主体性とは?ある人・ない人の特徴や社員の主体性をのばすための4つの方法を紹介

主体性がある社員は、仕事へのモチベーションが高く、指示されたこと以上の行動を持って結果を出します。

こうした「主体性」のある・なしを見極めるには、どんな点を注視するべきでしょうか。また社員の主体性を引き出すために、上司や人事ができる取り組みについて解説します。

主体性とは

主体性とは、自分の意思や判断に基づいて、自覚的に行動することや、そういった傾向の強い態度や性格のことをいいます。

現代のビジネスシーンでは「主体性を持って仕事に取り組む」などと言うように、言われた指示だけに沿って業務を行うのではなく、指示の内容を自ら咀嚼し、業務の目的を理解し、作業の意味を考えながら取り組むことを指します。主体性のある人は、状況に応じてするべきことを判断し、行動できるようになります。

主体性と自主性の違いとは

主体性と混同しやすい言葉に「自主性」があります。自主性とは、「他人に頼らず、自分の力で考えたり行ったりすることのできる性質」のことをいいます。

  • 主体性:自らの意思や判断で責任をもって行動すること。
  • 自主性:他人からの干渉や保護を受けず独立して行うこと

自主性とは、主体性の一部であると考えられています。どちらも自らの考えに基づいて行動を起こします。主体性では、行動のみならず行動に伴う責任まで含め、行動の結果の責任は自分にあると考える点が特徴です。

「自主的に行動する」「自主性を持って始める」と言う場合、何かの物事を人に言われずに取り掛かることを指します。たとえば職場において、新卒の社員が互いのコミュニケーションを深めるためにイベントを自ら企画した際、取り組んでいる社員たちは「自主性がある」といえるでしょう。

一方「主体性を持って取り組む」のであれば、企画したイベントをただ開催するのではなく、目的を明確にし、成果が出ているかどうかを計る指標を決め、開催後の周りの反応を分析したり、次の企画につなげる改善案をまとめたりする行動までを意味します。必要であれば、当初の主催者だけで実施するのではなく、周りの協力を仰ぐなど、他者に頼る行動も厭いません。

このように、自主性は誰に言われるでもなく取り掛かることを示しますが、主体性では行動の結果までを含め取り組みことをいいます。

社員として主体性のある人・ない人とは

では、主体性のある社員とは、具体的にどのような人のことをいうのでしょうか。また、逆に主体性がない場合、どのようなネガティブな行動が表れるのでしょうか。

社員として主体性のある人

主体性がある社員は、仕事へのモチベーションが高く、結果に対して責任があると感じています。

1.仕事へのモチベーションが高い

主体性のある社員は、意欲的に物事に取り組みます。成長意欲があるため、仕事へのモチベーションが高い状態です。自分に期待されている役割を理解し、目標を達成するために最適な行動を考え実行に移します。

2.仕事を自ら創り出す

主体性のある社員は、指示された業務を遂行するだけではなく、「何かほかに出来ることはないか」といった工夫の観点を忘れません。仕事に対して思考する習慣があるため、足りない点を見つけ、自ら仕事を作り出します。行動と結果から学習する姿勢があり、難易度の高い仕事にも果敢に取り組みます。

3.何か失敗しても反省して改善する

主体性は、行動に対する結果までをきちんと考える点が特徴です。主体性のある社員は、仕事で何かトラブルが起きた場合、その結果に責任をもって考えることができます。なぜその結果になってしまったのか、失敗の原因を内省し、次の行動に活かすことができるのです。

4.状況に応じて判断し適切な行動をとれる

主体性とは、自ら考え判断する力です。仕事において、適切な行動は状況に応じて異なります。たとえば接客業であれば、いくつもの業務が同時にやってきて、優先順位をつけて短時間で取り組まなければいけない事態があるでしょう。こうした状況において、主体性のある社員は、何から取り組むのが適切かを経験から判断し行動に移すことが可能です。

社員として主体性のない人

逆に主体性がない社員の場合、仕事への意欲が低く、全てが指示待ちである受動的な態度が目立ちます。

1.仕事へのモチベーションが低い

主体性がない社員は、仕事は「言われたことをやるもの」という認識が強いです。工夫や新しいアイディアが生まれないため、仕事での自己成長を感じる機会が乏しく、働きたくないと感じる時間も増えます。

2.指示があるまで仕事ができない

主体性がないということは、自ら率先して取り組んだり、必要な仕事を見つけ出し着手したりといった姿勢に欠けます。上司が指示を与えるまで行動に移さず、かつ思考する能力に欠けているため、適切な行動を具体的に指示しなければいけません。

3.会議で聞かれるまで意見を言わない

主体性がない社員は、自らの意見を持つこと自体を苦手としています。積極的に意見を表明する習慣がないため、会議などのアイディアを求められるシーンにおいても、誰かから直接話題を振られない限り発言することがありません。

4.「どっちでもいい」と適切な判断を下せない

主体性のない社員は、判断する力に欠けます。そのため、状況に応じた臨機応援な対応が苦手であり、選択肢が目の前に出現した場合でも「どちらでもいい」と考え判断すること自体を放棄してしまいます。

主体性のある人の特徴とは

主体性がある社員は、仕事において意欲的であり、必要な業務を見つけ出し、工夫を凝らして取り組みます。臨機応変な対応ができるうえ、PDCAサイクルを回し物事を改善する力にも長けています。

