リーダーシップとは?種類や目的、リーダーに必要な能力とは

リーダーシップは、社会で活躍するために必要不可欠なスキルです。上層部の人間だけに求められるものではなく、仕事を行う様々なシーンで役立ちます。

しかし、リーダーシップの重要性は分かっていても、リーダーシップとは何か明確に理解できていない方も少なくないでしょう。

ここでは、 リーダーになるために必要なリーダーシップの意味や目的を定義立てて解説 します。

リーダーシップを発揮するためのポイントや具体的な行動もご紹介しますので、日々の仕事でもすぐに活かせるスキルを身につけることができます。

リーダーシップとは

リーダーシップとは、組織をけん引するリーダーとして資質や能力のことです。

また、リーダーシップを日本語に訳すと指導力や統率力といった意味になります。

リーダーシップの語源は、古英語の「lædan」で、 何かを生み出す、導くといった意味です。 leaderという英語に、位置という意味を示すshipという造語で、1822年から使われるようになりました。

会社やチームなど、複数人数の組織で成果を上げるためは、リーダーではなくメンバーの力も必要不可欠です。

リーダーは、メンバーの行動の模範となり、良い影響を与えてメンバー自らを行動させる必要があります。

つまりリーダーシップは、組織や団体を導く存在という意味です。

マネジメントとの違いは?

リーダーシップとマネジメントという言葉は、混同されることも少なくありません。

リーダーシップとマネジメントは下記の3つの役割においてに違いがあります。ここでは、会社のリーダーとマネージャーの立場の違いを理解していきましょう。

  1. 影響力の源泉
  2. 行動の視点
  3. 経営レベル

まず、リーダーの影響力の源泉となるものは、人望や人型などの権威です。一方、マネージャーの場合は、社内の地位や権力が影響力の源泉となります。

リーダーとマネージャーでは、視点も異なります。リーダーはメンバーやチームがどうすべきか、どうなっていくべきかといった未来視点で物事を考えますが、マネージャーの場合は事業計画に記載されている数値や課題など今起こっている問題に目を向けて動きます。

経営レベルにおいては、リーダーはチームの目標に向かってメンバーを引っ張っていく存在であり、マネージャーはリーダーの行動を軌道修正する存在です。

マサチューセッツ工科大学のC・オットー・シャーマー博士は、リーダーとマネージャーの違いについて下記のように記しています。

「マネジメントとは「ものごとをうまく行わせる」ことだが、リーダーシップとは、より大きな状況である活動の場を創り出し育むー共通の土壌を豊かにするーことだ」

「U理論(第二版)」C・オットー・シャーマー

チームを統率する力がリーダーシップで、マネジメントはそのリーダーシップの舵取りを行います。

このように、リーダーシップとマネジメントは求められているスキルや影響物、視点など様々な点で違いがあるのです。

PM理論とは

リーダーシップの構成について深く理解するためには、リーダーシップ理論で有名な三隅二不二のPM理論を知っておきましょう。

PM理論によると、リーダーシップは以下の2つのタイプがあるとされています。

  1. 目標達成機能(Performance function)
  2. 集団維持機能(Maintenance function)

それぞれの特徴について見ていきましょう。

1.目標達成機能(Performance function)       

目標達成機能とは、目標達成のために組織の生産性を高めるための働きです。

目的のために今必要なことやそうではないものを客観的に見つめ、改善を行います。

例えば、業績が芳しくない社員に対して厳しく指導することなどが挙げられるでしょう。あくまでの目標達成を第一に置いた上で行動する働きを指します。

2.集団維持機能(Maintenance function)

集団維持機能とは、組織の団結力を高めるためにメンバーの士気を高める働きです。

目標達成のためにチームワークを高めることを指します。

例えば、元気のない社員や成績のよくない社員に対して仕事の愚痴を聞いたり、飲み会を開いて労ったりすることが挙げられます。

組織力やチーム力を強固なため、部下の面倒見が良い社員が多いです。

PM理論では、目標達成機能(Performance function)と集団維持機能(Maintenance function)の両方を兼ね備え、目標達成のためにチームメンバーの士気を高めながらも生産性を高めるリーダーが理想的と提唱されています。

