フォローアップとは?目的や具体的な内容、研修の例、実施するタイミングなど紹介

若手社員の離職率の高さや、優秀な人材が育ちにくく定着もしにくいという課題を抱えている企業は少なくありません。これを解決するための一案が、「フォローアップ」「フォローアップ研修」です。

働き方が多様化する現代社会では、フォローアップによって人材の育成をサポートしなければ、ますます離職率の高さや生産率の低下に頭を悩ませることになります。

本記事では、そうした課題を解決するためのフォローアップとは何なのか、基本的なところから具体的な内容・コツまで、手広く・わかりやすく解説します。フォローアップについて考え始めた管理職・人事担当者の皆様は、ぜひ参考にしてみてください。

フォローアップとは

人事分野におけるフォローアップとは、「研修などで従業員の理解度を高めてスキル上昇を目指すこと」、あるいは「従業員に対する定期的・継続的な支援活動を行うこと」です。

ちなみに広義的には「ある事柄を徹底させるために、後々まで面倒を見る・追跡調査をすること」や、「1度行ったことの効果を強化するため、同じことを再度行い進展を調べること」も、意味します。

人事分野に限らず、スポーツ分野や教育分野でもよく使われる言葉です。

フォローアップとフォローの違い

人事分野においては、「従業員の足りない部分(もしくは失敗)を後から補うこと」をフォローと表現します。そして、「従業員に何らかの事柄を徹底させるために面倒を見る・追跡調査をすること」をフォローアップと言います。

例えば、従業員が失敗した時に助け船を出すことはフォロー。その後、どうすれば同じ失敗を繰り返さずに済むのかを一緒に考えるなら、フォローアップと表現するとよいかもしれません。

従業員の成長、ひいては会社の成長のためにはフォローとフォローアップの両方が大切です。

ストレスチェックもフォローアップに該当するのか

従業員のストレスチェックも、フォローアップの一環として数えられることがありますが、厳密に言えばストレスチェックは、会社の「義務」です。2015年の12月から、従業員50名以上の会社には、ストレスチェック制度に基づいた、年に1回のストレスチェックを実施することが義務づけられました。

もちろん、一定規模以下の中小企業で自発的にストレスチェックに取り組むことも、大変建設的なことです。近年増加を見せている、従業員のメンタルヘルス不調のリスクを減少させ、職場の環境を改善=離職率を改善することに繋がります。

フォローアップを行う3つの目的

以下では、会社としてフォローアップを行う主な目的を3つ、紹介していきます。

  1. 会社への帰属意識を高める
  2. スキルの定着度を高める
  3. 従業員の離職率を改善する

会社への帰属意識を高める

会社にはそれぞれ、企業理念があると思います。従業員も企業理念の有無については、入社時に把握しているかもしれませんが、それがきちんと浸透しているかどうかは話が別です。

企業理念は1度示すだけでは浸透しづらいため、繰り返しフォローアップを行うことで、徐々に定着化を図ります。

企業理念が浸透すれば、従業員の帰属意識は高まり、生産性の向上が期待できます。後述する「エンゲージメント」と関係の深い目的です。

スキルの定着度を高める

当然のことながら、業務に必要なスキルというのは、1度の研修では身に付かないものです。
フォローアップを定期的に行い、どこでつまずいているのかなどスキルの定着度合いを確認することで、従業員の確かなスキルアップを図ります。

従業員の離職率を改善する

特に入社後3年間に行うフォローアップは、従業員の離職を防ぐことに役立ちます。
近年は、「新卒者の離職率が高い」と各所で言われており、その改善に多くの会社・組織が頭を悩ませています。

新卒者の離職の理由については、「人間関係がよくなかったから」「環境に馴染めなかったから」という意見がよく聞かれます。

人間関係や環境が原因の離職であれば、周囲のフォローアップにより、離職する前に改善することが可能な場合もあるでしょう。

フォローアップと「エンゲージメント」の関係

人事分野において「エンゲージメント」とは、会社(組織)に対する愛着心のことを指します。エンゲージメントが高い状態では、従業員が事業課題に積極的に取り組む姿勢が生まれ、生産性の向上や離職率の低下などのメリットが見込まれます。

フォローアップを実施することは、下記のメリットにより従業員のエンゲージメントは高まりやすくなるでしょう。

  • スキルが上達し、仕事に魅力を感じる
  • 支援されている実感を受け、会社に魅力を感じる
  • 会社にいることでしか得られない学習効果を感じる

従業員のエンゲージメントの低さが課題となっている会社では、いち早くフォローアップに力を入れるべきでしょう。

フォローアップの具体的な4つの内容

では実際に、フォローアップとは具体的にどのような内容なのかを4つ紹介しましょう。

  1. フォローアップ研修の実施
  2. 人事担当者による面談
  3. 直属上司による面談(1on1)
  4. メンター制度の導入

フォローアップ研修の実施

フォローアップ研修とは、ある研修を実施してから一定期間を経て、再度同じ受講者を集めて行う研修のことです。

研修で学んだことが従業員に定着しているのか、実践に移せているのか、その結果はどうだったのかなどを振り返ります。次の研修に向けて、目標設定を行うことも大切なプログラムです。

