人事評価業務は、個人の直近での目標と成果の評価だけでなく、過去の評価や全体予算とのバランスなど、様々な情報を加味しながら行われるため、公正に評価しようとすればするほどに工数・コストがかかってしまいます。
生産性向上が求められる現代、すでに労務・会計業務に関しては、工数・コストをWebサービスやクラウドシステムで削減することは、今や当然になりつつあります。
では人事評価業務はどうでしょうか?
実際に人事評価業務をクラウド化した企業の声から、その効果が見えてきました。
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クラウド人事評価システムとは?
人事評価制度の適正化・効率化をクラウド化で実現
はじめに、クラウド人事評価システムとは何かをおさらいしておきましょう。
クラウド人事評価システムは、インターネットを介してシステム提供会社のサーバーにアクセスし、人事評価サービスを利用できるシステムです。自社にサーバーとネットワークを構築するオンプレミス型の人事評価システムと違い、コストが安く導入期間を短くできるのが特徴です。
提供各社のサービスによって搭載される機能や特徴は様々です。例えば、煩雑な社員情報の管理や把握や人事評価の業務効率化に強みを持つシステムがあれば、タレントマネジメントや報酬体系など人事・労務領域を広くカバーするシステムもあります。
いずれにしてもクラウド人事評価システムを導入する主な目的は、人事評価制度の適正化と効率化です。適正化・効率化によって適材適所の人事配置や人材育成の成果向上につなげたり、経営・組織戦略の質を高めたりできます。
クラウド人事評価システムの特徴
従来型の人事評価ツールでは実現不可能。
クラウドならではの機能
Excelや紙ベースの従来型管理では実現できない、人事評価クラウドの特徴による期待効果の一部を、あしたのチームの人事評価クラウド「コンピテンシークラウド®」から下記に抜粋しています。
クラウド人事評価システムの効果一例【コンピテンシークラウド®】
評価業務の効率化
紙・Excelで管理していた情報をWeb上で見える化し、一元管理できます。
使用端末もPC・タブレット・スマホに対応し、いつでもログインが可能。
期日管理や評価の取りまとめ、分析もボタンひとつで完結します。
あらゆる人事評価シートへの対応
評価軸、ウェイト設定、中間レビュー、評価尺度、難易度、コメント欄など、
現在の運用にあわせてカスタマイズし、あらゆる評価シートの作成が可能。
また、自由度の高い権限の設定も可能なので、多様な運用が実現できます。
作成した評価シートの共有・閲覧もWeb上で簡潔に行なえます。
人事評価データの活用・分析
評価項目ごとの評点や合計評点など、画面上での閲覧・可視化し、
評価の完了から査定までをスピーディーに行えます。
また、それだけではなく、そのデータをダウンロードすることにも対応。
目標設定、評価の履歴、面談結果、個人の振り返りなどの評価プロセスを蓄積し、それをもとに分析することも可能です。
クラウド人事評価システムのメリット
既存の人事評価システムからクラウド人事評価システムに移行する企業が増えています。どのようなメリットがあるのでしょうか。
人事評価業務の効率が上がる
クラウド人事評価システムを導入すると、既存のアナログな業務をデジタル化できるため人事評価の業務全般を効率化できます。人事担当者だけでなく、人事評価者となる上司や評価対象の従業員も含めて、書類の作成や提出、管理などを効率化できるのです。
一例を以下に挙げます。
- ペーパーレス化:プリントアウトや郵送などをなくしWeb上で完結
- ワークフロー機能や電子承認機能:回覧や承認の負担を減らせる
- 通知、催促メール機能:書類の配布や回収の手間を減らせる
機能によっては人の作業をほぼ自動化できるため、大幅な工数削減につながるケースも珍しくありません。
公平な人事評価が行える
クラウド人事評価システムの機能を利用すると、人事評価の公平化にもつながります。クラウド人事評価システムではデータを一元的に蓄積し集計できる機能が充実しているため、人事担当者やマネジメント層は評価業務の本質的な部分に集中できるようになるからです。
例えば、経年分析機能によって人材の成長プロセスを視覚化できます。また、部署を横断した甘辛分析(評価のばらつきの分析)によって、部署間や事業所間の人事評価の偏りが生じていないか、客観的なデータを元に分析できるでしょう。
システム開発の必要がなくコストを抑えられる
クラウド人事評価システムのほとんどは、開発済みのパッケージとして提供されています。カスタマイズも可能ですが、新規開発と比べると開発コストを抑えられ、短期間で導入できるのが特徴です。
オンプレミス型のパッケージと比較しても、クラウド型は費用を抑えられます。クラウド人事評価システムではサーバーやネットワークシステムなどの設備類を導入する必要がないため、初期費用が低価格もしくは無料だからです。
