一層の人材活用のためにも、これからは管理職層の研修・育成が必須!

(写真=stoatphoto/Shutterstock.com)

日本は従来、管理職層の能力が高く評価されてきました。現場志向が強く、現実の仕事を通して育成するOn the Job Training(OJT)が機能していたからです。高度成長期には優秀な管理職がこの仕組みで続々と輩出され、層も厚かったといえます。

日本経済が成熟期に入り、グローバル化が進み、企業間の競争が激しくなると、中間管理職を中心に自らもプレイヤーとして業績を上げることが求められるようになりました。そうなると、部下の育成・指導や業務マネジメントにまで手が回らなくなり、管理職本来の役割を果たせない状況が生まれてしまったのです。

企業経営上、重要な課題といえるのが人材育成です。しかし、実際には人材育成は若年層に向けた取り組みが目立つのが実情です。事業環境がますます変化する時代にあって、管理職層への研修・育成は今後どうあるべきでしょうか。

管理職層への計画的な研修・育成が重要

管理職は、経営陣と現場の社員の間に立つ重要なキーマンであり、企業において非常に重要なポジションを占めています。しかし、人材育成については様々な課題が浮き彫りになっています。

厚生労働省がとりまとめた2015年度「能力開発基本調査」によれば、正社員の管理職層へのOJTを実施した事業所は24.8%でした。一方で、新入社員へは50.8%、中堅社員へは38.3%がOJTを実施しており、管理職層への研修・育成は他の一般社員と比較してもあまり注力されていないといえます。

管理職の育成・登用方針として内部育成・昇進を重視している企業が多い一方で、管理職候補者の世代によっては能力や資質などにムラがあるという複雑な悩みも抱えています。管理職候補者を育成するには根本的な難しさはあるものの、計画的に人材の育成をしていかなければ、今後は将来の有望な幹部候補を生むことにつながらない恐れがあります。

管理職層の早期選抜者への研修・育成方法

将来的な管理職層や経営幹部の育成のためには、早期選抜をして計画的に人材育成をしていくことが重要といえます。

(独)労働政策研究・研修機構がまとめた「人材マネジメントのあり方に関する調査」および「職業キャリア形成に関する調査」(2014年)によれば、早期選抜の実施企業は6社に1社程度の15.4%で、導入を検討中の22.1%と合わせると4割弱の37.5%という結果でした。さらに、海外事業を展開している企業(全体の17.1%)だけで見た場合は、早期選抜の実施率は4社に1社(26.2%)を超えており、さらに「導入を検討中」(25.0%)を合わせると51.2%と、半数を超える結果となりました。

早期選抜者の育成方法としては、多くの経験を積ませるための配置転換や大きなプロジェクトなど重要な仕事を経験させたり、幹部などと接する機会を増やし、経営哲学を学ぶ機会を設けたりするという内容が多い傾向にあります。

計画的な内部育成を進めることによって、人材の定着や将来の主要幹部の育成にもつながる可能性があるのです。

社内の人材活用を目指すには管理職層の能力開発がカギ

上記の(独)労働政策研究・研修機構がまとめた「人材マネジメントのあり方に関する調査」および「職業キャリア形成に関する調査」(2014年)によれば、企業と正社員ミドルマネージャーに対して行ったアンケートの結果、近年の管理職に不足している能力・資質として、「部下や後継者の指導・育成力(傾聴・対話力)」が61.7%で最多でした。次に多かったのは「リーダーシップ、統率・実行力」で43.3%、「新たな事業や戦略、プロジェクト等の企画・立案力」40.9%と続いています。

この結果が示していることは、管理職層は新規事業など経営に関することよりも、指導や育成力に対して力不足感が否めないという現実です。

どれだけ戦略的な立案や新規事業を成功させたとしても、それは一時的なものであり、後継者の育成がうまく回らなければ企業は安定した成長を続けることはできません。

管理職層は経営に対して明るいだけではなく、社内の人材を上手く育成・活用できることが求められています。そのために、管理職としてのスキルや経験を増やすための研修・育成がカギを握っているはずです。

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