ITの革新やコロナ禍によるリモートワーク制度の定着など我々のビジネス環境は急速な変化を迎えています。このような社会状況で、これまでの人事評価制度に課題を抱えている会社も多いようです。
そこで、リモートワーク下でも機能する公正公平な評価方法として期待されているのが、コンピテンシー評価。
今回はコンピテンシー評価の概要、メリット、3つのタイプ、導入手順について紹介します。時代に合った人事評価制度を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
コンピテンシー評価とは
コンピテンシー評価とは、高いレベルの業務成果を生み出す、「仕事のできる人の行動特性(コンピテンシー)」を基に評価項目や評価基準を設定して、人事評価を行うものです。
具体的には、以下のような行動特性が評価の対象となります
- リーダーシップ:チーム目標を明確に設定し、メンバーの強みを活かしながらプロジェクトを成功に導く能力
- コミュニケーション能力:クライアントや同僚と効果的に意思疎通を図り、複雑な情報をわかりやすく説明する力
- 問題解決力:予期せぬ障害に直面した際に、創造的な解決策を見出し、迅速に対応する能力
- 適応力:新しい技術やビジネス環境の変化に柔軟に対応し、常に学び続ける姿勢
これらの特性は、行動観察やインタビューなどから仕事ができる人の行動や思考の傾向を調査・分析し、項目として抽出します。
例えば、営業部門では「顧客のニーズを的確に把握し、適切な提案ができる」などの具体的な行動指標が設定されるかもしれません。
このように、会社が社員に求める「仕事ができる人」を評価項目として明示することで、自社の方向性や理念を社員と共有し、明確な目標に向けて社員の意識が高まることが期待できます。
コンピテンシー評価の重要性とは
コンピテンシー評価では、従来からある成果主義や曖昧な基準での業務プロセスに対しての評価が見直され、多面的な評価が可能となります。
これまで成果でしか明確な指標が示せなかった会社にとっては、成果ではない部分の基準が作りやすくなります。
業務プロセスと成果両方を評価でき、従業員の納得も得られやすい評価システムと言えるでしょう。
コンピテンシー評価の3つの目的
コンピテンシー評価の3つの目的は、以下のとおりです。
- 従業員のパフォーマンス向上
- キャリア開発と昇進の基準の確立
- 組織の人材マネジメント戦略の支援
これらの目的を達成するための評価プロセスの設計と実施に関して、以下で詳しく解説します。
コンピテンシー評価の主な目的を3つ説明します。
1. 従業員のパフォーマンス向上
コンピテンシー評価は、従業員のスキル、能力、知識、および行動を評価するために使用されます。この評価を通じて、従業員の強みや改善の余地を特定し、パフォーマンスの向上を図ることができます。具体的なフィードバックや開発プランを提供することで、従業員の成長を促進し、組織全体のパフォーマンスを向上させることが可能です。
2. キャリア開発と昇進の基準
コンピテンシー評価は、従業員のキャリア開発や昇進の基準として使用されます。従業員のスキルや能力の評価を通じて、組織は従業員の適性や成長のポテンシャルを把握し、適切なキャリアパスや昇進の機会の提供ができます。コンピテンシー評価は、従業員と組織の目標を合わせるための重要な手段です。
3. 組織の人材マネジメント戦略の支援
コンピテンシー評価は、組織の人材マネジメント戦略の一環として重要な役割を果たします。評価を通じて、組織は従業員の強みや改善点、スキルギャップなどを把握し、適切なトレーニングや開発プログラムの設計ができます。また、優れたパフォーマーの特定や将来のリーダーシップポジションの候補者の特定など、組織の将来のニーズに応じた戦略的な人材プランニングをサポートする役割も果たします。
コンピテンシー評価を活用できるシーン
コンピテンシー評価を活用できる具体的な3つのシーンを紹介します。
- 採用面接
- 人材育成
- 人事評価
コンピテンシー評価の活用シーンを理解することで、組織と個人の両方にメリットがあります。以下で詳しく解説します。
採用面接
人材の行動や考え方、特性を見極めて、自社で活躍してくれる人材なのか予測できます。