リーダーシップの種類・スタイル

一括りにリーダーシップといっても、種類やスタイルは様々です。代表的な2種類のリーダーシップのスタイルの例を見ていきましょう。

クルト・レヴィン:3つのリーダーシップ・スタイル

アメリカの心理学者、クルト・レヴィンの研究によるとリーダーシップのスタイルは下記の3種類に分類できます。

  1. 専制型リーダーシップ
  2. 民主型リーダーシップ
  3. 放任型リーダーシップ

1.専制型リーダーシップ

専制型リーダーシップとは、意思決定や行動など全てリーダーが決める方法です。

部下は能動的な場合が多く、自分で考えずリーダーの指示を待ちます。

短期的には効果を上げることができますが、部下の成長や組織の成長といった長期目線で考えると効果的は方法とは言えません。

2.民主型リーダーシップ

民主型リーダーシップは、意思決定や行動なども全て部下が行う方法です。

そのため、効率が下がってしまうものの、部下が自分で考えて行動するため長期的には効果を発揮します。

また、組織間のコミュニケーションが密になり、団結力が増すでしょう。

3.放任型リーダーシップ

放任型リーダーシップは、意思決定や行動に一切リーダーが関与しない方法です。

全ての行動をメンバーだけで行うため士気や団結力も低い状態が続きます。

ただし、個々のスキルが高い場合においては、効果的な方法といえるでしょう。

ダニエル・ゴールマン:6つのリーダーシップ・スタイル

ダニエル・ゴールマンの提唱するリーダーシップのスタイルは、下記の6種類です。

  1. ビジョン型リーダーシップ
  2. コーチ型リーダーシップ
  3. 関係重視型リーダーシップ
  4. 民主型リーダーシップ
  5. ペースセッター型リーダーシップ
  6. 強制型リーダーシップ

それぞれの特徴を見ていきましょう。

1.ビジョン型リーダーシップ

組織のもつ共通のビジョンによってメンバーを動かすスタイルです。

共通の夢を持ちながら、そこまで到達する方法は押し付けず自分たちで考えさせることを特徴としています。常に前向きなため、メンバーからの信頼も厚く団結力も高まります。

2.コーチ型リーダーシップ

組織だけではなく個人の目標に寄り添い、1対1で向き合うスタイルです。

メンバーを励ましながら、強みと弱みを自分自身で気づかせるように導きます。

メンバーそれぞれの個性や特徴を理解し、対話することでメンバーのモチベーション維持にも繋がるのです。

3.関係重視型リーダーシップ

組織の目標やビジョンよりも、メンバーの考え方や感情を重視するスタイルです。

感情を重視することで、関係性を高め組織を融和することができます。

ただし、感情を重視しすぎる上目標達成がおろそかになってしまうデメリットもあるので、他のスタイルとの併用が理想的です。

4.民主型リーダーシップ

結果よりも過程を重要視するスタイルです。

メンバーの意見を求め、組織全体を動かしていくことで新しいアイデアが生まれチームワークも高まります。

ただし、意見が割れる場合には長期化してしまう場合もあるため、他のスタイルとのバランスが重要です。

5.ペースセッター型リーダーシップ

リーダー自身が高いレベルの成果を出すことで、部下の士気を高めるスタイルです。

優秀なメンバーが集まっている場合には、非常に高い成果を発揮することができます。

ただし、そうでない場合には、組織の関係性が崩れてしまう場合もあるため関係重視型と併用するのが良いでしょう。

6.強制型リーダーシップ

軍隊のように、意識決定や行動を全てリーダーが行うスタイルです。

意思決定や行動の理由は伝えずとにかくやらせることで、短期的な効果を見込めることができます。

ただし、メンバーが自走しているわけではないため、長期的な視点で見ると成長することが難しいでしょう。緊急性の高い仕事の際にのみ、効果を発揮することができます。

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リーダーシップを発揮するためには会社としてビジョンを明確にし、未来を見据えた目標設定をする必要があります。

 会社の存在意義や自分自身を正しく理解して意識改革することで、部下を強力に牽引できる管理職を目指すことができる のです。

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リーダーシップを発揮する目的

リーダーシップを発揮する際、ただ闇雲にメンバーを統括するのではなく、目的を明確にしておきましょう。目的を把握することで、どのスタイルのリーダーシップを発揮するべきかわかります。今回は、ジョン・アデアのリーダーシップ論より以下の3つの目的について解説していきましょう。

