現場の最前線の生産現場では、毎日様々な問題が発生し頭を悩ませている経営者や総務部担当者も多いのではないでしょうか。時間勝負の世界であるため、製造時間の削減、効率化などの施策を講じて生産力のアップなどのカイゼンはどの企業でも取り組んでいる課題ではないでしょうか。
そんな「カイゼン」は実際にはどのように実施していけば良いのでしょうか。本記事では、カイゼンの意味を改めて確認し、カイゼンの実施方法や成功事例などを詳しく紹介していきます。
カイゼンとは
カイゼンとはいわゆる「改善」と同じ意味ですが、主に製造業の生産現場で行われる改善としてカタカナ表記で「カイゼン」と表されています。意味としては、改善と同じく悪いものを改めて良くしていくということです。しかし、カタカナ表記になると、主に製造業や生産現場で行われている作業の見直しの意味を指します。
さらに、「カイゼン」は、ボトムアップで問題解決を計っていくという意味合いも含まれているのが特徴的。経営陣に指示されて動くのではなく、現場の作業者が皆で知恵を出し合い、作業効率の向上や、安全性の確保など状況の改善を見直してゆくのです。
海外でも「kaizen」と言う名前で広く普及されています。最も有名なのが、トヨタ自動車の「カイゼン」で、「トヨタ生産方式」の主要な考え方のひとつとして挙げられます。
トヨタのカイゼンと5Sとは
前にも述べたように「カイゼン」で最も有名なのがトヨタ自動車の施策です。トヨタ自動車が掲げる「トヨタ生産方式」は、自動車を組み立てる時、必要な部品を、必要な時に必要なだけ到着させ、在庫を限りなくゼロにする無駄を徹底的に省く考え方が根本にあります。全員参加で全ての人が当事者意識を持ち無駄を見つけ、それを解消していくのです。そうした考え方の中にカイゼンもあり、ひとつのサイクルとして機能します。
トヨタのカイゼンを考える上で、まずは「5S」が大切となります。「5S」とは、整理、整頓、清掃、清潔、しつけのことを言います。「ものを探す」ことは最大の時間の無駄になるので、整理整頓を徹底、そして「職場環境は自分たちが守る」という「全員参画」の意識を持ってもらうため清掃清潔を徹底してもらいます。
また、汚れやゴミが落ちていたり、整理整頓が行き届かなくなったりすると、「なぜ」を何度も繰り返し考え「原因」を調べ、改善を行なっていきます。こうした考えが「カイゼン」のスタートと言えるでしょう。
カイゼンの目的
カイゼンの大きな目的は、コストや製造時間の削減と思う人が大半かもしれません。
しかし、カイゼンの目的はコスト削減だけには留まらず、社員の負担の軽減、安全性の向上、さらに、社員の意識改革が大きな目的となります。
カイゼンを実施していく上で、常に一人一人が問題意識を持つようになり、自ら工夫し考えるスタイルが定着させていくことに意味があるのです。そのため、組織改造、設備投資、業務の抜本見直しを行ったとしても、現場担当者が問題意識を持って参画していなければ「カイゼン」の目的として機能しているとは言えません。
例えば、良いカイゼンの例としては、現場担当者が問題意識を持ちやすい整理整頓などを徹底することで作業効率が上がることが担当者自身で実感でき、また作業効率が上がることで一人一人の負担が軽減されていきます。整理整頓は、誰でも真似でき今すぐできるカイゼン案です。すぐにできることを即座に着手してみて、さらなるカイゼンを求めていきます。それがカイゼンのサイクルとなり、従業員の意識改革にも繋がります。
また、こうしたカイゼンを繰り返していくことで、結果、生産力が向上し、品質を維持したままコスト削減につながり、会社としても利益が出てくることになります。
生産現場でのカイゼンの実施方法
生産現場でカイゼンはどのように進めたら良いのでしょうか。まず、「カイゼン」を行う上で注目したいことは、組織編成や業務の見直し、設備投資などの大きなカイゼンではなく、小さな「カイゼン」からはじめることです。今ある人・物・予算・時間・規制の中で最大限できることを行うことを前提としておきましょう。それを踏まえた上で、実際に実施方法を詳しく紹介していきます。
1:カイゼンするべき問題を発見する
「ムダなことは何か」「もっと良い方法はないか」など、自分たちがいかに楽になるかなどに着眼し、問題を発見します。そして「現状把握」をすることが大切です。現状が整理できなければ、カイゼンする方法を見出すことができません。主観的でなく、視野広く色々な立場を想定して客観的に現状を振り返ることが鍵となります。
