昔ながらのタイムカードで従業員の勤怠を管理している会社はまだ多くあるものの、集計の手間がかかるなどの問題もあるほか、新しい働き方や改正労働基準法への対応も難しくなってきています。
本記事ではタイムレコーダーの種類や特徴、メリット・デメリットについて、また、おすすめの勤怠管理アプリを紹介します。ぜひ、御社の勤怠・労務管理に役立ててください。
タイムカードとは
タイムカードとは、タイムレコーダーに指しこんで時間を記録するための紙です。タイムレコーダーとは、時計と印字機械を組み合わせたもので、タイムカードを挿し込んだ日時がタイムカードに印字されます。
タイムカードとタイムレコーダーは主に、従業員の出勤・退勤・勤務時間外勤務といった就業時間を記録し、時間管理をする目的で使用されています。1871年にアメリカで発明された後、日本では1931年に国産のタイムレコーダーが発売されました。
現在、使用されているタイムレコーダーには、日時の印字はもちろん、残業時間や賃金の計算もできたり、オンラインシステムに接続して他の人事管理に役立てられたりするものもあります。タイムレコーダーの種類については次で解説します。
タイムレコーダーの種類
タイムレコーダーには「タイムカード式」「USB・SD対応タイムカード式」「ICカード式」「生体認証式」の4種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。以下でそれぞれについて解説します。
タイムカード式
厚紙のタイムカードをタイムレコーダーに指しこんで印字するという最もオーソドックスなタイプで、昔から広く使われています。タイムカード式のメリットは、誰にでも簡単に使えること、他の種類のタイムレコーダーよりも安く導入できることです。ただし、パソコンと連動できないため、管理者がデータ移し替えや給料計算を手動で行う必要があります。
USB・SD対応タイムカード式
使い方はタイムカード式と同じですが、USBメモリやSDカードといった記録媒体に対応しているタイプです。記憶媒体によってデータを手軽にパソコンに移し替えることができるため、給料計算や勤退管理、集計など、管理者の作業を効率化できるというメリットがあります。ただし、タイムカードを継続して購入するコストがかかる点がデメリットです、
ICカード式
ICカード式タイムレコーダーとは、従業員各自に配布した勤怠管理用ICカードを専用端末に近づけて読み取らせ、出勤・退勤を記録するものです。ネットワークによってデータを専用システムやパソコンに送信できるため、管理者の作業を効率化できます。
また、1人1人に配布したICカードによって勤怠を記録するため、不正な打刻の防止にも有効です。一方、ICカードの磁気が弱くなったりICカードを紛失したりすると打刻できないというデメリットもあります。
生体認証式
生体認証式タイムレコーダーとは、従業員各自の顔や指紋といった生体で認証することにより出勤・退勤を記録するものです。生体さえあれば打刻できるのでICカード式のデメリットを解消できますが、専用端末の読み取り精度が低いと「認証されない」「認証に時間がかかる」など、使いにくい場合があります。また、導入にかかる費用もケースバイケースであり、他の種類のタイムレコーダーと比較すると高額になる場合もあるでしょう。
タイムカードの計算方法とは
タイムカードに打刻された出勤・退勤時間は定時ぴったりであることはめったになく、残業や休日出勤などイレギュラーも発生します。そこで、半端な時間をどのように計算して給与対象時間とするかが重要です。
企業によっては、1日の勤務時間を15分、30分単位でまとめて計算しているかもしれません。たとえば、退勤時間が17;25の場合、15分単位計算なら「17:15退勤」、30分単位計算なら「17:00退勤」として扱うということです。
実は、上記のように 1日ごとの労働時間を一定時間にまとめて計算するやり方は労働基準法第24条により禁止されており、1分単位で計算しなければなりません。ただし、1カ月単位であれば30分未満切り捨て・30分以上を1時間に切り上げで計算することが認められています。
タイムカードのメリット・デメリット
タイムカードにはメリットとデメリットが存在します。以下でそれぞれについて解説します。
タイムカードのメリット
