仕事の効率を高めるためのタスク管理方法である「GTD」。
働き方改革が推進される昨今、業務の効率化をはかって導入する企業が増えており、注目を集めています。
今回は、GTDの基礎知識とともに、人事担当者として知っておきたい具体的な実践方法や導入のポイントについても、具体例を含めて解説していきます。
GTDとは?
GTDとは、「物事をやり遂げる」という意味の“Getting Things Done”の頭文字が語源となっており、生産性向上コンサルタントのデビッド・アレン氏が開発したタスク整理術です。
特に、アメリカでは主流のタスク管理術となっており、フォーチュン100企業(米グローバル企業の総収入ランキングトップ100)の約40%が導入しているといいます。
デビット氏の書籍『ストレスフリーの仕事術』によれば、GTDは頭の中にざっくり詰め込まれている「気になること」を外に出し、整理することで「やるべきこと」に集中できる手法です。
例えば、頭の中の“やるべきこと”を考えた時に、次のように仕事やプライベートのことが混在していませんか?
- 今日締め切りの仕事
- あとで調べようと気になっていること
- 上司とスケジュール調整が必要な案件
- 家に帰ったらやりたい趣味のこと
このような雑多な状態の頭の中を整理することで集中力を高め、仕事の効率化をはかることがGTDの目的です。
GTDのメリットは「ストレスフリー」
GTDが大きく注目を集めるようになった理由のひとつとして、「ストレスフリー」というタスク管理の先にある効果を明確に打ち出したという点があります。
頭の中がやるべきことややりたいことで溢れている状態だと、「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と他のタスクに意識が向いてしまい、目の前のことに集中することができません。
思ったようにタスクを進めることができず、ストレスを感じてしまうのです。
GTDでタスク管理をするようになると、このような「頭の中がタスクでいっぱいで集中できない」という状態を解消することができます。
その結果、目の前のタスクを確実に消化することで達成感を得て、ストレスから解放されるようになるのです。
GTDの進め方5つのステップ
それでは、GTDの具体的な進め方を解説していきましょう。
GDTは、以下の5つのステップで構成されています。
- ステップ1:把握する
- ステップ2:見極める
- ステップ3:整理する
- ステップ4:更新する
- ステップ5:選択する
それぞれのステップのやり方を詳しく説明していきます。
1.把握する
最初のステップは、全てのタスクを可視化することが目的です。
頭の中にあるタスクを、いったん全て外に出し、書き出していきます。
書き出すためのツールは、専用の管理ツールの他にも、紙やスマホのメモ帳といったものでかまいません。
重要なのは、「とにかく全て書き出す」ということです。
明確にタスクといえないようなものでも、頭の中からいったん取り出すことが重要なのです。
例えば、次のような内容です。
- 時間があるときに調べようと思っていたこと
- 仕事のちょっとしたアイディア
- 毎日何気なくやっている軽微なルーチンワーク
書き出したものは、「インボックス」という場所に保存します。
GTDでは、タスクやアイディアは全てインボックスに一時保存していきます。
2.見極める
続いて、ランダムの箇条書きしたタスクを分析し、処理していくステップです。
タスクの分類には、「重要度」と「緊急度」の2つの指標を組み合わせてカテゴリー分けすることがおすすめです。
この方法は、アメリカ第34代大統領のアイゼンハワーが提唱したとされるマトリクスです。
①重要かつ緊急:締め切りが間近なタスクや先方に提出する必要があるタスクなど、すぐに取り掛かる必要があるもの。
②重要だが緊急ではない:急ぎではないが、必ずやる必要があるタスク。
溜まった書類の整理やスキルアップの勉強、スポーツジムの申し込みのなど、「時間があるときにやろう」と思っているもの。
③重要でないが緊急:毎日仕事の前に行っているルーチンワークなど、緊急はないが必ずやらなければいけないタスク。
④重要でも緊急でもない:家に帰ったらやりたい趣味のことやちょっとした調べ物など。
この中で、2分以内で完了できることがあれば、その場で手を付け、リストから削除してしまいましょう。
その上で、④に分類されているタスクは思い切って破棄してしまいます。
