カスケードダウンとは、経営層や人事が設定した目標や戦略が、部・課・社員へと細分化されていることを指すビジネス用語です。
企業が大きな目標を達成するためには、社員一人ひとりの行動なくては難しいでしょう。大きな組織であっても、カスケードダウンを活用することで全員が共通の意識を持つことができます。
今回は、カスケードダウンの意味や人事部門における事例と成功ポイントを見ていきましょう。
カスケードダウンとは?
カスケードダウンとは、企業活動において経営層が設定した目標や戦略が、部・課・社員へと細分化されていることを指します。
英語の「cascade down」は、「滝が落ちる・急降下する」という意味です。まるで滝が流れ落ちるかのように、目標や戦略が行き届いているという状態です。ビジネスにおいてカスケードダウンは、上から下に情報を伝達する際に使用されます。
企業を成長させるためには、経営層による適切な経営戦略やそれに基づいた目標が必要不可欠です。しかし、いくら経営層が明確な目標を立てていたとしても、現場社員がしっかりと理解していなければ意味がありません。
カスケードダウンとは、経営層が定めた戦略や目標を部・課・社員という風に細分化して浸透させることを指します。
カスケードダウンがきちんと行われている企業であれば、どのような大きな組織でも同じ目標や戦略を持ち、それぞれがその目標達成のためにすべきことを全うできるでしょう。それでは、早速カスケードダウンの具体例について見ていきます。
カスケードダウン具体例
カスケードダウンをどのように活用すべきか、わからないという人も多いでしょう。ここでは、カスケードダウンの具体例を見ていきます。カスケードダウンは、基本的に三段階に分かれます。目的・戦略・戦術の順を追って見ていきましょう。
1.目的
経営方針や目標を決める際に何よりも大切なことは「目的」を明確にすることです。企業でいえば、「年間売り上げを◯%アップする」「シェアを◯%に伸ばす」「業界一位になる」といったものです。
大きな目的無くしては、現場の社員はどのような行動を取るべきかわかりません。そのため、戦略や戦術の前提としてまずは目的を決めましょう。
目的は、カスケードダウンの中でもトップに位置しており、経営層や幹部が決定する事項です。目的を策定する際に大切なことは、経営方針や企業理念に沿ったものにすることです。
万が一、経営方針や企業理念と合っている目標でなければ、社員や周りのステイクホルダーからの共感が得にくいでしょう。なぜ、その目標を立てたのか、きちんと説明ができ、他のメンバーのしっかりと理解できるものにすることが大切です。
2.戦略
戦略とは、目的を達成するために具体的にどんなことをすべきか明確にしたものです。目的だけを立てたとしても「一体、何をするべきなの?」と混乱してしまうでしょう。
例えば、「年間売り上げを◯%アップする」という目的を立てたとします。その場合も、各部門の目標数値を立て、そのためにどんな行動を取るべきか決めていきましょう。
戦略は、部署や立場によって内容が異なります。戦略のカスケードダウンでは、目的・戦略・戦術が組織階層でつながっていくため、部の戦略が課の目的となります。
例えば、競合の少ないエリアでの売り上げアップを目指す、今シェアの低い高齢者層に向けて販促を行う、など具体的に販売数を伸ばすといった戦略を部で立てていたとしましょう。
その場合、課の目的は、「競合の少ないエリアでの売り上げアップを目指す」や「高齢者層に向けて販促を行う」というものになります。
3.戦術
戦術は、戦略をより具体的にする行動を指します。
「高齢者層に向けて販促を行う」であれば、新聞折込にチラシを◯万部投函する、などが挙げられるでしょう。戦術は下位組織になればなるほど具体的になっていきます。
良い戦術を練るためには、「4S」が大切とされています。4Sとは、Selective(選択的か)・Sufficient(十分か)・Sustainable(継続可能か)・Synchronized(自社の強みや特徴とマッチしているか)の略です。それらに当てはまっている戦術を練るようにしましょう。
カスケードダウンの成功ポイント
カスケードタウンをうまく活用すると、経営層の目標がうまく全社に伝わります。最後に、カスケードダウンの大切なポイントを見ていきましょう。
1.適切な目標が設定されているか
まず必ず確認しておきたいのが、設定した目標値が適切に設定されているかどうかです。例えば、あまりにも現実的ではない高い目標を掲げている場合、現実味のない戦略となりうまく機能しません。
逆に、現状の数値と変わらないような数値であってもメンバーのモチベーションは上がらないでしょう。
企業目標は、「頑張らなければ達成できない」というストレッチのある数値を設定しましょう。今のままでは達成できないが、しっかりとした戦略を立てることで達成できる目標であれば、戦略は立てやすく、達成までのイメージが持ちやすいです。
また、マーケットの動きもかんがみることも大切です。経営層でしっかりと話し合った上で、適切な目標設定を行いましょう。
2.主体的な目標が設定されているか
続いて大切なことは、目標が主体的であるかどうかです。例えば、今回のコロナウイルスの影響で消毒液やハンドソープ、マスクなどの売り上げが伸びました。また、Netflixやzoomなどオンラインサービスも売り上げを大きく伸ばしています。
企業としての目標を設定する場合には、そのような季節やマーケット要因によって受動的に決めてはいけません。
自社の事業戦略に基づいて、主体的に目標を設定することが大切です。なぜなら、季節やマーケットをかんがみた目標は再現性がなく、持続的に達成できるものではないからです。
また、当たり前ではありますが組織としてやりたい目標なのかどうかも大切です。売上が見込めるからといって、企業理念に反していたり、積極的にやりたいと思っていなかったりする目標であれば、設定しても長続きしません。主体的に取り組める目標かどうかは非常に大切です。
3.定性的な目標設定への対処
目標を立てるのであれば、振り返ることも大切です。定量目標であれば、できたか・できなかったかが明確に分かりますが、定性目標の場合は振り返るのが難しい側面もあります。定性目標がいけないというわけではなく、定性目標をどのように振り返るかをあらかじめ決めておきましょう。
例えば、新入社員向けの研修を実施したさいに、理解度や満足度を調査するためのアンケートをとります。そうすることで、成果を数字で表しにくい業務であっても、数字で測定できる目標を設定することができます。
4.従業員の意見が反映されている
最後に大切なことは、従業員の意見が反映されているかどうかです。会社の目標は、基本的には経営層によって決定されます。
しかし、それらを実行するのは現場社員の他なりません。実際に動いてくれる彼らの意見を盛り込むことで、主体的かつポジティブに取り組んでくれるでしょう。
経営層が直接従業員に話す機会は少ないですが、社内アンケートを実施したり、課や部など小さい組織から大きい組織に意見をヒアリングしたりすることで、従業員の意見が反映された目標決定が可能となります。
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