「ハロー効果」という言葉は聞いたことがあるけれど、詳しい内容はよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
ハロー効果は、ビジネスで活用できることで知られていますが、実は、人事評価に関わる人事担当者は絶対に知っておきたい言葉です。
今回はハロー効果の特性やビジネスでの活かし方、人事担当者が注意したい点を解説していきます。
ハロー効果とは?
ハロー効果とは、ある特定分野における際立った功績や目立った特徴が、他の分野の評価にも影響を及ぼしたり、評価が歪められたりしてしまう効果のことです。ハロー効果には、ポジティブとネガティブの2種類があります。
ポジティブハロー効果
特定分野における高い評価に引きずられて、関係ない他の分野まで高く評価がつけられてしまうことです。学歴の高い人や語学が堪能な人が、実際の業務実績に関わらず、なんとなく「仕事ができる人」と評価されがちなのも、一種のポジティブハロー効果です。
ネガティブハロー効果
ネガティブハロー効果はその逆で、特定分野の評価が低いせいで、他の分野の評価まで低くなってしまう現象のことをいいます。
また、ハロー効果によって実際の業績や本人の能力と乖離した評価を下してしまうことを「ハローエラー」といい、人事担当者が注意すべき点として挙げられます。
ハロー効果と混同しやすいピグマリオン効果とは?
ハロー効果と混同されやすい用語として、「ピグマリオン効果」というものがあります。
どちらも心理学の用語ですが、ピグマリオン効果は「他者から期待をかけられることで成長が促される」という効果のことです。
ピグマリオン効果が、期待をかけられた本人が良い方向へ「成長する」というところに焦点が当てられているのに対して、ハロー効果は人のある印象が、他の部分の「印象」にも影響するという、対象者本人の変化には焦点を当てていない効果となります。
ハロー効果はピグマリオン効果の活かし方と違って、見せ方といった面での活かし方となってくるでしょう。
ハロー効果を検証する実験とは
ハロー効果が人物評価に及ぼす影響について、様々な研究が行われ、論文として発表されています。ハロー効果を検証する論文の一部を紹介します。
見た目や声が評価に与える影響
広島大学で行われた「印象形成における手がかりの優位性に関する研究」においては、顔、声、体格、服装の4つのポイントを変更し、その他の条件をそろえた場合における人物評定が変化が実験されました。
その結果、評価に最も優位な影響を与えるのは“声”であり、顔、服装と続いて、体格の優位性が最も低いことがわかりました。
さらに、性別でも差異があることがわかったそうで、相手が男性である場合には顔が、女性である場合には声の優位性が高くなる結果となりました。
ハロー効果を発揮する際のベースとなる第一印象が、通常複数の要素がある中で、優先的に第一印象となりやすい部分があることが、この実験からわかりますね。
ハローエラーの定量化
人事評価を行う際にどうしても発生してしまう、評価者ごとに対象者への評価の傾向を定量的に測定・分析する試みも行われています。
山下洋史、尾関守の共同研究「人事考課における設定傾向分析モデル」では、評定者の評定傾向と被評定者固有の力によって構成した、定量分析のためのモデル開発に成功したといいます。
また、石橋貞人「2次因子分析によるハロー効果の測定」においても、2次因子分析モデルを提唱し、因子得点により評価者各人のハロー効果の特徴を確認できたとされています。
フィードバックによるハロー効果の抑制
ハロー効果の定量測定により、評価傾向を抑制する実験も行われています。
石橋貞人「人事評定者訓練におけるハロー効果の程度のフィードバック効果:2次因子分析によるハロー効果の測定」では、因子分析により推定されたハロー効果の存在の有無や推定される評価傾向をフィードバックする実験を行いました。
その結果、フィードバックすることで評価傾向の改善が認められています。
ハロー効果の人事評価において気を付けたい具体例
先ほどの論文からもわかる通り、ハロー効果は人事評価にも大きな影響を与えるとされています。
企業でどのようなハローエラーが起こりやすいのか、人事担当者が気を付けるべき具体例を紹介します。
学歴による決めつけ
最も起こりうるのが、学歴による評価の決めつけです。
偏差値の高い大学を卒業している、留学経験がある、という経歴だけで「あの人はすごい人」「優秀な人だから採用すべき」といった評価がつきやすいといわれています。
逆に、中退歴があることで「根性がない」といったマイナスの評価をされてしまうことも。
高い学歴は努力がなければ得られませんし、確かに評価をつけやすい指標のひとつではありますが、実務能力と一致するとは限りません。
過去の経歴と現在の業績は切り離す視点を持つことが大切です。
資格やスキルの過大評価
例えば、英語スキルや語学関連の資格を持っている人がいると、語学を活かす仕事でなくても「この人は優秀だから」と一目置いてしまった経験はありませんか?