具体的には、実績やエピソードのシチュエーションを聞いて、どのような行動を選択したのか思考過程の特性を確認します。例えば、問題解決能力やチームワーク、リーダーシップなどの重要なコンピテンシーについて、具体的な事例を通じて評価します。
これらを確認することで、応募者が自社に適した能力やスキルがあるのか客観的に評価できるでしょう。
人材育成
人材育成のシーンでは、社員がどのように行動すれば評価されるか理解する手助けになります。コンピテンシー評価では、人材の行動特性の評価基準を定めているからです。
例えば、以下のような評価基準です。
- 「プロジェクトの進行中にチームメンバーの意見を積極的に取り入れる」
- 「困難な状況で冷静に判断し、適切な指示を出す」
上記のように、具体的な行動が評価基準となります。
人事評価
人事評価の場面では、ハイレベルな人材の行動特性を評価基準に設定することで、自社の求める成果を客観的に評価できます。
例えば、営業部門のコンピテンシー評価基準には以下のようなものが挙げられます。
- 「顧客のニーズを的確に把握し、適切に提案する」
- 「難しい交渉でも粘り強く対応し、win-winの関係を構築する」
- 「市場動向を常に分析し、新規顧客の開拓に積極的に取り組む」
これらの基準に照らし合わせ評価することで、単に売上数字だけでなく、人材の背景にある行動や能力の多面的な評価が可能です。
コンピテンシーの5段階レベルとは
コンピテンシーの達成度は、5段階に分けられます。
- 受動行動(コンピテンシーレベル1)
- 通常行動(コンピテンシーレベル2)
- 能動行動(コンピテンシーレベル3)
- 創造行動(コンピテンシーレベル4)
- パラダイム転換行動(コンピテンシーレベル5)
それぞれのレベルの具体的な行動例と期待される成果を理解することで、社員の成長を段階的にサポートできるようになります。
受動行動(コンピテンシーレベル1)
このレベルは「指示待ち」の状態です。社員は上司や先輩からの具体的な指示があってはじめて行動します。
自主性に乏しく、言われたことだけをこなす傾向が見られます。このレベルの社員には、段階的に責任を与え、自主的に考えて行動できるように促すことが重要です。
通常行動(コンピテンシーレベル2)
通常行動は、自分が受け持っている最低限の業務を、指示を待たずに遂行できる状態です。
このレベルの特徴は以下の通りです。
- 任された仕事に対して責任感を持って取り組む
- 自主的なアイデアの提案や改善行動はまだ見られない
- 基本的な業務を独力で完遂できる
能動行動(コンピテンシーレベル3)
自身が設定した目的に対し、主体的に行動できる状態を指します。
決められた行動だけでなく、よりよい結果を出すために自分で情報収集したり、行動したりできるかをこのレベルで評価します。
以下のような行動が該当します。
- プロジェクトの進行中に問題が発生した際、上司に報告するだけでなく、自ら解決策を考え提案する。
- 業務の効率化のために、新しいツールや方法を自主的に調査し、導入を提案する。
- チーム内で他のメンバーが困っている様子を察知し、自ら進んでサポートを提供する。
コンピテンシーレベル3の社員は、単に与えられた仕事をこなすだけではありません。このレベルの社員の行動は、組織に付加価値をもたらし、チームの生産性向上に大きく貢献します。
創造行動(コンピテンシーレベル4)
独自の工夫を取り入れて、チームメンバーを巻き込むことで、組織全体に新しい価値をもたらします。コンピテンシー評価が高い社員は、決められたルールだけでなく、状況に応じ柔軟に対応できるため、適切な解決策を見つけ出す力を持っています。
例えば、以下のような行動が創造行動(コンピテンシーレベル4)に該当します。
- 新しいプロジェクトの立ち上げ時に、独自のアイデアを提案し、チームをリードして実行に移す。
- 業務プロセスの改善で既存の方法にとらわれず、革新的なアプローチを導入する。
- チームメンバーの意見を積極的に取り入れ、協力して課題を解決するための新しい方法を模索する。
創造行動を評価することで、組織は変革を推進し、持続的な成長の実現ができるでしょう。
パラダイム転換行動(コンピテンシーレベル5)