2:アイデアを出す
実際にどのように解決していくかアイデアを出し、一番良いと想定される方法をとっていきます。実際に改善案を出す段階ではないので、自分が思うアイデアを自由に出していくことが大切となります。
「代用が効くものがあるのか」「順番を変えた方が楽ではないか」「事前にまとめた方が効率的のではないか」などカイゼンできそうな事柄を整理しましょう。また注意したいのが、先ほども話をしましたが、カイゼンのアイデアを出す際は、今の人・物・予算・時間・規制の中で無理なく行うことがポイント。小さなことでも大きなカイゼンに繋がっていきます。
3:着手していく
アイデアを出し、カイゼンする方法が見つかったらまずは、着手してみることが大切です。初めから完璧なカイゼンはありません。「とりあえず」やってみて少しずつ問題点をクリアしていき、軌道修正を行なっていくことで一番良い方法が見つかってくるのです。
定期的にカイゼン内容について、振り返る場や表彰・評価制度があることで、サイクルを回すのに有益ですし、社員のモチベーションもアップするでしょう。
カイゼンの成功事例
実際にカイゼンによって業務の効率化や安全性の向上、コストカットに成功した事例を持つ企業が多くあります。すぐにできるカイゼン方法を取り入れ成功した企業の実際の事例をご紹介します。
1:見える化
作業工程において、組み付けの変更や不具合案件、作業工程の変更など大事な連絡事項も日々出てくると思います。しかし口頭だけの連絡では、失念してしまったり、徐々に忘れてしまったり、休みだった人に情報が行き渡らないといったトラブルも発生してしまいます。
そのため、ノートやタブレット、ホワイトボードを利用して連絡事項や製造工程を正確に把握できるようなカイゼン方法を実施。日々全員が安心して作業に取りかかれる環境になり安全性が向上した企業が複数あります。また、今どのくらい在庫があるか把握をするために、在庫の見える化なども成功したカイゼン方法の事例として挙げられます。
2:整理整頓の徹底で無駄を削減
倉庫作業において、倉庫に保管してある部品や治工具を使う際に、整理ができておらず、探し回る時間に無駄が生じている現場も少なくありません。そこで、それぞれ箱に入れ全ての部品・治工具に赤札を貼り、必要なものだけを明確にして、不要なものは廃棄するか一箇所にまとめるようにカイゼン。
その結果、不要だったものがあったスペースが空き、スペースの有効活用ができるようになり、モノ探しの時間の短縮ができ、時間的なロスが解消された成功事例も多く公表されています。
3:システム化
受注発注において、FAXを利用していた企業がシステム化でカイゼンに成功したという事例もあります。外注管理において納入可否確認など全てFAXを利用していたが、送受信に多大な工数がかかるだけでなく、情報共有ができない環境でした。
しかし、発注一覧をエクセル化し、自動でメール送信をできるようにカイゼン。FAXにかかっていた工数が激減した他、データの検索や情報共有も簡単にできるようになったので、効率が劇的にUPしたという事例もあります。
4:道具の追加で作業時間の短縮
梱包作業において、製品を決められて数量を梱包して保管する作業が発生する現場で、梱包する製品をいちいち手で数え、時間と集中力が消費されるだけでなく、面倒な作業なため無駄に感じる社員が多くモチベーションも下がってしまうという問題が発生しました。
そのカイゼン方法として、電子天秤はかりを取り入れ、製品の数量ではなく、製品の重量を計ることで、数えるという無駄な時間を削減しました。その結果、月約40時間の時間短縮に成功した事例もあります。
カイゼンのサイクルを回して日々成長を目指そう
カイゼンは、社員一人一人の前向きな意識が大切になってきます。社員が当事者意識を持って取り組むことが、カイゼンの成功に繋がっていくのです。
社員のモチベーションを前向きにするには、適切な人事評価制度も必要不可欠といえます。カイゼンにおいても、社員を評価するポイントとして設定することで、様々なアイデアが生まれ、会社全体の活性化にも繋がります。「ゼッタイ評価」では、あしたのチームが人事評価制度の構築・運用をワンストップでサポートします。カイゼンを始める際には併せて、ぜひ人事評価制度を見直ししてみてください。
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