しかし、単に英語が話せる、資格を持っているというだけでは、それがビジネスに活かせるとは限りません。
この場合も、スキルや資格が必ずしも実務能力と直結しないことは、人事担当として念頭におくべきです。
コミュニケーション能力が高い人の優遇
会議で積極的に発言したり、普段から人事担当とよく話す社員のほうが、評価が高くなってしまう、というハロー効果もありがちです。
目立つ社員やコミュニケーションをとっている社員の方が、「よく頑張っている」という印象がつきやすいため、評価が高くなりがちです。
しかし、コミュニケーション能力や発言力が高いことはひとつの側面でしかありません。従業員それぞれの特性に目を向けて、適正な評価指標を持ちましょう。
ハロー効果をビジネスに生かす方法
ここまで読むと、なんだかハロー効果のマイナス面ばかりが目に付いてしまったかもしれませんね。しかし、ハロー効果の特性を知っていれば、ビジネスシーンで活用することも可能です。
営業の成績アップ
企業イメージを向上させて採用活動にいい影響をもたらすこともできます。
求職者が最初に出会う人事担当者の対応が横柄だったり、WEBサイトの情報がわかりづらかったりすると、「採用に力を入れてない企業なのかな」という印象を与えてしまいますよね。
求職者との最初の接点となる人事担当やリクルーターの対応を見直し、採用コンテンツを整えることが、企業イメージの向上につながります。
社内調整の円滑化
人事担当者は、面接や説明会などで社内調整を行うことも多いのではないでしょうか。
社内調整でもハロー効果を意識すると、より円滑な調整を期待できます。丁寧な対応をする、笑顔で接するなど、多忙な従業員に配慮する姿勢をみせることを心がけてみましょう。
注意したい場合もある評価者のハロー効果について
ハロー効果はビジネスでプラスの効果を生み出すことが可能な一方、偏った人事評価につながる一面もあるため、人事担当者としては注意が必要です。
前述でも紹介した論文、石橋貞人「人事評定者訓練におけるハロー効果の程度のフィードバック効果:2次因子分析によるハロー効果の測定」でも、ハロー効果によって評定に誤差が出ること指摘されています。
誤差を是正する有効手段として、ハロー効果による傾向を定量評価し、フィードバックを行うことがあげられています。
人事担当者としては、明確な評価基準を作ったり、評価を属人化させなかったりいといった対策をとるべきでしょう。
人事のリソースや経験値が少ないといった理由から対策をとることが難しい企業もあるでしょう。
その場合、「人事評価クラウド」を利用することも一手です。
クラウドシステムを活用し、公平で効率的な評価を下すことで、従業員も納得感を得ることができ、満足度の向上が期待できます。
経験のある人事担当者がいない、設立して間もなく評価制度が確立していない、という企業は、導入を検討してみてもいいかもしれません。
ハロー効果の良い点・悪い点を理解してビジネスに活かそう
ハロー効果は、特性を理解すればビジネスで有効活用することも可能ですが、偏向した人事評価に結びついてしまうことも。
人事担当者としては、このことをよく理解し、属人化していない評価制度を確立することが大切です。
難しい場合は外部ツールに頼るなど、適切な制度運用を目指してください。
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