比較的、低コストで導入できるのがタイムカードのメリットです。また、タイムカードをタイムレコーダーに通すだけなので、従業員にとって簡単に出勤・退勤を記録できることもメリットといえます。また、従業員の勤怠を管理する側にとっても、タイムカードさえ見れば集計作業ができるので特別なスキルは不要です。
くわえて、タイムカードは誰でもすぐに参照できるので、トラブルの際に他の従業員が誰でも、発生時の出勤者を確認することができます。
タイムカードのデメリット
タイムカードの場合、タイムカードの回収やパソコンへのデータ入力といった管理業務が多く、担当者の時間・労力が奪われます。集計する際の人的ミスも完全に防ぐことは不可能です。また、事務所と本社の間で勤怠データの連携をする場合、タイムカードの発送・確認に手間や送料がかかります。くわえて、労働基準法第109条の規定によりタイムカードには5年間の保管義務があるため、従業員数の多い企業では保管スペースの確保も必要です。
タイムカードでは、従業員による打刻漏れや、他の人に代わりに打刻してもらうといった不正も防ぎきれません。また、打刻したら簡単に修正できない点もデメリットです。たとえば、業務が終了したと思って退勤を打刻した後にトラブルが発生して残業した場合などに、タイムカードだけでは対応できません。
それから、月末など締め日に集計してみるまで長時間労働や残業などを把握できず、早期の勤怠管理ができない点もタイムカードのデメリットです。従業員の超過労働を早めに把握しておかなければ、働き方改革関連法で定められている「時間外労働の上限規制」を超えてしまい、ペナルティを課される事態にもなりかねません。
また、事前に残業の申請・承認といったフローを構築して従業員に勤務時間を意識させるといった対策もタイムカードでは不可能です。
タイムカードの運用で注意が必要なポイント
タイムカードの運用で注意が必要なポイントとは、主に、「従業員による打刻し忘れ」と「タイムカードの法定保管期間」です。
タイムカードの打刻漏れは超過労働や従業委とのトラブルにつながるため、できるだけ減らす必要がありますが、完全になくせるものではありません。従業員の不注意による場合だけでなく、就業直前に顧客からかかってきた電話に出なければならなかったなど、業務上止むを得ない場合もあります。
打刻し忘れや打刻遅れについては、あらかじめ、タイムカードの修正方法を決めて周知しておくことが大切です。また、不注意による打刻忘れを防ぐためには、タイムカードリーダーの設置場所を工夫する、スマートフォンやパソコンでの打刻など複数の勤怠記録手段を用意して提供する、アラームやリマインダー、ポスターなどで打刻忘れがないように促すといった方法があります。
また、タイムカードは5年間の保管が労働基準法109条により雇用者に義務付けられています。この対象となる従業員とは、役職のない正社員です。アルバイトや派遣社員、みなし労働時間制の従業員、管理職についてはタイムカードの保管義務はありません。
また、タイムカードの保管期間はタイムカードを最後に打刻した日に起算して5年間です。この期間、紛失がないように保管する必要があります。
タイムカードの代わりの勤怠管理アプリとは
最近はリモートワークなど多様な働き方が普及しており、タイムカードによる勤怠管理では不便な面が出てきます。そのため、スマートフォンやタブレット、パソコンなどで遠隔から労働時間を記録できる勤怠管理アプリが普及してきています。
勤怠管理アプリは、従業員の私物、または会社から貸与しているスマートフォンやタブレット、パソコンなどにインストールさせて、出勤・退勤時間や勤務状況を記録させることができるサービスです。
従業員にとっては、スピーディーに打刻できる、リモートワークや直行直帰時でも打刻できる、休暇申請や勤怠記録の修正がしやすいといったメリットがあります。管理者にとっては、勤怠記録が自動集計される、リアルタイムで勤怠状況を把握できる、不正打刻を防止できる、働き方改革を推進できるといった点がメリットです。
タイムカードの代わりに運用が進む勤怠管理アプリの4つの機能
勤怠管理アプリの主な機能は「労働時間の自動集計」「有給休暇管理」「シフト管理」「勤怠に関する申請・商品」の4つです。それぞれについて以下で解説します。
労働時間の自動集計
