ビジネスの基本的なフレームワークに「5W1H」があります。5W1Hは、正確な情報伝達、業務の円滑化、業務の質の向上など、多くのビジネスシーンで役立ちます。
この記事では、そんな5W1Hについて、5W2H・7W2Hとの違い、具体的な活用方法などを解説していきます。
5W1Hとは
5W1H(ゴダブリュイチエイチ)とは、情報伝達、マーケティング戦略、商材開発など、様々なビジネスシーンで活用できるフレームワークのことです。
When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)の6つの要素で構成されており、これらを意識してコミュニケーションや業務に臨むことで、次のようなメリットが得られます。
- 情報を過不足なく伝えられる
- 課題や原因を見極めやすくなる
- 課題解決策を立てやすくなる
5W1Hを活用する目的
5W1Hを活用することでさまざまな疑問を持ち、改善点を見つけたり新しい発想が生まれたりします。ここでは、5W1Hを活用する目的について解説します。
業務の改善策を見つける
目標や目的を達成するためには、業務における改善点および改善策を見つけ出すことが重要です。改善点がどこにあるのかを把握できていない場合に、5W1Hは有効です。例えば、何らかの施策を検討する際に以下のような質問を投げかけ、論理的に回答できないものには改善が必要となるでしょう。
- 施策のタイミングは適切か?(When)
- 施策のターゲットは適切か、既存顧客の属性に合っているか(Who)
- 商品やサービスの質に問題はないか(What)
- 施策の目的は適切か(Why)
- 施策の方法は適切か(how)
戦略の立て直しを論理的に行う
5W1Hをうまく活用することで、戦略の立案や立て直しを論理的に行うことができます。マーケティングの戦略を見直す場合には、以下のような情報を洗い出してみるのもよいでしょう。
- いつ、どれくらいの期間継続するか(When)
- 主な販促活動の地域はどこか、どの媒体を用いてマーケティングを行うか(Where)
- ターゲットは誰か(Who)
- なぜその商品やサービスの販促を強化するのか(Why)
- どのような施策を打ち出すか(How)
新たな事業・施策の発見
改善点を見直し、戦略の立て直しを行うことで、新たな事業・施策の発見にも期待できます。5W1Hを活用すると物事を段階的に整理しやすくなるため、社内でのコミュニケーションも活性化するでしょう。新たな事業・施策のリスクも最小限に抑えられるはずです。
新たな施策がなかなか見つからないという場合にも、5W1Hをもとに既存顧客の情報を洗い出すなどの動きは有効です。顧客が「どのタイミングで」「どこで」「何を」「なぜ」商品を購入したのかを把握することで、再現性の高い施策を打ち出す手がかりとなります。
5W1Hのメリット
ここでは、5W1Hを活用するメリットについて解説します。
情報を過不足なく伝えられる
5W1Hを活用することで情報を過不足なく伝えられ、目的や課題、方法などの情報を共有することができます。情報を伝える相手との間に認識のズレができにくいため、何度も情報を確認し合うストレスも軽減できるでしょう。円滑なコミュニケーションにより業務がスムーズに運ぶなど、ビジネスシーンでのメリットには大きいものがあります。
課題や原因を見極めやすくなる
5W1Hは、日常の業務では気づきにくい課題やその原因を特定するためにも有効です。5W1Hにより状況を整理・可視化でき、頭の中で考えているだけでは気づけなかった課題に気づくことができます。課題を特定し改善することで、新たなアイデアが生まれることもあります。
新たな視点で改善案を検討できる
日頃、同じパターンで考えるクセがついている場合、5W1Hを活用することで新たな視点を持つことができるでしょう。例えば、既存商品を見直す場合、その商品を主に使用する時間帯や場所、シーンを拡大できないか、といった問いが新たに生まれます。情報を可視化することで新たな可能性に気づくことができ、新製品やサービスを生み出すきっかけとなります。
5W1Hのデメリット
情報や状況を伝えやすい5W1Hですが、伝える情報が多いゆえに、冗長になりやすい点がデメリットです。会話などで意識しすぎると混乱を招く可能性があるため注意しましょう。ポイントは5W1Hのすべてを網羅するのではなく、必要な情報のみを加味すること。不要な情報を省略することで、受け取り側はより理解しやすくなるはずです。
5W2Hや7W2Hとの違い
5W1Hと似ているものに「5W2H」や「7W2H」などがあります。これらの特徴は次の通りです。
5W2Hとは
5W1Hの要素に、How much(いくらで)が増えたものです。金額についての情報が必要な会話や業務では5W2Hを活用しましょう。例えば、商談や交渉、予算の取り決め時などは、How muchという観点が欠かせません。
また、5W2HにHow many(どのくらい)という要素が増えた5W3Hというものもあります。販売数や仕入数など、数についての情報が必要な場合は、この観点も適宜含むといいでしょう。