パラダイム転換行動は、コンピテンシーの最高レベルを示します。このレベルでは、新たな価値観でこれまでにない発想を打ち出し、周囲を巻き込みながらオリジナルなアイデアを実現する状態を指します。
パラダイムとは、その時代の規範となる価値観や思想を意味します。「パラダイム転換行動」は、常識を打ち破り、新しい常識を作り出すような行動を指します。
例えば、以下のような行動がパラダイム転換行動に該当します。
- これまでにない発想で製品やサービスを開発し、市場に新たな価値を提供する
- 業界の常識を覆す新しいビジネスモデルを構築し、成功させる
- 社会問題に対して革新的な解決策を提案し、実際に変革を起こす
このレベルの行動は、組織や業界全体に大きな影響を与え、時には社会そのものを変革する可能性を持っています。パラダイム転換行動を示す社員を適切に評価し、その能力を最大限に活用することで、組織は競争優位性を獲得し、長期的な成功を収められるでしょう。
コンピテンシー評価の4つのメリット
コンピテンシー評価4つのメリットを紹介します。
- 効率的な能力開発と育成が可能
- 業績や成果の向上につながりやすい
- 納得感のある人事評価の実現
- 経営ビジョンの浸透
メリットを具体的にどのように実現するか、以下で詳しく解説します。各メリットの理解を深めることで、組織全体のパフォーマンス向上につながる有効な戦略を見出すことができるでしょう。
1. 効率的な能力開発と育成が可能
コンピテンシー評価は理想的な行動特性を評価項目として設定するため、評価項目が行動指針になり、従業員にとっては具体的な行動をイメージしやすく成長へとつながります。
また、評価者にとっても指導基準となることから、能力開発や育成を実現しやすくなるでしょう。
2. 業績や成果の向上につながりやすい
コンピテンシー評価では、高い成果につながる行動特性を直接的に実践するため、成果につながるスピードが速くなり、業績向上が期待できます。
行動評価では基準が曖昧になりがちですが、コンピテンシー評価なら基準が明確なため成果が出やすいのが特徴です。
3. 納得感のある人事評価の実現
コンピテンシー評価は、評価項目に落とし込むことで行動特性の「見える化」が可能になります。
評価のポイントが明確になり、プロセスも評価することになるため、評価者の主観によって評価を歪める余地が少なくなるでしょう。公平な評価が実現し、従業員からの納得感を得やすくなります。
4. 経営ビジョンの浸透
コンピテンシー評価の全社共通の項目では、経営ビジョンを反映した、企業が理想とする人物像を基準として設定できます。
企業理念や方向性を従業員と共有し、日々の業務の中で意識を高めることが可能になります。
例えば、「顧客中心主義」を経営ビジョンとする企業であれば、「顧客の立場に立って考え行動する」といったコンピテンシーを評価項目に含めることで、従業員の意識と行動を企業の目指す方向に導くことができます。結果として、組織全体が一丸となって経営ビジョンの実現に向けて動くことが期待できます。
コンピテンシー評価の3つのデメリット
コンピテンシー評価3つのデメリットを紹介します。
- バイアスや主観性の影響
- 運用に手間がかかる
- 職務評価の方が有効な場合がある
デメリットを理解することで、コンピテンシー評価を導入する際の課題を事前に把握し、適切な対策を講じられます。
1. バイアスや主観性の影響
コンピテンシー評価は、適切に運用しなければ、主観的な要素に基づいて行われバイアスや主観性の影響を受けることがあります。コンピテンシー評価は行動目標であり数値のみの評価基準ではないため、事前に調査の上適切な目標設定を企業側が実施しなければなりません。
このような事前の目標設定を企業側が行わなかった場合、評価者の主観的な評価により公平性や客観性に欠けることがあり、従業員の不満や不公平感を引き起こすことがあります。
2. 運用に手間がかかる
コンピテンシー評価は、評価基準を細かく設定する必要があります。また、評価対象者も特定のスキルや能力、行動を評価するために、具体的な行動目標を設定することが求められます。そのため、評価者や評価対象者の手間と時間が増える可能性があります。