勤怠管理アプリを使えば、給与計算システムに準じた項目で労働時間の集計を自動化できます。たとえば、特定労働時間、法定内残業時間、法定外残業時間、深夜早朝勤務など、労働時間の内訳まで細かく設定が可能です。また、締め日まで待たなくても常にリアルタイムで労働時間・残業時間を集計できているため、管理者はいつでも確認できます。
有給休暇管理
勤怠管理アプリなら、従業員の有給休暇残日数を従業員と管理者で共有できます。そのため、従業員からの有給休暇残日数問い合わせに対応する必要がなくなるのです。もちろん、有給休暇の申請や承認も勤怠管理アプリで手軽に行えます。
また、年次有給休暇の取得に関して自動でアラート通知を送信できるので、管理者が従業員一人ひとりの年次有給休暇取得状況をチェックする必要がなく、従業員も余裕を持って有給休暇を消化できるようになります。
シフト管理
アルバイトやパートの希望シフト収集には時間と手間がかかり、さらに各人の希望を反映させながら人材が不足しないように考えてシフトを作成するのも大変な作業です。勤怠管理アプリなら希望シフト収集が1クリックででき、承認やシフトへの反映も手軽にできるので、効率的にシフト作成できます。
勤怠に関する申請・承認
残業や打刻日時、休日出勤の振替や代休、シフト、有給休暇や特別休暇など、勤怠に関して発生する申請は多く、書類での申請は従業員・承認者の双方に負担となります。
また、承認者が複数いる場合、全員から承認されるまで時間がかかる場合もあります。勤怠管理アプリなら手軽に申請・承認(避妊)が可能になり、業務効率化が可能です。
タイムカードの代わりにおすすめの勤怠管理アプリ4選
ここでは、多くの企業に採用されているおすすめの勤怠管理アプリを4つ紹介します。
キングオブタイム(KING OF TIME)
「キングオブタイム」は導入実績19000社を誇るクラウド型勤怠管理アプリです。勤務時間のリアルタイム自動計算やスケジュール・シフト管理、残業管理などが可能で、操作も簡単なため誰にでも使いやすいことがメリットといえます。スマートフォンからも利用可能です。
サポート拠点2カ所で専門オペレーターによる充実したサポート体制が整っています。クライド型人事評価サービス「あしたのクラウド™HR」など、外部サービスとの連携も可能です。
幹部の右腕
「幹部の右腕」は、リモートワークを推進している企業におすすめの、シフト管理に特化したアプリです。業務パターンや従業員のスキルなど、さまざまな要件を反映させつつ、最適なシフトを自動で作成できます。作成したシフト表は他の勤怠管理システムとの連携が可能です。
F-Chair+(エフチェアプラス)
F-Chair+は、リモートワークやフリーアドレスなど、自由な働き方を推進している企業に適した勤怠管理アプリです。「着席」ボタンや「退席」ボタンを押すだけで画面キャプチャが保存されるため、管理者は従業員がいつ、どのような業務を行っているか、働きぶりなどを手軽に把握できます。日ごと・月ごとの勤務時間の自動集計や残業時間の可視化も可能です。
IEYASU(イエヤス)
IEYASUは登録実績13000社以上を誇る勤怠管理アプリで、基本的な機能は無料で利用できます。打刻データによって従業員の日時勤怠をリアルタイムに確認できるほか、勤怠に関する申請や承認・否認も日・月単位で可能です。1000社を超えるサポート経験により人事の専門的なノウハウが生かされており、実務において使いやすい設計が人気となっています。有料プランなら、勤怠アラート機能や労働基準法対応の残業管理レポートなどの機能も利用可能です。
タイムカードと並行して勤怠管理システムを検討しよう
オーソドックスなタイムカードは導入しやすく使い方も簡単な一方で、勤怠データの自動集計などはできないため、手動でデータ移行や集計を行う手間がかかります。
また、人的ミスや打刻漏れ、不正打刻なども防ぎきれませんし、リモートワークや直行直帰などへの対応も困難です。そこで、従業員のスマートフォンやタブレット、パソコンから手軽に打刻や勤退関連の申請ができ、管理者もデータの自動集計やアラート機能などで業務を効率化できる勤怠管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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