特別休暇は、法律で定められた休暇とは違い、企業が独自に規定できる制度を指します。
休暇制度の構築は社員の働き方改革や、生産性の向上、満足度アップにもつながる重要な取り組みです。実際に、社員への福利厚生としてユニークな休暇制度を作ることで大きな効果を出している企業もあります。
待遇改善をして社員のコミットを高めたいと考える経営者や人事担当者は、他社の事例を参考にすることも有効です。今回は、特別休暇の概要や代表的な休暇内容、ユニークな取り組みについても紹介します。
特別休暇とは
特別休暇とは、使用者(企業側)と労働者との話し合いによって定める休暇制度です。休暇には、法律で定められているものと企業が独自に定めるものがありますが、特別休暇は後者に該当します。
法律で定められている休暇とは、法定休日などと呼ばれるものです。例えば、労働基準法では週に1日以上の法定休日を義務付けています。
また、年次有給休暇は一定の期間以上働かせた労働者には付与する義務があり、企業は付与だけでなく取得させることも義務付けられているのです。その他には育児休業や介護休業なども育児・介護休業法によって定められています。
一方、特別休暇は企業が独自に定めるもので、法律上の決まりはありません。
労使が協議した上で、付与する日数や条件について自由に定めることができます。一般的に取り入れられていることが多いのは、慶弔休暇や病気休暇などです。
その他にも、ボランティア休暇、研修休暇といった外部での活動を促すような種類や、リフレッシュ休暇といった目的を定めないパターンもあります。
法定休暇の他にこういった特別休暇を設ける目的は企業によってさまざまですが、主な背景としては社員の満足度向上や、生産性アップが挙げられるでしょう。
法定休暇以外にも特別休暇を用意することは、プライベートを充実させて家族との時間も確保させながら安心して働いてもらうことに役立ちます。
また、仕事と休みのメリハリをつけさせることは仕事のパフォーマンスにも好ましい影響を与えるでしょう。
特別休暇は有給or無給?
特別休暇について、給料を支給するのか無給にするのかは企業側と労働者側との取り決め次第です。法律上は定めがないので、労使の合意があれば有給でも無給でも問題ありません。
やむを得ない事情で、なおかつ祝いごとやお悔やみごとに関する慶弔休暇のような種類については、有給休暇と同じく給料を支給することが多いようです。
一方、リフレッシュ休暇やボランティア休暇といったプライベートの性質が強いものは企業によって有給と無給の判断が分かれることがあります。
特別休暇は企業が社員に対して提供する福利厚生のひとつとしても考えられる制度です。企業の方針や社員の意見も取り入れながら納得できる仕組みであることが望ましいと言えます。
代表的な特別休暇とは
特別休暇の種類は企業によってさまざまです。ここでは代表的な特別休暇を紹介します。
慶弔休暇
慶弔休暇とは、社員本人や近親者に慶事があったり忌引きがあったりした場合に付与する休暇です。慶事とは結婚や出産などを指し、忌引きとは家族や親族などの近親者が亡くなって喪に服すことを指します。
慶弔休暇は法定休暇ではありませんが、それでも多くの企業が導入している制度です。厚生労働省が発表している2018年の調査資料によると、慶弔休暇を導入している企業は90.7%という高い割合でした。
病気休暇
病気休暇とは、疾病を持つ社員に対して、有給休暇とは別に休暇を付与する制度です。これは、社員が風邪やインフルエンザといった一時的な病気で休まざるを得ない場合に付与する場合が該当します。
また、長期間にわたって通院や治療が必要な疾病を持つ社員に対して、通院日や治療日に休暇を付与するケースも対象です。
長期にわたる通院や治療は丸一日のような長い時間を必要としないこともあり、時間単位や半日単位での休暇制度を用意している場合もあります。
ボランティア休暇
ボランティア休暇とは、ボランティア活動に参加する社員に付与する制度です。
社員は普段仕事をしていると人間関係や興味関心が特定の分野だけに絞られてしまうことがありますが、ボランティア活動に参加することで視野を広げてにも還元させる効果が期待されます。
また、ボランティア活動という公的な意味合いが強い活動を企業が応援することで、社会の一員としての役割を果たすという目的もあるようです。