人事担当者による面談

人事担当者が、従業員と面談の機会をつくり、従業員の本音や課題点などを尋ねます。
あえて「人事担当者」としているのは、密接に仕事で関わる直属の上司よりも、採用や研修を担当した人事担当者に対してのほうが、話しやすいことが多いためです。

この面談の結果を踏まえて、今後のフォローアップ研修の改善点や、人事管理における課題点などを発見することができるでしょう。

直属上司による面談(1on1)

もちろん、直属上司と従業員間の面談も大切です。できれば定期的に1on1で、威圧感を与えずに話しやすい環境を整えて面談することが望ましいです。

部下と毎日仕事を共にする直属上司は、普段の業務を把握しているはずです。日々の観察で、部下の悩みや行き詰まりに、何となく気付くこともあるでしょう。

「最近無理しているのではないか?」と気付いても、普段の業務の合間では対処することができません。ですが1on1の面談の時間を別途つくることで、部下を適切にフォローアップすることが可能になります。

悩みの相談だけでなく、下記の項目などを話し合うと、フォローアップ面では効果的です。

  • 自身の中長期的な目標やライフプラン
  • 部下に対して期待していること
  • よりスキルアップするために必要なこと

面談で相手にどんなことを聞くべきなのかは、後の項目でも少しお話します。

メンター制度の導入

「メンター制度」とは、新入社員・若手社員の課題や悩みに対して、年齢や社歴の近い社員が助言を行う制度のことをいいます。通常の上司面談と異なるのは、「別の部署に所属する社員がメンターを行うことが一般的」な点です。

同じ部署に所属しているわけではないので、メンティ(助言を受ける側)は正直に思いを伝えやすく、メンター(助言する側)は客観的なアドバイスを授けやすいことがメリットです。

メンター制度は1980年代のアメリカで発祥したといわれ、日本の会社・組織でもここ10年ほどの間に普及しています。

フォローアップ面談で聞くべきこと

  • 現状の課題は?
  • なぜその目標を設定したのか?
  • 今の仕事についてどう思っているのか?
  • 目標についてどんな成果を上げたのか?
  • 今の部署でどんな貢献をしたのか?

これらは、面談の鉄板とも言える質問事項です。しかし、これらをマニュアル通りに矢継ぎ早に聞くだけでは、良い面談とは言えません。

今後のために従業員の今の状態を知ってサポートしたいこと、従業員のさらなる活躍に心から期待していることなどを伝え、きちんと心が通い合う面談にしましょう。

フォローアップを実施するべき4つのタイミング

フォローアップを実施するべきタイミングは、 大きく分けて下記4つです。以下で、それぞれどんな内容のフォローアップを行うべきなのか、簡単に解説します。

  • 新入社員の入社から3ヶ月後
  • 新入社員の入社から1年後
  • 従業員の異動時
  • 従業員の中途採用時

新入社員の入社から3ヶ月後

入社から3ヶ月後のフォローアップは、仕事に対する課題点・悩みを把握し、うまく会社・組織に溶け込めるように支援することが目的です。

おおかた入社から3ヶ月も経つと、仕事内容や周囲の人間関係に慣れはじめます。仕事が楽しくなってくる頃合いだという人もいるでしょう。そのいっぽうで、入社前に思い描いていたビジョンとのギャップにも気が付き、新しい悩みや不安が生じてきます。先述した面談で人事担当者・直属の上司などがその悩みに寄り添い、必要なサポートを行います。

フォローアップ研修では、新入社員による3ヶ月間の目標達成状況のプレゼンが、主なプログラム内容となることが多いです。仕事の進め方の再確認や、実際に業務を3ヶ月続けて生じた悩みの共有なども目的とします。

新入社員の入社から1年後

入社から1年後のフォローアップは、現場を経験した1年間の総合的な振り返りを行います。従業員によっては部下ができていたり、仕事内容に変化が生じていたりと大きな変化があるので、新たな目標設定の場でもあります。

仮にまだ部下はいないとしても、「これから先輩社員としてのステップアップをし、先輩社員としての心構えを身に付けていくことを期待している」と話し合う良い機会です。

従業員の異動時

これから異動する従業員に対しては、新しいポジションでどんな仕事があるのか、会社からはどんな期待をしているのかなどを、面談の場で丁寧に伝えます。新しいポジションで得られるメリットを伝えて、異動のモチベーションを向上させることも、時には必要です。

