新型コロナウイルスの感染拡大(COVID-19)の影響から、テレワークを取り入れる企業が増えています。
社員にとっては通勤のストレスがなくなり、余裕が出ることで作業効率が向上するなど、メリットが注目されるテレワークですが、中には慣れない在宅勤務の環境から、憂うつな気持ちを抱えてしまう人も少なくないようです。
この記事では“テレワークうつ”に陥る原因や、解消のために企業がとるべき対策などを解説します。
新型コロナウイルスの感染拡大によりテレワークも急拡大
「離れた場所で」という意味の「テレ(tele)」と「ワーク(work)」と組み合わせた言葉であるテレワークは、テレビ通話やチャット等のICT(情報通信技術)を活用し、自宅やサテライトオフィスなど、会社以外の場所で仕事をする働き方のことです。
通勤混雑の解消や地方活性などを目的として、2000年代から政府により推奨されてきましたが、新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発令されたことを背景に、急きょ取り入れる企業が続出しました。
テレワークを導入することは、労働力不足の解消やコスト削減など、企業側にとっても多くのメリットがあり、従来の労働価値に一石を投じる新しい働き方とされています。
テレワークのメリットとは?
テレワークのメリット
企業にとって、テレワークの導入にはどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを解説していきます。
優秀な人材の確保
テレワークを選択できることで、これまで育児や介護などのライフイベントで休職や退職をせざるを得なかった社員も、キャリアを継続させることが可能になります。
育休や介護休暇をとる30~50代の社員は企業にとっても貴重な戦力です。特に、採用難が続く昨今の情勢においては、優秀な社員が働き続けられることは大きな利点といえます。
ワーク・ライフ・バランスの実現
テレワークによる最大の変化は、通勤時間を削減し、余暇や勉強に仕える時間を捻出できることです。
これまで1~2時間かけていた通勤時間を、家族と過ごす時間やスキルアップの勉強時間に充てることで、プライベートと仕事の調和を図りながら、充実感を持って生活できるようになります。
また、ワーク・ライフ・バランスが実現していることは、企業イメージを向上させ、採用難の解消にもつながります。
コスト削減
社員の通勤交通費や、光熱費、設備費等のオフィス維持費などを削減できます。仕事のやりとりが全てICT化し、ペーパーレスが実現すれば、その分の消耗費もカットできます。
さらに、テレワークを一部導入して出社する社員数を減らすだけでも、オフィススペースを削減して維持費や賃料を抑えることも可能です。
事業継続性の担保
今回のような感染症の蔓延や大きな災害の発生など、社会が非常事態に陥って社員の通勤が困難になった場合でも、事業を継続または早期に復活させて業績悪化や倒産などを防ぐことができます。
以前には、2011年の東日本大震災の直後や、その後の計画停電を機に、テレワークを導入した会社が多く見られました。
社員がテレワークでも業務が可能な環境やルールを日頃から整えておくことは、事業継続性という点で非常に有効です。
“テレワークうつ”とは?社員が憂うつになってしまう原因
企業にとってもメリットの多いテレワークですが、慣れない在宅勤務で “テレワークうつ”に陥ってしまう例も増えています。その原因を解説します。
仕事と私生活のメリハリがなくなる
テレワークは場所にも時間にもとらわれない、自由な働き方が実現する一方、全てが自分次第なので、慣れていないと時間管理が難しい側面もあります。
仕事をする時間帯や負荷を自分で決められるところは利点ですが、注意しないといつまでもダラダラと仕事を続けてしまい、オフィス勤務よりも長時間労働になってしまうことも少なくありません。
生活リズムが崩れる
同時に、好きな時間に起きてダラダラと仕事をしてしまうことで、生活リズムが崩れてしまうという事態もよくあることです。
通勤が無くなることで早起きする習慣が無くなってしまい、昼近くに起きて、夜遅くまで仕事をし、昼夜逆転生活になってしまうことも珍しくありません。
運動不足
通勤で歩く時間が減るだけでなく、外に出る機会も少なくなってしまうことで、運動不足に陥る人も多いようです。
一日中PCに向かっていると、腰痛や肩こりの原因にもなってしまいます。体を動かさず、ずっと部屋にこもっているだけでも、気分がふさぎ込んでしまうため、意識的に身体を動かす必要があります。
コミュニケーション不足