リフレッシュ休暇
リフレッシュ休暇とは、一定の年数を勤務したり、特定の年齢に達したりした時点で付与する制度です。
これは、長期間にわたって企業に貢献してくれた社員に対して感謝とこれからのさらなる活躍を促すという目的があります。
また、年齢の節目では家族や親近者などとの間でお祝いしたり旅行したりといったことがありますが、そういった目的に活用してもらうという意味もあるようです。
おもしろい!企業の特色が現れる特別休暇の事例
特別休暇には企業の個性や狙いが現れるものです。ここでは、特にユニークな特別休暇の事例を紹介します。
オセロ休暇
未来工業株式会社は、オセロ休暇制度を導入しています。これは、休日と休日に挟まれた平日はオセロのように自動で休日になるという制度です。
例えば、木曜日と土曜日が休日であれば、その間の金曜日も休日になります。
この特別休暇を設定した狙いとしては、社員の満足度向上と生産性アップがあるようです。同社は社員のやる気を高める休暇の付与に積極的で、オセロ休暇もその一環だと言います。
また、休日に挟まれた平日に出勤しても集中力が出づらいことから、いっそ休息の質を高めてもらって次の勤務日に力を発揮させたいという考えなのです。
育自分休暇
サイボウズ株式会社は育自分休暇制度を導入しています。
これは自分を育てることが目的で、いったん退職してから転職したり旅をしたり自由な時間を過ごした後、最長6年間以内に復職ができるという仕組みです。
サイボウズはソフトウエア開発会社ですが、同社を含むIT業界は労働時間が長く、離職率も高いといった課題を抱えています。
そこで、貴重な人材をあえて旅に出すことで自由な環境を提供するとともに、外の世界での学びを将来的に還元させることを見込むという狙いがあるのです。
浮世離れ休暇
株式会社トライバルメディアハウスは、浮世離れ休暇制度を実施しています。これは勤続満5年のスタッフに1カ月間の連続有給休暇を付与する仕組みです。
これは、社員が長期休暇を励みに腰を据えて仕事に取り組ませる狙いがあります。また、メンバーの不在をカバーできるような強い組織を作るという目的もあるようです。
山ごもり休暇
株式会社イルグルム(旧:株式会社ロックオン)は、山ごもり休暇制度を導入しています。これは、連続9日間、まるで山ごもりのように一切会社の人間とは連絡を取らず、休暇に専念させる仕組みです。
この背景としては、1人がいないと企業が回らない仕組みを改善したいという考えがあったと言います。また、業務量が多く休みが取りづらい中、社員にまとまった休暇を提供することで十分にリフレッシュさせるのも狙いの1つです。
特別休暇を導入する際忘れてはならないポイント
特別休暇を導入する際にはいくつかポイントがあります。ここでは3つのポイントについて紹介しましょう。
目的を明確化する
まずは特別休暇のアイデアを出す前に、何のために休暇制度を設けるのかを明確にしましょう。特別休暇は自由度が高いのでユニークな制度でも良いのですが、企業の実情や社員のニーズとマッチしていなければ制度を導入する意味がありません。
まずは、社員はどのような希望や悩みを抱えているのか、企業は社員にどのような価値を提供したいのかを考えることが重要です。
制度設計を詰める
特別休暇の原案が出たら、制度面の設計をしましょう。特別休暇を付与する対象者や条件、有給・無給など、決めなければならないポイントはいくつかあります。これらを具体的に詰めていくことが必要です。
休暇取得の環境を整備する
特別休暇制度を導入する際は、制度を作るだけではなく社員が実際にその制度を活用しやすいような環境を整えることが重要です。上司が積極的に休暇の取得を促すなど、取得に向けた仕組みも整えましょう。
独自性のある特別休暇で社員の心をつかもう
特別休暇は、企業によって独自の取り組みが可能です。そのため、社員のニーズや企業の福利厚生方針に沿うユニークな制度を作ることで社員の満足度アップやパフォーマンスの改善につなげられる可能性があります。
経営者や人事担当者は、今回紹介した事例も参考にしながら、ぜひ自社に合う制度を構築してください。
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