  1. タスクや目標を達成すること
  2. チームを作り、団結を維持すること
  3. 個人の能力を開発すること

1.タスクや目標を達成すること

リーダーシップを発揮するための目的は目標達成にあります。個人ではなく複数人数で達成しなければいけない目標の場合、個々でバラバラに行動しても達成することはできません。ゴールに到達するために、組織をけん引する必要があるのです。

2.チームを作り、団結を維持すること

チームの団結力を高めるためには、リーダーシップが必要不可欠です。それぞれのメンバーの士気やコミュニケーションの質を高めることで、それぞれの役割を全うし高い目標も達成することができます。

3.個人の能力を開発すること

リーダーシップは、個人の能力を高めるためにも必要不可欠です。リーダーとしてメンバー自身に考え行動させることで、個々の能力が高まります。

リーダーに必要な能力

リーダーとして、組織をけん引していくためにはどのような能力が必要なのでしょうか。

ピーター・ドラッカーとジョン・アデアの定義より明日の仕事からすぐ取り入れられる行動を見ていきましょう。

ピーター・ドラッカーの定義

ピーター・ドラッカーによると、リーダーシップとは下記のように定義されています。

リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。リーダーは、妥協を受け入れる前に、何が正しく望ましいかを考え抜く。リーダーの仕事は明快な音を出すトランペットになることだとドラッカーは言う。

リーダーと似非リーダーとの違いは目標にある。リーダーといえども、妥協が必要になることがある。しかし、政治、経済、財政、人事など、現実の制約によって妥協せざるをえなくなったとき、その妥協が使命と目標に沿っているか離れているかによって、リーダーであるか否かが決まる。

ドラッカーは多くの一流のリーダーたちを目にしてきた。外交的な人も内省的な人もいた。多弁な人も寡黙な人もいた。「リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである」

『プロフェッショナルの条件』ピーター・ドラッカー

つまり、リーダーとは目標に向かって舵取りを行う存在であるといえます。

ゴールに向かって必要なものは何なのか、今やるべきことは何なのか考え、メンバーを牽引しながら目的から逸れないようにコントロールすることが、リーダーには求められるのです。

ジョン・アデアの定義

ジョン・アデアのリーダーシップ論では、下記の8つの実践行動が求められます。

  1. 仕事を明確にする
  2. 計画する
  3. 説明する
  4. 統制する
  5. 支援する
  6. 評価する
  7. 動機づけする
  8. 模範となる

それぞれどのような行動をすべきか具体的に見ていきましょう。

1.仕事を明確にする

仕事をする前に、なぜその仕事をしているのか何のためにしているのかを明確にしなければいけません。ただやっているだけではなく、きちんと目的を理解する必要があります。

2.計画する

ただ闇雲に目の前の仕事をこなすだけではなく、タスクを行う順序やそれぞれの役割を明確にします。そうすることで目標達成までの道筋がわかるでしょう。

3.説明する

やらなくてはいけない仕事の内容や理由をきちんと説明しましょう。メンバーが理解しないまま進めてしまうと、目的からずれてしまう可能性があるからです。

4.統制する

チーム全体が、良い方向に向かうように統括しましょう。全ての管理をリーダー自身で行うことは難しく、メンバーの成長にも繋がりません。自己管理させるためにもコントロールする必要があります。

5.支援する

メンバーが困っている場合には、助け船を出してあげましょう。ほったらかしにするのではなく、アドバイスをあげたり、方向性を示してあげたりすることが重要です。仕事面だけではなく、精神面のケアもしっかり行いましょう。

6.評価する

仕事の途中で、振り返ることは重要です。なぜ成功したのか、失敗したのかをきちんと振り返ることで、より高いレベルで仕事することができます。また、チーム内で共有することで他のメンバーの成長にも繋がります。

7.動機づけする

メンバーへの声かけを行うことです。業務面のコミュニケーションだけではなく、精神面のサポートもしてあげましょう。特に、メンバーを褒めてあげることで、モチベーションの維持に繋がります。