障害やトラブル対応を外部に委託できる
クラウド人事評価システムはシステム提供会社のサーバー内で稼働しているため、通信障害や動作不具合、機器の故障といったトラブル対応はシステム提供会社に任せられます。オンプレミス型の人事評価システムと違って、自社に保守・運用の人員を確保しなくて済むのです。
もちろん保守・運用のコストは利用料に含まれています。しかし、多くの場合、自社の人員で対応するよりトータルコストは安くなるでしょう。人手不足の企業にとっては、人的リソースを節約できるのもメリットです。
社員のスキルや実績、課題を一元管理できる
クラウド人事評価システムとは、あたかも一つのクラウド(雲)にある情報資産に、地上のあらゆる場所からアクセスできるような仕組みになっています。そのため、社員のスキルや実績、課題などの人事データを一元管理できます。
例えば、異動や入社にともなう人事情報の更新時も、マスタデータを修正するだけで済みます。Excelや紙文書で管理すると、バージョンが異なる文書があちこちに存在してしまいがちですが、クラウド人事評価システムではこのようなことはありません。業務効率化につながるだけでなく、正確な現状把握につながったり、人材戦略の意思決定をスピードアップしたりする上でも大きなメリットです。
バージョンアップで機能改善が期待できる
クラウド人事評価システムは月額・年額利用料を払っている限り、常に最新版を使えます。この方式はMicrosoftのOffic365やGoogle Workspaceなどと同じです。
したがって、自社開発のシステムで生じやすいレガシー化の心配がありません。システム提供会社は互いに競い合っているため、新たな人事評価システムの機能を追加したり、法改正に合わせて仕様変更したりしています。こうしたバージョンアップを追加費用なしで受けられるのは、クラウド型システムの大きなメリットです。
クラウド人事評価システムを選ぶ際のポイント
ここからはクラウド人事評価システムを選定する際のポイントを解説します。
自社の評価制度との親和性
いくら高性能なクラウド人事評価システムを導入しても、自社制度にフィットしなければ使えませんし、従業員が納得感や満足感を持っていた評価制度も損なってしまうでしょう。
まず確認しておきたいのは、既存の人事評価で残したい部分をスムーズに移行できるかどうかです。具体的にはExcelシートに対応したテンプレートがあるか、回覧・承認フローを実現できるかなどです。
また、自社が目指す評価制度に対応しているかどうかも確認しましょう。360度評価やコンピテンシー評価、OKRなど、システム更新に合わせて実現したい評価制度があるかチェックしておきます。
会社規模や組織体制に合致したシステムか
クラウド人事評価システムには、明確に示されるかどうかは別として、「中小企業向け」「大企業向け」という区分があります。導入したい製品のターゲットがどのような企業なのか、利用アカウント数や導入事例などから確認しておくとよいでしょう。
仮にパソコン数台で人事評価データを管理できるなら、低価格のクラウド人事評価システムでも十分かもしれません。一方、大企業となると組織横断的な情報共有や、何段階もの承認フロー、人材配置後のシミュレーション機能などが必要になります。
機能性や使いやすさ
一口にクラウド人事評価システムといっても製品によって特徴が違うため、自社が実現したいことを具体的にイメージした上で機能をチェックしましょう。主な機能は次のとおりです。
- 人材データベースの管理機能(社員リスト、組織ツリー図、研修履歴など)
- 人事評価のワークフロー機能(承認フロー、評価のテンプレート、1on1の履歴登録など)
- シミュレーション機能(昇格時、昇給時、異動時など)
- データ集計・分析機能(評価分析、経年分析やなどの統計、レポート機能)
また、使いやすさも大切です。実際にシステムを操作する現場の意見も取り入れながら選んでいきましょう。
クラウド人事評価システムの安全性
クラウド人事評価システムはインターネットを介して企業の機密情報にアクセスするため、情報セキュリティ上の安全性が重要になります。機能でいえば、通信の暗号化機能、アクセス管理機能、シングルサインオンの有無などが確認すべき項目です。
しかし、技術的な確認の前に、まずはシステム提供会社の情報セキュリティに関する方針や個人情報保護方針、運用実績などをコーポレイト・サイトで確認しておきましょう。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格「ISO 27001」といった第三者の評価があるとなお安心です。
人事・労務関係システムとの連携
クラウド人事評価システムを人事・労務関係システムと連携させると、人事評価の精度を高められます。「人事評価を等級制度と連携させたい」「人事評価を賞与・インセンティブに反映させたい」など、自社課題に合わせたシステム連携を想定してシステムを選びましょう。
