築くことは難しくネゴシエーションが成功したとは言えません。

2.効果的かどうか

ネゴシエーションの合意の内容は、有意義なものである必要があります・

交渉ごとは双方が何らかの利益や状態改善を望んでいるから実施するもので、ネゴシエーションの結果、何の成果もなければ意味がありません。

3.関係改善

ネゴシエーションは、交渉に参加した当事者間の関係性をよりよいものに導くことを目指します。

相互の関係を信頼のおけるものに改善できれば理想ですが、それが難しいなら少なくとも関係を損なわないことが条件です。

ネゴシエーションを成功させる4つのポイント

ネゴシエーションを成功させるには、事前準備と心構え、交渉テクニックが必要です。

ここでは、ネゴシエーションを成功させる要素のうち、基本的な4つのポイントを紹介します。

合意ラインを明確化する

ネゴシエーションの事前準備として、合意ラインを明らかにしておくことは必要不可欠です。

交渉では、想像よりもよい結果を得られることもありますが、一方で満足できないような要求をされるケースもあります。

ネゴシエーションの結果として最悪のケースの1つとは、交渉はまとまったものの自社が受け入れられないような条件で妥協してしまうことです。

ネゴシエーションで一度合意してしまうと、その後に覆すのは簡単ではなく、場合によっては長い期間にわたり不利な条件でのビジネスを強いられるかもしれません。

このような事態を避けるためには、あらかじめ社内でよく協議した上で、絶対に譲れない最低ラインを明確に定めておくことが重要です。

信頼関係を構築する

実際のネゴシエーションの場では、相手と信頼関係を構築することが大切です。

不信感を前提に、警戒心を持ったまま心を閉ざして交渉してもお互いの本音は引き出せません。

交渉において利害が対立するのはやむをえませんが、それでも譲れるポイントと譲れないポイントをある程度明かしつつ、双方が一致できる地点を模索する建設的な姿勢が重要です。

リスニングを効果的に活用する

ネゴシエーションの場面で信頼関係を構築するための手段としては、傾聴の姿勢を取ることが効果的です。

交渉では自分の要望を押し付けるだけでは成功に結びつきません。双方が心を開いて議論を活発にするには相手の話に耳を傾けて共感する姿勢が大切なのです。

有効なリスニングのテクニックとしては、受け止める、言い換える、質問するという3つの手法があります。

受け止めるとは、相手の発言に逐一反論せず、まずは相手の話を一旦受容することです。次に、理解していることを示すために適宜言い換えを行います。

そして、相手の要望を深掘りするために質問を行うのです。このようなテクニックはコーチングでも使われているもので、ビジネスの交渉シーンでも大いに活用できます。

自分の望みを的確に伝える

ネゴシエーションで望む結果を得るには、自分の要求をわかりやすく相手に伝える必要があります。

交渉ごとでは、自分の要求が明確に伝わっていると思っていても、意外にも相手が十分に理解していないケースも珍しくありません。

ネゴシエーションに必要な3つのスキル

ネゴシエーションを的確かつスムーズに行うには、さまざまなスキルが必要です。

ここでは、相手を観察する力、自分を客観視する力、妥結策を見つけ出す力の3つのスキルを紹介します。

相手を観察する力

相手を観察し、要求や関心ごとを敏感に察知できる力はネゴシエーションで役立ちます。

交渉は、自分の要求を押し通すだけで通用するものではなく相手にもメリットがなければまとまりません。

交渉をスムーズに妥結に導くには、自分の要望を伝えることだけでなく、むしろ相手のニーズを的確に掴む必要があるのです。

交渉相手は、さまざまな方法で興味関心を示します。

直接言葉として伝えてくれることもあれば、口には出さないものの、表情、沈黙、ボディランゲージなどで暗示的に示す場合もあるものです。

こういったシグナルをヒントに相手の要望や不満を汲み取ることができれば、相手にとって魅力ある提案もしやすくなり、ネゴシエーションがまとまる確率が上がるでしょう。

自分を客観視する力

どのような交渉シーンにおいても、自分の行動や発言を客観的に分析できる力はネゴシエーションで重宝します。

自分を客観視する能力があれば、交渉の場面で感情や流れに身を任せることなく、常に冷静な判断が行えるでしょう。

交渉ごとは、自分が逆境に立たされている時や、あるいは、自分の要求があと少しで通せそうな時など、さまざまなシーンがあるものです。

その時々によって、必要以上に焦ってしまったり、自信過剰になってしまったりすると、思わぬ形で足元をすくわれる可能性があります。

交渉時に自分の状況を見誤ってしまうと、交渉の決裂や、不利な条件を突きつけられるリスクがあるのです。

妥結方法を導く力

ネゴシエーションの最終的な答えを導く力も重要です。

交渉はプロセスも大切ですが、最後にまとめるためには双方にとって合意できる一致点を誰かが示さなければなりません。

つまり、相互理解や交渉を俯瞰する能力があっても、妥結点を探ることができなければ交渉はまとまらないのです。

ネゴシエーションにおいて結論を導くには、自分の立場だけに固執せず、双方の利害を考慮する冷静さが求められます。

円満にYESと言わせるネゴシエーションの手順

これまで紹介してきたテクニックを活用して、相手の「YES」を円満に引き出すネゴシエーションの手順とはどのようなものでしょうか?

まず、事前準備としてネゴシエーションのシナリオを練っておき、落としどころを想定しておきましょう。

あらかじめシナリオを作成しておくと、実際の交渉現場でスピーディかつ的確に問答ができるだけでなく、心の余裕も生まれて好結果につながる可能性が高まります。

次に、実際のネゴシエーションのシーンでは、リスニングのテクニックを効果的に使いながら共感を示し、信頼の構築を目指しましょう。

信頼関係を土台に交渉を進めれば議論が活発になり、相手の要求や関心、妥結の手がかりになる本音などを引き出しやすくなります。

そして、自分の要求も相手に示しましょう。

相手の話をしっかりと聞いて信頼関係を構築した上で、自分の要求や主張を言うことで相手の理解が得やすくなります。

相手に納得してもらいやすい関係性を作った後に、自分たちの主張もしっかりと伝え交渉を円滑に進めましょう。

ネゴシエーション術をマスターして仕事をスムーズに進めよう!

ネゴシエーションにおいては、相手と信頼関係を築こうとする建設的な姿勢と、交渉をスムーズに進めるテクニックが必要です。

ネゴシエーションの能力を高めておくと、社内での調整ごとや顧客との商談などあらゆる場面で役立ちます。

ぜひ、ネゴシエーション術をマスターして、仕事に活用しましょう。

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