人事部門が取り組むべき人材教育において、日本に広く浸透しているのがOff-JTです。
Off-JTとは、日常の業務から離れ、外部で従業員に研修をさせる人材教育の方法です。
さまざまな人材教育の方法があるなかで、人事部門の担当者は研修の特徴や注意点などを理解しておかなければいけません。
そこで、ここではOff-JTの効果や活用方法、メリットなどについて解説していきます。
Off-JTとは?
Off-JTとは、職場から離れた場所で実施する外部研修や集合研修などが該当します。
職場から離れてトレーニングを行うことから、「off-the-job training」の略称としてOff-JT と呼ばれています。
通常、新卒や中途採用で新たに入社した従業員は、所属する部署の上司や教育担当から仕事を教わることがほとんどです。
しかし、社内の人間からだけでは、学ぶことができない知識やスキルも存在します。
例えば、業界の最新動向や最先端の技術といった専門性の高い学習領域です。
専門分野における指導や教育を行える従業員は少ないため、外部のセミナーを利用するのです。
Off-JTは、大人数の従業員に対して、職能別や目的別に実施されるケースがほとんどです。
例えば、新入社員10~15名に参加させて、一斉に新人向けのビジネス研修を受講させるというような活用方法です。
OJTとの違いは?
同じく、従業員に対する人材教育において、似たような言葉であるOJTがあります。
OJTとは、実際に担当する業務を進めながら、実践を通じて従業員に知識やスキルを学ばせる人材教育の手法です。
日常の業務の中でトレーニングを行うことから、「On the Job Training」の略称としてOJTと呼ばれています。
実際に担当する業務に就くことから、直属の上司や周囲の同僚、先輩が教育担当者になることがほとんどです。
OJTには、業務を通じて実践的なスキルを習得できるという大きなメリットがあります。
しかし、教育担当者も通常の業務を抱えているため、指導や教育に十分な時間を割けないというデメリットも存在します。
多くの企業では、Off-JTやOJTを単独で行うのではなく、双方のメリットや得意分野を考慮のうえ、併用しているケースが多いです。
例えば、Off-JTで座学や専門知識を学んだうえで、OJTにより実践を通じて学んでいけば、高い学習効果が期待できるのは言うまでもないでしょう。
OJDとは?
また、似たような関連用語にOJDがあります。
「On The Job Development」の略称です。
OJDとは、日常の業務を通じて、将来的に必要とされる能力を開発していくことを指します。
OJDによって、目の前にある業務に必要な能力を身につけさせるだけではなく、企業の事業展開や長期計画に沿って能力を習得させる目的があります。
Off-JTの活用法、研修事例
さて、OJTとの違いと中心に、Off-JTについて解説してきました。
それでは、各企業はどのような方法でOJTを実践しているのでしょうか。
また、どのような内容の研修や人材教育で活用しているのでしょうか。
ここでは、企業のOff-JTの具体的な事例を説明していきます。
Off-JTの実施方法
Off-JTは日常業務から離れることから、社外に学びの場を設けて研修を実施する方法が一般的です。
具体的には、研修を外部に委託して行う外部研修、集合研修などです。
企業によっては、特定の役職や職務、新人研修むけに宿泊研修(合宿)などを実施するケースもあります。
Off-JTでは、大人数が参加するケースが多いため、グループワークやディスカッションの実施により、学習効果を高めている研修も多いです。
Off-JTの研修事例
次に、具体的な研修の内容について話をしていきます。
内容は非常に多岐にわたり、日常業務に直結する能力から、間接的に必要となる知識や社会常識、モラルなどを学ぶ研修があります。
特に、将来的な企業の戦力として期待される新入社員や中堅社員向けのOff-JTは、多くの企業で実施されています。
厚生労働省が実施する「能力開発基本調査(平成29年)」のデータによると、新入社員向けには62.9%、中堅社員向けには62.7%の事業所がOff-JTを実施したという調査結果がでています。
このようにOff-JTは、日本の企業に広く浸透している人材教育の方法なのです。
Off-JTが求められる理由と効果
それでは、なぜOff-JTは人材教育の手法として、日本の企業に広まっていったのでしょうか。
