エシカル消費とは?注目が集まる理由や効果、企業事例を解説

(画像=Tinnakorn Jorruang/iStock)

エシカル消費とは、倫理的な消費を指し、環境問題や社会問題といった大きなテーマに対して消費行動によって貢献しようとする考え方です。

企業はこういった動きにも注目し、企業のブランド価値を高めるために対策を行わなければなりません。今回は、エシカル消費の意味や、注目を集める背景、企業の取り組み事例を紹介します。

エシカル消費とは?

エシカル消費とは、「倫理的」を意味する英語「ethical」を由来としており、「倫理的消費」を指します。

倫理的な消費とは、消費者が社会的な課題や問題を認識した上で、消費という日常的な行動を通してそういったテーマの解決に役立つことを目指す行動です。

身近な例として挙げられる社会的な問題には、さまざまなものがあります。

例えば、気候変動は地球温暖化ガス排出との関係が指摘されており、それらは商品・サービスを提供する過程で生じるものも多くあるため、消費活動とは切っても切れません。

あるいは、ゴミの排出や、格差社会、健康・福祉、貧困といった問題も含まれます。エシカル消費はこういった社会的に重大な問題に消費者として関わり、解決に寄与することを目指す活動なのです。

エシカル消費が注目される理由と効果

エシカル消費は政府自治体、事業者、そして消費者から注目を集めている考え方です。

エシカル消費を理解するには、それを単なる一過性のブームとみなすのではなく、その背景にある社会的な事情も知らなければなりません。

ここでは、エシカル消費が注目を集める理由と、対策によって得られる効果を紹介します。

社会・環境問題への対策

社会問題や環境問題は深刻な状況にあり、世界規模で大きな関心を集めています。

そこで、こういった問題を解決する対策としてエシカル消費が注目されているのです。

社会問題の例としては、貧困、飢餓、健康・福祉、教育、ジェンダーといった問題が挙げられます。

貧困については、世界の約20%が1日あたり1.25米ドル未満で生活しているとされているだけでなく、教育を受けられない、文化的な生活を送れないといった数字だけでは測れない「あらゆる形の貧困」も存在するのです。

また、日本を含む先進国においては女性の活躍や、性別にとらわれず自己実現しやすい社会作りも大きな課題になっています。

環境問題の例としては、先述したように気候変動に関わる問題について議論が活発化されており、近年の締約国会議(通称「COP」)では地球温暖化ガスが中心的なテーマとして取り上げられることが多い状況です。

こういった状況の中で消費者としてできる取り組みは、例えば社会問題や環境問題に配慮しているブランドの商品を選択することが問題解決への支えとなる可能性があります。

全国民が課題解決者(消費者)

また、全ての国民が課題に何らかの形で関わっており、課題解決の力になれることも、エシカル消費が注目されている理由です。

環境汚染や地球温暖化と言うと、メーカーや運送事業者といった事業者、あるいは行政の問題として認識されることも少なくありません。

確かにメーカーはかつて汚染物質を河川や空気中に放出して公害化させたこともありますし、航空会社や鉄道会社は大量のエネルギーを消費して二酸化炭素を排出しているのは事実です。

しかし、消費者が何もできないかと言えば、決してそうではありません。

プラスチックによる海洋汚染を防ぐためにビニール・プラスチックゴミを減らすよう努力したり、食品ロスを抑えるために節度のない消費を控えたりする取り組みは、消費者レベルでも可能です。