さらに、評価基準や目標の設定が複雑であるため、システムやプロセスの運用にも慎重な計画とリソースが必要です。
これらの要因により、導入や維持に多くの労力が必要となる場合があります。
3. 職務評価の方が有効な場合がある
コンピテンシー評価は、優秀な社員の行動に焦点を当てて評価基準の策定を行いますが、すべての職種に適しているとは限りません。成果がわかるまでに時間がかかるなど一部の職種では、職務評価の方が評価基準や評価項目を明確にとらえるのに適している場合があります。
また、企業文化によっても、職務評価の方がマッチするケースもあるでしょう。
したがって、評価システムの選択にあたっては、自社の特性や目的を十分に考慮する必要があります。
重要なのは、どの評価システムを採用するにせよ、それを固定的なものとせず、運用していく中で自社に合った形で修正を重ねながら改善していくことです。コンピテンシー評価を選択した場合も、定期的な見直しと調整が成功の鍵となります。
コンピテンシーモデルとは?3つのタイプ
コンピテンシー評価をするためには、評価基準となるモデルの設計が必要です。
コンピテンシーモデルには、以下の3つのタイプがあります。
理想型モデル
企業にとって理想的な人物像に基づいて設計します。
モデルとなる生産性の高い人材が存在しない場合に適用します。自社で理想となるモデルを細かく設定することは難しい場合が多いため、設計経験の豊富なコンサルタントに依頼することも有効な方法です。
実在型モデル
企業内に実在する生産性の高い人材を参考に設計します。
多くの企業では実在型モデルを使用しています。ただし、その行動特性は他の従業員にとって再現性がなければなりません。そうでない場合、モデルとして参考にするか否かを慎重に検討する必要があります。
ハイブリッド型モデル
実在する生産性の高い人材をベースに、企業の理想像で補完した人物像に基づいて設計します。
全く完全な生産性の高い人材が各職種・役職で存在することは稀なので、実用面ではこちらのモデルを適用するケースが多いでしょう。
コンピテンシー評価の基準
コンピテンシー評価の評価基準は、大別して「全社共通」と「個別」に分かれます。
全社共通の評価基準は、企業のミッションや状況、経営方針や理念などから導き出されます。一方、個別の評価基準は、職種や役職などに基づいて設定されます。
大まかな評価項目(大分類)が決まったら、項目ごとに実際にコンピテンシー評価で使う細かい評価項目(小分類)を設定しましょう。
コンピテンシー評価の導入手順4ステップ
コンピテンシー評価の導入手順4ステップを紹介します。
- ヒアリング
- 評価項目の作成
- 目標設定
- 評価と行動の改善
各ステップには重要な意義があり、組織の文化や目標に合わせて適切に実施することが成功の鍵となります。以下で詳しく解説します。
1.ヒアリング
評価項目作成のため、生産性の高い人材にヒアリングを行います。該当する人物が存在しなかった場合には、理想型モデルを使用します。
注意点としては、「何をしたか」などの結果ばかりを集めるのではなく、「なぜそのような行動をしたのか」といった、思考パターンも抽出できるようにすることが大切です。
2.評価項目の作成
ヒアリングによって集めた情報を分析し、評価項目に落とし込みます。その際はできるだけ具体的で、成否がはっきりする表現にしましょう。
評価項目の作成は、職種・役職などを勘案して多岐にわたって作成する必要があります。自社で設定するのはかなり手間がかかるので、経験豊富なコンサルティング会社に依頼するのも一手です。
3.目標設定
対象となる従業員自身に目標を設定してもらいます。
目標設定は全社共通や個別の内容どちらかに偏らないように、あらかじめ大枠のカテゴリーを指定しておきましょう。
内容に関して部下が上司に相談する際には、上司からの要望などを押し付けないように気をつけましょう。
4.評価と行動の改善
従業員がモデルに沿った行動をとっていなければ無意味なものとなってしまうため、定期的なチェックが必要です。評価までの期間を定め、随時チェックを行います。
評価について、5段階ではなく4段階評価で尺度・点数を設定するとよいでしょう。4段階評価では、中間的な評価を避けることができ、より明確に評価できます。
