2022年11月に公開された大規模言語AI 「ChatGPT」は急速に利用者が拡大し、ユーザー数は公開からわずか2カ月で1億人を突破しました。その後、Google、Metaなどからも大規模言語AIが発表され企業のAI活用も一気に普及しています。
ChatGPTは、メール文書のテンプレート作成、プログラミングコードの生成など、主にテキスト作成の面で活用されていますが、人事部門ではどのような活用が考えられるでしょう。
本記事では、人事業務の効率化につながるChatGPTの具体的な活用方法や注意点についてお伝えします。
人事はChatGPTで業務効率化できる?
ChatGPTとは、アメリカのOpenAI社が2022年11月に公開した大規模言語モデルの活用で、人間同士の対話に近い自然な言語でテキストを生成するニューラルネットワークモデルのチャットボットです。
公開当時のバージョンGPT3から3.5を経て、2023年8月現在、GPT4まで進化しています。GPT3.5は米国の司法試験の模擬試験において下位10%の結果でした。しかし、GPT4は上位10%とその能力も拡大に向上しています。
ChatGPTを使ってできる主なこととしては、ユーザーの質問に対する回答、入力した文章の要約、指定した文章の作成、リストや表の作成、プログラミングコードの生成などです。
こうしたChatGPTの機能を使うことで、人事領域の業務も効率化可能です。ただし、ChatGPTに代替できる業務は限られており、正しい使い方ができなければうまく活用できません。人事がどのようにChatGPTを活用して業務効率化するのか、詳しく見ていきましょう。
ChatGPTで効率化できる人事の業務
ChatGPTの活用により、人事のどのような業務を効率化できるのでしょうか。業務内容やそれぞれのChatGPT活用時のポイントを詳しくご紹介します。
求人広告原稿の下書き
求人広告原稿の作成は、人事のなかでも手間のかかる業務の一つですが、ChatGPTを活用すれば短時間で簡単な下書きが完成します。作成のポイントは、ChatGPTがプロのコピーライターであると指示をすることと、募集内容を明確にすることです。
たとえば、従業員100名の食品加工業の工場で加工業務を行う人員の採用を行いたい場合、次のような質問文が考えられます。
あなたは求人広告の文章を作成するプロのコピーライターです。今、従業員100名の食品加工業者から工場勤務の採用広告の文章を依頼されました。100文字程度で3パターン作成してください。
この質問で作成された回答を下地にすれば、本番用の原稿作成の効率化が可能です。
書類選考の評価基準の作成
企業規模にもよりますが、求人に多数の応募がある場合、書類選考に多くの時間が割かれるため、複数人で分担して行います。その際、評価基準が明確化され共有されていないと、人により評価基準がバラバラになってしまい適切な選考ができません。そこで、ChatGPTを活用して評価基準をテキスト化すれば、担当者間での共有もでき、人による曖昧さも排除されます。
ChatGPTで書類選考の評価基準を作成する際のポイントは、まずざっくりと履歴書の項目を上げてそれぞれについての評価基準を作成してもらうことです。そのうえで、足りない点や細かい部分は人が修正をしながら完成させます。
応募書類の分析
応募書類の分析は、主に志望動機や自己PRを入力し、分析してもらいます。また、分析結果から応募者の適する業種や部署の分析も可能なため、書類選考合格者に関しては面接時の参考としてChatGPTの回答を記録しておいても良いでしょう。
ChatGPTで分析することにより客観的な評価基準を得ることが可能ですが、最終的な判断は必ず人が主観も含めて行うことが重要です。
面接の質問の作成
面接時の質問作成は、募集要項や求人の内容に加え、ChatGPTを面接官として面接時の質問を作成してくださいと入力すれば、例が表示されます。質問数も指定できるため、数を多めに指定することで聞くべき項目の漏れを防げるようになるでしょう。
また、質問項目が決まったら、それぞれの質問に対する回答の評価基準を作成してもらうことも可能です。この評価基準を担当者間で共有すれば、書類選考時と同様、人によって評価がバラバラになることなく、誰が担当しても適切な評価ができるようになります。
選考結果のメール作成
