eラーニングとは?社内研修での活用法、導入のメリット・デメリットを解説

(画像=metamorworks/iStock)

「eラーニング」をうまく活用することで、企業は効率良く人材育成を行えます。

eラーニングを導入するメリットやデメリットを踏まえたうえで、自社に合った取り組みを進めていくことが大切です。

今回は、eラーニングの基本的な仕組みや、社内研修などでの活用方法を具体的な事例を交えながら解説していきます。

eラーニングとは?

eラーニング(Electronic-Learning)は、インターネットを通じた学習方法のことを指します。

低コストで導入しやすいことから、多くの企業で社内研修などに用いられています。

従来の講師を招いた研修では、日程の調整や時間的な制約から実施のために大きな労力がかかっていました。

受講生の学習の習熟度も講師自身が行わなければならず、講師・受講生の双方にとって負担が大きかったといえるでしょう。

また、DVD教材などを使った学習では時間やコストが削減できるものの、学習が受け身となってしまうため学習効果が測りにくいというデメリットがありました。

こういった従来の学習方法も問題点を踏まえたうえで、eラーニングの仕組みは整えられていったのです。

eラーニングでは受講生の学習記録をサーバー上に保管でき、一元的な管理が行えます。

受講生はいつでも好きなときに学習ができ、各自の理解度に合わせて学べるのです。

最新の教材を瞬時に配信できる点も、eラーニングの特徴だといえるでしょう。

PCだけでなくモバイル端末の普及によって、ますます効率的な学習の機会が提供されるようになっています。

LMS(Learning Management System)とは

LMS(Learning Management System)は「学習管理システム」と呼ばれるものであり、eラーニングの仕組みを支えるものです。

LMSはPCにおけるOS(オペレーションシステム)にあたるものであり、eラーニングで必要となる機能やプラットフォームを備えています。

基盤となるシステムを構築しておくことで、管理を行う側は教材の作成や学習指導に集中できるメリットがあります。

また、受講生の学習の進捗度や習熟度を可視化できるため、個別にきめ細やかな指導を行えるのです。

LMSとSNSなどのコミュニティ機能を併用すれば、双方向での情報のやりとりを行えるでしょう。

デメリットとしては、システムを一から用意する必要があるため、初期費用がそれなりにかかるという点があげられます。

WBT(Web Based Training)とは

WBT(Web Based Training)は、Webを主体とした学習システムのことを指します。

従来のPCを使ったシステムでは、サーバーなどの制約から利用できる範囲がかぎられていました。

一方でWBTでは、すでに普及しているWebサーバーやWebブラウザを使用することによって、接続できる環境さえ整えば自由に学習を進められます。

Webベースの仕組みであるため、導入コストを抑えられるのも特徴です。

CAI(Computer Aided Instruction)とは

CAI(Computer Aided Instruction)はPCを用いた教育システムのことを指し、受講生の学習習熟度に合わせて、個別の指導ができる点に特徴があります。

元々はプログラム学習から始まったものだといわれており、社員教育や学校教育などに役立てられているものです。

CAIでは複数人に同時に教えながらも、それぞれの受講生に対する指導ができ、理解度に合わせて出題する問題などを変えられます。

eラーニングが普及した理由

eラーニングが社員教育に取り入れられていった背景には、「インターネットの普及」と「スマートデバイスの進化」があげられます。

それぞれがどのような影響を及ぼしたのかについて見ていきましょう。

インターネットの普及

インターネットの普及は、PCがビジネスにも使われ始めた頃から徐々に広まってきました。

回線速度が向上したことでビジネスでの活用だけでなく、教育やショッピングといったライフスタイルの面でも大きな変化が起こったといえます。

インターネットを活用することで仕事や生活に必要なものを素早く入手することが可能となり、企業のビジネスモデルそのもののあり方にも大きな影響を与えたのです。

インターネットが普及するにしたがって、双方向型のやりとりが行えるようになり、eラーニングにも活かされています。

スマートデバイスの進化

スマートフォンやタブレット端末といった機器の進化により、会社や自宅といった場所を限定せずに、インターネットにアクセスできる環境が整っています。

スマートデバイスの普及によって、「いつでも・どこでも」必要な情報を入手することが可能となり、回線速度の向上によって動画の閲覧などもスムーズになってきているのです。