また、評価者により偏りが発生しないよう、複数名の周囲の評価を募る「360度周囲評価」もあわせて適用しましょう。
評価後、評価者は社員が行動を改善するようしっかりとフィードバックを行うことも必要です。
コンピテンシー評価の書き方
コンピテンシー評価の行動目標を設定する際は、以下の点に注意しましょう。
- 企業が優秀な社員の行動を参考にして設定した目標を参照しながら、自身で主体的に記載します。
- 組織が設定している目標の大枠からズレないよう、一項目ずつ慎重に参照します。
- 目標は具体的に明記し、可能な限り測定可能な数値を含めます。例えば、「週に1回報告書を提出する」のように、頻度や期限を明確にします。
- 自身の業務状況を振り返り、達成可能な範囲で目標を設定します。
- 「いつまでに」「どのような頻度で」実施するかを意識的に記入することで、より具体性のある内容にできます。
これらの点に注意して行動目標を設定することで、より効果的なコンピテンシー評価が可能になります。また、具体的で測定可能な目標は、自己評価や上司からのフィードバックをより明確にします。
コンピテンシー評価の具体例
コンピテンシー評価の具体例は上記の通りです。
企業側があらかじめ設定したコンピテンシーマスターの中から項目を選択し、方向性をもとに具体的に目標を設定します。
そして、自身の業務内容と照らし合わせて具体的にどのような行動をとるのかを記載します。
コンピテンシー評価の項目例
コンピテンシー項目 | 説明 |
自己認知能力 | 自己の強みや弱みを客観的に把握する能力 |
提案力 | 新しいアイデアを生み出し、効果的に提案する能力 |
チャレンジ精神 | 困難な課題に積極的に取り組む姿勢 |
チームワーク | 他のメンバーと協力して目標を達成する能力 |
業務遂行力 | 与えられた業務を効率的に遂行する能力 |
戦略的思考 | 長期的な視点で物事をとらえ、戦略を立てる能力 |
リーダーシップ | チームをまとめ、目標に向けて導く能力 |
コミュニケーション力 | 自分の考えを効果的に伝え、他者の意見を理解する能力 |
顧客志向性 | 顧客のニーズを理解し、満足度を高める行動 |
変革志向性 | 現状に満足せず、常に改善を目指す姿勢 |
企業の特性や目標に応じてカスタマイズされることが一般的です。評価項目を設定する際は、自社の価値観や求める人材像に合わせて選択・調整することが重要です。
コンピテンシー評価シートのサンプル
コンピテンシー評価シートのサンプルを紹介します。
コンピテンシー項目 | 定義 | 評価レベル (1-5) | 具体的な行動例 |
自己認知能力 | 自己の強みや弱みを客観的に把握する能力 | [ ] | 自身の長所・短所を具体的に説明できる他者からのフィードバックを積極的に求める |
提案力 | 新しいアイデアを生み出し、効果的に提案する能力 | [ ] | 業務改善のアイデアを定期的に提案している顧客ニーズをとらえた新サービスを企画・提案できる |
チームワーク | 他のメンバーと協力して目標を達成する能力 | [ ] | チームの目標達成に向けて積極的に貢献している他部署との連携を円滑に行える |
業務遂行力 | 与えられた業務を効率的に遂行する能力 | [ ] | 期限内に高品質な成果物を提出できる複数のタスクを適切に優先順位付けして遂行できる |
リーダーシップ | チームをまとめ、目標に向けて導く能力 | [ ] | チームメンバーの強みを活かした役割分担ができる困難な状況でもチームの士気を高められる |
評価者コメント:
被評価者コメント:
ーーー
上記サンプルを基に、自社の特性や評価したい項目に合わせてカスタマイズすることで、効果的なコンピテンシー評価シートを作成できます。
評価レベルの定義や具体的な行動例をさらに詳細に記述すれば、より客観的で公平な評価が可能になるでしょう。
コンピテンシー評価の導入時の4つの注意点
コンピテンシー評価の導入時の4つの注意点は、以下のとおりです。
- 目標の明確化
- 信頼性と公平性の確保
- コミュニケーションの促進
- トレーニングとサポートの提供