ここからは、Off-JTが企業に求められる理由と効果について解説していきます。
1.教育・学習効果の均一化
まず、Off-JTによって従業員に学ばせることで、学習レベルのばらつきを防げるのが大きな効果です。
現場の上司や先輩から学ぶことになるOJTでは、その教育担当者によって指導内容や教育レベルがバラバラです。
しかし、Off-JTにおいては、研修を担当する外部講師から、全ての参加者が同じ内容を学べるため、学習効果を均一化させることができるのです。
2.プロによる質の高い教育
また、教えることに関してプロフェッショナルである外部講師から、質の高い教育を受けられるのも企業が導入する理由のひとつです。
日常の業務に長く携わってきた上司や先輩から教わったとしても、教えることに関しては素人です。
ティーチングやコーチング理論というような、人材教育のスキルを身につけた外部の研修講師とは、教え方の質が劣るのは言うまでもありません。
質の高い学習や教育を受けさせることで、人事部門は従業員のスキルアップや意識改革などを期待できます。
3.人間関係に依存しない
同じ職場で働く社員から学ぶOJTの場合、双方の相性や人間関係が教育の成果に大きく影響します。
例えば、性格的にあわない上司に教わることになった新入社員が、モチベーションが上がらずに、早期で退職するようなケースが発生してしまうのです。
しかし、Off-JTであれば、このようなトラブルが発生することはありません。
前述の通り、外部の講師はプロフェッショナルです。従業員の性格や資質にかかわらず、高い教育効果を期待できるのです。
4.現場の負担軽減
また、Off-JTで従業員に必要な知識やノウハウを学ばせることで、現場の教育担当者の負担を軽減できるといったメリットもあります。
例えば、OJTが失敗する事例として多いのが、教育担当になった上司が自分の業務で忙しく、教育に時間を取れないケースです。
緊急度の高い業務を優先してしまうため、OJTでは教育が放ったらかしにされてしまうこともあります。
5.OJTとの組み合わせ
Off-JTは単独ではなく、OJTと組み合わせることで高い効果を期待できるのも大きなメリットでしょう。
知識や理論を体系的に学べるOff-JTと、実践スキルを習得できるOJTを組み合わせれば、従業員の成長のスピードを早めることができます。
Off-JT導入のメリット・デメリット
Off-JTを社内に導入した場合、企業としてはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
ここでは、Off-JTのメリットやデメリットを詳しくみていきます。
1.メリット
Off-JTでは外部の研修を組み合わせることで、自社に必要とされる知識や能力を幅広くカバーすることができます。
そうすることで、企業ナレッジを効率良く習得させることができます。
企業ナレッジとは、その企業で必要とされる独自の知見やノウハウのことを指しています。
また、部署や部門の垣根を超えた人材を参加させることで、社員通しの交流にも繋げることもできます。
さらに、このような交流によって従業員のモチベーションが向上すれば、Off-JTは企業に大きなメリットを提供してくれるでしょう。
2.デメリット
Off-JTのデメリットは、何と言っても研修費用などのコストがかかることです。
社内の上司が教育を担当するOJTと比べれば、金銭的なコストは大きなデメリットでしょう。
さらに、自社で実績のない講師に研修を依頼する場合、研修のレベルや効果が想定どおりにいかないことも考えられます。
他社で実績がある研修講師とはいえ、自社の企業文化や従業員達に学習方法があうとは限りません。
Off-JTには、このようなデメリットも存在するのです。
あなたにおすすめのお役立ち資料を無料ダウンロード
ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。
【無料eBookプレゼント】従業員の潜在能力を引き出す、すごい仕組み
あしたのチームのサービス
導入企業4,000社の実績と12年間の運用ノウハウを活かし、他社には真似のできないあらゆる業種の人事評価制度運用における課題にお応えします。
ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。
サービスガイド
ダウンロードは下記フォームに記入の上、送信をお願いいたします。
あした式人事評価シート