消費者一人ひとりが生活の意識を変えることによって、課題解決に近づけるようになります。

CSRの実現

また、企業単位ではCSRの推進につながります。

CSRとは企業の社会的責任の略語で、消費者、投資家、取引先といった社会全体のあらゆる利害関係者からの要求に応える取り組みです。

社会的に環境対策や公平性、社会性といった配慮が広く求められている中、企業が社会の一員としての役割を果たしていくことは、CSRの領域とも合致します。

つまり、企業がエシカル消費を念頭にして環境や公平性などに配慮した事業活動を行うことによって、CSRの推進にもつながるのです。

エシカル消費の対象と具体例

消費者庁は、エシカル消費の対象を定めており、事業者や消費者はそれらを参考にすることができます。

ここでは、具体例を紹介しましょう。

環境

消費者庁が定めている環境に配慮した商品としては、エコ商品やリサイクル商品、資源保護認証製品などが挙げられます。

エコ商品とは、環境に配慮した商品を広く指す言葉です。

例えば、洗剤や柔軟剤を使用せずに洗うことができる衣服、再生エネルギーによって製造された商品、容器を回収・再利用している商品など、さまざまなパターンがあります。

また、各認証団体が発行している認証商品も効果的です。

例えば、日本環境協会は「環境への負荷が少なく、環境保全に役立つ」とされる商品を「エコマーク商品」と認定しています。

他には「グリーン購入法」という法律にもとづいて、再生プラスチックや古紙といった素材を一定比率以上配合している商品も有効です。

社会

社会問題に配慮した消費としては、フェアトレードや寄付・慈善活動への意識が挙げられます。

フェアトレードについては、発展途上国の原料や製品を適正価格で調達した商品が推奨の対象です。

調達の公平性については従来から課題が指摘されており、例えば先進国の大企業が交渉力の強さを悪用して取引先に不利な取引条件を強いるといった事例が数多く問題視されてきました。

これは格差の助長や労働環境の悪化にもつながりかねない問題で、公平な取引が重要と見なされるようになってきたのです。

また、寄付・慈善活動とは、売上金の一部がそのような目的に使われる商品を指します。

商品の機能や品質、価格だけでなく、こういったコンセプトも推奨される対象です。

障がいがある人への支援も重要な要素です。

世の中には働きたいという意思を持っているものの、障がいがあることによって働けないという人も存在します。

一方で、障がいを持つ人を雇用したり、就労の支援を行なったりしている会社があるのも事実です。そういった会社の商品・サービスを購入することは障がいがある人の就労機会の増加にもつながり、立派な支援になります。

地域

地域への配慮として、地元の産品を購入することも消費者庁が推奨するエシカル消費の1つです。

地産地消にはさまざまな効果があり、産品を輸送するエネルギーの節約や、生鮮ものの保存コストの削減、さらに地域活性化にもつながります。

また、特に被災した地元や、あるいは地元でなくても無理のない範囲で被災地の産品を消費することは、経済的に応援することになり、復興の支えになるのです。

動物福祉

動物福祉は、生物多様性への配慮の一貫です。

例えば「エシカルファッション」とは、環境、労働、社会などに配慮して生産されています。

動物福祉に配慮した消費にあたって、判断基準として役立つのが認証です。

例えば「MSC認証」とは、海洋環境や水産資源を保護しながら獲られた水産物に与えられる認証で、他にも適切に森林資源を管理している商品に与えられる「FSC認証」があります。

SDGsとエシカル消費の関係

SDGsとは、「持続可能な開発目標」を指し、2015年に国連「持続可能な開発サミット」で採択された国際目標です。先述した貧困、飢餓、健康・福祉、教育、ジェンダーといった社会問題だけでなく、安全な水・トイレの確保やクリーンエネルギーなど17の開発目標が定められています。

特に12番目の「つくる責任・つかう責任」という項目では「持続化可能な消費と生産のパターンを確保する」というコンセプトが掲げられており、エシカル消費とは密接な関係です。

エシカル消費企業の取り組みと事例

エシカル消費という考え方が広がるにつれて、消費者から選ばれる側である企業はますます取り組みを進める必要があります。

そこで参考になるのは、環境、社会などに配慮した活動をすでに行なっている企業の事例です。

ここでは、2つの事例を紹介しましょう。

事例1.花王株式会社「Kirei Lifestyle Plan」

花王は、ESG活動を支える理念として「Kirei Lifestyle Plan」を掲げています。

ESG活動とは、環境、社会性、ガバナンスの略で、持続可能性やエシカル消費とも密接に関わる概念です。

理念の柱となる花王のESGビジョンとしては、人々、コミュニティ、社会がサステイナブル(持続可能)であることを明確に打ち出しています。

また、調達、輸送といった製品のライフサイクル全体において責任ある選択を実現し、同時に花王というブランド価値を高めてエシカル消費を促す方針も掲げました。

事例2.ファーストリテイリング「取引先リストの公開」

ファーストリテイリングは、取引先リストの公開を行なっています。

これは、フェアトレードや適切な労働環境の確保にも配慮し、サプライチェーン全体の透明性を高めることで、エシカル消費を選好する消費者に訴える狙いです。

同社のホームページでは、取引をしている主要な縫製工場や素材工場のリストを確認することができます。

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