人生の様々な目標を達成するためのフレームワークとして用いられる「マンダラチャート」。
目標を実現するために必要な課題を洗い出し可視化するための手法です。ビジネスやスポーツなどあらゆる場面で活用できるため覚えておくと便利でしょう。
今回は、マンダラチャートの特徴や仕組み、活用方法について紹介します。
※「マンダラチャート」は一般社団法人マンダラチャート協会の登録商標です。
大谷翔平選手も実践したマンダラチャートとは?
マンダラチャートは、大リーグで活躍する大谷翔平選手も実践したことで知られるフレームワークです 。
マンダラチャート(目標達成シート)
マンダラチャートとは、縦横に区切ったマスを用意して、内容を記入していくフレームワークを指します。
マンダラチャートは縦横3つずつの合計9マスか、あるいは縦横8つずつの合計64マスという2種類のパターンが定番です。前者のマスをそれぞれ3×3で細分化して合計81マスにするパターンもあります。
マンダラチャートは、1979年に経営コンサルティングを行うクローバ経営研究所の松村寧雄氏によって開発されました。名前の由来は仏教の「曼荼羅」で、目標や課題などを視覚的に表現できる点が特徴的です。
このチャートは、目標設定や現状分析などあらゆる目的で活用することができ、達成に向けて必要な要素を洗い出す際に役立ちます。
応用できるジャンルもビジネスからスポーツ、芸術など様々です。
大谷翔平選手のマンダラチャート活用例
大谷翔平選手といえば、高校時代から160キロを超える速球と類い稀なバッティングセンスを武器にプロ野球でも二刀流を貫き、現在は大リーグでも活躍している一流選手です。
そんな大谷選手は、夢を達成するために、高校1年生の時からマンダラチャート形式の目標達成シートを作成し、計画的に練習に取り組んできました。この背景には野球部の佐々木監督による教えがあったそうです。
大谷選手は、中心のマスに「8球団からドラフト1位指名される」という目標を掲げ、そのために必要な要素としてメンタル、人間力、運などを周辺の8マスに列挙しました。
さらに、その要素ごとに項目を深掘りしていき行動まで落とし込みます。
つまり、目標を掲げるだけでなく、達成するために必要な要素も具体的に掘り下げていくという方法をとりました。
例えば「メンタル」の要素では、周りの8マスに「はっきりとした目標・目的をもつ」「一喜一憂しない」「頭は冷静に、心は熱く」「ピンチに強い」「雰囲気に流されない」「波をつくらない」「勝利への執念」「仲間を思いやる心」を行動目標としておいています。
マンダラチャートを実践させた佐々木洋監督曰く「選手それぞれに書かせます。目標達成に何が必要かを考え、イメージさせる。目標が人を引っ張り上げてくれるんです」とのこと。
頭に漠然とある目標を達成するために、必要な目標を洗い出し、さらに行動が想定できるところまで落とし込むことにマンダラチャートは活用されます。
マンダラチャートの書き方・使い方
マンダラチャートを効果的に活用するためには、いくつか決まった手順があります。ここでは、マンダラチャートの書き方を説明します。
STEP1. 目標とその要素を洗い出す
まずはマンダラチャートの目標を設定し、構成要素を洗い出していきます。
はじめに必要なのはマンダラチャートの中心である目標を設定することです。
この目標はマンダラチャート全体の核になります。最も達成したいと考えるものを選びましょう。
大谷選手は「8球団からドラフト1位指名される」という目標を掲げましたが、このように具体的な内容であると、その後に埋める構成要素もより明確になります。
目標が定まったら、次にそれを達成するために必要な構成要素を洗い出します。
STEP2. 全体のマスを埋める
目標の候補が挙がり、構成要素も定まったら、マスを埋めていきます。
マスを埋めていく際は、思いついた要素の中から取捨選択する作業が必要です。
例えば、大谷選手のようにスポーツ選手を目指すのであれば体力、テクニック、メンタル、ロジカルシンキングなど様々な要素が求められます。
基本的に優れているポイントはいくつもあった方が良いのは間違いありませんが、かといって必要な要素を100個以上思いついたとしても、それら全てに取り組むことは物理的に簡単ではありません。
ある程度の優先順位を定めながら、特に重要なポイントに取り組む必要があるのです。
また、マス全体のバランスも考慮しましょう。
例えば、スポーツでは俊敏さと頑強さは相反することがありますし、ビジネスでは個性の追求と調和は両立しないことがあります。
まずはどのような状態が理想なのかを具体的に定めた上で、なるべく整合性の取れたマス設計にすると無駄がありません。
STEP3. マンダラチャートを見直す
マンダラチャートは作成して終わりではありません。
何度も定期的に見返し、意識して行動することで自然と目標へと近づくためのツールです。
毎朝確認する、もしくは週に一度は重点的に取り組む行動を選ぶなど、積極的に活用しましょう。
また、活用していく中でマンダラチャートの内容を見直すことも大切です。
見直すことで、達成から遠い部分を把握し重点的に取り組む、もしくはあまり関係ないと思わる行動についてはマスの内容を変えるのも一手でしょう。
作成してからしっかりと活用することが重要です。
マンダラチャート作成時の3つのポイント
マンダラチャートは、作成時に気をつけた方が良い点や、目標を実現するにあたって意識すべきポイントがあり、これらを理解しておくだけでも成果が異なるでしょう。
ここでは、マンダラチャートの作成時のポイントを紹介します。
客観的に要素を決める
