理念とは?経営理念の意味、ビジョンとの違い、作り方、企業事例5選を紹介

経営理念を作成しアピールすることは社内に対しても社外に対しても重要な効果をもたらします。

本記事では経営理念が意味する内容やビジョンとの違いについて、また、経営理念の作り方や社内に浸透させる方法について解説します。くわえて、事例として有名企業の経営理念を5つ紹介するので、自社の経営理念を作成する際の参考にしてください。

理念とは

理念とはプラトンの基本概念である「イデア」の訳語のひとつです。ドイツ語の「Idee(イデー)」や英語の「idea(アイデア)」を介して「観念」「純粋理念概念」などと呼ばれることもあります。簡単に言えば、「あることに関する考え方・方針・手段・理想など」が理念です。

経営理念

経営理念とは企業活動に関する基本的な考え方・方針であり、一般的には創業者や経営者によって提示されます。経営理念は社内に対して従業員の行動指針となったり、社の一員としての誇りを高めたりするものです。

また、社外に対しては企業のイメージアップやブランディングを図る目的もあります。

企業理念

経営理念を企業理念と言い換える場合もあり、意味は同じです。
本記事では以降、「理念」を「経営理念」として解説します。

理念とビジョンの違い

ビジョンとは「経営目標」「事業ビジョン」などを意味します。理念が企業の使命や存在意義など基本的な価値観を示すものであることに対し、ビジョンは企業が理念に基づいて掲げる具体的な事業目標を意味します。

掲げるだけでなく実現に向けて動くことがビジョンにおいて重要です。また、ビジョンは将来的または中期的に達成したい目標であるため、随時見直して変更することが望ましいとされています。

理念が経営において重要な理由

理念が経営において重要な理由は、主に次の3つです。

体制強化につながる

理念によって企業の方針が明確化されていれば、一般社員やアルバイトから管理職まで全社員が同じ方向を目指して行動でき、毎日の業務において指針を以て働けるでしょう。

また、理念をしっかりと意識していれば不測の事態が起きても長期的な視点から判断できます。それらが企業の体制強化につながるのです。

求人に役立つ

求職者に対し自社の理念を公開することによって、自社の基本的な価値観に共感する人材の応募を集めることができます。

その中から自社に合った人材を採用すれば、モチベーションを高く保ちながら働いてもらえる可能性が高まり、定着率や人材育成効果の向上を期待できるでしょう。

企業の認知度向上・ブランディングにつながる

取引先や顧客・消費者といった社外に自社の理念を公表することによって、自社の認知度やイメージが高まり、信頼できる好ましいブランドとして定着させる効果を期待できます。

また、従業員に理念を浸透させることによって自社への愛着や誇りを育成でき、社員がイキイキと働ける企業であることがまた、ブランディングにつながるのです。

理念の作り方

理念の作り方は以下の3ステップです。

他社の理念を参考にする

まずは、他社の理念をいくつかチェックし、理念のイメージを把握するところから始めましょう。

理念の文体や文章の長さ、英語や外国語を取り入れているかどうかなどに着目し、自社のイメージに合うものを参考にすることがおすすめです。

また、同業であったり、同じくらいの規模やフェーズであったりするなど、自社と共通点のある企業の理念も、自社の理念を考える際の参考になりやすいでしょう。もちろん、経営者が共感する企業などの理念を参考にしても構いません。

経営者の経験や理想、目標などを書きだす

理念には経営者の信念を反映させることが重要です。経営者がどのような経験を培ってきたか、その結果、自社でどのようなことを実現したいと考えているのか、自社の価値観などを書きだしてみましょう。

それから、自社の果たすべきミッションや将来に向けてのビジョン自社の状況なども考えあわせたうえで、理念に入れたいキーワードを絞り込みます。キーワードが決まったら、理念の原案を2~3個程度、作成してみましょう。

徹底的に検討し、何度も作り直す

上で作成した原案を見比べ、共通する内容はまとめるなどして、具体的な理念を作成します。また、「他社の理念と差別化できているか」「自社の状況にふさわしいか」「社内外に伝えたい経営者の信念を明確に表現できているか」などにも注意し、徹底的に「我が社の理念はこれでよいのか」を検討しましょう。