異動後しばらく経った従業員に対しては、「異動前と異動後のギャップはないか」「新しいポジション(環境)で無理なく働けているか」などをヒアリングしましょう。

異動した従業員が新しい環境にいち早く馴染み、自分の仕事を確立できるようにしっかりとサポートします。

従業員の中途採用時

中途採用した従業員に対しては、入社前にやりたかったことと、実際の業務にギャップが生じていないかを確認する必要があります。

今の仕事ぶりのフィードバックについても、早く伝えたいところですが、面談では先の確認を優先してください。はじめにフィードバックをしてしまうと、従業員が委縮して、その後に自分の本音を話しづらくなってしまう可能性があります。

その他、面談では「新しい同僚や上司とはうまくコミュニケーションが取れているか」と確認したり、特定の期間までにどんなふうになってほしいか、今後の期待感を伝えたりするとよいでしょう。

フォローアップ研修の具体的な内容・実施例

面談の他、フォローアップの要となるのが、先ほどから何度か話に出ている「フォローアップ研修」です。そのフォローアップ研修ではどんなことを行うのか、主な内容を4つ挙げてみましょう。

  1. 新入社員研修の復習
  2. 課題点を振り返る
  3. プレゼンテーションを行う
  4. キャリアプランを作成する

新入社員研修の復習

入社時に行った、コミュニケーション研修やビジネスマナー研修などの内容を復習します。
ただプログラムを再度行うだけではなく、学んだことを実際に業務でどう活かしているのかを共有する場にすることが望ましいです。

課題点を振り返る

継続的に行うフォローアップ研修では、業務を遂行していくうえでの課題点、まだ足りないと感じているスキルなどを都度洗い出します。

グループワークも有効で、自分だけでは気付くことができない強みや課題点を、新たに発見することに繋がるでしょう。

プレゼンテーションを行う

自分の課題点がわかったら、それを明日からどう業務に活かしていくのか、プレゼンテーションを行います。うまくプレゼンすることが大事なのではなく、インプットした情報を、発表という形でアウトプットすることで、より明確化させる狙いがあります。

キャリアプランを作成する

研修に参加する従業員には、「何のために働いているのか」「中長期的にどんな目標を掲げているのか」を明確にした、キャリアプランを作成してもらいましょう。

3年後、5年後……と長く会社で働き、ステップアップしてもらうための、モチベーション向上を図る狙いがあります。その社員のことを深く知るきっかけにもなるはずです。

ただ漠然と働くだけでは、従業員のエンゲージメントは低下しがちで、そのことが離職率の上昇に繋がります。キャリアプランの作成には、長い目で見て従業員の離職を防ぐ効果も期待できるのです。

フォローアップ研修で大事なこと

フォローアップ研修は、スキルの再確認と共に、悩みや課題の共有を行う場です。従業員が競争したり、研修の内容で優劣をつけたりするような機会ではないので、注意してください。

「フォローアップ研修」と聞いて身構えたり、緊張したりする従業員は少なくないので、事前に研修は先述したように競争や優劣をつける場ではないことを、きちんと示しておきましょう。

そうすれば、従業員にとって参加しやすいフォローアップ研修になるはずです。

フォローアップを効果的に行うための3つのポイント

ここまでで、人事分野においてフォローアップとはどんな内容を指すのか、基本的なところがおわかりいただけたかと思います。

以下では、様々なフォローアップをより効果的に行うためのポイントを、3つ紹介します。

  1. 管理職研修を行う
  2. フォローアップを受けている人の意見を集める
  3. フォローアップに役立つツールを活用する

管理職研修を行う

実際にフォローアップを行う人事担当者・管理職などが、適切なフォローアップを行えるように、適宜研修を実施しましょう。

具体的なフォローアップのテクニックだけではなく、普段から新入社員・若手社員・部下に対してどう接するのかや、管理職としての適切な振舞いなどを勉強していく必要があります。

フォローアップを受けている人の意見を集める

フォローアップを受けている従業員からは、定期的に意見を集めるようにしましょう。
どんな支援が求められているのかや、次回のフォローアップ研修では何を重視するべきかが、よくわかります。

例えば、フォローアップ研修の後にはアンケートを取り、研修内容の理解度のチェックと併せて、フォローアップに対する様々な意見を集めることが効果的です。

フォローアップに役立つツールを活用する

  • ATS(採用管理システム)⇒入社前の段階から求職者のフォローアップが可能
  • 勤怠管理システム⇒従業員の長時間労働を可視化する
  • タレントマネジメントシステム⇒従業員のスキル・目標・評価・離職予兆の分析をする

上記に代表されるようなフォローアップに役立つツールを活用してみましょう。
客観的に見ることが難しいデータや、マンパワーでは計測に苦労するデータの把握に役立つはずです。

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適切なフォローアップで優秀な社員を育成しよう

フォローアップの目的や具体的な内容、フォローアップ研修で行うべきことや、フォローアップを効果的に行うためのポイントについて、お伝えしました。

フォローアップは優秀な人材を育成し、会社に定着させるために大変重要な課題です。部署ごとに合ったフォローアップ方法を模索し、必要であれば外部のシステムも採用して、効果的なフォローアップを実践していきましょう。

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