遠隔でコミュニケーションをとっていると、休み時間に仲間と世間話をしたり、仕事が行き詰った時に相談をするなど、オフィス勤務では当たり前に行ってきたやりとりが希薄になってしまいます。
社員が孤独感を感じるだけでなく、やりとりが上手くいかず、業務に支障が出てしまうような状況になると、社員がストレスを抱える原因にもなってしまいます。
仕事のプレッシャー
姿が見えない分、成果を出さなければと焦ってしまい、頑張りすぎてしまうといった声もあがっています。
私用や休憩に時間を使って仕事をサボっていると思われたくないという気持ちから、しっかり成果でアピールしなければと、プレッシャーを感じてしまう人もいるようです。
その結果、オフィス勤務のときよりも負荷が大きくなってしまい、“テレワークうつ”に陥ってしまいます。
社員の“テレワークうつ”を防ぐために企業ができること
慣れないテレワークの環境で憂うつな気分を抱える社員が出ることを防止するために、企業はどのような対応をとるべきなのでしょうか。対策の具体例を紹介します。
朝礼や定期報告
自宅にいる社員の生活リズムを整える取り組みとして、ZOOMによるビデオ通話など、ICTツールによる朝礼や業務後の報告会を導入すると、社員の業務にメリハリを持たせることができます。
毎朝決まった時間に朝礼を行うことで、起床時間が遅くなってしまうことを防止できますし、業務後の作業報告会によって、ダラダラ仕事を続けてしまうこともなくなります。
また、朝礼で一日の目標を共有し、業務後に進捗報告をすることで、成果の管理もしやすくなります。
快適な作業環境の整備
上司と連絡がとれない、必要な情報になかなかアクセスできないなど、社員が業務を進める上でストレスを感じないよう、自宅でもオフィスと変わらないスムーズな作業環境を整えることも急務です。
具体的には、チャットツールの導入や、データ共有用のクラウドサービスの準備などがあげられます。
データ共有は、社内の重要情報をやりとりするため、セキュリティ対策のしっかりしたものを選ぶ必要があります。
多様な形式のデータが共有できるクラウドサービス「BOX」では、定期的なセキュリティ試験が行われているだけでなく、権限の振り分けやアクセスログの監視もできるため、企業利用でもおすすめです。
気軽なコミュニケーションの場を設ける
コミュニケーション不足の解消として、ビデオ通話を利用してコミュニケーションの場を設ける企業も出ています。
外出自粛が続く中で、ビデオ会議アプリの「Zoom」を利用した「Zoom飲み会」という言葉も注目されています。
Zoomは招待URLの共有だけで手軽に通話を開始でき、安価なプランでも機能が充実していることから、利用する企業が増加しています。
業務の報告をする場ではなく、普段と同じ雰囲気で雑談や相談ができる場を設けると、ストレスを発散してメンタル管理になります。
ただし、それぞれの事情を考慮して、参加を矯正するのではなく、入退室自由にするなど、負担なく参加できる形式を心がけてください。
適正な業務の評価基準
人事部としては最も配慮しなければならないのが、社員がやりがいやモチベーションを失わないよう、在宅での勤務をどう評価していくのかという点です。
毎日一定の成果を設定し、業務量を担保する必要がありますが、評価が成果だけに偏りすぎても社員が満足感を感じられません。
「チームとしっかり協働していた」「スムーズに連絡に応じた」など、過程も評価する姿勢が求められます。
さらに、各自が在宅していても評価内容を共有できるよう、クラウド化できるサービスを利用することが最適です。
テレワークでも社員を正しく評価。人事評価はクラウドシステムがおすすめ
企業にとっても社員にとってもメリットの多いテレワークですが、普段と違う自宅での作業環境がストレスになってしまい、憂うつな気分を抱えてしまう社員も見られるようになっています。
在宅ストレスを軽減するためには、遠隔でのコミュニケーション体制やクラウドを利用したデータ共有など、体勢を整えておく必要があります。
新型コロナウイルス感染拡大のような不測の緊急事態でも、業務に支障をきたさないよう、日頃から体制を整えておくべきです。
その中でも、社員のモチベーションに直結するのが人事評価です。お互いの姿が見えない中で業務状況を把握し、適正な評価を行うためには、人事評価の“仕組み化”が重要となります。
評価を業務内容によって自由にカスタムでき、在宅の社員ともクラウドで共有が可能な「あしたのクラウド™HR」であれば、導入も手軽でおすすめです。
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