多様な働き方を実現できるテレワーク。
最近は新型コロナウイルスの感染拡大により、導入する企業が増えていますが、導入・運用を失敗すると生産性の低下や社員の離職にも繋がりかねません。
この記事ではテレワークを導入するメリットや失敗事例、導入を成功させるポイントを解説します。
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言でテレワークが拡大中
2020年、世界全体で新型コロナウイルスの感染が広がり、日本国内ではテレワークが拡大しています。
新型コロナウイルスは感染力の強さを見せており、3月31日時点で国内感染者は2122人、国内死亡者は57人。
その後4月に入ってからは連日のように数百人規模の新規感染者が報告されています。企業・団体や個人事業主などは、感染を避けながらも仕事をする手段として、テレワークへ切り替えている状況です。
そのような中、4月7日に日本政府は7都府県において緊急事態宣言を発出し、約1カ月間にわたって外出などを控えるよう求めました。
具体的には、人との接触を8割減らす目標を掲げ、企業にも協力を呼びかけています。この緊急事態宣言は通勤や仕事での移動を減らすことも要請しており、テレワークへのさらなる移行を加速させているのです。
そもそもテレワークとは?企業と働き手のメリット
テレワーク(telework)とは、「遠く」という意味の「tele」と、「働く」という意味の「work」が由来。情報通信技術(ICT)などを活用しながら、時間や場所にとらわれず柔軟に仕事をすることを指します。
テレワークを導入すれば、企業側にとって多様な人材を確保できるというメリットがあります。また、通勤や移動にかかるコストを削減できる他、非常時のリスクを分散できる点も特徴です。
一方、働き手にとっては、通勤・移動にかかる時間や労力を削減できるメリットがあります。
また、社員が最も働きやすいと思う場所や時間で仕事ができるので、プライベートとの両立や業務の効率化といった利点もあるでしょう。
テレワークのよくある失敗例
テレワークは企業側にも社員側にもメリットがある一方、弱点もあります。
導入してみたものの、機能しなかった、または生産効率が下がってしまったというケースもゼロではありません。ここでは、テレワークのよくある失敗例を紹介します。
テレワークに必要なツール・リテラシーが不足
社員がテレワークをするために必要なスキルが不足していることでテレワークが上手くいかない可能性があります。
テレワークでは、オフィス環境とは異なる端末を使用したり、テレワーク用のツールを使用したりする場合もあります。
例えばオフィスであればPCには必要なソフトやファイルが揃っており、すぐに仕事に取りかかれます。
操作方法で不明な点があっても周囲に質問できますし、システムのトラブルがあってもシステムの担当者に聞けば解決するでしょう。
一方、自宅や貸会議室といった場所で仕事をする場合、まず仕事をするためのソフトをインストールしたり、ネットワークを接続したりしなければなりません。
それ以前に、自宅にパソコンがなく、会社からの貸与もない場合、個人でパソコンを購入するところから始める必要があります。
また、セキュリティ対策も講じる必要があり、慣れていなければスムーズに仕事を始めることは難しいでしょう。
コミュニケーションの不足
テレワークではコミュニケーションが不足しがちです。報告・連絡・相談がスムーズにいかず、情報共有も進まないことで、業務が円滑に進行しない可能性があります。
職場であればプロジェクトやチームのメンバーが顔を合わせられるので、コミュニケーションは容易です。
気になった点はすぐに質問できますし、お互いの様子が分かるのでチームプレーも図りやすいでしょう。
一方、テレワークでは社員が直接顔を合わせることができません。
業務に必要な連絡が滞って本来であればすぐに処理できる仕事が片付かなかったり、コミュニケーションが取りづらいことできめ細かな意思疎通ができなかったりといった課題があります。
社内制度の未整備
社内の制度がオフィスワークを前提として整備されている場合、テレワークに適応できず、業務に支障をきたす可能性もあります。例えば“ハンコ文化”はその一例です。
1つの書類の決済を得るために、主任、課長、部長などの押印が必要なケースがあります。
オフィスでの仕事が前提であればこの方法でも仕事は進められますが、テレワークの場合には決済が止まってしまうでしょう。システム上で決済するといった工夫がなければテレワークに対応できません。