既存の人事・労務関係システムと連携させたい場合には、システム間のインターフェイス機能である「API連携」という項目が重要です。また、Microsoft AzureやSlackといった既存ソフトウェアとの連携対応も確認しておきます。
サポートの充実度
クラウド人事評価システムは高度なIT技術が用いられていますが、その一方、利用者側は専門的なIT知識を持たないケースが一般的です。そのため次のような内容を確認しておきます。
- 無償の保守・運用の範囲はどこまでか(導入支援・運用支援など)
- 連絡手段(メール、電話、出張訪問など)
- 無料・有料でどこまでサポートしてもらえるか(人事制度の設計、データ分析など)
人材育成、開発に知見を持つ提供会社では、自社に合った人事評価制度の検討段階から伴走支援してもらえます。人事評価制度を大幅に見直す際は、頼りになるパートナーとなるでしょう。
クラウド人事評価システム導入の流れ
クラウド人事評価システムを導入する大まかな流れは、「課題整理→必要な機能の選定→製品を横並びで比較して導入するシステムを決定」となります。それぞれのプロセスを見ていきましょう。
1.自社の人事評価に関する課題を整理する
最初に洗い出しておきたいのが、自社の人事評価に関する課題です。「事業所ごとに分散している人事データをクラウドで一元化したい」「人事評価の公平性を担保するために360度評価を導入したい」のように、課題を整理しておきましょう。
課題が明確になっていれば、システム提供会社から「それではこの機能を活用してはいかがですか」と、提案を受けられます。また、人事評価制度の構築から伴走支援してもらう場合も、自社ニーズに合った制度を示してもらいやすくなるでしょう。
2.必要な機能を選定する
続いて具体的な機能の選定に移ります。先述したように人材データベースの管理機能、人事評価のワークフロー機能、人材データベースの管理機能などの項目別に、必要な機能がそろっているかチェックしていきましょう。
この際、機能とコストのバランスも検討しておくことが大切です。オーバースペックになると費用対効果が下がりますし、逆に費用面を優先しすぎると機能不足となってすぐにシステム移行が必要になるかもしれません。過不足のない機能を備え、将来の機能拡張にも対応できるのが理想的です。
3.システムを比較検討し、導入する
発注候補のシステムが絞り込まれてきたら比較検討して、どれを導入するか決めます。先述した内容のまとめになりますが、以下の項目を軸に比較するとよいでしょう。
- 自社の人事評価制度との親和性
- 機能と使いやすさ
- 料金
- セキュリティ対応
- 既存システムとの連携性
- サポート
可能であれば、導入前にトライアルすることをおすすめします。実際に使ってみると、使い勝手や運用イメージがよく分かるものです。
クラウド化に対する人事責任者の声
調査から見えた、クラウド人事評価システムの実態。
では実際に、クラウド人事評価システムの導入を検討している経営者・人事責任者は、現状の人事評価にどのような課題を感じているのでしょうか。クラウド人事評価システム未導入の人事責任者の声を紹介します。また、クラウド人事評価システムを導入した企業がどのような効果を実感しているのかについても紹介します。
調査の方法:インターネット調査(あしたのチーム)
調査対象者:全国の従業員数2人以上1,000人未満で人事評価制度を導入している企業の経営者・人事責任者、評価者
(部下の人事評価をすることがある正社員)、20歳~59歳の男女
有効回答数:400人(経営者:126人、人事責任者:74人、評価者:200人)
調査実施日:2019年8月22日(木)~2019年8月26日(月)
人事評価制度の課題と運用ツール
6割以上の企業がExcel、紙ベースの従来型管理。
まずは経営者・人事担当者が自社の人事評価制度のどのような事に課題を感じているのか、そして、どんなツールで運用しているのかを見てみましょう。
自社の人事評価制度の課題
人事評価制度の課題を聞いたところ、51.0%で最多となった「評価者により評価に差が出る」などの評価そのものへの課題と、「個人の等級などの時系列での管理が困難」などといった、運用上の管理に対する両軸で課題が見られました。
人事評価制度を運用しているツール
運用ツールとして最も回答割合が多いのは「Excelなどの一般的なソフトウェア」で43.8%。次いで「紙ベースの評価シート」22.0%となり、合計するとExcel、紙ベースの評価シートといった従来型のアナログな管理方法をしている企業が65.8%と未だに多いようです。
「WEBアプリ等のクラウドシステム」、いわゆるクラウド人事評価システムの利用割合は15.3%でした。
クラウド人事評価システムを検討する理由
クラウド人事評価システム未導入も、実は興味関心を持っている
経営者・人事担当者は6割以上!その理由とは?