迷いを感じなくなるまで、何度も作り直すことも大切です。また、社員や経営コンサルタントなど、他の人の意見を聞いてみるのもよいでしょう。

理念を社内で浸透させるポイント

理念を社内で浸透させる主なポイントは以下の3つです。

社内報や社内ポータルサイトで理念の周知を図る

社内報や社内ポータルサイトに経営者が発信するコンテンツを設け、それを通して理念を周知していくことができます。社内報は定期的に刊行されるものなので、自社の目下の課題やフェーズなどを反映させた内容にできるというメリットがあります。

また、社内ポータルサイトであれば社員は時間・場所を選ばずいつでも閲覧できます。管理職などから社員に対し、社内報や社内ポータルサイトを閲覧するように働きかけることも大切です。

理念行動を人事評価制度に取り入れる

理念に沿った思考・行動ができているかどうか、理念と一致する人物像を実現できているかなどを人事評価の1つとして盛り込むことにより、社員はより強く理念を意識するようになります。評価基準は具体的かつ明確に設定し、社内への周知を図りましょう。

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新人教育で浸透させる

新卒・中途採用を問わず、新入社員への教育を実施しない企業はないでしょう。新人研修の内容に理念に関する教育を盛り込むことによって、新人だけでなく講師を勤める先輩社員にとっても、理念を深く理解し業務上で実践していくきっかけとなります。

理念の企業事例5選

ここでは、Amazon.com, Inc.、株式会社セブン-イレブン・ジャパン、資生堂、トヨタ自動車株式会社、ファーストリテイリングの理念を紹介します。

Amazon.com, Inc.

インターネット通販や音楽・映像配信、オンラインストレージなどのウェブサービスやデジタル家電の開発・提供など幅広い分野に事業展開するAmazon.com, Inc.の理念は次の通りです。

「お客様を起点にすること、創造への情熱、優れた運営へのこだわり、長期的な発想」

Amazon「Amazonについて」

株式会社セブン-イレブン・ジャパン

コンビニエンスストアチェーン最大手の1つとして全国21,327店舗(2022年2月末時点)を展開する株式会社セブン-イレブン・ジャパンの理念は次の通りです。

「私たちは
いかなる時代にもお店と共に
あまねく地域社会の利便性を追求し続け
毎日の豊かな暮らしを実現する」

株式会社セブン-イレブン・ジャパン:企業理念

資生堂

1827年創業の老舗化粧品会社である資生堂の理念(OUR MISSION(企業使命)」)
は次の通りです。

「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」

資生堂では上記の他、企業価値観としての6項目「OUR DNA」や業務上の心構えとしての8項目「OUR PRINCIPLES(TRSUT8)」も設けています。

資生堂「THE SHISEIDO PHILOSOPHY」

トヨタ自動車株式会社

国内自動車メーカー最大手として国内外に高く評価されているトヨタ自動車株式会社。その理念は「トヨタフィロソフィー」「基本理念」「トヨタウェイ2020」「トヨタ行動指針」などで詳細に定義されています。その中から主なものを紹介します。

「可動性(モビリティ)を社会の可能性に変える」(トヨタフィロソフィーより)

「1.内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
2.各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
3.クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
4.様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
5.労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
6.グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
7.開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する」(基本理念)

TOYOTA「企業情報」

ファーストリテイリング

ファーストリテイリングはファストファッションを代表するブランド「ユニクロ」や「ジーユー」を運営する企業です。その理念は次の通りです。

「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」

理念には上記の他、Mission(企業使命)、Value(価値観)、Principal(行動規範)なども詳細に掲げられています。

ファーストリテイリング「FAST RETAILING WAY 」

理念を軸とした経営で愛される企業をめざそう

理念は企業のイメージや方向性、信条などを決定付けるものです。自社にふさわしい理念を作成して社内外に浸透させることにより、社員のモチベーションや自社への愛着を高めたり、取引先や顧客・消費者の認知や信頼を獲得できたりします。

また、理念を持つことによって時代の変化や不測の事態にも揺らがず対応できるようになるのです。理念を経営の軸に据えて、社員にも社外にも愛される企業をめざしましょう。

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