離職証明書とは?申請方法や書き方、添付書類まで詳しく、かつわかりやすく解説

離職証明書とは、社員から退職の申し出があった場合に、会社が退職手続きを行うにあたり必要となる書類のひとつです。

退職者から請求された場合には、定められた期日までに離職証明書の手続きを行わなければならず、遅延や放置した場合には、雇用保険法によって懲役・罰金が発生する可能性があります。

今回は、人事担当者が必ず知っておかなければならない離職証明書について、申請書の描き方や添付書類など具体的な手続き方法も解説します。

離職証明書とは?離職票を発行するための書類

離職証明書は、正式には「雇用保険被保険者離職証明書」という書類で、退職する社員から離職票の発行を求められたときに必要となる書類です。

離職票は、社員が退職する際に、転職など次の職場が決まっておらず失業保険を受給したい場合に、社員の申し出を受けて会社から社員に交付する書類です。

退職した社員は、雇用保険の失業給付を請求するときに、ハローワークに離職票を提出し手続きを行います。

この離職票を発行するために、会社はハローワークに離職証明書の提出が必要となるのです。

離職証明書が必要になるのは、以下の2パターンです。

①退職者から離職票の交付を求められたとき
②退職者が59歳以上のとき

59歳以上退職者に離職票が必須となるのは、次の会社に就職する際「六十歳到達時等賃金証明書」をハローワークに提出するためです。

上記に該当する場合、企業は社員が退職した翌日から10日以内に、「離職証明書」と「雇用保険被保険者資格喪失届」の2つの書類を、管轄のハローワークに提出しなければいけません。

失業給付は、離職証明書の内容をもとに受給資格や給付金額、給付日数が決定されます。会社が届出を遅延してしまうと、離職票の交付もそのまま遅延してしまうため、退職者の生活に影響が出てしまう可能性があります。人事・総務部の担当者の方は、必ず期限内に提出しましょう。

離職証明書の申請方法は3つ

離職証明書は管轄のハローワークに提出します。提出の方法には、下記3つがあります。

①専用用紙に手書きで記入し、ハローワーク直接持ち込む

離職証明書の記入用紙は3枚複写式になっており、それぞれ提出用・退職者用・事業者控えとなっています。

記入用紙はハローワークに用意してあり、自主作成したり、ネットでダウンロードしたりすることは基本的にできませんので、ハローワークに直接取りに行く必要があります。

中には郵送で取り寄せが可能なハローワークもあるようなので、管轄のハローワークに問い合わせてみるといいでしょう。

記入した用紙は、ハローワークに直接持ち込み提出します。

②事前申請の上、印刷物を提出する

離職証明書は専用の記入用紙がありますが、事前にハローワークに届け出ることで、専用記入用紙以外の印刷物でも提出が可能になります。

頻繁に離職証明書の発行が必要な大手企業などの場合は、手書きによる労力の大幅な削減が見込めます。
申請方法については、管轄のハローワークごとに確認が必要です。

③電子申請する

総務省が運営する行政サービスの電子申請総合窓口『e-Gov(イーガブ)』から、雇用保険関係手続きの電子申請を行うことが可能です。

注意点として、電子申請には「電子署名」が必要となるため、あらかじめ「電子証明書」を入手しておく必要があります。

e-Govにアクセスし、「雇用保険被保険者資格取得届(離職票交付あり)」の申請画面を開くと、紙の様式同様の入力画面が表示されるので、黄色の枠に必要事項を入力して申請書を作成します。

このとき、退職者の署名が必要な場合がありますが、必要事項を記載した確認書や証明書は、PDFファイルなどで申請時に添付します。

申請後、「離職票-1兼 資格喪失確認通知書」「離職票-2」「資格喪失確認通知書(事業主通知用)」「離職証明書(事業主控)」の4つの書類が電子公文書として交付されます。

離職証明書を提出してからいつ離職票は届く?

退職者から離職票の発行を請求された場合、これまで説明してきた通り会社はまず、ハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」「離職証明書」の2つの書類を提出します。

すると、ハローワークから「離職票-1」と、離職証明書の複写になっている「離職票-2」が発行されます。この2つの離職票を退職者に送付するまでが、会社が行う手続きです。

離職票発行に必要な離職証明書の提出は、社員が退職して被保険者資格を喪失した翌日から10日以内と説明しましたが、会社がハローワークに提出したその日に離職票は受領できません。

離職票は提出後から3営業日程度で、ハローワークから郵送で届くことになりますので、退職者が離職票を受け取るまでには1~2週間程度かかることになるでしょう。

退職者がすぐ次の会社に就職しない場合、国民健康保険や国民年金への加入が必要となりますが、この加入手続きにも離職票が必要ですので、会社には速やかな対応が求められます。