7W2Hとは
5W1Hの要素に、Which(どちら)、Whom(だれに)、How much(いくらで)が増えたものです。選択肢が複数あったり、対象者を明確にしたかったり、金額についての情報が不可欠だったりする場合、この7W2Hを活用しましょう。例えば、新規企画や事業戦略を立てるときなどに役立ちます。
上記のように5W1Hに囚われるのではなく、「5W1Hを基本として、必要な要素を適宜追加する」ことが重要です。
5W1Hの正しい順番と意味
5W1Hの基本的な順序は次のようになります。
1:When(いつ)
2:Where(どこで)
3:Who(誰が)
4:What(何を)
5:Why(なぜ)
6:How(どのように)
ただし、上記はあくまで基本的な順序です。5W1Hのどの要素を重視するかは状況によって異なってくるため、適宜順序や組み合わせを変更しましょう。そうすることで、より円滑なコミュニケーションや業務遂行を目指しやすくなります。なお、5W1Hの各要素の詳細は下記の通りです。
When
時間、日程、期限、期間、季節などを示す要素です。
例えば「○時に」「○月○日に」「○日までに」「今年の冬に」などがこの要素に当てはまります。Whenを意識して伝えたり、考えたりすることで、時間を意識して動けるようになります。
Where
場所、空間、販売チャネル、提出物の提出先、ファイルの保存先などを示す要素です。
例えば「東京本社の会議室で」「ECサイトで」などがこの要素に当てはまります。Whereを踏まえることで、どこで行なうのかが明確になり、規模感なども把握しやすくなります。
Who
担当者、チーム、顧客など、”主体”を示す要素です。時にはターゲットや対象者を示すこともあります。
例えば「担当者の○○が」「戦略チームが」「顧客であるA社が」などがこの要素に当てはまります。Whoを明確にすることで、誰が実施するのか分からない、ターゲットが不明で戦略が立てづらいといった事象を防ぎやすくなります。
What
商品、サービス、議題、課題、コンセプト、価値など、”モノやコト”を示す要素です。
例えば「当社のAという商品を」「課題である消費コストを」「新商品のコンセプトを」などが、この要素に当てはまります。Whatを予めはっきりさせておくことで、何を扱うのか、何について話し合うのかなどが分かりやすくなります。
Why
目的、理由、背景などを示す要素です。
例えば「なぜ行なうのか」「どうしてそうなったのか」「どうしてそれを目指すのか」などが、この要素に当てはまります。Whyを踏まえることで、目指す方向性の認識を揃えやすくなったり、対策方法を練りやすくなったりします。
How
方法、手段、状態などを示す要素です。
例えば「どんなで営業方法で」「どんな媒体を用いて」「どんな状態にするのか」などが、この要素に当てはまります。Howを明確にすることで、どう行動すればいいのかが分かりやすくなります。
5W1Hのビジネスでの活用方法と例文
5W1Hは様々なビジネスシーンで活用できると先述しました。ここでは実際に「どのような活用方法があるのか」「具体的にどのようなことを意識すればいいのか」などについて、紹介していきます。
5W1Hの活用方法 1.報告書などの書類の作成
業務活動における報告書などを作るときにも、5W1Hが役立ちます。下記のように各要素を自身の業務内容で埋め、その後、文章にしてみましょう。
<具体例/今日の業務内容を報告する場合>
When:本日
Where:オフィスにて
Who:私が
What:顧客への提案資料の作成を
Why:明日の商談で用いるために
How:PowerPointを使用して
<文章にする>
本日はオフィスにて、明日の商談で用いる顧客への提案資料を、PowerPointで作成していました。
※文章化する際に不要な要素を省いたり、適宜要素の順序を入れ替えたりすると、より伝わりやすい内容になります。また、報告すべき業務が複数ある場合は、業務ごとに各要素を書き出し、書類を作成するといいでしょう。
報告書の書式が定まっていない場合、個々により報告内容がバラつく可能性があります。内容によっては、本人に詳細を確認しなくてはいけないケースも発生しかねません。そのため、定期的に報告書の提出を求めるのであれば、予めフォーマットを用意しておくのが好ましいでしょう。
5W1Hの活用方法 2.部下への指示出し
部下へ指示を出すときも5W1Hを活用できます。例えば、下記のような指示の出し方をするのがいいでしょう。
<具体例>
複数名の社員がいる状況下で、特定の部下に「社内会議で配る1枚の書類をコピーしておいて欲しい」と依頼する場面。
<好ましい指示の仕方>
「○○さん、明日の13時までに、この書類を20部コピーして、わたしのデスクに置いておいてくれないかな。見やすいようにカラーコピーで頼むよ。明日の14時からの社内会議でみんなに配りたいから、期限に間に合うように対応して欲しい」
<注意点>
5W1Hのいずれかが抜けた場合、次のようなトラブルが起こる可能性があります。
Whenが抜けた場合:上司が想定している期限までに、対応が完了しない恐れがある