eラーニング活用事例

eラーニングを活用すれば、「研修講師が現場に出向く必要がなくなる」「人材育成のコストを抑えられる」「学習効果を高められる」といったメリットが得られます。

これらのメリットをうまく活かしていくことによって、企業の生産性を高めることにもつなげられるはずです。

一般的な企業において、どのような活用事例があるのかを紹介していきます。

社内の就業規則やルールの学習

企業の生産性を高めるためには、従業員にとって働きやすい環境を整備していく必要があります。

そのためには、就業規則や社内ルールの徹底が不可欠な要素ですが、全社員に直接教えるのには時間も手間もかかります。

また、セキュリティ方針などは一度教えたとしても、実態に合わせて絶えず変化していくものであるため、最新の情報を定着させるのが難しく感じてしまう面もあるでしょう。

これらの学習をeラーニングで行うことで、従業員一人ひとりの習熟度を測ることができ、ムラのない指導が行えるようになります。

ビジネススキル研修

eラーニングは、新入社員研修・内定者研修・ビジネスマナー研修といったビジネススキルの向上を目的とした研修に役立てられます。

どの従業員も一律に身につけてもらわなければならないスキルは、繰り返し学習できる機会を提供することが大切です。

ただ、社会人経験のない社員に対する教育は、アフターフォローも重要になります。eラーニングであれば個別の質問にも応じられるため、受講生と双方向のやりとりができ、学習効果を高められるでしょう。

専門知識の習得

ITスキル・営業スキル・財務知識といった専門性の高い知識を社員に習得させる際にも、eラーニングでの学習は役立てられます。

個々のスキルレベルに応じて学習を始めることができ、受講生自身が自分のスキルを客観的に見ることも可能です。

どういったスキルが不足しているのかを可視化することによって、学習に対する意欲を高められます。

キャリアに合わせた学び方ができる点も、eラーニングの特徴の1つなのです。

社内アンケート調査

社内アンケートの実施は、従業員が会社に対する満足度を知るためにも有効な方法です。

しかし、紙のアンケート用紙を配布して記入してもらい、それらを回収して集計する作業は大きな手間と時間がかかります。

また、上司や同僚の前でアンケートを記入することに抵抗を感じてしまう人もいるでしょう。

インターネットを通じて社内アンケートを実施すれば、質問に答える側とアンケートを集計する側の双方にとって負担を減らすことができます。

データの収集や分析を容易に行えることで、アンケートの内容を作成する時間を効果的に捻出できます。

人事部門の導入メリット・デメリット

e-ラーニングを人事部門で導入するメリットとしては、最新の教材を一律に提供できる点があげられます。

従来のDVD教材による学習と比べて、教材の更新が手軽に行えるのが特徴です。

必要に応じて、学習プログラムの変更や修正が容易にできる点もメリットだといえます。

また、学習の進捗度を受講生ごとに一元的に管理でき、同時に複数人を指導しながらも個別指導も可能となっています。

一方で、デメリットとしてあげられる点は、LMSといったシステムへの初期投資が必要であり、導入費用がかかってしまうことです。

また、プログラムの作成に技術やコストが必要となるため、事前によく計画を練り込んでおくことが重要になります。

学習者のメリット・デメリット

eラーニングによって学習する側のメリットとしては、職場以外の場所でも受講できる点があげられます。

スマートデバイスを活用することで、インターネットに接続できる環境であれば、どこでも学習ができるのです。

ライフスタイルに合わせて自分のペースで学習でき、テスト結果や学習の進捗度をすぐにチェックできるので、学習意欲を高められます。

一方で、デメリットとしては講師とのリアルタイムでの交流が難しい点とシステムやインターネット環境を整える点があげられるでしょう。

すべてをeラーニングでカバーするのではなく、オフラインの研修会などとうまく組み合わせながら活用していくことが大切です。

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