また、重要な情報交換がランチの時間や休憩時間、飲みの席といった非公式の場で実施されるケースも要注意です。テレワークではそういったやりとりができなくなるので、仕事の進め方を改める必要があるでしょう。
人材管理や評価が困難
人材の管理が困難である点も、テレワークの代表的な弱点です。
例えば、勤怠管理について、テレワークでは社員の自己申告に任せるか打刻ツールなどを導入する必要があります。
しかし、社員が職場にいない以上、管理者が実態を把握することは難しいという課題が残るのです。
また、人事評価も旧来の方法では困難があります。オフィス勤務であれば態度やモチベーションといった面も把握しやすいですが、テレワークでは人材評価の判断材料が減るため、これまでと異なる評価の仕組みを検討しなければならなりません。
YahooやIBM。テレワークの失敗事例
テレワークを導入したものの、失敗した実例を具体的に2つ紹介します。
IT大手の米Yahooは従来テレワークを許可していましたが、2013年にマリッサ・メイヤーCEOのもとで方針転換をしました。
その理由としては、業務の質低下にあったと言います。同社はコミュニケーションとコラボレーションこそが重要であるとしながらも、テレワークでは両者の質と量ともに低下せざるを得ません。
また、新しい出会いや突発的なミーティングも失われてしまいます。そこで、仕事の質やスピードを確保するためには、在宅ではなく社内で働かせる必要があると判断したのです。
同じくIT大手の米IBMはかつてテレワークを推奨しており、2009年時点でテレワークをしているのは全社員の40%にも上っていましたが、2017年にはその多くをオフィス勤務に戻しました。
詳しい理由は明確ではありませんが、これもYahooのようにコミュニケーションやイノベーションの欠如といったテレワークの弱点が浮き彫りになり、会社側が危機感を感じたという可能性は十分に考えられます。
テレワークを失敗しないためのポイント
テレワークでの失敗を避けるためには、いくつかの対策が必要です。ここではテレワークの導入を成功させるためのポイントを3つ紹介します。
対象業務を見極める
まずはテレワークの対象とする業務とそうでない業務を分類しましょう。
例えば、データ分析や資料作成といった業務は場所や時間を選びませんが、接客、生産、保守・点検などのように物理的にテレワークが困難な業務もあります。
テレワークを導入する際は一律に適用するのではなく、まず可能な仕事から適用して徐々に拡大していくとスムーズです。
ツールを導入する
テレワークでは、仕事をしやすい環境を整備することが欠かせません。特に重要なのがテレワークを支えるシステムです。
例えば、コミュニケーションやデータ共有・分析、スケジュール管理、プロジェクト管理といった作業はどのような業務でも必要とされます。
これらをセキュリティ面で安全に、なおかつスムーズに実現できるためには、専用ツールが便利です。
例えば、「BOX」はクラウド上でファイル共有や管理ができるので、端末にソフトをインストールしたりセットアップしたりする必要がありません。
他にも「ZOOM」はパソコンと付属カメラさえあればいつでもどこでもビデオ会議が可能です。
テレワークに応じた人事評価を実施する
テレワークを本格的に導入する場合、人事評価制度を整える必要があります。
テレワークでは管理者が社員の働き方や態度などを評価しづらいため、どうしても成果物などで評価が決定されてしまいがちです。
社員からすれば途中のプロセスも評価して欲しいのに、頑張りが反映されず不満を募らせる可能性もあります。
また、人事評価業務そのものを効率的に進めるためにも対応が必要です。テレワークであっても適正に人事評価をするための仕組みを整備することや、評価する人物同士が情報を一元的に管理できるような取り組みが重要です。
テレワークにおける人事評価はクラウドで一元管理を
テレワークは働き方改革や感染症対策などで注目されていますが、付け焼き刃的に運用すると、失敗してしまうリスクが高まります。
コミュニケーションツールの導入やセキュリティ対策の重要性は一般的に叫ばれていますが、テレワークので働く従業員を評価する制度や仕組みを整えることも同じように重要です。
「あしたのクラウド」は、クラウド上で人事評価データの一元管理が可能で、評価側の情報管理も容易です。テレワーク対応で人事評価の仕組みを変更したい場合は、導入を検討してはいかがでしょうか。
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