選考結果の合格、不合格それぞれの通知メールもChatGPTを活用すれば、効率的に作成可能です。合格通知メールに関しては、「書類選考を通過したこと」「具体的な面接日時のお伺い」「問い合わせ先」などを入力し、作成してもらいます。
不合格通知メールの主な入力内容は、「書類選考を通過できなかったこと」「個人情報は責任を持って破棄すること」「応募してくれたことへの感謝」などです。また、特にBtoC企業の場合、不合格者はそのまま自社の顧客になるケースもあります。そのため、失礼のないよう、合格通知メール以上に丁寧な内容にするよう、依頼することも重要です。
従業員の評価・マネジメント
ChatGPTは採用時以外の人事業務にも活用可能です。たとえば、従業員の評価やマネジメントを行う際、従業員の自己分析や評価の基準をあらかじめChatGPTで作成しておけば、主観が入ることなく客観的な評価が行えます。もちろん、最終的には主観による評価も重要ですが、客観的な基準を用意しておくことでより公正な評価が可能になるでしょう。
また、キャリア面談や定期面談の内容を分析することにより、従業員一人ひとりに対し、分析結果に基いたマネジメントを実現できます。
従業員のキャリア相談に活用する
従業員のキャリア相談にChatGPTを活用する際は、人事評価のデータを蓄積しておき、それをChatGPTで分析するのがおすすめです。従業員ごとに向いた部署、方向性などの分析結果を基に相談に乗れば、適切な回答を行うための参考となります。
従業員の退職理由の本音を探る
過去の退職者データを蓄積し、ChatGPTで分析すれば、退職しそうな従業員の傾向を把握できます。これにより、事前に退職しそうな従業員を特定できるようになり、迅速な対応も可能です。
新人研修のアイディア出しや台本作成
業種や部署名に加え、新人研修では何をやるべきか、どのようなメニューがよいかをChatGPTに聞きます。具体的なメニューや研修時の注意点を回答してくれるので、それを基にメニューを作成しましょう。
また、メニューが決まれば簡単な台本作成も可能です。ChatGPTでは、継続して質問すれば前の回答を加味したうえで回答してくれるため、メニューから台本までを手間をかけずに作成できます。
人事がChatGPTを使用する際の注意点
人事業務の効率化に高い効果を発揮するChatGPTですが、使用する際にはいくつかの注意点があります。具体的には次の3点です。
あくまで参考に留める
ChatGPTが出す回答は必ずしも正確なわけではなく、間違えた回答をすることも珍しくはありません。そのため、回答を鵜呑みにするのではなく、参考程度に留めるようにしましょう。
回答はそのまま使うのではなく、たたき台として最終的には人の判断を最優先することがChatGPTの正しい活用方法です。
個人情報や機密情報は扱わない
ChatGPTに質問文として個人情報や企業の機密情報を入力するのはセキュリティ面で不安が残るため避けたほうがよいでしょう。入力した情報をChatGPTが学習し、ほかのユーザーが利用した際の回答に使われてしまうリスクはゼロではありません。
外部に個人情報や機密情報が外部に漏れないよう、ChatGPTではそうした情報を扱わないように徹底する必要があります。
AI活用は社内ルールに従って行う
ChatGPT導入に際しては必ず社内でルールを作成し、それに従った運用が欠かせません。前述したセキュリティ面はもちろん、人事評価基準や研修内容の作成において、どこまでChatGPTを活用するのか、その範囲も明確に決めたうえでの活用が必須です。
ChatGPTの適切な活用で人事業務の効率化を実現させよう
人事業務は多岐に渡るため、すべての業務を適切に進めるのは簡単ではありません。そこで大きな効果を発揮するのがChatGPTです。
採用時における書類選考基準、合格・不合格通知メールのテンプレート、面接時の質問などの作成。従業員の評価基準、研修メニューの作成、マネジメント管理など多様な業務の効率化を可能にします。
ただし、生成AIの特性上、個人情報や機密情報の取り扱いはセキュリティ面の不安が残るため利用は困難です。そのため、外部に漏らせない人事情報を扱う業務の効率化は「あしたのクラウド」のような人事評価システムで実現しましょう。人事評価の効率化を検討されている際は、ぜひお気軽にお問合せください。
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