「働き方改革」の推進やワークライフバランス向上の必要性など、企業や働き手を取り巻く環境が変化する中で、人事評価制度の見直しを進める企業が増えています。現行制度の見直しを考えている企業にとってヒントとなるような、人事評価制度の作り方について紹介します。
人事評価制度見直しの必要性
人事評価制度の見直しの必要性は、大きく分けると2つの要因が考えられるでしょう。
1点目は「人」です。 企業を発展させる資源としてよくいわれるのが「人・モノ・カネ」です。その中でも「人」は企業を発展させるために最も重要な資源です。
正しい人事評価制度は、従業員の育成や生産性向上、モチベーションアップを促進し、 企業に対する好影響をもたらします。公正で分かりやすく納得感のある人事評価制度は、従業員満足度を高め、定着率を高めます。定着率の向上に加え、正当な評価や成長を促す仕組みを取り入れている企業は、新規採用を行う上でも優位性を持ちます。その結果、企業は安定したリソースを確保できるようになります。
また、企業の目的やオーナーのビジョンを基本とした目標を従業員個人の目標に落とし込んでいく人事評価制度は、企業と従業員の目標の方向性を一致させるためにも重要です。企業は従業員一人ひとりにビジョンを浸透させることができ、従業員は将来の成長や安定的に働く姿を想像できるようになります。
2点目は、「企業を取り巻く環境変化への対応」です。社会環境やビジネスシーンの変化は急速に進んでいます。少子高齢化による働き手の不足は 、企業の持続的成長にとって大きな問題の一つです。魅力的な人事評価制度は優秀な人材を集め、継続して働き手を確保する 戦略になります。
女性やシニアが働きやすいように環境を整備していくことや、グローバル化による外国人従業員対応、多様な働き方への対応 などのためにも、時代や企業に合った人事評価制度の導入・見直しが必要となります。
人事評価制度の作り方
人事評価制度は、狭義では評価制度そのものを指しますが、広義では評価によって、従業員の報酬を決めたり、昇進昇格を決めたりしていく制度全体を指します。人事制度の作り方は、4つのステップを踏んでいくのが良いでしょう。
1.骨組みを作る
1つ目のステップでは人事制度の骨組みを作ります。 それぞれの企業の戦略や人材を考慮しながら等級やバンドを決めていきます。次に、等級に必要な能力項目、業務スキル、在籍年数などを考えていきます。バンドに対応する課長、部長などの役職を決めていきます。
2.目標の設定
2つ目のステップは、目標です。目標は、企業の目指すビジョン、会社の方向性を考慮して決めていくことが重要です。 目標は、いろいろな角度で従業員を見ていくために、いくつかの視点で設定するのが良いでしょう。例えば、全ての従業員に当てはまる行動目標、職種で分けた行動目標、役職で分けた行動目標などが挙げられます。成果目標を考える場合は、何を基準に成果目標とするか、それぞれの成果項目の評価度合いなども設定します。
3.基準の設定
3つ目のステップは、報酬である給与や賞与の賃金制度や昇進昇格制度 に評価を反映させる基準を考えます。
4.運用方法の決定
4つ目のステップは、評価制度の期間や面談、フィードバックなどの運用方法を決めていきます。
人事評価システムの活用
人事評価制度を作る作業は、手間や時間が掛かり専門性も必要になるので、自社だけで構築するのは限界があるかもしれません。そんなときに利用したいのが、テクノロジーを活用した人事評価システムです。人事評価システムを活用することで、専門企業のノウハウとテクノロジーを使った人事評価制度を作ることができます。
最近は、クラウド型で簡単かつ低コストで導入できるサービスがたくさんあります。操作性や価格などに加えて、評価制度と賃金制度などとの連動性や従業員の意欲を引き出す設計など、専門業者ならではの実績や知見に裏打ちされた制度の導入が可能になる点もメリットとして挙げられます。
人材マネジメントの重要性が増す中、単純な評価制度の構築に留まらず、企業業績の改善・向上から事業の永続的な発展までを見据えて制度を設計することが重要です。
時代に合った人事評価制度の検討
高度経済成長期に導入された目標管理制度を中心とした人事評価制度は、目に見える単純な成果目標を設けるだけで、従業員のモチベーションを維持でき、評価についても納得感を得られました。しかし、右肩上がりの成長が難しくなっている今の日本においては、成果だけではない行動プロセスなどに対する評価が必要になってきています。
従業員満足度や生産性向上、従業員のスキルの把握、従業員間のコミュニケーション強化など、人事評価制度に求められる機能や役割は複数化・複雑化しています。そのため、最新のテクノロジーを採用した人事評価システムを導入することが、人事業務の効率化への近道となるでしょう。
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