ひとつの目標を達成するためには、いくつも達成するための要素が想定されるでしょう。
その中から、要素を決める際に、できるだけ客観的な視点で、目標の実現に向けて欠かせない要素を挙げなければなりません。
主観的になると偏りが発生するため、客観的にできるだけバラバラな要素を取り込むべきです。
自分の頭だけで考えるのではなく、時にはすでに目標を達成した人を参考にしたり、自分よりも経験のある人に相談をしたりするのも効果的でしょう。
マスの内容は柔軟に決める
注意点として、既存の項目に固執し過ぎないということが挙げられます。
マンダラチャートを設定する際は、目標を掲げてその構成要素を考えた後に、当初の目標を考え直すこともあるのが普通です。
マンダラチャートは、目標を達成するための道筋をつけるための手段ではありますが、一方で目標と自分の状況を照らし合わせて、本当に達成したいことを考え直すきっかけでもあります。
マンダラチャートと向き合う中で自分の思いを再認識できたのであれば、当初の目標にこだわりすぎる必要はありません。 また、目標だけでなく構成要素も柔軟に決めていきましょう。
当初は重要だと考えていたことでも、実際に深く考えてみるとより優先度の高い要素が見つかる可能性もあります。その場合は、当初の考えに縛られずに、さらに目標達成に重要だと思えるものを選ぶのが大切です。
目標設定のフレームワークを活用する
マンダラチャートを有効活用するポイントとして、他のフレームワークを導入することも効果的です。
例えば、有名なSWOT分析は、自分の強みや弱みを分析するツールとして使いやすく、今の自分にとって何が必要なのかを洗い出すために優れています。
内部要因だけなく、外部要因も探ることができるので、ライバルとの競争においても活用できるのが特徴です。
他にも、6つの項目を含む「6R」というフレームワークがあります。
このうち、特に到達可能性(Reach)と測定可能性(Response)については、マンダラチャートを埋める際に役立つでしょう。到達可能性とは、その目標が高すぎないか、あるいは低すぎないかを検証し、目標設定のレベルが適切かどうかを考えます。
測定可能性とは、その目標が達成したのかどうかを定量的に測れるという意味です。
こういった項目をチェックすることで、無理なく効果的に目標を実現しやすくなります。
仕事で使えるマンダラチャートの活用例
マンダラチャートは目標管理の他に、スケジュール管理などにも活用できます。
こういった活用例を知っていれば、ビジネスにおいて様々な場面で役立てることができるでしょう。
ここでは、目標管理の他、スケジューリングとTO DOリストとしての活用方法を紹介します。
目標管理
マンダラチャートは、会社での目標管理に適したツールです。
会社の目標管理でよくあるのは、半年や年ごとにある人事評価の際に目標を決め、次の人事評価までに目標が達成されたか確認する方法でしょう。
ただ、早くても半年に一回の確認方法だと、日常の業務に追われて目標に対しての意識が薄れてしまうことが多いのではないでしょうか。また、目標達成に対してのアプローチも多角的に考える視点が欠けがちです。
マンダラチャートで日常的に意識して多角的に取り組むことで、目標への達成確立を上げる役割を果たすでしょう。
スケジュール管理
マンダラチャートはスケジュール管理に使用できます。
例えば、日や週ごとの仕事を記入するという活用方法です。
3×3のマスの中心に1週間の目標を書き込み、周辺の7マスを月曜日から日曜日までの分にあて、月曜日から順にその日に行うべき仕事を埋めていくのです。
最後に余った1マスは1週間の振り返り用やメモとして用います。
こうすれば、その曜日ごとの作業を一覧化できるので、どの日に何の作業を行うべきか把握しやすくなるでしょう。
また、後から振り返る際も可視化しやすいため便利です。
TO DOリスト
もう1つ、マンダラチャートはTO DOリストとしても活用できます。
例えば、1週間や1カ月といった予定を組む際、達成すべき重要事項や処理しなければならない仕事を洗い出し、それを実現するために必要な項目を列挙するのです。
必要な項目をブラッシュアップするには、頭の中で考えたり、箇条書きにしたりする方法もありますが、マンダラチャートを使えば可視化がしやいため情報を整理する際に優れています。
マンダラチャートはアプリやエクセルテンプレートで作成可能
マンダラチャートは、白紙のノートに手書きで線を引くこともできますし、専用の手帳も発売されています。
また、スマートフォンのアプリや、エクセルのテンプレートで作成することもでき、こうったツールは様々な機能を備えており便利です。
例えば、アプリは、階層をタップすることで掘り下げていく機能もあるので、マンダラチャートを構造的に作成・管理できます。
また、エクセルはWEBサイト上で無料ダウンロードができるテンプレートがあり、重複した項目は自動入力されるといった機能などがあります。
社員の目標達成を後押しする人事評価を
マンダラチャートは、人材開発にも活用できます。
社員の目標設定やその達成の道筋を立てる際に活用すれば、具体的な思考を促すことができるため、高い効果を期待できるでしょう 。
企業経営者や人事担当者にとって、マンダラチャートは活用を検討する価値がある手段と言えます。
人材開発でもう1つ欠かせないのが、適正な人事評価制度です。
企業としては、目標達成を目指す社員を正しく評価することで、その成長を後押しできます。
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