Whereが抜けた場合:コピー完了後、部下が資料を持ったままになる恐れがある
Whoが抜けた場合:「誰かが対応するだろう」と誰も対応しない恐れがある
Whatが抜けた場合:想定している書類と別のものがコピーされる恐れがある
Whyが抜けた場合:期限の重要性が分からず、優先度が低いと認識される恐れがある
Howが抜けた場合:白黒で書類がコピーされる恐れがある
認識齟齬を最小限に抑えられれば、その分、部下との信頼関係も構築しやすくなります。捉え方は人それぞれであることを認識し、5W1Hの要素をおさえた指示出しを行ないましょう。
5W1Hの活用方法 3.新規店舗のコンセプトの策定
新規開業店舗のコンセプト作りにも5W1Hが役立ちます。各要素を下記のように捉え、適切な順序で書き出してみましょう。なお、コンセプト作りの場合は5W1Hの要素に、適宜「How much」などを加えるのもおすすめです。
<各要素の捉え方>
When→営業時間
Where→立地
Who→ターゲット
What→サービスや商品
Why→お店を開く目的
How→サービスや商品の提供方法
How much→価格
<コンセプト例/天ぷらを提供する和食店の場合>
お店を開く目的:野菜の美味しさを、和食である天ぷらで伝えたい
ターゲット:30代以上、女性や夫婦、仕事帰りや外出時に静かに食事を楽しみたい層
サービスや商品:産地直送の新鮮な野菜を活かした天ぷらが中心
立地:オフィス街近隣、駅から徒歩10分圏内
営業時間:11:00~14:00(ランチ)、17:00~23:00(ディナー)
サービスや商品の提供方法:ランチとディナー、テイクアウト
価格:ランチは1000~2000円、ディナーは2500円~
大まかに各要素を書き出したら「提供するのは産地直送の新鮮な野菜を活かした天ぷら。野菜は無農薬で育ったもの、特に旬のものを用いる」など、より具体的で細かい内容を加えていきましょう。
コンセプトを作り込んでおけば、「何を準備する必要があるのか分かりやすくなる」「店舗開店後の運営方針がブレにくい」など、様々なメリットが得られます。5W1Hに沿って納得ができるまで何度も作り直しましょう。
5W1Hの活用方法 4.マーケティング戦略の検討
マーケティング戦略を立てるときにも、5W1Hに沿った考えが活かせます。例えば各要素を次のように捉え、戦略を立ててみましょう。
<各要素の捉え方>
When→施策実施の時期
Where→流通チャネル
Who→ペルソナやターゲット
What→サービスや商品
Why→目的
How→売上アップの方法
<マーケティング戦略例/化粧品販売企業の場合>
目的:自社の美容クリームの売上アップ
ペルソナやターゲット:20代前半の女性、冬の肌の乾燥が気になる層
サービスや商品:自社の美容クリーム
施策実施の時期:10月
流通チャネル:LP、ECサイト、小売店での販売
売上アップの方法:容量が半分のお試しサイズを販売。それに伴い、過去にWeb上にて当社製品を購入したお客様に、美容クリームのお試しサイズ販売のお知らせを配信。また、新規LPを用意し、リスティング広告を運用。
マーケティング戦略では5W1HのWhyの部分にあたる、目的が重要です。「売上アップ」「認知度アップ」「リピート率アップ」など、目的が異なればアプローチ方法も変わってきます。まずは目的を明確にした上で、各項目を考えるようにしましょう。
5W1Hの活用方法 5.新商材の開発
新しい商材を考えるときも、5W1Hを活用できます。まずはそれぞれの要素を下記のように捉え、各項目について考えてみましょう。
<要素の捉え方>
When→利用するタイミング
Where→場所
Who→ターゲット
What→商品やサービス
Why→ターゲットの目的
How→利用方法
<具体例/新しいお菓子を開発する場合>
ターゲット:オフィス勤めの女性
利用するタイミング:一息つきたいとき、小腹が空いたとき
利用する場所:オフィス
商品やサービス:一口で食べられるサイズのクッキー
ターゲットの目的:こぼさずに手早く食べたい
利用方法:気兼ねなく封を切って食べられる
各項目について大まかに考えたら、「なるだけ手に商品が付着しないよう、材料や加工工程を工夫しよう」「封入口にはジップをつけて保存できるようにしよう」など、どんな商品ならターゲットが喜んでくれるのかを踏まえて、詳細を練っていきましょう。
商材を開発する際には、新しいアイディアや切り口も必要になってきます。そのため、5W1Hに沿って複数人で試行錯誤を繰り返すことが重要です。また、試作品をブラッシュアップするときにも、必要に応じて5W1Hを用いるといいでしょう。
5W1Hのフレームワークをビジネスに活用しよう
5W1Hは、業務について話すとき、課題を解決したいとき、新しい商材を作るときなど、幅広いビジネスシーンで効果を得られるフレームワークです。
職種や立場に関わらず、すぐに活用できるため、社内での各種業務に積極的に取り入れてみましょう。
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