様々な課題が多い人事評価ですが、経営者・人事担当者は現状の運用方法に満足しているのでしょうか。先程の「運用しているツール」の調査で「WEBアプリ等のクラウドシステム」以外の方法で運用していると回答した方に向けて、クラウドでの運用に興味・関心があるかを聞きました。
クラウド人事評価システムの利用への興味・関心
興味・関心がある方の割合は63.1%。その内訳は「既に今後クラウドシステムに移行することが決まっている」4.2%、「興味・関心がありクラウドシステムに移行したいと考えている」46.3%、「興味・関心があるがクラウドシステムへの移行は考えていない」49.5%となりました。
未導入の企業でも興味を持つ方が多いクラウド。その理由を見てみましょう。
クラウド人事評価システムを導入したい理由
同率1位は「評価者による評価のばらつきをなくしたい」・「人事評価に関する情報管理を簡潔にしたい」57.4%となりました。
特に経営者・人事責任者が多く回答しています。
前述の【自社の人事評価制度で課題に感じていること】で最も多く回答された「評価者により評価に差が出る」という課題に対し、人事評価クラウドのメリットの一つである、評価シートの共有・閲覧がしやすくなることにより、偏りや不公平さを改善できると期待する方が多いのかもしれません。
クラウド人事評価システム導入による効果
クラウド人事評価システム導入企業の約9割が
課題を解決、効果を実感。何が、どう変わった?
では、実際に人事評価制度をクラウド化した企業は、その効果をどのように感じているのでしょうか。【人事評価制度を運用しているツール】で「WEBアプリ等のクラウドシステム」と回答した方の声を見てみましょう。
クラウド人事評価システム導入による課題解決・改善
人事評価制度に関する課題の解決や改善ができたかを聞いた結果、88.5%が「できた」と回答。
ほとんどの方が導入後に効果を感じているようです。一体、どのような効果を感じているのでしょうか。
クラウド人事評価システムの導入で改善・解決できたこと
クラウドシステムを用いて人事評価制度を運用することで課題の解決や改善が「できた」と回答した方に、解決や改善ができた内容を聞きました。
その結果、1位「人事評価にかかる時間を短縮できた」40.7%、同率2位「人事評価に関する情報管理がしやすくなった」・「予算に対する昇給降給の管理がしやすくなった」38.9%となりました。
クラウド化することにより、人事評価そのものの公平性の実現、工数の削減の両軸で効果を発揮する事が分かります。
人事評価もクラウド化の時代へ
クラウド人事評価システムを導入した企業の多くが課題を解決。
今後、人事評価のクラウド化は拡大していくと予想される。
働き方改革で労働時間削減やあらゆる業務の生産性向上が求められる中、人事評価クラウドに移行した企業では、人事評価にかかる時間を短縮できたり情報管理がしやすくなったりなど、人事評価業務の効率化ができているようです。
また、未導入企業においてもクラウド人事評価システムに興味がある企業の割合は6割以上となっており、今後人事評価制度のクラウド化が拡大していくかもしれません。
働き方改革の一環として、人事評価クラウドの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
クラウド人事評価システム調査eBook
上記の人事評価クラウドに関する調査をPDFにまとめた無料eBookをご用意いたしました。社内への情報共有や調査内容の振り返りなどにご活用ください。
【アンケート内容】
Q1. 自社の人事評価制度で課題に感じていること
Q2. 現在、人事評価制度を運用しているツール
Q3. 人事評価クラウドの利用の興味・関心
Q4. 人事評価クラウドシステムを利用したい理由
Q5. 人事評価クラウドを導入して解決・改善ができたか?
Q6. 人事評価クラウドを導入して解決・改善できたこと
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