こうした主体性を持つ人を採用で見極めるには、以下のような特徴を意識して選考してみるといいでしょう。

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1.自らが中心となり業務に取り組んだ実績がある

自分が中心となり取り組んだプロジェクトがある人には、主体性が期待できます。プロジェクトの規模の大小は、選考する相手の年齢や経験によって判断するといいでしょう。

大事なのは、「自ら進めた企画がある」という経験談だけで留まらず、本人がその企画やプロジェクトの成果までを把握し説明できるかどうかです。

取り組んだ企画が何をもたらしたのか、逆に何が足りなかったのか。次の機会に改善までを行っている場合は、主体性があり仕事に取り組んでいる人物と判断できるでしょう。

2.進学や転職といった節目に自ら判断し行動してきた

これまでのその人の生き方も、主体性を見るうえで参考になります。新卒採用では、大学など学校への進学動機、中途採用では転職したときの理由や転職先を選ぶうえでの判断軸を聞いてみましょう。主体性ある人は、なぜその行動をとったのか理由を含めて説明ができます。

3.理想とする働き方をイメージし近づける努力をしている

主体性がある人は、自分の生き方を他者にゆだねません。どのように生きたいのか、どのようなキャリアを積みたいのか、情報を集めイメージする力を持っています。そして自分が判断した方向に対して、実現できるよう努力を惜しみません。

4.臨機応変に対応できる

主体性があるということは、わがままであることとは違います。他者の意見を取り入れつつ、協調しながら行動できるのが、職場で求められる主体性であるといえます。なにか失敗をした際、他者と協力して物事を解決した経験があるでしょうか。

自分の力量が足りないシーンでは、アドバイスを求める判断が下せるでしょうか。過去の経験だけでなく、「このような状況ではあなたはどうしますか?」と、ロールプレイングを通じた採用も、相手の主体性を見極めるのに役立ちます。

主体性のない人の特徴とは

一方、採用のシーンでこうした特徴が目立つ人に対しては、主体性を持って業務に取り組む力があるかどうか、慎重に判断する必要があります。

1.これまでの選択が受動的である

転職や進学、これまでの選択に対して「なぜあなたはその道を選んだのですか?」と聞いた際、はっきりとした理由が答えられない人は、主体性に欠けるかもしれません。親に進められた、周りがいいと言ったから。こうした判断軸は、自分の頭で情報を集め、考え、判断するという主体性からはかけ離れたものです。

2.結果に対してネガティブな意見が多い

前職やこれまで属していた組織に対して、ネガティブな意見が多い人も要注意です。物事を適切に判断するために、批判的な視点は欠かせません。しかし、何につけても「〇〇が悪い」と他者に責任があるとする人は、もしかしたら自己を内省する力が弱いのかもしれません。

3.自分のなりたい将来像を描けない

「5年後のキャリア」「10年後のキャリア」を聞いたとき、明確に答えられない人は主体性が弱いと言えるでしょう。たしかに、長期的なキャリアを描くことは簡単ではありません。

しかし、必要な情報を集め、将来のビジョンを描く力があるからこそ、人は自分の進む道を選択できるのです。将来なりたい自分の姿が見えない人は、自らのことを考え判断する機会が足りないのかもしれません。

4.選択肢を前にして決断ができない

いくつかの選択肢を前にして、人に言われないと決められないという人は、主体性に欠けるといえるでしょう。

これまで上司や親の指示に従ってばかりいた人は、判断し行動する力が培われていません。「〇〇についてはどう思いますか?」と、会社の事業や社風などについて質問した際、自分の考えや意見が出てこない人も、主体性の判断を慎重に見極める必要があるでしょう。

社員の主体性を伸ばすための4つの方法

では、いまいる社員の主体性を引き出すためには、どのような点に注意して取り組むべきでしょうか。上司や人事ができる、社員の主体性を伸ばすためにできることを4つまとめました。

1.役割に応じた仕事を任せる

人は、指示されてばかりの環境では主体性を育むことはできません。何かを任され、さらに成果が期待されているなかで取り組むことで、成功体験に裏づいた自信と同時に、主体性を伸ばすことができます。

部下に対して、ポジションに見合った仕事を任せるように心がけましょう。もしあなたが一から十まで細かくやり方を指摘するタイプの上司であれば、部下のやり方を信頼し、待つことも重要です。

2.コーチングを活かす

コーチングとは、傾聴を通して部下のやる気を引き出し、自発的な行動を促すマネジメント手法です。いくら仕事を任すといっても、放任主義では部下の成長にはつながりません。

部下が何を求めているのか、困っていることはないか、日頃から部下の話を聞き、コミュニケーションをとることが重要です。その過程で、相手に期待する役割を伝えたり、部下が起こした行動を褒めるといった行為を通じて承認したりすることで、部下のモチベーションが高まり、主体性を引き出すことができます。

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4.人事評価制度を再構築する 

自分の行動が評価されるからこそ、社員は主体性を持ち続けて成長します。自社の人事評価制度は、そうした社員一人一人の目標を適切に把握し、行動を評価して昇給や昇格につなげる仕組みになっているでしょうか。

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社員の主体性を伸ばして組織力を上げよう

主体性は、仕事において社員一人一人が考え、判断し行動するために欠かせない姿勢です。主体性がある社員の多い組織では、いわゆるボトムアップの形で業務改善や生産力向上が可能になります。

現場が「思考する力」「行動する力」を持っているため、改善や生産性向上もスピード感を持って取り組めます。社員の主体性を引き出す取り組みが、組織の成長につながるのです。

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