8.模範となる

リーダーである以上、組織の模範となるような行動を取りましょう。日々の行動や考え方など、チームの目指す姿を率先して体現しましょう。

リーダーシップを発揮するために必要なスキル

主体性・当事者意識

リーダーシップのバックボーンとなるのは、明確な主体性と当事者意識です。

責任感や使命感ともいえます。誰かから指示されたからやるのではなく、自らが強い問題意識を持ち、旗頭となって仕事を進める姿勢が求められます。

課題発見・解決能力

リーダーは、チームメンバーが本当にやるべきことを定義しなければなりません。

そのためには、会社の存在意義や理念、事業内容を正確に把握した上で現状の課題を分析する必要があります。さらに、その課題を解決する方法を部下に指示できるレベルにまで具体的に検討することが求められます。

目標設定力

リーダーが部下に指示をする上では、明確な目標の設定が不可欠です。

いつ(When)、どこで(Where)、だれと(Whom)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)という「5W1H」を意識した上で、会社としての目標と部下の能力を考慮しながら、最大限の成果を生み出すための実現可能な目標を設定することが重要です。

コミュニケーションスキル

リーダーは組織やチームを動かす立場にあります。自分以外の人に目標・やるべきことを的確に伝え、モチベーション高く仕事を進めてもらうには、高いコミュニケーションスキルが必要です。

メンバー一人ひとりと対話することはもちろん、働きやすい環境や組織文化を作ることもリーダーの役割です。

リーダーシップを高める方法

優れたリーダーの事例からノウハウを学ぶ

先述したようにリーダーシップのスタイルは一つではなく、自分の適性やチームの状況によって目指すべきタイプは異なります。まずは、経営者や他部署の管理職など社内ですでに力を発揮している他のリーダーを参考にしてみましょう。

本田宗一郎や松下幸之助、スティーブ・ジョブズといった著名なリーダーをロールモデルとするのもおすすめです。

リーダー自らが率先して行動する

どれだけ有能であっても、口で指示するだけで行動が伴わないリーダーは信頼を得られにくい傾向にあります。

設定した目標を提示するだけでなくメンバーと丁寧に共有し、リーダー自らも個別に目標を立てた上で達成のために率先して動きましょう。メンバーそれぞれが自分の目標を達成できるよう、こまめにフォローすることも重要です。

管理職向けのリーダーシップ研修を実施する

メンバーとして豊富な経験を積み、目覚ましい実績を挙げた人が必然的に優れたリーダーになれるわけではありません。人の上に立ち、リーダーシップを発揮するためには、また別の知識やノウハウが求められます。

新入社員が新人研修を受けるように、管理職が適切なリーダーシップを発揮するために必要な知見を得られる研修を実施しましょう。

広い視野で人間関係を構築する

リーダーシップを高めるためには、広い視野で人間関係を構築することが重要です。組織では、自分と似たようなタイプや考えを持つ人ばかりではなく、多様な人達が働いておりそれぞれの役割を果たしています。

狭い視野で人間関係を構築していては「自分は正しい」と思い込み、違う視点があることに気付くことも難しくなってしまいます。リーダーはより広い目線で心で人で人と接し関係を構築することが必要です。

意思決定を意識しながら生活する

適時にリーダーシップを発揮していくためには、スピーディな意思決定が必要とされます。リーダーはビジネスの舵取りをしていく役割でもあるため、より重要な事柄に対して意思決定が必要とされるでしょう。意思決定の能力を培うためには、日頃の小さな事柄から意識して意思決定を行っていることが有効です。

部下の意見を傾聴して信頼関係を築く

リーダーシップを発揮するためには、部下の意見を傾聴することが重要です。部下を育てたいがばかりに、意見を否定したり、自分の意見を押し付けたりするのではなく、部下の言いたい事に寄り添いまずは受け止めます。

傾聴することによって信頼関係が構築することができ、結果としてリーダーシップも発揮しやすくなるでしょう。

リーダーシップを発揮しやすい社風を確立する

風通しのより社風を確立することで、リーダーシップを発揮しやすくなります。従来からのピラミッド型の組織形態は、トップダウンで社員は意見を言いにくく、中間管理職は板挟みにあうなどリーダーシップを発揮するには難しい組織形態が一般的でした。

近年はホラクラシー組織など上下関係のないフラットで「役割」ごとに仕事をする組織形態、社風の会社が増えてきています。社員がリーダーシップを発揮しやすい社風へと移行していくことが求められるでしょう。

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リーダーシップを発揮するためには会社としてビジョンを明確にし、未来を見据えた目標設定をする必要があります。

 会社の存在意義や自分自身を正しく理解して意識改革することで、部下を強力に牽引できる管理職を目指すことができる のです。

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