肝心なのは①と②のタスク、特に②は重要にも関わらず後回しにされがちなので、こちらのかける時間を確保します。
3.整理する
分類したタスクを、具体的な行動に落とし込むためにさらに整理していきます。
整理は、以下の方法を参考にしてください。
細分化
同カテゴリーの中にあるタスクをさらにリスト分けしていきます。
ビジネスとプライベートで分けたり、プロジェクトごと、副業をしていれば副業ごと、他人に任せているものなどで分類したりします。
自分が管理しやすい方法で分類できれば、問題ありません。
優先順位
分類したタスクに優先順位をつけて、着手すべき順番を明確にします。
優先度の高い物から番号をふっていき、すぐに着手できる状態まで落とし込みましょう。
ツールに落とし込む
実行できる状態まで整理したタスクは、自身が使うツールに落とし込みます。
期日のあるものはリマインダーをつけてカレンダーに入れたり、優先順位で並べてToDoリストに加えたりしておきます。
こうすれば、あとは実行するだけなので、いつまでも放置されてしまうタスクがなくなり、確実に達成に向かえるようになります。
4.更新する
GTDは一度やれば終わりというわけではなく、上記の手順を踏めば完成するものではありません。
定期的に見直しをはかり、PDCAのサイクルを回していかなければ機能しません。
インボックスにいれるタスクはどんどん追加されていきますし、一度分類したタスクの重要度が変わることもあります。
全てのタスクを俯瞰して見直し、GTDの中身の更新をはかることで、常に整頓されたストレスフリーな状態を維持することができます。
5.選択する
ここまできたら、あとは着手すべきタスクを選択し、実行に移すのみです。
すでにタスクの分類と整理が終わっている状態ですので、迷わず今やるべきタスクを選択できるようになっているはずです。
GTD実践のポイント
GTDを業務で取り入れる場合、注意すべき点はあるのでしょうか。
企業がGTDを実践する際のポイントを解説します。
1.リストは常に携帯する
作成したリストは、いつでも確認できる状態にしておくことがベストです。
リストを常に確認する習慣をつければ、タスク消化に対する意識が高まり、やり忘れの防止につながるためです。
この点からも、使用するタスク管理ツールはスマートフォンで見られるものが望ましいでしょう。
ツールを選定する際、パソコンと同期してスマートフォンでリストを確認できるものを選ぶことがおすすめです。
2.ツールはひとつに絞る
昨今では、タスク管理のための様々なデジタルツールが登場しており、GTDに利用できるものも豊富です。
しかし、複数のツールを並行して利用するのではなく、タスクはすべて一つのツールで集約して管理するようにしましょう。
複数のツールで管理してしまうと、どのタスクをどのツールで管理しているか覚える必要が出てきてしまい、非効率です。
また、確認の手間が増えるため、抜け漏れの原因になってしまいます。
3.タスクは常に無くならない
タスクのリストがあると、最初はとにかくリストにある全部のタスクを消化しようとしてしまうかもしれません。
しかし、残タスクは常になくならない、ということを理解してください。
GTDにおいては、発生したタスクやアイディアは常時インボックスに追加されていきますし、定期的に更新されます。
リストにタスクが残っているのが普通と考え、その状態に慣れる必要があります。
4.全てのタスクをやろうとしない
リストに書かれているタスクは、自分一人で消化すべきものとは限りません。
誰かの承認を得ないと先に進めないタスクもあれば、人に任せてしまったほうが早いタスクもあるでしょう。
こういったタスクの特性を洗い出し、一人で抱えこまないようにすることも、企業でGTDを取り入れる意義のひとつです。
また、いざ洗い出して整理してみると、「やろうと思っていたけどそこまで必要なかった」「しばらく放置しても良い」というタスクの存在にも気づけるはずです。
このように「やらなくていいこと」を洗い出すのも重要なポイントです。
リストにあるからといって一度に片付けようとしたり、全部自分で抱え込んでしまったりすると、かえって非効率になります。
そのため、「やらないタスクがあってもいい」ということを頭の片隅に置いておきながら、GTDのタスク管理に取り組んでみてください。
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