実際の導入時には、さまざまな課題や予想外の状況に直面するため、上記4つの注意点を十分に考慮するのが重要です。
1. 目標の明確化
コンピテンシー評価を導入する前に、明確な目標設定を行うことが重要です。組織が何を評価し、どのような結果を得たいのかを明確にし、評価が組織の戦略や人材マネジメントにどのように寄与するかを把握します。
目標が明確であれば、評価基準の設計やフィードバックの提供が適切に行われ、評価の成果を最大限に活用できるでしょう。
2. 信頼性と公平性の確保
コンピテンシー評価は従業員にとって重要なプロセスであり、信頼性と公平性を保つことが不可欠です。評価基準は客観的で偏りのないものにするために、複数の評価者の協力やトレーニングが必要です。
また、フィードバックの提供は具体的で公平性があり、個々の能力や行動を適切に評価します。公平な評価は従業員のモチベーションや信頼感を向上させ、組織全体のパフォーマンスに寄与します。
3. コミュニケーションの促進
コンピテンシー評価の導入時には、従業員とのコミュニケーションを積極的に促進する必要があります。評価プロセスの意図や目的を従業員に対して明確に説明し、評価に対する理解を深めます。
従業員の意見やフィードバックを尊重し、評価プロセスへの参加意欲を高めることで、評価の効果を最大限に引き出すことができます。
4. トレーニングとサポートの提供
コンピテンシー評価の導入は、評価者や従業員に新しいスキルや知識を求める場合があります。評価者には適切な評価方法やフィードバックの提供方法についてのトレーニングを行い、評価の精度を向上させます。
一方で、従業員にも自己評価の手法などノウハウを提供し、目標設定から達成までのサポートを行います。トレーニングとサポートを充実させることは、コンピテンシー評価の成功に不可欠な要素です。
コンピテンシー評価の導入事例
ここでは、実際にマクソンジャパン株式会社様のコンピテンシー評価の導入事例を紹介します。
課題
該社では社員の給与は感覚的な評価で決められており、評価記録も残されていなかったため、「なぜこの評価なのか」「なぜこの給与なのか」などは誰も分からない状態で、社員から不満の声が上がっていました。
また、社員からの声をきっかけに、社員の成長やモチベーションアップの仕組みを作ることについて考えるようになりました。そこで、社員のモチベーションアップと情報共有のために人事評価制度の導入を決定しました。
導入の流れ
導入の初期段階では、経営コンサルタントに依頼し、制度を作ることも考えましたが、クラウドシステムを使って運用したいという要望があったため、社内責任者を任命し、導入システムの選定を始めました。
最終的に5社から話を聞いた結果、制度構築や運用のコンサルティングとクラウドシステムをセットで提供してくれるあしたのチームを選びました。
導入結果
導入後、社員は根拠をもって自己アピールできるようになりました。また、情報共有やベクトル合わせ、進捗管理、振り返りなどを定期的に実施することができるようになりました。
導入後、コンピテンシー評価がマッチしにくい職種については職務評価に変更し、自社に合う形でアップデートしながら運用をしています。
社員が自己成長するために必要な行動や意識、考え方が少しずつ身に付いてきたことが、導入から得られた大きな成果です。
自分の目標達成(=自分の成長)が会社の成長に繋がると理解できたことで、自分の領域外まで、自ら「やりたいです」と志願してくれるようになった社員もいます。
コンピテンシー評価はクラウドシステム上で管理しよう
コンピテンシー評価は、優秀な人材の行動特性を評価項目にすることで、曖昧な評価や成果に偏った評価システムを改善できるメリットがあります。
ただ、コンピテンシー評価を導入するには、職種や役職によっても評価項目を設定する必要があり、企業にとってかなりの手間やノウハウが必要。
「あしたのクラウド™HR」コンピテンシー評価と数値による目標設定・評価・査定・給与金額確定まで人事評価の運用を一元管理できます。
公正公平な人事評価制度の構築を目指す人事担当者様は、ぜひ一度あしたのチームにご相談ください!
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