なお、上記の通り離職票の発行には時間がかかるため、加入手続きに間に合わないこともあります。その場合は、「退職証明書」の発行を求められることがあります。

退職証明書は、退職者が間違いなく会社を退職したことを証明する書類ですが、公的な文書ではなく、既定の様式もありません。退職者から発行の要請があった場合のみ発行する会社が多いようです。

離職証明書の書き方

離職証明書の申請用紙で、記入する各項目を解説していきます。

①被保険者番号、②事業者番号

「資格取得等確認通知書」に記載があるので、そちらから確認してください。

④離職日

資格喪失届に記入した離職年月日と同じ日付を記入します。

⑦離職理由

離職理由が書かれているので、該当するものを選んで○を付けます。その上で、用紙下部の「具体的事情記載欄」に退職の具体的原因とその経過などを詳しく記入します。選択項目の理由に該当するものがない場合は、「いずれにも該当しない場合」にチェックをいれ、具体的に理由を記載してください。

ここで記載された離職理由は、その内容に応じて、添付された離職理由を確認できる資料をもとにハローワークで確認が入ります。離職理由によって受給資格や受給日数が変わってきますので、資料と相違のないよう、できるだけ詳細に記載しましょう。

⑧被保険者期間算定対象期間

離職した被保険者が、「一般被保険者、高年齢被保険者」として離職した方の場合はA欄に、「短期雇用特例被保険者」として離職した場合にはB欄に記入します。

⑨ ⑧の期間における賃金支払基礎日数

⑧で記載した期間の賃金支払の基礎となった日数を記入します。月給支払いの場合は、原則として歴日数、日給・時給の場合は実稼働数となります。

⑩賃金支払対象期間

会社での賃金締切日の翌日から次の賃金締切日までとなる、賃金支払対象期間を記入します。

⑪ ⑩の基礎日数

⑩で記載した期間に、賃金支払いの基礎となった日数を記入します。

⑫賃金額

賃金が月または週等により定められている場合、時間外手当等を含め、その月の全ての賃金をA欄に記載します。日・時間・出来高による場合はB欄に記入し、通勤手当などの月額で定められている賃金はA欄に記載します。

⑬備考

欠勤や休業手当の支払いがあった場合などは、こちらに記入してください。

⑭賃金に関する特記事項

毎月決まって支払われる賃金以外の賃金のうち、3か月以内の期間ごとに支払われる「特別の賃金」があれば、その賃金の支給日、名称、支給額を記入します。記入しない場合には、斜線を引きます。

⑮署名捺印

離職者本人が記載内容を確認の上、署名捺印してください。本人と連絡がとれないなどやむを得ない事情がある場合は、理由を記載し、事業主印を押します。

⑯離職者本人の判断

⑦欄に記載した離職理由について、離職者本人が内容を確認の上、該当する事項を○で囲み、記名押印または自筆による署名を記載します。

離職者本人の記名押印または自筆による署名が必要な個所が2つあります。離職証明書の記載内容によって失業給付の中身が決定されますので、内容に誤りがあってはいけないためです。離職者本人の確認と署名を忘れないようにしましょう。

離職証明書の提出時に必要な添付書類

離職証明書を提出する場合には、離職内容が正確かどうか判断するための書類を添付する必要があります。具体的には、以下の書類が必要となります。

・離職までの賃金や支払い期間を確認できる資料
賃金台帳、労働者名簿、出勤簿やタイムカードなどを提出します。

・離職理由を確認できる資料
離職証明書の⑦欄に記載した離職理由を証明できる資料を提出します。離職の理由によって添付書類が異なりますので、一例を紹介します。

●事業所の倒産による離職:裁判所において倒産手続の申立てを受理したことを証明する書類、解散の決議の議事録(写)など
●定年によるもの:就業規則など
●労働契約期間満了等によるもの:労働契約書、雇入通知書、契約更新の通知書など
●解雇や重責解雇によるもの:解雇予告通知書、退職証明書、就業規則など
●希望退職や退職勧告によるもの:希望退職募集要綱(写)、離職者の応募の事実が分かる資料
●労働環境の問題によるもの:給与明細書、賃金低下に関する通知書、タイムカードなど
●著しい冷遇や嫌がらせが合った場合:採用時の労働契約書、特定個人を対象とする配置転換の辞令など

その他にも、ハローワークに来る担当者の印鑑が必要となりますので、忘れずに持参しましょう。

離職証明書は早め早めの準備を

離職証明書の準備が先延ばしになってしまい、離職者やハローワークから催促される会社も多いようです。

会社側が手続きを遅延して離職票の交付が遅れてしまうと、そのまま失業給付の支給に遅れが出てしまい、離職者の生活に影響を与える可能性もあります。

離職の手続きに必要な各種書類の様式などは事前に整えておき、離職の申し出があった場合はすぐに対応できるようにしておきましょう。

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